私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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明けましておめでとう御座います!今年もよろしくお願いします!
長すぎてまた三つに分けました。


神会(デナトゥス) 中編

—————8階層

 

昇格(ランクアップ)したてのベルが我慢出来ずにリリちゃんと二人でダンジョンに行く!と張り切っていた。流石に二人だけでは危険と思ったから今、私も含め三人でダンジョンに潜る。

 

「………すぐに潜りたいってのはわかったけど、ほんとにその装備で良かったの?」

「うん、これでも十分だから」

「ベル様の一番最初の装備でしたっけ?」

「そう、格安のね……」

「今日はそこまで本格的に攻略するつもりじゃないから大丈夫だって!」

「ほんとに大丈夫でしょうか?」

「まあ、万が一の為に私達がいるからね」

 

そう話している内に数匹のキラーアントが現れた、現れた魔物(モンスター)を確認したベルはじわじわと魔力を練り始めた。

 

「ベル!!最初は慣らし運転の為に魔法は無しにしなさい!」

「レフィ姉!?」

「いいから!」

「わ、わかった!」

 

練り上げられた魔力がそのまま消えていき、魔法の強化なしでベルはキラーアントの群れにそのまま突っ込んでいった。

 

昇格(ランクアップ)した後って最初はズレがあるからね、その慣らしをやらないと思った通りに身体が動かないのよ」

「確かにそう言う話は聞きますね、リリには程遠い話なのですが……」

「……リリちゃんも大丈夫だよ、きっと」

「………ありがとうございます」

「所でね」

「はい、なんでしょう?」

「ミノタウロスの時って私達を呼び捨てにしたよね?なんでまた〜様を付けたの?」

「あ、いや、それは、その、あの」

「うん」

「あの時はかなり焦りまして………思わず呼び捨てにしちゃいました」

「そのまま呼び捨てにすればいいのに」

「……リリにまだその資格はないのですから」

「そっか、じゃあその時まで待ってるね」

「はい………」

 

ベルの方を見ていると苦戦する様には見えないが、それでもやはり感覚のズレに戸惑っている為、思う様に動けない模様。動きの一つ一つが少しぎこちないのは多分それのせいだと思う。

 

私自身は少しでも早く魔力を取り戻す為に常に結界や感知及びホームの結界を維持する様に意識している、初期化される前の感覚のままなので少し多重発動に苦労したが、それでも頑張って慣れるしかない。

 

リリちゃんの方にはここに来るまでの道中に魔物(モンスター)を少し狩らせたのでアビリティの上昇も期待できるだろう。本格的にリリちゃんの為の“何か”を作る必要があるね、今度女神様達に相談してもいいかもしれない。

 

「ハァァァアアアアア!!!」

 

ベルは叫びながら次々と現れたキラーアントを片っ端から殲滅し始めた。やっぱこの階層じゃ、ベルにとって大した慣らしにはならないかも、でもだからと言って無理して10階層でやるのも危険ではある。殲滅力が上がっても結局今のベルは防具がないに等しいから異常事態(イレギュラー)が起きたら溜まったもんじゃないからね。

 

「ハァハァ………」

「はい、お疲れ様」「お疲れ様です」

「あ、ありがとう……」

 

やや疲れを見せたベルに労って、私は一つの事を提案した。

 

「じゃあ、交代ね」

「レフィ姉もやるの?」

「ううん、私じゃなくてリリちゃんにやらせるの」

「ホワッ!?」「え?リリに?」

「そう、リリちゃんにも戦わせないとね」

「り、リリは別にいいです!リリはサポーターですから!」

「【ロキ・ファミリア】のサポーター達もかなりレベルあるでしょ?あのラウルさんだって遠征の時サポーター役をやってるのよ」

「ですから!」

「リリちゃんは強くなりたいでしょ?だからチャンスは見逃さないのも大事だよ」

「そ、それは………」

「ねえ、リリちゃん。行動しないと始まらないでしょ?」

「ッ!!わ、わかりました!リリにやらせてください!!」

「よし、ベルはリリちゃんの肉壁ね」

「わかった!って言い方ァ!!」

「ベル様、リリを守ってくださいね!」

「ああ!もう!」

 

《キシキシッ》《キシキシ》《カタカタッ》

 

「よし!敵、前方にウォーシャドウが3匹にキラーアントが4匹!後方安全確認よし!」

「いきます!」

「落ち着いてやるのよ、そうすればきっと大丈夫だから!」

「は、はい!」

「ベルはしっかり守るのよ?いい?守るからね?殲滅じゃないからね?」

「わかってるてば!!」

 

そう言ってベルは前にいる敵の攻撃を次々と軽く受け流した、先程の戦闘に比べれば動きがだいぶ慣れたかの様に見えた。ほんとはベルに休ませて私が前に出る事を考えたが、今後何があるか分からないからとりあえず連戦に連戦を重ねる形で今日はやってみるかと思う、主な目的は言わずともリリちゃんの強化だけど。

