長くなりそうだなぁ()
次の日、朝早々にベルの
「—————発展アビリティは“幸運”っと。…………はい、ベル君、終わったよ」
「えっ!? 今のでですか?」
「そうなんだけど、なんか気にしてるのかい?」
「え、あっいや……なんか思ったの違うなぁって」
「か、身体中に力が溢れる!! とでも想像したのかい?」
「あ、あははは……はい……」
「そんな事やりたいならキミの魔法を使えば一発で味わえるぜ」
「いや、それとこれは違うって言うか……」
「まあ、確かにね。でも安心するといいよ、ちゃんと
そう言ってヘスティア様は一枚の紙をベルに渡した、ベルがその紙を受け取るとじーっと紙を見つめていた。
「…………おめでとうベル君、念願のスキルが発現したよ」
「…………ッ!? ほ、ほんとだ! やった!! やりましたよ!」
「…………それにしても
「…………へ?」
「まあ、もう14歳になっても子供みたいに英雄に成りたいと言うキミの強い願いがそれを発現させたんだろうね」
「…………あっいや、こ、これ、そ、その」
ヘスティア様にからかわれたベルは顔を真っ赤になった。
「ふふっ、ベル君ってほんと可愛いね」
「か、神様ァ!!」
そう叫びながらベルは掛け布団を被り、閉じこもっている。
肝心のヘスティア様はベルをからかった後、直ぐにベッドから降りた。
「じゃあ、ボクは準備して来るね」
「結局私は何の為にここに呼ばれたかのかな?」
「あぁーベル君がキミに自分の
「そ、そうなんだ」
「それじゃ、ベル君ボクが帰るまでに機嫌直しておいてくれよ?」
「…………多分すぐ直りますよ」
「なら心配ないね」
ニッコリと笑った後ヘスティア様は部屋から出た、私もそんなヘスティア様の後に続いた。
今日は
そして
準備を済ませたヘスティア様は玄関に立ち、見送る私達に話し掛ける。
「それじゃあベル君、レフィ君、リリ君。ボクは行くよ、
「はい…………」
「レフィ姉……なんでそんな緊張した顔で見送るの?」
「物凄く切迫詰まってる顔ですね」
「…………気にしないで」
「……レフィ君、安心してボクは……絶対に勝ち取ってやるよ! ではみんな、行ってくる!」
「「「いってらっしゃい!!」」」
決意に満ちたヘスティア様を見送る私に出来る事は無事を祈るだけだった。
…………痛くない二つ名を。
そんなヘスティアの肩をそっと触れた神物が居た。
「—————貴女がそんな真剣な顔なんていつ振りかしら?」
「ッ!!」
ヘスティアが振り返るとそこには神友であるへファイストスが立っていた。
「へファイストス!! キミも来てたのかい!?」
「ええ、そうよ。っていうか今日はいつもより参加者が多いのよね」
「……ボクは今日が初めてだからそんなのわからないけれど、そうなのかい?」
「ふふっ、その原因は貴女にあるって言うのにわからないって」
「げ、原因はボク!?」
「まあ、それだけ言えばわかっているでしょ?」
「……ベル君とレフィ君の
「そう、その話を聞いたオラリオの神々の大半が今日来ているわ、そしてさっきからみんなは貴女の顔をチラチラと見ていたのよ?」
「…………もし、ベル君達を渡せって言われたらどうすればいいかな?」
「そんなのロキと私がサポートするわ、それと言ってやればいいんじゃないかな」
「……何を?」
「あの子達ってここに居る全てのファミリアから門前払いされたから貴女の所に来たって事を」
「それもそうだね」
「後もう一つ」
「ほぇ?」
へファイストスは真剣な表情でヘスティアを見つめた。
「私やロキが盾になってもそれでも尚、貴女の所にちょっかいを掛ける神は居る、そんな時はしっかりしなさい」
「!!」
「警戒すべきなのはイシュタル……そしてアポロンかしらね」
「アポロン…………」
その名前を聞いてヘスティアは苦痛の表情を浮かべた。
「ごめんなさい、貴女に嫌な事を思い出させるの」
ヘスティアの表情を見て、すぐに謝ったへファイストス。
「気にしないでくれ、もう昔の事なんだ」
「と言う割にはまだ根に持ってるのね」
「…………アレを消滅させないだけマシだと思う」
「
「…………それに”ウチ“の文化ってほんと頭おかしいと改めて思うよ」
「…………否定しないわ」
そんな話をしている間に二柱の女神は目的の場所についた。
会場に着いたヘスティアは周りを見渡した。
その中には既に居たロキの他に優雅に紅茶を飲んでいるフレイヤ、真剣な顔で腕を組んだ神友であるタケミカヅチ、何故か次々と男神を踏みながら歩いているイシュタル。他にもヘルメスやディオニュソスの様な同郷も居た、あとは次々とポーズを取っているガネーシャ。
しばらくすると、ロキが立ち上がった。
「—————よし、そろそろ皆揃ったやろ? じゃ初めるで!」
その一言で周りの神々が「イェ──ーイ!!」と叫び始めた。
「第ン千回の
ロキはペコっと軽く頭を下げ、再び言葉を続けた。
「んで今回の司会進行役はウチ、ロキや。皆よろしくなー」
ロキがそう言うと周りの神々のボルテージが更に上がった。
それを見たヘスティアは呆れ半分にロキを見ながらポソっと呟く。
「…………彼女、
「…………アレは半分最近溜まったストレスの発散らしいわ」
「…………ああ、なるほど」
ロキのストレス原因が少なからず自分の
—————悪いんやけど、ウチとしてはもうコレには関わらない方がええと思うが“アッチ”はそうはさせんやろうな。
レフィーヤが重体で運ばれた時にロキが言っていた事を思い出すとヘスティアは短いため息を吐いた。
「それじゃ、まずは情報交換や! なんか面白いネタを持ってる奴はおるか?」
ロキがそう質問すると周りの神々が「はいはいはい!」と手を挙げた。
「ソーマ君のファミリアがギルドから警告を食らった、団員が沢山逮捕された上で趣味の酒造りが没収されました!!」
「マジで!?」
「って事はもうソーマ飲めねえのかよ!?」
「俺もそれ聞いたわ! 今、ホームの隅っこで指を咥えて泣いてたって聞いたぞ」
「俺慰めて来るわ!」
「絶対煽りたいだけだろ!」
「空気読まずに申し訳ないが
「ハハハ! マジで空気読んでねえな!」
「っていうかソーマ君のってロキと関係あるじゃないの?」
「マジでか!?」
「ソーマ君、ロキにちょっかいを掛けたのか…………南無」
「ロキは乳ないけど権力はあるからなー」
わいわいと騒ぎ出した神々。
「あーソーマはそうだったな、ウチの
「すんませんしたー!!!」
一連の流れを見ていたヘスティアは周りのテンションにドン引きしていた。
「聞いてはいるけど、ここまで酷いとは…………」
「ふふふ、いつもの事よ」
彼女の隣にいるへファイストスがクスクスと笑いながら答えた。
「あっ! オレはもう一個面白いの知ってるぜ!」
「なんだなんだ?」
「あの
「ああ、俺も聞いたわ」
「私も聞いたね」
「ここ最近よく聞くよなぁ〜」
「って言うか…………」
「……だよなぁ?」
周りの神々が一斉にヘスティアを見た、視線に晒されたヘスティアは背中に冷たい汗が流れたのを感じた。
「はいはい、それは後や! ウチからも報告があるで—————」
ここまで読んで頂きありがとうございます。