私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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のんびりぱーとつー


暇神って怖い

「とっても美味しかったです♪」

「そうね、今度はミーシャを連れて行くかな」

「喜んでくれて何よりです」

 

 当初の目的である買い物やスイーツバイキングを終えた私たちは、いまバベルに向かっている。

 

「リリ的にはここでの買い物は乗り気じゃないですか?」

「ええ、神々の住処である事と、基本的には高級品ばっかり置いてるからね」

「ええ、でも目的は【へファイストス・ファミリア】のテナントだから仕方ないよ」

「…………まあ、新人へファイストステナントなら」

「新人の掘り出し物目当てかしら?」

「それもありますが、後はこの杖をメンテナンスの話をする為ですね」

「持ってきてないのに?」

「前はそのまま持ってきたけど予定が合わなくて出来なかったよねぇ」

「…………忙しいお方ですからね」

「そんなに凄い人に作って貰った物なのね、もしかして団長の椿氏だったりして?」

「…………その人じゃないですがごめんなさい、言えないですよ」

「あっごめん、機密情報なのね」

 

 そんなこんなでへファイストステナントに着きました。

 

「私は上に行くので」

「ではリリは下で掘り出し物でも探しますね!」

「私はリリルカさんについて行くわ」

 

 リリちゃん達と別れると、私は真っ直ぐにへファイストス様の所に向かう。案内した人が私を通すと部屋内に女神へファイストスが書類仕事をしていた。

 

「あら? 来てたわね」

「ご無沙汰してます、杖のメンテナンスの件で来ました」

「…………の割には杖を持っていないけど?」

「……前回は事前連絡していないから予定が合わないままメンテナンスが出来なかったので、今回はいつなら出来るのかなって確認する為に来ました」

「その為にわざわざ来たの?」

「だって直接来ないと予定確認できないし」

「……それもそうね、わかったわ。なら明後日持って来てちょうだい、明日は神会(デナトゥス)があるから出来ないの」

「なるほど、わかりました!」

 

 そう言って私は部屋を出ようとしたがふっと考えが頭に過った。

 

「へファイストス様、うちの弟はここの新人テナントで鎧を買ったんですけど、その作者に会うのは可能ですか?」

「あら、なんで急にそんな話を?」

「その鎧が壊れてしまいまして、新しく新調するなら前のと同じ作者のが良いかなって思いまして」

「なるほどね、作者の名前は知っているのかしら?」

「はい、確かヴェルフ・クロッゾ氏ですね」

「……え?」

「ですからヴェルフ・クロッゾ氏です」

「…………え、ええ、聞こえてるわ、ただその名前(クロッゾ)貴女(エルフ)から出てくるとは思わなかったわね」

 

 意外な名前が出て来て驚いたへファイストス様。クロッゾ(呪われた一族)に会いたいエルフってそんなに珍しい物なのかな? 

 

「??」

「そういえば貴女はそう言うの鈍いだったわね」

「そんなにですか?」

「まあ、異端な子である貴女だから納得する事にしたわ」

 

 異端って酷くない? 確かに少しこの世界の常識が欠けてるけれど、流石に異端な子って呼ばれるほど可笑しな子じゃない筈だよ? …………そうだよね? 

 

「それにあの子の作品名ってなんて言うか…………独特って言うべきかしらね」

「あぁ〜兎鎧(ピョンキチ)ですもんね」

「…………ええ、けどまあ、会わせるなら貴女じゃなくて弟の方と直接会った方がいいと思うわ」

「確かにそうでしたね、次来る時は弟を連れてきます」

「ええ、その時にその件の彼を呼ぶわ」

「よろしくお願いします、では今度こそ失礼します」

 

 へファイストス様の事務室から出て、リリちゃん達が居る場所へ向かうと、私は“赤髪の青年”とすれ違った。

 

「—————ったく、もっとマシな場所に置けば俺の剣だって絶対売れるってのに」

 

