とあるファミリアのホーム:
「して、最近は私が調合した薬が飛ぶ様に売れていたね」
「いいことだと思います、借金の返済の足しになりますから」
「ただ売れたのが主に胃薬なのが少し心配なんだが」
「……他の派閥には色々あるから仕方ないよ」
「神友のヘスティアがかなりの量を買い占めたのが更に心配だ」
「………色々あると思う」
「そうか」
「ええ」
軽く説明が終わると私を含めた【ヘスティア・ファミリア】のメンバーは貸し与えられた部屋に集まっていた。
勿論ヘスティア様もいる。
みんなは「今日お疲れ〜」とか軽く挨拶すると、ヘスティア様が口を開く。
「えっと、それじゃあ。リリ君加入後の初全員集合の話し合いを始めようか」
「「「はい」」」
みんな声を揃えて答えた。
それでも会議が始まると私はペンを手に取った。
「それじゃ、まずはベル君、今日はホームの様子を見に行くって言ってたけど、キミが見てどうだった?」
「そうですね、職人達はかなり暴走気味ですが、それでもみんな凄くいい仕事しています。応接室に浴場そして台所はだいぶ気合入ってると思う」
「リリも見ました! 台所の方には本格的な窯が設置されたのはびっくりです!」
「おぉ〜あの窯完成したんだね、前回様子見に行った時はまだ半分ぐらいしか出来てなかったんだ。パンどころかピザも持ってこいな奴になると思ったんだよ」
「「ほぇ〜」」
《カリカリッ》
三人のやり取りを見ながら、私はスクロールをひたすら書いている。
「次はなんかあるのかい?」
「あっ、豊穣の女主人からお見舞いの品が沢山渡されました!」
「そうだったね、リリ、頼める?」
「あぁ〜待って二人とも、生物以外は出さなくていい。一応ここは貸してもらってる部屋だからあんまり散らかさない様にね」
「「はぁ〜い」」
《カリカリッ》
お見舞いの品かぁ〜、美味しいものだといいなぁ〜と思いながらも手は止まらずにせせっとスクロールを書いている。
「じゃあ、今度はボクからだね、みんな知っている通り、今日はレフィ君がマジックスクロールの制作に成功した、そしてフィン君も言っていたが将来的には【ロキ・ファミリア】との取引が視野に入れてあるので借金の返済はだいぶ楽になると思う」
「はい、わかりました!」
「ヘスティア様、お言葉ですが! 値段はいくらに設定するおつもりでしょうか?」
「そうだね、使い捨てとは言えかなり効果の高いモノになっているんだ、それなりの値段に設定してもいいとボクは思うけどね」
「ですが、あんまり高く設定するとこれからの同盟関係に響きます」
「それもそうだね、ならばリリ君はいくらで買うと思う?」
「ハッキリ言ってレフィ様しか作れないのでプレミアムな値段でも構いませんが、それだと本人が納得いかないから無しです。なので手間や材料費その唯一性を考えると一束は約4万から8万ヴァリスでよろしいかと」
「……予想より高くなってないかい?」
「いいえ、これでも低く見積もってますよ? なんせ魔剣とは違って、こっちの要望通りの魔法が用意出来るのですから」
「確かにそう考えると安く感じるね」
「ええ、ですが恐らく彼方はもっと安く仕入れたいでしょう、それでも私達の要望よりは低く見てないと思います。だって彼らは私達よりベテランですから、レフィ様のマジックスクロールのありがたみが私達以上にわかっていると思います」
「なるほど、それでキミはいくらで彼は買うと思うんだい?」
「そうですね、数に寄りますが一束で5万が妥当からかと……」
「なるほど……、交渉の席にはキミに同行して貰うよ」
「はい、わかりました!」
「ほぇ〜」
「……あのねベル君、お茶を頼んでいいかい?」
「ハッ!? はい、すぐに!」
願いを聞き届けたベルは直ぐ様行動に移り、お茶やお菓子の準備をしていた。あの子ってうちの団長なのにねぇ……。
《カリカリッ》
「レフィ君、楽しんでいる所で悪いけど、キミにも話し合いに参加して欲しいけどね?」
「へ? あ! す、すみません……」
「レフィ様……」
「ごめん、本当にごめんね」
「それでキミからは何かあるのかい?」
「えっと、マジックスクロールの値段はヘスティア様とリリちゃんに任せるので問題ないですが。私自身としてはもっと丈夫な紙が欲しいよね」
「もっと丈夫な紙ですか?」
「今の方法で十分じゃないのかい?」
「いえ、もしもっと丈夫な紙があれば。複数回使用可能なマジックスクロールを実現可能かなぁって思って……」
「…………」
「…………そいつ作る時はくれぐれもボクに事前報告をする様にね?」
「う、うん。勿論だよ?」
私は深く反省してます! 本当です! 後リリちゃん、そんな目で見ないで……。
それに使い捨てじゃないマジックスクロールはまだまだ実現出来そうにない……、やはり魔法を耐えれるだけ丈夫な紙が必要不可欠になるかな?
やっぱりエルダートレントのドロップアイテムで紙を作ってみるのはありかもしれないね。
「まあ、とりあえず今日はここまでにしよう、後はみんなゆっくりしようじゃないか!」
「はぁ……そうですね」
「リリ君、あんまりため息をしすぎると幸せが遠くなるぜ?」
「……いえいえ、幸せはもう手に入れてあるのですから遠くなるわけないじゃないですか」
「そうだね、みんなでこうやって過ごせるだけでも幸せだよね」
「…………き、キミたち」
ヘスティア様が泣きそうな顔でこちらを見ている。私とリリはお互いの顔を見てそして笑い合った。
「みんな、お茶とお菓子を持ってきたよ〜」
「な、ナイスタイミングだぜ、ベル君!」
「あっ、ヘスティア様、リリにその苺パンください」
「はいよー」
リリちゃんはヘスティア様から苺パンを受け取った後幸せそうに食べていた。
「はい、レフィ姉の」
「えっと、これは?」
「ミア母さん特製のジンジャークッキーだよ」
「へぇ〜美味しそうだね」
「僕は受け取り時に少し食べてみたけど美味しかったよ」
一口を食べてみると程よい風味と甘さが口の中に広がった。
「おぉ〜流石って感じだね!」
みんなでおやつを食べながら時間を過ごした、途中からアイズさんとティオナさんも参加してて、プチお茶会になっていた。
それからしばらくするとベートさんが現れ、ベルを引っ張り出し、自身の訓練に付き合わせた。
けどベルは嫌な顔を一つも見せずにベートさんについて行った、それだけベルは強くなりたいだろうね。
さて、そろそろ寝る時間になりました。
今日はリリちゃんと一緒に同じベッドで寝ることになった、っていうかヘスティア様曰くこれが本来の形だそうだ。
ソファの方を見ると毛布と枕が置かれていた、恐らくベル用だろうね。
それじゃあ、おやすみなさい!
—————バベル最上級
「ねぇ、オッタル」
美しい女神は隣に居る巨体の男に声をかけた。
「はい」
男は短く答えた。
「そろそろ、あの子に更なる試練を与えるべきだと思うけど、貴方はどう思う?」
女神はうっとりとした表情で地上を見渡した。
「それが貴女の神意ならば私が叶えましょう」
男はただただそうやって答えた。
「ふふふ、やっぱり貴方は頼りになるわぁ。それじゃあお願いできるかしら? あの子が最も輝ける舞台の準備をね」
女神は細く微笑んだ、その目には白髪の少年しか映ってなかった。
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