私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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いつもいつも誤字脱字報告をありがとうございます!
体調が戻るまでゆっくり書くつもりなので更新ペースが落ちるかもしれません。


兎とのじゃれあい

【へファイストス・ファミリア】のテナントに着くとそこにはほくほくした顔のベルが居た、その手には大きな木箱があり、恐らく買ったのだろう。

 

「それ買ったの?」

「うん! 前と同じ人のが置いてあったからそのまま買っちゃった」

「…………なるほどね」

 

 そういえば今日、その作者に会うって言ってなかったなぁ、まあどの道会うからいいかもね。

 

「ただね、これを会計に持っていく時に色んな人から様々な装備勧められちゃって、ちょっと困ったんだ」

「あぁ、それは多分ベルの名前が売れてるからだと思うよ?」

「僕の名前?」

「何たってベルは1ヶ月半でレベル2になれた世界最速(レコードホルダー)だもの」

「…………でも僕よりレフィ姉の方が———」

「あのね、世間はそんなの知らないのよ? まあ、もっとも私がちょこっと嘘をついたから仕方ないけど」

「……エイナさんに怒られた僕の身にもなってよ」

「エヘヘ、それはごめんね」

 

 笑って誤魔化すとベルは深いため息を吐いた、本当に悪い事をしちゃったなぁ。でもまあ、これぐらいで怒る子じゃないからいいけどね。

 

「それじゃ、待たせるのも悪いし、早速へファイストス様の所に行きましょうか」

「はぁーい」

「はいは伸ばさないの!」

「は〜〜〜い♪」

「もう!」

「へへへ」

 

 少しベルと戯れながらテナントがある階まで移動する。あと仕方ないかも知れないけど、移動する最中は常に視線を感じた。如何にも魔導士ですよの私は兎も角、ベルは明らかに狙われている。

 恐らくだけど彼らは期待の新人であるベルに己の名を売り、あわよくば専属契約を結ぶのが狙いだろうね。まあ、これからへファイストス様に会う私達にはあんまり関係ない事なんだけど。

 

 目的の場所に着くと案内係が私達をへファイストス様のところまで案内してくれた。

 殆どの【へファイストス・ファミリア】所属の冒険者や鍛治士が【ロキ・ファミリア】の遠征に同行している為守りは薄くなっている筈なのにこうやって他派閥である私達を簡単に通すのは信頼かそれとも私達如きでは脅威とみなしてないのかわからないけれど、出来れば信頼出来ると判断されたからのがいいなぁ。

 

「あら、来たわね」

 

 部屋の中に入るとにこやかな顔で私達を受け入れたへファイストス様が座っていた。

 

「本日はよろしくお願いします」

「お願いします」

「ふふっ、そんな堅苦しのは無しにしましょう?」

「え? で、でも」

「私が許すから誰も文句言わないわ。ベル、貴方もよ?」

「は、はい!」

「とりあえず杖を見ておくから、その間に座ってて」

「よ、よろしくお願いします」

 

 へファイストス様は私から杖を受け取ると、案内係に目的の人を呼ぶようにと指示をした。案内係が部屋から出るとへファイストス様の視線は杖に向けられた。

 

「…………この杖にかなり無茶をさせたのかしら?」

「え、えっと……少々……」

「少々……ね」

 

 ポツリと呟きながら杖を隅々まで見ているへファイストス様。

 

「……その割にはかなりの負担が酷いわね、この間見た時はこんなに酷くなかったわよ」

「す、すみません……これからもっと大事に扱います」

「そこは気にしなくていいわ、貴女の事をだからどうせまた無茶をしてヘスティアを心配させるのが目に見えるからね」

「うぅ、善処します……」

 

 うぅっ……女神からの信用がない…………。

 

「本当にそうなんですよ、ですからもっと言ってやってください」

「……と貴女の弟が言ってるけど?」

「うぐぐぐ……」

 

 まさかの身内からの裏切者が居たなんて……、覚えて置きなさい! 