 おぉ〜荒れてますね、でもそれ全部場所のせいだけじゃなくて剣の名前も悪いよねぇと内心に思いながらもそのままリリちゃんの所に向かった。

 

 発見したリリちゃん達は色んな短剣やナイフを選んでいた、どれもが歪な出来ではあるがそれなりの数がある。

 

「全部買うの?」

「いいえ、リリがあげたショートソードより頑丈な物だけにします」

「とは言ってもあんまりないのも事実だよ」

 

 そう言ってリリちゃんとエイナさんは黙々と武器の選別を再開した。

 

 それからしばらくするとリリちゃんは一本の片手剣を持って私の所に来た。

 

「……もしかしてそれだけ?」

「……はい、やはりあのショートソード並みの耐久や切れ味はレベル1では困難です」

「なのにそれはいいの?」

「これはレベル1鍛治士が作ったとは思えないほど出来のいい武器です、ただ……」

「ただ?」

「……名前がですね」

「あっ……」

 

 作者が誰なのかすぐに判った。けど名前はともかく、性能はレベル1にしては破格な物なのでそのまま買う事にした。

 

「…………8000ヴァリスになります」

「思いの外、安いですね」

「そりゃ……ずっと売れ残ってますからな、在庫処分の意味合いもあるのだよ」

「そ、そうなんだ」

 

 ぶちゃけたよこの人!? 

 

「それにその値段は本人が設定したからな、俺は何も言わん」

 

 なげやりすぎない!? それでいいの“赤髪君”!? 

 

「それにしても比較的に拾いやすいコボルドの爪を混ぜてるからと言って剣の名前が一鋼剣(わんこけん)ってのは正直センスを疑います」

「もっといい名前ないのかなぁ、せっかくいい武器なのに」

「…………まあ、兎鎧(ピョンキチ)だしねぇ」

 

 “赤髪君”のネーミングセンスは今更だから嘆いても仕方ないよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 武器を買い、エイナさんを家まで送り、帰りは少し豊穣の女主人に寄ってからホームに帰る事にした。

 豊穣の女主人では夕飯を食わないのか? と聞かれたが、リフォームが終わったのでホームにみんなと一緒に食べるから今回は遠慮しますって言ったら何故か急に料理を手渡された。

 

「ミア母さんがリフォームのお祝いだって」

「ついでに貴女とクラネルさんのお祝いでもあるのです、最速の兎と妖精とうちに来た神々が言ってました。何よりミアお母さんは貴女達の昇格(ランクアップ)を聞いてかなり上機嫌でした」

 

 シルさんがニッコリと私に料理を押し付けた。

 その後ろには淡々と事情を説明するリューさん。

 

 奥からは他のみんなもちらっと顔を見せてくれた。

 

「ありがとうございます、あとでみんなと頂きますね」

 

 昼にかなり食べたリリちゃんはげっそりとした顔で手渡された料理を見た。

 

「リリはもうお腹いっぱい何ですけどね」

「—————と言うと思ったので、貴女にはこれをあげます」

「…………そこまでを言うなら仕方ありませんね、リリが責任を持って全てを食べます」

 

 なんかドリル並みの手のひら返し、ちらっと渡された袋を見ると納得しざる負えなかった……、ストロベリークッキーがぎっしり入ってた。リリちゃん(ストロベリーモンスター)の大大好物なので仕方ない。

 

 それにしても今朝に昇格(ランクアップ)申請したばっかりなのにもうこんなに広まったのね、恐るべし暇神達。





ここまで読んで頂きありがとうございます。







どうでもいい人物紹介:

赤髪の青年:
作品がまったく売れてない新人、けど最近鎧が売れたからちょっぴり嬉しくて二代目作成中。

シルさん:
扱いが難しすぎる人物その2(その1はフレイヤ様です)
何でって?言わせんなよ恥ずかしい
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