 

肝心のリリちゃんは少し緊張気味だが、冷静に敵をクロスボウで一体ずつ対処している。

 

「よし、マジックスクロールも使うのよ!使用時に魔力を流して少しでも魔法の威力を上げるの」

「はい!」

「僕がいるんだけど!?」

「避けるのよ!これからリリちゃんにこう言う戦い方をやらせるかもしれないから、慣れないとね」

「お、鬼ィ!!」

「ちゃんとあなたの周りに結界も貼ってあるから安心して逝っていいよ」

「ヒィイイイイイ!!!」

 

ベルの叫び声を聞き流し、リリちゃんの方を見ると、彼女の手には一枚のスクロールが握られた。

 

「うぉ、水霊の矢(ウォーター・アロー)!!」

 

使ったのがアローシリーズのスクロール、そのまま使用する場合10本しか現れないが、リリちゃんが召喚したのは25本なのでそれなりに魔力を込めたみたいだ。その威力は私に比べると圧倒的に劣るが、それは仕方ない。こっちは反則に反則を重ねた感じだからね。

 

そう長くない内に敵が全滅した、リリちゃんは少し息が上がってるが、まだまだ行けそうな感じ。ベル?ベルはどんな状況でも対処出来るようにしたいから大きな怪我ない限り継続するつもり。

 

「れ、レフィ姉……ちょっと休憩しない?」

「…………」プイ

「ねぇ、今絶対無視してるよね!?」

「休憩なしでやるつもりなんだけど……」

「こ、この装備でやらせるつもりなの!?」

「うん!」

「いい笑顔で無慈悲な事を言わないでよ!?り、リリもなんか言ってやってよ!?」

「り、リリはまだまだ行けます!」

「だそうよ?」

「味方が居ない!!」

 

一匹の兎の悲痛な叫びが8階層に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所が変わり、神会(デナトゥス)の会場。

 

ロキは所々ぼかすが極彩色の魔石を持った魔物(モンスター)が居る事や18階層殺人事件について話した。途中でガネーシャが割り込み、己のファミリア団員であるレベル4のハシャーナが死んだ事を神々に報告し、そして頭を下げながら協力要請を願った。

 

ロキ自身は信用出来ると判断したヘスティアやへファイストスの他に同被害者であるヘルメスとディオニュソスを除いた神々が何らかな繋がりを持っていると見ていたが、今のやり取りを一通り見てやはり神々は一筋縄ではいけないと感じた。

 

(だがガネーシャ程の大手が頭を下げる程の事態はそれなりにいい牽制になるはずや……いくら刺激を求める暇神もコレでわかるやろ、この案件は中小【ファミリア】では手に余るってな………)

 

「ハァ………、もう他に情報はないか?」

 

さっきまで賑やかだった会場は嘘かの様に静かになった。

 

「なら次に進もうか」

 

ロキの一言で周りの神々がゴクリと唾を飲み込んだ。

 

「みんなお待ちかねの命名式や」

 

《うおぉおおおおおおおおお!!!》

 

(調子のいい連中やなぁ、先程の静けさがどこに行ったのやら)

 

「ほな、資料は行き渡ってるな?

「いいぜ!」

「こいや!!」

「今回ウチの子居ないからって気楽だなぁ〜」

「わっかるわぁ〜」

「んじゃあ、トップバッターは—————」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【命名式】

冒険者の称号の進呈である【命名式】とは昇格(ランクアップ)した子に与えられた公式称号を決める為の神々の会議である。

神々から贈られた二つ名はその冒険者の強さや名声の象徴。神々の高尚な名称は下界の住民にとって尊敬や羨望の的なのである。

だがそれは下界の住人にとってである、時代を追いつけていない人類の間では誇らしくても、神々の間ではその殆どが悶絶するほど“痛い名前”なのである。

特に発言力のない新米ファミリアは大体古参ファミリアのいいオモチャとされている事が多いのである。

 

「—————【絶†影】なんてどうかな?」

「ディオニュソスウゥ!!!てめえええええええええええ!!」

「んじゃあ、タケミカヅチのとこのヤマト・命ちゃんの称号は【絶†影】でええな」

『意義なし』

「大ありだああああ!!!」

「んで、次は———」

「無視された!?」

「ほら、極東って民主主義やろ?これは神々の総意やから黙って受け入れるしかないやろ」

「ち、ちくしょおおお!!すまないミコトオオオオオオ!!!」

 

つまりこう言う事である。

 

一方、ヘスティアは神友であるタケミカヅチの泣き叫ぶ姿を見て、これから我が身にも起こる悲劇を身近に見てしまった。

 

(すまないタケ……ボクは無力だ……)

 

「今度こそ次やー、おっ、ウチのアイズたんや!」

 

『おぉー【剣姫】来た!!』

 

