私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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時期としてはレフィーヤが暴走しているその頃です。


劇的すぎるビフォーアフター

「今日の報告は以上です。では、エイナさん、僕はここで失礼します」

「ええ、いつもご苦労様。レフィちゃんにもよろしくって伝えてね」

「はい、伝えておきます」

 

 今日のダンジョン攻略が無事に終わり、そして担当アドバイザーのエイナさんへの報告もたった今終わりました。

 僕、ベル・クラネルは出口に足を運び、先に換金を終えたリリと合流した。

 

 リリと二人だけのダンジョン攻略は前にも何度かあったが、やはりレフィ姉がいない分、攻略の進み具合がいつもと比べて遅い。

 だけどそれは苦戦しているからではなく、単に殲滅力が激減しているからだと思う。

 まあ、僕が毎朝ベートさんに手取り足取りボコられた為、ダンジョン攻略前からボロボロなのでエイナさんやすれ違った知り合いからは勘違いされまくったけどね。

 

「リリ、お疲れ」

「ベル様もお疲れ様です」

 

 リリと軽く会話しながら帰路に着く。いつもなら姉もいるが今しばらくはダンジョンに出る事が固く禁じられた為いません。

 

「それでベル様、今日はそのまま黄昏の館に行きますか?」

「いや、まだ時間に余裕あるから。【ヘスティア・ファミリア】のホームの様子を見に行きたい」

「えっと、リフォーム依頼してからもう一週間経ちましたでしたっけ?」

「うん、そう。前回見た時はまだまだ作業進んでないから凄く楽しみなんだ」

「ヘスティア様曰くかなりいい出来になったそうですが」

「らしいね、だからこそ今日見に行きたい」

「リリは別に構いません、ですが帰りには豊穣の女主人に寄って欲しいと今朝言われましたの忘れてませんよね?」

「勿論、じゃあ、早く行こうか」

「はい、わかりました」

 

 僕らは歩く速度を上げ、目的地へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこで僕達が見たのはかなり立派な3階建ての建物……。あれ? 三階建て? 

 リリはそんな建物をキラキラした目で見つめた。【ソーマ・ファミリア】のはもっと大きな館を持っているけど、アレはリリにとって家じゃなくただの牢獄だそうで、自分の意思で入ったファミリアのホームに強い憧れを持ったそうです、神様情報だけど。

 それにしてもおかしいなぁ、僕達の依頼では二階建て地下倉庫込みのホームだった筈だけど。

 僕は色んな人に指示を飛ばしている男に声をかけた。

 

「あ、あのぉ〜、【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネルなんですが。少し質問いいですか?」

「ん? あぁ! 【ヘスティア】の! 途中経過を見に来ていたのか?」

「はい、そうなんです。ただ…………あのぉ〜」

「おぉ? どうした? 聞きたい事があるならなんでも答えるぞ」

「僕達の依頼は二階建ての筈だけど、何故三階建てに?」

 

 僕の質問を聞いた男はニカっと笑い、豪傑に言い放った。

 

「ハハハハ! 気がついたらそうなってた!」

「えぇ!? そんな理由で!?」

「な〜に、追加料金とかは心配要らねえ、オレ達は新しい家の組み立ての技術をこの建物で試しているからそこら辺の事は気にすんな!」

「気にしますよ!?」

「なんだ? 強度の心配か? 大丈夫だ、強度試験はもうとっくに合格しているからな!」

「いや、そうじゃない! そうじゃないですよ!」

「おいおい、漢ならちぃせぇ事に気にすんなって、オメェの所と契約通りだから心配いらねぇって!」

「あ、いや…………」

「気にすんなって!」

「で、でも…………」

「気 に す る な」

「アッハイ、ごめんなさい」

 

 威圧ェ……。

 僕が折れると男は再びニカっと笑い僕の背中を叩いた。

 

「中も見るか? 二階三階は流石に無理けどよ、完成した一階だけなら見れるぞ?」

「あぁ……、はい、見ます」

「おう、着いてこい」

 

 男は自信満々に歩き出し、僕はキョロキョロ見ているリリに声をかけ、男に続いた。

 

 扉を潜ると、まずはかなりの広さのホールがある。入って右側には扉がありそこは応接室になっている。

 

「この応接室の扉や一部の壁は簡単に取り外しが出来て、宴とかに使える様にしてあるぞ」

「な、なるほどぉ〜」

「凄いです!!」

「そうだろそうだろ! よし、次はこっちだ!」

 

 次に案内された部屋は台所、色んな設備が揃っている。

 

