私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

70 / 149
この話自体微妙な気がする………。

そして、ベルとミノたんの話に苦戦中。


のんびりほんわかな日常を目指したい

 それから何事も無く、僕とリリは黄昏の館に着くのでした。

 黄昏の館の前には門番達の他に見覚えがある青年が立っていた。

 

「あれ? ラウルさん、こんばんは」

「ベル君にリリルカさん! 待ってたっすよ!」

「ほぇ?」

「なんでしょうか?」

 

 僕らを迎え入れたのは【ロキ・ファミリア】所属レベル4冒険者のラウルさん。

 僕は勿論、リリも何が何だか状況を飲み込めなかった。

 

「実は団長からベル君達が帰ったらすぐに案内する様にって言われたっすよ」

 

 僕はなんだかんだでこの館に何度も来ているので門番達もそれを知っているから【ヘスティア・ファミリア】に所属する前みたいに門前払いはなくなっている。

 先月に門前払いされたばっかりなのに今は堂々と入れるのはまたおかしいけど、そこはコネパワーって言うことで。

 

「え? 案内ってなんですか?」

「いやぁ、それがオレも知らないっすよ、幹部達やベル君達の全員が揃ったらわかるって言われたっすけど」

「…………ベル様、リリは嫌な予感しかしないですが?」

「あぁ〜、うん。だいたい察したよ」

「本当っすか!? 流石の期待の双星(ツインスター)って言われるだけあるっすね!」

「……え? なんですか、ソレ?」

「ベル君とレフィーヤちゃんはウチではそう呼ばれてるっすよ、眩いぐらい輝く二つの新星って意味らしいっすよ」

「なるほどぉ……、カッコいいですね!」

「やっぱベル君もそう思うっすよね!? 名付けた人はセンスあるっすよねぇ」

 

 興奮気味で喋り出すラウルさん、うんうん、その名前はめっちゃくちゃかっこいいよね! 

 

《くちゅん……、なんや? ウチの噂をしてるん子供でもいるんかいな?》

 

 似非関西弁の女神が何処かでそんな事を言ってる様な言ってない様な。

 

 そう話している内に、僕たちは目的の場所に着いたみたいだ。

 ここは僕も知っている、っていうか今朝ここで訓練していた。

 ここは黄昏の館の中にある訓練所でした。

 

「団長、ベル君とリリルカさんを連れてきたっすよ」

 

 ラウルさんは扉を軽く叩きながらそう言った。

 

『ああ、入るといい』

 

 フィンさんの返事を聞き、ラウルさんは扉を開けた。

 そこにはどうやら放心状態のロキ様、そしてその周りには苦笑いしながらそれを見守っている【ロキ・ファミリア】の幹部達そして神様。

 そしてその中心にはちょこんと椅子に座っている僕の自慢の姉、その姉の対面はフィンさんが座っている。

 リリは部屋に入ってすぐに神様の隣に立ち、神様を支えている、よく見ると神様もだいぶ顔色が悪い。

 

「やぁ、ベル君。お疲れ様」

「あっどうも、お疲れ様です」

「来て早々で悪いが、僕の隣で座ってくれるかい?」

「アッハイ、わかりました」

 

 言われるがままに僕はフィンさんの隣に座った、僕の向こう側は少し申し訳なさそうに座っている姉が居る。

 

 フィンさんは少しの間こめかみを抑えたが直ぐに顔をあげた。その顔には覚悟に満ち溢れている。

 

「…………ベル君も来た事だし、始めようか、だがまずは、今から見たモノはとりあえず絶対に秘密にする様に」

 

 フィンさんの言葉にコクリと頷く参加者達。

 

「……では、レフィーヤ…………、君が作ったモノを僕たちに見せてくれ」

「……はい」

 

 レフィ姉が返事すると一部の人達の顔が強張った。

 

 それからレフィ姉があるモノを取り出した。ソレは3つの羊皮紙、一枚一枚巻物の様にぐるぐると巻かれてそしてリボンで束ねられた。

 

「……これが私が見せたいモノです」

 

 その紙をテーブルにそっと置いて、姉は周りの人たちを見渡す、僕もそれに釣られて周りを見渡した。

 

「は? なんだ? そりゃ?」

 

 ベートさんは相変わらず噛み付き。

 

「……巻物?」

 

 アイズさんは不思議そうに羊皮紙を見ていた。

 

「ねぇ! それってもしかして新しい英雄譚!?」

 

 ティオナさんは期待に満ち溢れた目で紙を見ていた、英雄譚だったら僕も読みたいなぁ。

 

「いや、英雄譚がたったの1枚ってありえなくない?」

 

 ティオネさんはもっともの事を言った、つまり英雄譚ではなく英雄を称える唄かな? 

