私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

63 / 149
いつも誤字脱字の報告ありがとうございます!とっても助かってます!

次で24階層の話終わりかな?
……多分ですけど。

リフォームの金額流石に高すぎるので修正します。

値引き前が1500万から1000万に
値引き後が900万から500万に


尊き溢れる日常(6)

「おい、ババア!? どう言うことだ!?」

「すまん、わからん」

「はぁッ!? まじで使えねえな!?」

「くっ!? 言い返せない……」

 

 突然、何が起きてるかわからない。気づけば私たちの周りが氷に覆われていたと言う事実だけ。

 

「……こうなる前から足元に変な感覚はあった」

「なっ!? アイズ何故それを言わなかった!?」

「リヴェリアが反応しないから気のせいだと思ったから」

「いやいや、そこは言えよな!?」

「ベートさん、戦闘中だよ?」

「俺が悪いのかよ!?」

 

 私はと言うとリヴェリア様に支えられながらベートさんとアイズさんのやり取りを見ている。

 当たり前だけど、体中が痛くて今も必死に痛みを耐えている。

 

 ちなみにアイズさんが言っていた事を確認すると確かにさっきまで足元に変な魔力の流れはあった、いまは足元だけではなくこの通路全体に流れてるけどね。

 

「リヴェリア様、アイズさんが言っていた事は本当です。ただその魔力は人に感知出来るのは難しいみたいです」

「……ならば何故お前とアイズは感知できた?」

「恐らく、あのモンスターが精霊と関係しているから何でしょうね」

 

 その言葉を聞いたリヴェリア様は思わず目を開いた。何に対してかな? アイズさんの件? それとも狼が精霊関係のモンスター? いや、たぶんどっちもかもね。

 

 それにしても、あの狼見たことある様な気がする……。気のせいかな? 

 

「……このまま撤退すれば良いんじゃないでしょうか?」

「そうしたいのは山々だが、アイズもベートも恐らく賛成しないだろう」

「うぅ……戦闘凶(バトルジャンキー)過ぎません?」

「……諦めろ、それとこのエリクサーを飲め。それで治るとは限らんが」

「ありがとうございます……」

 

 受け取ったエリクサーを飲み込んだが、それでも未だに全身が痛い……、あの精霊はそれだけ無理な事をやっていた証だろうね。

 

《ドガーン!!》

 

 かなり大きな音と共に赤髪の調教師(レヴィス)が狼の攻撃を弾き出した。

 その手にはいつの間にか大剣が握られている。

 

『……急に威力を上げたなこのクソ犬ころが!』

 

 そう言いながら狼の攻撃を対処しているレヴィスだが、彼女が言っていた様に何故か威力が段々と上がっている気がする。

 

 —————いや、気のせいでは無い。

 

「ほぇ!?」

「……レフィーヤ?」

「な、なんでもないです!」

 

 急に頭の中にイフリートの声が響いた。一体なにが起きているの!? 

 

 —————うむ、契約したお陰でこうやって話しかける事は出来る、まああんまり長くは出来んがな。

 

 あっ、そうなんですね……って事はお姉ちゃんも出来るって事? 

 

 —————残念だがアイツとはそんな簡単に話せない、今回話せたのは本当に奇跡に近いからだ。

 

 そ、そうなんだ……確かに言ってたね、まだ来るには早いって。

 

 —————ああ、そうだ。それとあのヘルハウンドの事だが、アレが強くなっているのはこの領域のお陰だ。

 

 領域って何!? っていうかアレはヘルハウンドなの!? 絶対違うでしょ!? もう犬じゃなくて狼だよ!? 

 

 —————アレは自分の能力を使ってこの場を自分に有利な領域に書き換えたのだ、お前が感じた変な魔力の事だ。

 

 ねぇ!? 無視!? 無視なの!? 

 

 —————ハァ……、アレは元から特殊な個体だった、だが以前とは違って進化に進化を重ねたのだろう。

 

 ん? 以前? 私とあの白いモフモフと会った事あるの!? 

 

 —————ああ、ある。あの隻眼が何よりの証だ。

 

 え? つ、つまりあの白いモフモフは前回路地裏で私をボコボコにしたヘルハウンドなの!? 

