—————翌日
昨日はハイテンションになりすぎた為暴走してしまい、本当に申し訳ない……。
心から反省してます……、本当ですよ? 信じてください。
理由としてはアレからリリちゃんは私にずっと厳しい目線を送っているので、マジで反省しています。
私の姉としての威厳がァ……。え? ない? そんな馬鹿な!?
とは言っても、今日の予定は昨日決めた通り、魔道具作成の為に使います。
けど、流石に一人でやらせてくれませんでした。手が空いてるヘスティア様、リヴェリア様、アキさんが保護者、監視、雑用係として同行しています。
場所としては黄昏の館の訓練所を使っております、寝室でやるのはダメです!
一方、リリちゃんはベルと一緒にダンジョンに潜ってます、私も早く復帰したいなぁ。
「リヴェリア様、羊皮紙はどこに置きますか?」
美人で凛々しいな
「ああ、すまないな。あそこの机の上に置いてくれ。それから燃えるものはこの部屋から出してくれ」
リヴェリア様がテキパキ指示を飛ばす。
「それにしてもこんなに用意する必要あるのかい?」
私の隣に座っているヘスティア様が質問を投げかけた。
「……はっきり言ってわかりません。なんせ【ロキ・ファミリア】でも試した事がないですから」
ヘスティア様の質問に答えたリヴェリア様、その顔はやや疲れ気味。あっ、ヘスティア様もですけど……。
「それじゃあ、試してみます!」
私がそう言ってペンを取った。
何回もやった結果、紙が燃えたり、濡れたり、破れたり、砂の様に崩れたりしていた。
問題は紙なのかな? だって
「……やっぱり紙がダメなんですね」
「ああ、やはりキミの魔力に耐え切れないだろうね」
「だとすると、やはりペン同様にトレント系のドロップアイテムで作る紙か?」
私、ヘスティア様、リヴェリア様は燃え滓、濡れた紙、切られた紙そして崩れた紙の前に考察をしていた。
「いやいやいや」
後ろのアキさんはそんな簡単に認めないそうだ。
「可笑しいですって! なんで文字を書くだけで紙が燃えるんですか!?」
「……よく考えたらそうだったね。いつの間にかボクの感覚が麻痺ってたのか」
「……いや、
「え!?私が悪いんですか!?」
はい、そこ!当たり前だろ?みたいな顔をしない!
「違う! そうじゃない! そうじゃないよ! なんでみんな当たり前のようにそういう反応をするんですか!?」
どうやら納得していない模様。
そうするとリヴェリア様はアキさんの両肩を掴んだ。
「いいか、アキ。
「何を言ってますか!? ちゃんとありますよ!?」
「常識があるのならばこんな事はせんぞ!」
目を全開まで開き私を見つめたリヴェリア様。ちょっ怖いです。
「さぁ、次だ!」
そう言って次の紙を手に取ったリヴェリア様。やっぱり目が凄く怖いです。
はい、ダメでした!
