本編の「お断り」はそのまま引き継がれます。
ざっくり言うと
①(言うまでもなく)全てフィクションです。仮に実在人物・地名と同一のものが出てきたとしても、一切関係ございません。
②時代設定は一応戦前としましたが、至る所でご都合主義発動のため、事実とは異なります。(今回はさらに進んで、政治体制だけ戦前風で、それ以外では現在に近いかも?)
③気に入らなくても大きな心で許して
となります。
本編とは視点が異なるため、矛盾とまではいかなくとも、解釈によっては変に感じられるところも多々あると思います。そこはなるべく善意に解釈していだたけるようお願いします。それでもおかしいと思われた場合は、ご指摘頂けたら幸いです。
「小磯総理より、内閣総辞職の申し出があったため、皆さんに参集して頂きました・・」議事進行役の木戸内大臣が開会を宣言した。
「これは正式な会議ではない。忌憚のない意見交換を望む・・」総理経験者ら重臣を前に玉音が下された。
「艦娘を全権大使にする用意があると伝えたのに、深海棲艦から相変わらず返事がなかったからな・・」
「小磯は次の総理について何と?」
「『国内情勢に疎い者が何も言う資格もない』ということで、この場に来ることも辞退した」
「・・次に誰を据えるにせよ、艦娘を深海棲艦との交渉担当大臣として入閣させることが前提条件となるな・・」
「・・私は、人間が首班を続ける以上、深海棲艦からの回答は望めないのではないかと一貫して主張してきました。今度こそ艦娘に大命が下されるべきです」
「米内さんはぶれないな・・」
「ここにいる皆さんは耳にタコができているでしょうから、詳細については省きます。しかし、もうこれ以上戦争を続けては経済が壊れてしまう。そうなれば戦争継続など絵空事に過ぎなくなります。幸い現在、我々は深海棲艦を相手に有利な立場に立っていますが、文字通り薄氷の上を歩いています。我々に時間はあまりない。今までと同じことをして、いつまで同じ失敗を繰り返すんですか・・」
「艦娘を総理に押し立てれば、それこそ海軍の思い通りにこの国を動かせるからではないのか?」
「私は、そんな小さい考えで物を言っていない!!そんなことを言うのであれば、艦娘の管轄を陸軍だろうとどこへだろうと移してもいいんだ!!少し冷静になって相手の立場になって考えてみろ!戦っているのは我々人間じゃないんだぞ!直接戦っているわけでもない訳の分からないのが首班でございます・・って相手にできるか?!」
「・・米内」陛下が声を掛ける。
「御前にて声を荒げてしまいました。申し訳ございません・・」米内海相は恐縮しきった声で返事をした。
「卿は血圧が高かったであろう。興奮するのはよくない。今、海軍を束ねられるのは卿をおいてほかにない。自愛せよ・・」
「ありがたきお言葉・・」
「・・米内は、海軍のために艦娘を総理にしようとしているのではないと朕は信じる。それに反対の意見を持つことは構わないが、大局的な見地からであることを望みたい・・」
「・・艦娘のことをバカにしているわけではないが、知識があまりに偏っていて国政に当たらせるには懸念がある。もちろんこれは本人の責任ではないが・・」
「知識は本人がその気になれば、いくらでも後付けできる。さらにこれは人間に対してもいえることだが、全ての国務に通じている者の方が少ない。何のために総理を支える大臣なり、官吏がいるのか」
「それは、総理を『お飾り』にするということか?」
「いや、それでは全く意味がない。・・実権がないまま深海棲艦と交渉させることなど不可能だ。これまでの奴らの態度から考えれば、交渉に人間が立ち会えるとは思えないからな。結局、艦娘を信じて任せるしかない。・・そして、わが国にとって最小の損失で最大の利益を引き出してもらうには、国政全般を実際に担当させ、判断力なり何なりを養ってもらうしかない」
「・・それは危険ではありませんか?艦娘の正体といいますか、生態については全く分かっていません。中には深海棲艦と裏でつながっているのではないかという意見すらあります」
「・・海軍としては聞き捨てなりませんな。開戦以来どれだけの艦娘が散っていったか・・あまりに艦娘を愚弄した物言いではありませんか」
「世の中にはそういった見方もあるということを言っている」
「それ以外に艦娘に組閣を命じることについて、反対の意見を聞きたい・・」陛下は重臣たちを見回したが、これ以上の意見は出なかった。
「反対の意見は出尽くしたか・・だが、敢えて朕は聞きたい。反対の真の理由は、艦娘が女の姿をしているからではないか?もし、艦娘が男の姿をしていれば、今少し反対が少ないのではないのか?・・朕も男であるゆえ、その気持ち理解できなくもない。だが、天照大神は女神であられる。ならば、男にできて、女にできぬことなどないのであろう。よって、朕は艦娘に賭けてみたい。・・賭に負ければ、わが国と民族は滅亡の道を進むことになろうが、それはこのまま戦争が続いても同じこと。そうであるなら、それほど悪くない賭けではないか・・」ここまで言われて反論できる根拠を持ち合わせている者は、少なくともこの場にはいなかった。
「米内、朕は卿の提案に乗ろうと思う。艦娘に組閣を命じることに異議のある者は、この場で述べてもらいたい。決まった後、『実は、私は反対だった』などというのは聞きたくもない」
「・・何もご意見が出ないようですので、全会一致で艦娘に大命を降下することに決したということでよろしいですね?」木戸内大臣は何も意見が出ないことを確認した上で宣言した。