私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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遅くなりました。
短いですが、よろしくお願いします。


初の11階層(一人除いて)

 —————翌日

 

「やってきたぜ! 11階層!」

 

 ヴェルフさんは高らかに叫んだ。

 

「あの人、元気ですね」

「うん、そうだね」

「あ、あははは」

 

 ここまでの道は無理のない範囲で戦わせた為やや疲れ気味のリリちゃんが呆れた目で見ていた。

 

「いやいや、お前ら何言ってるんだよ、普通は感動するだろ!?」

「そうかな?」

「そうかも?」

 

 実際は実感が湧かないしね……。

 

「“普通”は1ヶ月半で行ける階層じゃないのですからね」

「「へぇーそうなんだー」」

「おいチビ助、あいつら本当に大丈夫なのか?」

「“アレ”が通常運転なので問題ありません、あとリリにはリリルカ・アーデと言う名前があるのでチビ助と呼ばないで下さい」

「お、おう、わかった。じゃリリ助だな!」

 

 リリちゃんは更に呆れた目でヴェルフさんを見た。

 

「…………好きに呼んでください」

「思ったよりあっさりと認めたな」

「ええ、これぐらいで怒るとあの二人には着いていけないのですから」

「そ、そうか」

「ええ、目を離すと何かやらかす様な二人ですから…………特にレフィ様ですが」

「お前…………苦労してるんだな」

「…………リリの苦労をわかってくれましたか?」

「お、おう」

 

 こうしている内にオークの群れがやってきた、ヴェルフさんとリリちゃんに一匹を任せて、私とベルは残りのオークを片付けに動いた。

 

『燃え上がれ! 不滅の炎(ヴェスタ)!』

 

 魔法を纏いながら突っ込んだベルは次々と敵を切り倒した。

 

「リリちゃん、そっちは任せるよ!」

「はい!」

 

 最近は強くなった火属性ばっかり使っているから、今日は違う属性をメインに使うかなー、とりあえず—————『アース・アロー!』× 50っと。

 

「えっ!? ちょ!? 待って!」

 

 ベルが居る方向に魔法が飛んでゆく、ぎゃーと叫びながらも全弾を避けながら次々とオーク達を葬る弟の姿がそこにあった。

 

「…………想像以上にやべえ奴らだった」

「こんなので一々反応したら保ちませんよ?」

「そうなのか!?」

「ええ、だってこれはまだ序の口ですから」

「…………このパーティーに入るのは早かったのかも知れねえな」

 

 後ろからそんなことが聞こえた様な気がしたけれど、気にしない様にしておく。

 

 それから数時間後、私達は周りに気を配りながらも休憩を挟む事にした。

 

「ベル、それ明らかに軽食じゃないよね?」

「し、シルさんが凄く張り切っていたらしいです」

 

 ベルが取り出したのは3段もある重箱だった。

 でもまあ、昨日でだいぶマシになったから食べれる様にはなってる筈だよね。

 

 

 

 

 

 

 と思った時期が私にもありました。

 

「凄い……ハンバーグ以外真っ黒だ」

「どうして…………」

「ハンバーグもなんか激甘だね」

「何故…………」

「なんか手紙がある…………『シル特製甘々なお弁当』だそうです」

「…………だからアレンジするなって言ってるだろ!!! なんなの!? なんでハンバーグにチョコ入れたのかな!?」

「…………うん、独特な味だけど悪くはないね」

「そこは素直に不味いって言うべきだよ!?」

「シルさんは頑張ってるから食べないと失礼でしょ?」

 

 ニッコリと笑い、終始笑顔のままお弁当を食べたベル。

 

「……お前……すげえな」

「ベル様、胃薬が必要であればリリのをあげますよ」

「大袈裟だなぁ」

 

 それは大袈裟じゃなくてガチで心配してる奴だから! 

 

「それにしても、10階層もそうだけど11階層は霧が酷いね」

「ああ、視界が悪いから一瞬の油断も出来ないな」

「その割にはゆっくり休憩してるけどね」

「そりゃ、お前の魔法がおかしいからだ…………」

「酷い言われ様ですね」

「事実だ」

「あ、あははは…………。でも、次の階層もこんな感じかなぁ」

「はい、次の階層もこの様な感じですよ」

「じゃあ、13階層は?」

「リリも行ったことないですが13階層、つまり“中層”からは再び洞窟の様な作りだそうです」

「でも“上層”とは違って広いし、天井も高いよね」

「そういえばレフィ様は行った事ありましたね」

「マジか!?」

「うん、ちょっとだけね」

「やっぱ頭おかしい……」

 

 休憩が終わって私達は再び探索を続けた。

 

「行きます! 『力上昇(パワーブースト)』『耐久上昇(タフネスブースト)』『敏捷上昇(アジリティブースト)……てりゃあああああ!!」

 

 一通りのマジックスクロールを使用した後リリちゃんはショートソードを持って一体のオークに挑んだ、ベルは離れている位置から魔法で作った弓で彼女の援護射撃を行った。

 

 私はと言うと、ヴェルフさんの戦闘の手伝いをやっています。まあ、危険がない以上やる事はバフをばら撒くだけですが。

 

「ベルの奴、遠距離も行けるのかよ」

「うん、近中遠どれも行けるけど、あくまで応用だから命中率がそこまで良くないけどね」

「の割にはガンガン当ててたが?」

「アレは魔法だからね、仕方ないよ」

「いや、魔法はそんなに便利なモンじゃねえぞ」

「そう? かなり便利だよ?」

「それはお前らだけだ!」

 

 本当に酷い言われ様だ…………。

 

 その後は撤収する時間までは主にヴェルフさんとリリちゃんが魔物(モンスター)を倒す事になった。

 

 そのおかげでリリちゃんのステイタスの伸びが合計300ぐらい上がった、”冒険“のチャンスがやってきたら間違いなく昇格(ランクアップ)が可能になるでしょう。

 私の方は魔力が現在400まで戻す事は出来たけれどそれでもまだ喪失分の半分も戻っていないけどね。

 一方、ベルは相変わらずぶっ飛んだ速度でステイタスが伸びていく、特に敏捷、魔力、そして耐久の伸びが異常な伸びを見せました。

 ヴェルフさんももちろん上がりましたが、同じファミリアではないので正確な数字まではわからなかった。





ここまで読んで頂きありがとうございます。

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