これでダメになった紙が合計12枚です、ちなみにこの紙は一枚に付き2500ヴァリスでダメになった紙は合計3万ヴァリスになります! わぁーい(白目)
「何がダメなんでしょう……」
椅子に背もたれながら私はため息をついた。
「魔道具作成など、私の専門外だからなんとも言えないな」
リヴェリア様はダメになっていた紙を見ながら、答えた。
「ボクもこういうのさっぱりだから、力になれそうにないよ」
私の頭を撫でながらそう答えたヘスティア様。
アキさんの方に視線を送ると。
「そんなに見てもあたしもさっぱりだからね?」
困ってそうに彼女は答えた。
うーん、どこがダメ何だろうね……。
「キミが
「効果をイメージしながら書いてました」
そう答えるとヘスティア様は少し考える素振りを見せた。
「もしかして、今回もキミは魔法の効果を浮かべながら書いてみたのかい?」
ヘスティア様が再び私に質問した。
「はい、イメージを調整しながら書いてみました」
再び考える素振りを見せたヘスティア様。
「だったら、今度は細かく書いてみないかい?」
「……細かく?」
「そう、キミが今まで脳内に浮かべたモノを全部文字にして紙に書いてみるんだ」
「えっと、全部って?」
「全部だよ、効果、範囲、魔力消費、形などなど、それを全て紙に書いてみてはどうだい?」
ヘスティア様がそう提案した。
「……なるほど、確かに試す価値はありそうだな」
「そうですね、やり方を変更するって言うのはありだと思います」
リヴェリア様とアキさんはその提案に賛成した様だ。
でも、確かにずっと同じやり方でやっても仕方がない。ここは一回ヘスティア様の提案に乗りましょう。
さぁ、始めようか。
不思議な事にペンが難なく進んだ、紙に異常が起きず、すんなりと魔法式を書くことが出来た。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
我、レフィーヤ・ウィリディスがこの魔法を汝に刻む。
魔法名、
術式、《省略》
効果、前方にいる相手に火属性攻撃を与える。
範囲、前方にいる相手、及びその周辺。
魔力消費、基本必要無し《変動あり》。
形、拳ぐらいの大きさの火の玉《変動あり》。
特性、魔力消費しなくとも使用可能だがもし魔力を込めれば込める程威力増大。だが、もし魔力を込め過ぎる場合、このスクロールは破棄される。
発動キー、魔法名のみ。
作者:【ヘスティア・ファミリア】所属、レフィーヤ・ウィリディス。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
や、やった…………。やりました!!
「……で……出来た?」
自分でもわかるぐらい声が震えだす。
「「「…………」」」
後ろにいる三名からは何も感想がない。なんか言ってよ!?
「あ、あの……三人とも?」
なんか言ってください。凄く不安何ですけど……。
「い、いや、すまないなレフィ君。まさかボクが言ってた事で本当にできると思わなかったんだ」
「……ああ、試してみる価値はあるとは思ったが、それで実現するとは思わなかった」
「……もしかして、私って今、魔法の革命の目撃者になったでしょうか?」
ヘスティア様、リヴェリア様、アキさんのそれぞれの反応でした。
「けど、一枚を書くだけでだいぶ時間が掛かったね」
ヘスティア様の言う通り、このスクロール一枚を書くに軽く2時間が掛かった。
「いいえ、魔剣に比べるとやはり破格だと思う」
「ええ、そうですね。2時間で一度の使い捨てとは言え魔剣同様の効果を持つアイテムが出来るなんて、十分過ぎます」
でもベテラン冒険者のリヴェリア様とアキさんの反応は違った。
「レフィーヤ、もしもう一度これを書けって言われたらどれぐらいで出来る?」
リヴェリア様がそんな質問を投げた。
「そうですね、今のでだいぶ慣れましたので大体1時間ぐらいあれば一枚書けます、もっと慣れたらもっと早くなると思います」
「……そうか、十分だな」
そう言って、リヴェリア様は私をみた。
「……本当に効果があるかは後にして、みんなが集まるまでに後二、三種類を書けるか?」
その目はかなりマジな顔です。
「い、今は昼ぐらいですので、後2枚は書けると思います」
「そうか、ならば私が指定する魔法を書いてくれ」
「へ? 別にいいんですが……」
「では頼む。指定魔法は力上昇魔法、そして敏捷上昇魔法の二つだ」
「どっちもレフィ君の十八番の補助魔法だね」
「その通りです、神ヘスティア。先日の依頼でこの魔法の利点の数々に驚いていました。ならば、もしレフィーヤが居なくても使えるのならば是非とも欲しい」
「なるほど、確かに有っては損はないね」
「はい、その通りです」
それを聞いたアキさんは頭の上に? を浮かべたが、今は無視で。
じゃあ、残りの2枚を書いましょうか!
ここまで読んで頂きありがとうございます。