私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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前話の感想が若干飯テロ状態だったww
虚しいご飯を食べながらも勢いを持って書きました。


飯テロ?カットだよ!

 最初は帰ってきた時に、ウチにロキ様が居た事にビックリしていたが、テキパキに準備を進めたレフィ姉やそれを手伝っている神様を見ていると直ぐに「あぁー今日はお客さんも居るんだ」みたいな気持ちになった。

 改築後のお客さんってエイナさん以外居ないよね。

 

 その後の夕飯は特に変わりはなくみんなでワイワイしながら食べていた。

 神様とロキ様はお酒を飲みながら盛り上がっているがレフィ姉はリリに次々と野菜や肉を食べさせた。

 本人曰く「身体作りの基本は食だよ!」との事。

 途中でリリはキノコ食べたくないと主張していたがレフィ姉は苺の菓子を片手に「全部食べ終わったらコレあげる」と言った瞬間、キノコが凄まじい速度で消えていった。

 他にもロキ様の護衛で来ていたヴァインさんって言う人も居たがこの人は黙々とご飯を食べているだけだった。

 

 ご飯を食べ終わると今度は食後のアイスを食べた。

 いつ作ったの? って聞いたら試したら出来たそうだ、神様達は「イヤイヤ」と全力で否定しているが、普通は出来ないのに出来たレフィ姉はやっぱり凄いや。

 ちなみに試してるだけの筈なのに何故か味が沢山ある、リリは凄まじい速度で苺味を独り占めした時は思わず目を剥いた。

 ここでも護衛の人は黙々と食べてるだけ。

 

 アイスを食べ終わったレフィ姉は神様達と一緒に別の部屋に行った、大事なお話があるそうだ。

 残された僕とリリは皿を片付けの作業に入った。

 

「リリ、後片付け僕がやるよ」

「いいのですか?」

「うん、だから戻っても大丈夫だよ」

 

 汚れた皿や土鍋を持ちながら僕が言った。

 

「はい!!」

「はい、待って」

 

 リリはすぐに駆け出そうとしたが止めた。

 

「その手に持ってるアイスは部屋で食べちゃダメだからね?」

「…………はい」

 

 リリはしゅんとした顔でソファに座り込む。

 おかしいな…………今のリリは普通に小人族(パルゥム)の姿なのに垂れてる犬耳が見える。

 それでも黙々と確認作業を行なってるのは流石リリなんだけどね。

 

 そんなリリを見守りながら皿を洗うと護衛の人が僕の方にやってきて。

 

「ベル・クラネル……」

「あっ、ヴァインさんでしたっけ? お客さんなんですからゆっくりしてて下さい」

「いや……俺には……お前に謝らなけばいけない事がある」

「僕に……ですか?」

「正確には、お前達にだ……」

 

 ヴァインさんは深い息を吸いながら目を閉じた、しばらくすると彼はゆっくりと目を開く。

 

「あの日、お前を追い払った門番は俺の同期だった……その事で謝りたいんだ」

「えっと?」

「すまなかった……アイツは自分が昇格(ランクアップ)出来ないのが悔しくて荒れていたんだ……だから駆け出しや希望者には強く当たる様になって……だから!」

「どうしてヴァインさんが謝らないといけないんですか? ヴァインさんは何一つ悪い事はしてませんよ?」

「いや……俺が悪かったんだ……アイツが荒れた原因が俺だから……」

「ヴァインさんが?」

「俺達は同じ日に入っていたにも関わらずアイツがレベル3のままなのに俺だけ先にレベル4になってしまって……一緒に幹部目指そうって約束した筈なのに……俺だけ先に進んでしまって……だからアイツは!」

 

 同じ話を先日リューさんから聞いたばっかりだった。

 レフィ姉は遅れて参加そしてヴェルフは用事があって打ち上げに参加出来なかった日だったなぁ。

 あの日は打ち上げを行った僕らにちょっとした騒動があった。

 事の始まりはリューさんからは「新しいパーティーメンバーを増やしては如何ですか?」って聞かれた事だった、その時僕はリューさん達にヴェルフが入った事を話してない事に気づいた。

 けれどそれを説明する前に、たまたま近くに居た酔っている冒険者が名乗りを挙げた、自分が入るからその代わりにリューさん達を貸してくれと言っていた。

 僕らにはヴェルフが居るので「心配してくれてありがとうございます、でも大丈夫です」と断った、それに大事な知り合いが物みたいに扱われているのが嫌だった。

 その冒険者は怒っていたがリューさんが出した威圧やミア母さんの怒鳴りで何事もなく店を出た、お金も払っていないので更に怒鳴られたけどね。

 その後リューさんは僕にこう言った。

 

 —————昇格(ランクアップ)出来ずに腐る冒険者は多く居る…………ですからクラネルさん、彼らにとって貴方は羨ましくて堪らないのでしょう。

 

 それを聞いた時はどうすればいいのかわからなかった……。

 リリは物凄く怒ってたなぁ、リリは最近凄く頑張っているから余計に怒っているかな。

 後からそれを聞いたレフィ姉はただ一言「どいつ?」と言いながら黒い笑顔を浮かべた。

 

「僕は怒っていませんよ、あの時のお陰でこうやって神様と出逢う事が出来るのですから」

「だけど!」

「ヴァインさんはまだその人と一緒に冒険したいのですか?」

「当たり前だ!! ずっと相棒なんだぞ!?」

「でしたら、その想いは僕じゃなくあの人に伝えて下さい。あの人と一緒にもう一度前へ進んでみて下さい」

「そんなもん……アイツからすれば……ただの嫌味にしか聞こえないだよ……」

「あなたは……あの人に自分の本音を伝えてますか? ちゃんとその人の目を真っ直ぐに見つめましたか?」

「それは…………」

「していないのでしたら、一度やってみて下さい、もしダメでしたらまたやって下さい……もしあなたの想いが本当であればきっとその想いは届きます」

「……本当に……そうなのか?」

「はい、きっと!」

「そうか…………」

 

 その後ヴァインさんは無言で自分の拳を見つめた。

 

 しばらくすると神様とロキ様はやや疲れ気味な顔でやってきた。

 

「「ベル君(ベルたん)……水頂戴……」

 

 その一言で何話してるのかわかる……レフィ姉がなにかやったんだね…………。

 

「はい、お水」

「ありがとう……」

「おおきに……」

 

 やや震える手で水を受け取る女神達。

 それから続いて、レフィ姉が戻ってきた。

 こっちは申し訳なさそうな顔を浮かべてる。

 

「あれ? まだ終わってないの?」

 

 まだ積まれている皿や土鍋を見ながらレフィ姉はそう言った。

 

「あっ!? ごめん! すぐ終わらせる!」

「しまった!? すまない、俺のせいだ。手伝わせてくれ!」

「ダメです! ヴァインさんはお客さんですから!」

「そんな事を言わないでくれ! コレは俺の責任だ!」

「ですから僕が!」

「いや、俺が!」

「僕が!」

「俺が!」

 

 僕がやるって言ったのに頑固な人だな!? 

 

「もう面倒だから私がやるよー『清掃(クリーン)』っと」

「「あああああ!!!」」

 

 さらっと魔法で皿を洗ったレフィ姉を見て、僕とヴァインさんが叫ぶ。

 

 これもそんな僕ら【ヘスティア・ファミリア】の賑やかな日常の一ページです。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

ヴァインさんの出番はコレで終わりですかね?
次回からはそろそろ中層突入するかも?

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