私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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命の口調ってどんな感じだっけ?と混乱しながら書いてました。
あと、短いです。


タケミカヅチ・ファミリア

 ベルが走り出すと通路からは数人の冒険者が現れた。その後ろにはやばいと言わんばかりの数の魔物(モンスター)達が居た。

 

「あの人達は!?」

「知り合いなのですか?」

「うん、あの人達はヘスティア様の神友のタケミカヅチ様の眷族だよ!」

 

 そう、現れたのは命さんを始めたタケミカヅチ様の眷属達だった。

 その先頭には桜花さんが誰かを背負いながら走っている。

 

「セアアアアアアア!!!」

 

 ベルはそんな彼らの横から走り抜けて、彼らの後方に居る魔物(モンスター)達と戦闘に入った。

 

「何者!?」「だ、誰だ!?」「うわぁああああ!!」

「チッ……新手かよ!?」

「いえ、桜花殿。あそこに居るのはレフィーヤ殿です!」

 

 私に指差しながら何かを叫んだ命ちゃん、その隣には千草さんを背負ってる桜花さんや他の団員達がやや戸惑いながらこちらを見つめる。

 

「立ち止まらない! 全力であそこまで走り抜いて! 僕が援護するから!」

 

 ベルは1匹のヘルハウンドに回し蹴りを放ちながら言った。

 

「す、すまん……助かった……」

「気にしないで、困ってる時はお互い様だから!」

「……あ……ああ」

「あ、貴方はレフィーヤ殿が言っていたベル・クラネル殿ですね! 自分はヤマト・命って言います!」

「ごめん、自己紹介はあとでちゃんとするから! 今は逃げるに集中して!」

「はっ!? 申し訳ない!」

 

 彼ら6人全員こちらに走り出した。

 

 彼らがこちらに向かって走り出したの確認すると私は魔力を練り始めた。

 距離的に考えてもあの数を素早く倒す必要があるから手数の多い魔法で殲滅しないと。

 

 脳内に魔法を思い描く、矢では威力不足かも知れないからここは槍で行こう。

 更に魔法の貫通力を上げる為に先端にはドリルの様なモノに設定し、高速回転も加えよう。

 属性系統は現状最高火力を誇っている火の魔法に設定し、数もそれなりに必要。

 

 —————『フレイム・ランス』×50

 

 魔法の出現を確認したベルは更に速度を上げながら襲い掛かるヘルハウンドを蹴り上げた。

 

《キャインッ!!》

 

 ベルが放った強烈な蹴りと共に1匹のヘルハウンドが倒された。

 

「次ッ!!」

 

 そのまま彼は次のヘルハウンドの首を断ち切る。

 

《グラァアアアッ!!!》

 

 今度はヴェルフが作った予備のナイフを飛びかかるアルミラージに向けて投げ出した。

 

《キュイィ!?》

 

【タケミカヅチ・ファミリア】の団員達全員がこちらに着いたの確認すると、ベルは全速力でこちらへ走り出した。

 

「ベル、撃ち漏れたがあったらお願いね!」

「任せて!」

 

 ベルが戻ったの確認すると私は魔法を放った。

 

《ズドンズドンズド──ン》

 

 轟音と共に蹂躙されてゆく魔物(モンスター)達。

 群れの中からは数匹の撃ち漏れが有ったがベル達は素早くそれを対処してくれた、今度は精密度を上げないとね……。

 

 ベルは相変わらず脚力や手数を活かしたスタイルに対してヴェルフさんは鍛え抜かれた腕力で残された敵を次々と倒した。

 

 一方リリちゃんは後方からクロスボウやマジックスクロールによる援護を行なっている、上昇(ブースト)系やアロー系のスクロールを多用しているおかげなのか、彼女の魔力アビリティが頭一つ抜けている状態になっている。

 

「な、なんなんだコイツらは!?」

「彼らは本当に我々と同じレベル2だろうか?」

 

 いや、レベル2は私とベルだけです…………なんて言える雰囲気じゃないよね? 

 

「うぅ……」

「千草!?」

「千草殿!?」

 

 苦しそうな声をあげた千草さんの背中にはアルミラージの斧が刺さっている…………早めに直さないとね。

 

「ごめん、ちょっと怪我を見せてね」

「あ、ああ……頼む……」

「レフィーヤ殿! 千草殿の大丈夫だろうか!?」

「見ないとわからないけど、任せて」

 

 軽く状態を見るとここまで来る間には手当てしてあるみたい…………、出血はそこまで酷くはないが治しても即復活と言うわけにもいかないね……エリクサーを使えば別だけど。

 

「レフィ姉、片付け終わったよ」

 

 敵を倒してベルは汗を拭きながら私に声をかけた。

 

「お疲れ様、ありがとうね」

「僕はリリとヴェルフと一緒に周囲の警戒をするよ」

「うん、お願いね」

 

 ベルは軽く頷きそのままリリちゃん達がいる方向に走り出した。

 

「命さん、悪いだけどこの子に刺さってる斧を抜いて貰っていいかな? 私は治療に集中したいから」

「ぬ、抜いてもよろしいのですか!? 怪我が悪化するのではないですか!?」

「大丈夫、私を信じて」

「命……頼んだぞ!」

「か、かしこまりました!」

 

 命さんは包帯で固定された斧をゆっくりと抜いた。

 

「うっ……うぅ……」

「大丈夫、大丈夫だからね」

 

 千草さんの傷を集中的に『回復(ヒール)』そして念入りに解毒(キュア)をかけた。

 一通り魔法を掛け終えると千草さんの顔色が良くなっているのかを確認し、緊急処置が成功と確認出来たら命さん達にもう大丈夫と伝えた。

 

『本当にありがとうございます!!』

 

 いきなり一斉に頭が下げられて思わず目を開いたが彼らにとって家族の一大事状態だったのを再認識すると気にしないでくださいと伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【タケミカヅチ・ファミリア】の団員達が落ち着いた後、私達はすぐに撤収する事を選んだ。

 私達だけでは確かにまだ余裕があるのだけど、だからと言って【タケミカヅチ・ファミリア】の皆さんをそのまま放っておく訳にはいかない。

 だから今は12階層に向けて帰る途中です。

 

「俺たちの為に…………すまなかった…………」

「大丈夫ですよ、元々僕らも午前で探索を打ち切る予定ですから」

「だが……お前達にはまだ余裕があった筈だ……」

「うちのパーティーリーダーが気にするなって言ってるだろ? 大男、お前は気にしすぎだ」

「…………本当にすまなかった」

 

 団長の桜花さんはずっとこんな感じだった。

 命さんや他の団員達は交代交代で千草さんを運んでいた。

 怪我人が居る為、感知魔法を最大限に活かし警戒の範囲を広げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 けれどそれは…………突然だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然、私達の足元から魔物(モンスター)が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその魔物(モンスター)は24階層の事件…………食糧庫(バントリー)で見た食人花(ヴィオラス)だった。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

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