 

「……反省してないわね」

「はい、100%してないですね」

「してます! してますから!」

「本当かしらね」

「いいえ、してま……むごごごご」

「もう! ベルったらそんなにお菓子が食べたいなら私が食べさせてあげるよ!」

「むごごごごごごご」

 

 テーブルにあったお菓子を無理矢理ベルの口に放り込んで彼を黙らせた、ふぅ……悪は滅んだ。ちらっとへファイストス様を見ると凄い呆れてる顔をされた。

 

「…………まあいいわ、杖は少し弄るから借りるわね」

「アッハイ」

「むごごご」

 

 そう言ってへファイストス様は奥の部屋に移動した、杖のメンテナンスは企業秘密って事かな? 

 

 待ってる間に用意されたお菓子を食べようとすると残念な事に何も残らなかった。

 

「……ベルったら大食いね」

「…………」じ────ー

 

 ベルは「何言ってるんだお前」の様な視線を感じたが、気にしない事にする。

 

「……暇だからしりとりでもやる?」

「…………ムシャムシャ」

「えっと、ベル?」

「…………」プイ

「ごめんってば!」

「…………今日はラムの串焼きの気分だなぁ」

「うぐぅ……わかった! わかったから! 作ってあげるから!」

「…………出来れば辛くないタレのがいいなぁ」

「もう! わかってるて!!」

「いやぁ、楽しみだねレフィ姉」

 

 こいつ…………地味に面倒臭い奴をリクエストしやがって!! 

 

「……やっぱ追加で——————」

「わかった! 私が悪かったから!」

「…………チッ」

「なんで今舌打ちしたのかな!?」

「キノセイダヨ」

「酷い棒読みを聞いたよ!」

 

 はぁ……帰りには材料買いに行かないとね。

 

「ところでレフィ姉」

「……んむ?」

「帰省について聞いたけど、やっぱりかなり厳しいよ」

「そんなに?」

「うん、どんなに遠くても最長2週間しか認められないし、その期限が過ぎると多額の罰金が課せられるよ」

「……うわぁ、それだけ行かせたくないだろうね」

「うん、それに村に帰るだけで往復1週間以上掛かるから実質家に居られるのは数日が限界だよねぇ」

「私が飛べば一発だけどね」

「それはズルい……」

 

 そう、魔法で飛べば村への移動時間は大幅に短縮できるから大変ありがたい話だよね。

 

「まあ、すぐに帰省する予定じゃないし、今は気にしても仕方ないでしょ?」

「まあ、そうなんだけどね…………お爺ちゃんが何かやらかしてるか心配なんだ」

「いや、もうやらかしてるから…………」

「そうだった…………」

「それでも夜這いがなくなっただけマシだよね」

「そうだね……」

 

 夜這いが酷くて私とベルが二人でまた夜這いするともう二度と口を利かないと言ったら渋々と諦めた、そりゃもう血涙を流すほど悔しかったらしい。

 

 しばらくお爺ちゃんや村の話を続けると奥の部屋からへファイストス様が出てきた。

 

「はい、一応調整しておいたわよ」

「「ありがとうございます!」」

「ついでだし、ベルのナイフも見てあげるわ」

「本当ですか!? 是非です!」

「ええ、任せなさい」

 

 ナイフのメンテナンスはすぐに終わった、やはり得意分野だけあって早いです。

 

「はい、ナイフね」

「ありがとうございます!」

「杖程じゃないけどかなり使い込まれてるわね、まあ丈夫だから問題ないけれど」

「杖は丈夫じゃないのですか?」

「そういうわけじゃないけど、あの杖自体が本当に特殊だからね」

「へぇ〜」

 

 ベルはちらっと杖を見てたが、そのまま自分のナイフの具合を確認する作業に戻った。

 

「それでレフィーヤ」

「はい?」

「その杖は本来4つの属性がバランスを良く流れているが今は何故か火だけやけに強くなってバランスが悪くなったわ、その為、細かい調整が貴女自身で行う必要がある」

「なるほど…………」

「どうしてそうなったのか心当たりあるのかしら?」

「え? まあ、ありますが……すみませんが言えません」

「…………つまりヘスティアや貴女の最大の秘密がその理由なのね」

「……そうとしか言えません」

「わかったわ、ヘスティアからも言われているし、その秘密が言える日まで我慢しておく」

「申し訳ないです」

「気にしないでちょうだい」

 

《コンコン》

 

 突然に部屋の扉がノックされた。

 

『へファイストス様、俺を呼んだと聞いてますが?』

 

 扉の向こうからは一人の青年の声が聞こえた。





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