初めて11階層に突入してから数日が過ぎた、我々は無事に12階層の攻略に進む事が出来た。今日は役割を分担して”中層“への攻略準備を進める事になっている。
「レフィーヤ、いつも買ってくれてありがとうね」
「いえいえ、こちらこそお世話になってますから」
私はと言うと現在、【ミアハ・ファミリア】の店に来ていた。対応してくれたのが唯一の団員であるナァーザさんです。
「それにしても、胃薬の在庫がないなんて事があるのですね」
「うん、何故か最近凄く売れてるんだ。だから今、奥でミアハ様が新しいの作っている最中だよ」
「じゃあ、予約とか出来ます?」
「出来るよ」
「じゃあ今日、前払いしますので、完成したら取りに来ます」
「レフィーヤは忙しいでしょ? いいよ、届けに行くから」
「本当ですか!? ありがとうございます!!」
「いつも、素材集めのお世話になってるから、気にしないで」
ナァーザさんには色々事情がある為、自分で戦う事は出来なかった。
そんな彼女の代わりに私とベルが【ミアハ・ファミリア】が発行した依頼を受けてポーションの素材集めをやっている。
「あははは、じゃあ、もう薄めたポーションを売らないでね」
「…………その節は本当にごめんなさい」
「わっ!? ご、ごめんなさい! そう言うつもりで言ってるわけじゃないですよ!?」
「…………うん、でもやっぱり…………」
「私もベルも気にしないですから!」
「でも、リリルカは気にしてるよね?」
「…………リリちゃんはそう言うのに厳しいので」
「そっか…………」
この前までリリちゃんに薄めたポーションを売っていたのがバレた為、リリちゃんからはかなり厳しい目で見られた。
結局ミアハ様とナァーザさんがヘスティア様に頭を下げに来て、事なきを終えた。
…………リリちゃんがちゃっかりと3ヶ月間ポーション割引の契約をしたのはまた別のお話。
「それじゃ、もう行きますね」
「うん、また」
薬代を支払った後、私は【ミアハ・ファミリア】の店を後にした。
次の目的地は【ゴブニュ・ファミリア】の店。
この店で私はとあるモノを取りに来た。
事の始まりは【へファイストス・ファミリア】訪問した直後だった。シルに料理を教えた後私はこの店に足を運んだ。
「ハァアアアアア??
「うん」
「それも純の?」
「うん」
「メッキじゃダメなのか?」
「ダメ」
「何の為に?」
「色々試したい事があるから」
「また酔狂な事を…………そもそもウチは装飾品店じゃないぞ!?」
「でもここなら作ってくれるって知り合いが言ってた」
主にシルが。
「お前の知り合いはこの店を何だと思っているのだ!?」
「腕のいい職人って言ってた」
「…………フッ、確かにウチの店は
「じゃあ、お願い出来るかな?」
「フッ、任せろ!」
チョロい…………。
でもそれは全部嘘と言うわけではない、何故なら【へファイストス】と【ゴブニュ】にはそれぞれ得意や不得意がある為、こう言った装飾品は【ゴブニュ】の方が一段と優秀らしい。もちろん【へファイストス】にも得意分野あるけど、今は関係ない。
そして
私の前には数種類のブレスレットが置かれた。
「これがお前が作って欲しい銀そして
「はい、確かに頂きました」
数としては銀が10個、
「後これはオマケだ!」
渡されたのは一個のブレスレットだった、
「えっと、これは?」
「余った材料で作った奴だ。銀と
「混ぜた?」
「おう! 純粋な
「なるほど…………ありがとうございます」
【ゴブニュ・ファミリア】を後にし、私はホームに帰る道を進んだ。
「おや、あなたはもしかして、【
「ほぇ?」
後ろから名前が呼ばれたので振り向くとそこには青い髪の女性が立っていた。
「あっ! あなたは【ヘルメス・ファミリア】の!」
「ええ、【ヘルメス・ファミリア】団長のアスフィです、二つ名は
「わ、私はレフィーヤ・ウィリディス! 先日はお世話になりました!」
「…………ふふっ、いいえ、お世話になったのはこちらの方です。あの時私達を守ってくれてありがとうございます」
「ううん、私は何一つ守れなかった……逆に皆さんには迷惑ばっかりかけたのですから」
「そんな事ありませんよ…………あの瞬間あなたが私達を守ってくれたから私達は犠牲者無しであの場所から撤退する事が出来ました」
「…………」
でも結局怪我をさせたのも事実だし……。
「私以外の団員達もあなたに御礼をしたいと言ってたので、これからどうです?」
「え? 今から?」
「はい、あのもしかしてご迷惑でしょうか?」
「え!? う、ううん! 全然! 私は行けますよ!」
「よかった、では私達が泊まる宿へ参りましょうか」
「宿なの?」
「ええ、我々の活動は外部調査がメインなんですから、こう言う風に
「へぇー、じゃあ今までどんな所に行ったの教えて欲しいかな」
「いいでしょ、まずは—————」
その後、私はアスフィさん達の冒険話を聞きながら目的地へ向かうのでした。
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