「台所にはオメェの所のエルフが持ってきた物を取り付けたぞ。最新式ではないがそれでもかなりいい設備が揃っている」

「なるほど……、姉らしいですね」

「ベル様ベル様! これパンを焼くための窯ですよね? パンを焼けるのですね!?」

「えっと……そ、そうなのかな?」

「おう、合ってるぞ。オレら特製の窯だ」

「……なんかもういいです、驚くの疲れました」

「引っ越したら色んなパンを焼きたいです!」

「よし、次だ!」

「おぉー!」

「お、おー」

 

 元気よく返事したリリと色々と疲れた僕……。

 

 案内されたダイニングは至って普通で、その後は浴場に案内された。

 大浴場って言うほどでもないがそれでも6〜7人は余裕で入れそうな大きさの浴場。

 ここもレフィ姉の希望設備の一つだね。

 

「まあ、水を貯めるには大変だけどよ、そう言う依頼だったから文句言うなよ?」

「あぁ〜、うん、たぶん大丈夫です。心配いりません」

「おっ、なんだそうか。オメェの所の女神様もそう言ってたからやはり問題なかったか」

「はい、心配してくれてありがとうございます」

「ハハハ、気にすんなって」

 

 バシバシと背中が叩かれる……、地味に痛い。

 

「さぁ、次だ次!」

 

 次は地下への階段に案内された。

 

「ここは今仕上げ中だから降りれねぇけどよ、ここを降りて左の扉はちぃせぇがワインセラーだ。反対側の扉は大本命の倉庫になってる、中には色々仕切られたから整理はしやすいと思うぜ」

「なるほど、ありがとうございます」

「後は勝手に作ったんだが、避難所も作ってあるぜ、勿論避難経路付きのな」

「……それは必要なのでしょうか?」

「わからねぇがいつか必要になるかもしれねぇだろ? だから万が一の為作っておいたんだよ。まぁ、勝手にだがなァ! ハハハ!」

「……そうですか」

 

 万が一に備えるのは悪い事じゃない、何かが起きてからは遅いからね。

 

「……ありがとうございます」

 

 僕は素直に頭を下げた。

 

「いいって事よ!」

 

 男は笑顔を崩さずにニカっと笑った、本当に凄い人だと思う。

 

「さて、後は二階と三階だが、そこは寝室になっている。希望通り、主神の部屋以外はみんな同じ大きさになっているからな」

「はい、ありがとうございます」

「と言うわけで、これがオメェの新しいホームの案内だ。完成したらまた色々説明があるけどよ、今はこれで十分だろう」

「そうですか、わかりました!」

「リリも大丈夫です!」

「返事のいい連中だな! だがそれならオレも負けねぇ! ハハハハ!」

 

 男に案内されて僕とリリはホームの前まで戻ってきた。

 

「んじゃあ、今日はもう遅いから早めに帰れよ?」

「「わかりました」」

「あぁ〜そうだった、オメェの所の女神様に伝えてやってくれ。ここら辺周辺は土地安いから今のうちに買い占めてもいいと思うぜ? ファミリアが大きくなったら引っ越すのもまた手間だろ?」

「へ? あ、はい! わかりました。伝えておきます」

「おう、じゃあな坊主!」

 

 男に見送られながら僕とリリは豊穣の女主人に向かった。

 着いた先はレフィ姉宛にお見舞い品が沢山渡されたが、僕とリリは一応ここで食べる事にした。

 ご飯を食べ終えて、会計を済ませると。ある本が目に止まった。

 会計を担当しているシルさんに質問する事にした。

 

「あの、シルさん。あそこにある本って?」

「え? ああ、あれですね。あれはベルさんが間違えて読んでしまった魔導書(グリモア)の成れの果てです」

「ちょ!? 言い方!?」

「えーだって事実じゃないですか?」

「えぇ、まあ、事実何ですが……」

「ふふふ、冗談ですよ? 一応持ち主が戻って来るかもしれないって思ったからそのまま置いただけですが、そろそろもう捨てますよ」

「なるほど、そうでしたか……」

「なんならベルさんにあげてもいいですよ?」

「え!? いや、要りませんよ!?」

「そんなこと言わないでください、ベルさんがやった事に対する責任を取るという形で貰ってあげて下さい」

「言い方!」

「では、また御来店お待ちしておりまーす」

 

 押し付けられた形でゴミを手に入れた……。

 

「どうするの、これ?」

「適当にリリの鞄の中に入れておきましょうか?」

「うん、お願いね」

 

 それから他愛ない話をしながら僕らは黄昏の館に向かっているのでした。

 

 あそこに更なる修羅場があると知らずに。




ここまで読んで頂きありがとうございます。


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