「って言うかもうレベル6かよ!?」

「くっそはえええ!!」

「階層主を一人で斬り殺したとか、相変わらずぶっ飛んでるな」

「それで二つ名はどうするんだ?」

「【剣姫】の次だから【剣聖】とか?」

「いや、それはないなぁ」

「ないない」

「やっぱアレだな」

「そそ、アレしかないだろ!」

「ああ、やっぱ」

 

神々の花嫁(オレ達の花嫁)一択だな!!』

 

「殺すぞ」

 

『マジですみませんでしたぁああああ!!』

 

ロキの一言で男神達は一斉に土下座をしていた。どうやらタケミカヅチが教えた文化が広まった様だ。

 

「そんじゃアイズたんは【剣姫】継続でええな?」

「問題ありません!」

「オレは最初から【剣姫】しかないってわかってたよ」

「まったく、その通りだ」

「ははは、しがない冗談さ」

「………ほんま調子のいい連中やな。んで後二人やな」

 

次のページを捲るとそこにはレフィーヤの名前、冒険者歴、ランクアップ経緯そして似顔絵が描かれている。

 

(………改めて見るとぶっ飛んでるやなぁ、っていうか何サラッと嘘をついてる………)

(レフィーヤ・ウィリディス、レベル1所要期間一ヶ月半って……本当は5週間ってのはウチがよーく知ってるわボケェ!)

 

内心でツッコミを入れたロキとは別に神々は紙に描かれている【ヘスティア・ファミリア】所属の姉弟に強く惹かれた。

 

「マジで!?」

「どっちも一ヶ月半かよ」

「アイズちゃんの記録を塗り替えた所じゃねえよなコレ」

「二人揃ってチート主人公かよ」

「件のエルフってやっぱコイツだよな?」

「コイツだね」

「ひゅ〜やべえな」

 

ざわざわと騒ぎだす会場。ロキは話を進める為に声を上げた。

 

「ほな、二つ名を決めようか」

「待ってくれるかい、ロキ」

「………なんや、アポロン」

「少しヘスティアに質問があるだけだよ」

「………ボクに何か?」

「いやいや、私はただ知りたくてね。この子はなんだい?二人同時に昇格(ランクアップ)するのはわかるけど流石に一ヶ月半は早すぎるよ」

「………」

「でも私にはわかる!ヘスティアがズルをしているのは“ありえない”、ならば答えは一つしかないじゃないか!それはそう“スキル”!成長を加速させる“レアスキル”がこの子達にあるって事を!何より、そう何よりだヘスティア!所有数だけなら紛れもなくあの九魔姫(ナインヘル)を超えたエルフの魔道士!そしてその弟であるミノタウロスのソロ討伐をした白髪のヒューマン!何故この子達はもっと格上のファミリアである私のファミリアではなく、眷族(こども)の居ない君を選んだのか、私には納得できない!」

「………ベル君達がキミ達の所にいない理由?簡単だよ」

「簡単なら説明して貰おうじゃないか!」

「……ああ、あの子達は“ここ”に居る”全て“のファミリアから門前払いされたからだよ。ロキとフレイヤを始めに、文字通り“全て”だ」

「おいおいマジかよ!?」「ハァ!?あんな子ウチに来てないぞ!?」「いや、ウチには来てたって話を聞いたぜ」「いやいや、門番の目は節穴か!?」「いや、見た目的にはクソ弱そうなのはわかるけどよ」「そそ、せめて会わせろよな!」

 

ヘスティアが放った一言で神達は再び騒ぎだす。

 

「そ、そんなの信用—————」

「信用出来ないならキミ達の眷族(こども)に聞くといいよ、エルフとヒューマンの姉弟が来ていないのかってね、どれも断った理由は大体弱そうだからと言っていたが少数エルフの方だけなら入れてやると言ってた所もあったけど」

「なら!」

「けどあの子達は”二人“で冒険者になる為にここに来たんだよ、片方だけとかそもそも“論外”だ」

「クッ!!」

「あら、選ばれなかった理由に納得出来ないのアポロン?」

「ふ、フレイヤ!?」

「時間があんまないから次行きたいんやけど」

「ろ、ロキ!?貴様まで!?」

「貴方達が逃した魚はそれだけ大きいのよ、アポロン」

「へいへい、もうこの自己中をほっとき二つ名決めようか」

 

『う、うっす』

 

都市の2大派閥(フレイヤとロキ)が納得している為中小ファミリアもそれに渋々納得するしかなかった。もっとも片方(ロキ)は身内であり、もう片方(フレイヤ)はベルラブである為、ある意味出来レースである。

 

(後でまたあの子達をお仕置きしないとね)

(この話を聞くとまたウチの門番をしばきたくなるなぁ)

 

よって蒸し返された話題で両派閥の門番が再びお仕置きされるのは仕方ない事かもしれない。




ここまで読んで頂きありがとうございます。
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