 

 —————だからそう言っているであろう。ムッ……時間か、すまんが頑張ってくれ愛しい子よ。

 

 ってちょっと!? …………返事がない。

 言いたいだけ言って引っ込んだよ、あの人? 精霊? まあどっちでも良いや……。

 

「大丈夫か? さっきから顔色悪いぞ? 傷が痛むのか?」

「い、いいえ……ただあの狼の事を思い出して」

「何!? 奴の事は知っているのか?」

 

 それを聞いたアイズさんとベートさんは思わず振り返った。

 

「レフィーヤ、それほんと?」

「は、はい……たぶん」

「ならささっと吐け! 何勿体ぶってんだよ!」

「……ベート、そういうのは良くないではないか?」

「うるせえぞ、ババア」

「……帰ったら覚えておけ」

「ケッ」

 

 ベートさんとリヴェリア様の喧嘩を横目に私は語り出す。アレは以前怪物祭(モンスターフィリア)で遭遇したヘルハウンドだと、そこの隻眼が何よりの証拠だと。

 

「いや、ありえねえだろ。怪物祭(モンスターフィリア)が終わってまだ一ヶ月も経ってねえぞ? なのにあの強さは異常だ」

「ああ、確かに一理ある」

「リ、リヴェリア様ぁ……」

「でもなんだか雰囲気は似てるよ?」

「あ、アイズさん」

「まあ百歩譲って同じと言うことにしよう、だったらどうした? モンスターである限り殺す以外選択はない」

 

《ズガ────ン!!》

 

 大きな音と共に氷の壁に大きな穴が開けられた。

 

『レヴィス、行くぞ』

『……次は殺す』

 

 開けられた穴を通って、謎の人物はレヴィスと共にその場から離脱に成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおいおい、逃げちまったじゃねえか」

 

 逃げた二つの人影を見てベートはそうこぼした。

 

「レフィーヤ、追手は送れないか?」

「すみません、送ったのですがすぐに巻かれました」

 

 リヴェリア様は私に質問したが、奴らの離脱を見た瞬間に精霊を放っても何故かあの二人相手に一定距離に近付きたくないらしい。

 

「…………」

 

 アイズさんはいつの間にか剣先を白狼に向けたし。

 

 —————……もう一度、我と戦いを。

 

 頭の中にそんな声が響いた気がした。

 

 —————……あの日の続きを。

 

 これ気のせいじゃないですね!? 

 

 —————……どうか願いを。

 

 待って、あなたは誰なの!? 

 

 —————……我は我だ。

 

「あなたなの?」

「あ゛!?」

「……レフィーヤ?」

「どうしたんだ!?」

 

 離れた場所から真っ直ぐに私を見つめた白狼がそこに居た。

 

 —————どうか我との……、戦いを。

 

「おい、レフィーヤ。どうした!?」

「リ、リヴェリア様。あ、あの子、私と戦いたいって……」

「なっ!? 話しかけてたのか!? モンスターが!?」

「う、うん、頭の中に直接……」

 

 私の申告に驚いたリヴェリア様は勿論、ベートさんとアイズさんは何とも言えない顔になっていた。

 

「レフィーヤ、モンスターが喋るわけない。それはきっと誘惑系の能力」

「ああ、バケモンが人の言葉を話せるなんて。んなもん、あるわけねぇだろ」

「で、ですが」

「レフィーヤ。耳を貸してはダメ」

「で、でも」

「いい加減にしろクソエルフ! でももクソもねえ! アイツらに惑わせるな!」

「う、うぅ……」

 

 何言っても聞き入れそうにない、リヴェリア様も同じ様な反応だし。

 

 それでも私は狼に向けて話さないといけなかった気がする。

 

「ご、ごめんなさい……あなたとは戦えない……」

「おい、クソエルフ!」

「レフィーヤ!!」

「ベート、アイズ。今は見守ってやれ」

 

 —————何故? 

 

「……あなたは強い、そしてなによりも私は凄く弱い……。今の私とあなたが戦っても、あなたが欲しかった戦いなんて実現出来ないから……」

 

 —————……そうか、承知した。

 

「……わ、わかってくれますか?」

 

 —————ああ、だがもしまたこうやって相まみえる事があれば。その時は我と戦って欲しい。

 

「……えぇ!?」

 

 —————ゆっくり考えてくれ。

 

 そう言って、白狼の周りに濃い霧が現れて、霧が晴れると白狼はどこにもいなかった。

 

「どうなったんだ?」

「逃げただと!?」

「……」

 

 リヴェリア様、ベートさんはすぐに動いたが、白狼はやはりどこにもいなかった。アイズさんは思いっきり剣を握りしめていた、その顔はとってもベルに見せていい顔では無い。

 

 ホッとしたからか、急に眠気が私を襲う。

 

「あ゛?」

「レフィーヤ!?」

「……!?」

 

 本日何度目かわからないけど、私は再び意識を手放した。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。