 

「…………」

 

 リヴェリアさんは静かに目を閉じた、よく見ると深呼吸している。

 

「……モウヤダワァ」

 

 ロキ様はピクピクと痙攣しながらソファに倒れてる。

 リリはいつの間にか遠い目をしていた、巻物の正体を知っていたからかな? 

 そして、神様は諦めの目をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 周りを見渡した姉は再び息を吸うと、巻物を一つ手に取った。

 

「これは所謂、スクロール版の魔剣。仮名、マジックスクロールです」

 

 姉はそう言い放った。

 

「……は?」

「……え?」

「ほぇ!?」

「ハァ!?」

「…………」

「ウワァアアアア!!!」

「ハァ…………」

 

 上からベートさん、アイズさん、ティオナさん、ティオネさん、リヴェリアさん、ロキ様にフィンさんの反応です。

 

 僕の陣営の方を見ると。

 

「昨日の今日で出来るもんなんですね…………」と言いながら明後日の方向を見ていた。

 神様はと言うと若干死んでる目で笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 周りの反応を見ていたレフィ姉は困った顔を浮かべた。予想より遥かに大袈裟な反応を見せた者が多いからかな? 

 

 え? 僕? まあ、レフィ姉の事だし別に不思議じゃないよ? 

 

「それで、レフィ姉。その効果は?」

 

 僕が発した言葉にみんなの声が一斉にこっちに向いた。

 

「あっ、えっとね。まずこの赤いリボンのスクロール。これは攻撃魔法の証だよ、リボンもまた一種の魔道具で私じゃなければ決して解けることは無い」

「なるほどぉ、つまり劣化品対策はしてあるんだね!」

「そう言うこと! 流石ベル!」

 

 僕たちのやり取りを見ていたみんなの顔はまるで「そんなもん誰がパクれるか!?」って言わんばかりの顔してる。

 

「それでこの二つの青いリボン、これはね、補助魔法なのよ。リヴェリア様の依頼で作ってみたの!」

「へぇ〜、つまり単独攻略時でもレフィ姉の補助魔法が使える様になるんだね」

「うんうん、これがあれば万が一イレギュラーが起きてバラバラになっても対処出来るになるかも知れないのよ!」

「それは凄いね!!」

「でしょ?」

 

 お互い笑い合うと、約一名が手を挙げた。

 

「……あのさ」

「はい、何ですか。ティオナさん?」

 

 手を挙げたのはティオナさんでした、彼女は困ってそうにレフィ姉に質問をした。

 

「あたしが知ってる魔剣って、攻撃魔法しか出来ないモノなんだけど……そのまじっくすくろーる? っていうのはもう魔剣とは違わない?」

「はい、そうですね。もはや魔剣とは言えず魔導書(グリモア)とも言えないものになっています」

「そ……だよね?」

 

 レフィ姉の答えに更に混乱をしていたティオナさん。

 

「ですが、魔剣とは違い、このマジックスクロールは一回使えば終わりなので、魔剣鍛治師の仕事がなくなるわけではないのです」

「つ、つまり?」

「えっと、あったら便利ってレベルの認識でいいのかと……」

「なるほどぉ……」

 

 納得しそうで納得してない顔を浮かべながらティオナさんは手を下げた。

 

「だが、魔剣とは違い、攻撃だけではなく、補助、結界、探索などの様々な効果の持つマジックスクロールがこれから先出来るかもしれないと言うのは紛れもない事実さ。そうだろう?」

 

 フィンさんは相変わらずこめかみを抑えながらそう言っていた。

 

「はい、そうですね。マジックスクロールの魔法は私の魔法の数だけ書けると思います」

 

 姉は自信満々にそう宣伝した。

 

「いや、普通は魔法3つまでなんだけどね?」

 

 フィンさんはその発言に苦笑いしか出ない様だ。

 

「バグヤワァ、マジデバグッテルヤワァ」

 

 ロキ様はまだ壊れてる。

 

 他のメンバーは絶句してたり、遠い目してたりした。

 

「……まあ、詳しいのはまた後日にしよう。でもレフィーヤ、次の遠征用に何枚か依頼するかもしれないけどいいかい?」

「え? はい、別に構いませんが」

「その時は値段とか色々決めよう、今日はもう疲れたんだ、ではみんな解散!」

 

 そう言ってみんなそれぞれ部屋から出て行った、このせいかもしれないがその足取りが重い様な気がする。

 

 まあ、気のせいだよね!




ここまで読んで頂きありがとうございます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。