何にするか未定 作:とある名無の未定存在(アンノウン)
何か希望があればそれにしますので一言評価でコメント付けてください。
「なぁ、死ぬのか?」
「……はい」
俺が自殺をしようと自殺の名所と呼ばれている崖までやって来ると、一人の少女がそこにいた。
カバンと遺書らしきものを置き、靴を脱いでいかにも飛び降りる準備をしている。
間違いなく彼女はここで死ぬのだろう。
死、それは救いだ。
生きていれば良いことがあるなんて無責任に言うやつは絶望を味わえばいい。
本当に地の底に立ってしまった者にとって
強すぎる光は目を潰す。
自分はこんなにも苦しい思いをしているのに、
自分はこんなにも辛い思いをしているのに、
自分はこんなにも悲しい思いをしているのに、
なんで笑顔で生きろなんて言えるのか?
いいことがあるなんて言えるのか?
良いことが無いから死ぬ。
希望なんてもう無いから死ぬ。
考えるのももう辛くて悲しくてめんどくさいから死ぬ。
たったそれだけの話だ。
「俺も、ここで死ぬんだ。
もし良ければ話を聞かせてくれないか?」
「……」
俺がそういうと少女はこちらを向いて涙を流した。
その顔はとても辛そうで。
とても苦しそうで。
でも、どこか嬉しそうだった。
「友達と……、大好きな友達と
……喧嘩したんです」
「……それで?」
「私が悪かったのに八つ当たりして、ほんと馬鹿みたいで、自分が嫌になりました」
「……」
いや、なんだコイツ。
ただ友達と喧嘩しただけで自殺とかメンタル弱過ぎるだろ……。
俺みたいに生きてても辛い事ばかりだって言うなら話は別だが、こんなしょうもない事で俺の先に死なれるのは御免だ。
まだコイツは光が見えてる。
本当に地の底に立ってる奴は自分の辛かった過去だろうがもっと笑顔でハッキリと話せるものだ。
「そうか、お前馬鹿じゃねぇの?」
「酷い人ですね、聞いたのはそっちじゃ無いですか」
「まあいいや、そこを退け。
ここで俺が惨たらしく死んでいく様を見てろ」
「……そっちは何があったんですか?」
そう言ってとりあえず未練を経つ為に持ってきたスマホを放り投げると今度は逆に俺が尋ねられた。
岩に当たってスマホが砕けるのを見届けて俺は答えた。
「俺か? 生きててもつまらなくなっただけさ」
「なんですかそれ、私よりもっと馬鹿らしいじゃないですか」
「まあ、そうかもな。
人生が詰んでるなんてこのご時世じゃあよくある話だろうな。
両親も兄弟もクズばかり、家を出ようとも働く宛もなく、住む場所もない。
かと言って施設に頼るのは自由が剥奪されるから嫌だ、ただダラダラとして生きたいなんて考える俺は根本的にこの世界にあって居なかった。
それだけだ」
クソな親が勝手にバイト先に連絡を入れて、辞めさせられたのが始まりで、後はそこから芋づる式にグダグダになった。
そうして出来上がったのは学校もほぼ不登校状態のニートが一匹だ。
何もかもがめんどくさい。
こう思ったらもうお終いみたいなもので、俺の瞳からはあらゆる色が消え失せた。
目に映るのはクソつまらない灰色の世界、何も無く生きるなんて俺には無理だ。
「あの……ごめんなさい」
「……そんな顔するなよ。
あと、大抵死ぬ気でやればどうにかなるもんだ、友達に謝ってこい。
俺は先に逝ってるからよ」
そう言って俺は目を瞑って崖から飛び降りた。
最後に「ありがとうございました」なんて言う少女の声が聞こえた気がする。