魂を再統合する本。
魂が同じ者にだけ読める本。
だから、これは果てしない賭け。
ボクらは、同じ世界からこの世界に落ちてきた二人きりの迷子。
この世界にとっては、システム領域外から入り込んできたバグ。
だから、この世界の生命の循環、魂のシステムにボクらがどう作用するのか分からなかった。
元の世界のことまでは分からないけれど、少なくともこの世界では肉体はツールであり、魂がコアであるように思った。
なので、転生の可能性に賭けることにした。
だから、ボク達を一度終わらせて、新しい存在として
のだけど…
「いいですか?フーリちゃんは魂さんのこと雑に扱いすぎなんです!」
「はい…」
「二つに割っても動くなんて、私初めて知りましたよ!?」
「身体さんのことに至っては、もう言葉もありません!」
「増やしたり、使い捨てたりで、接続部分が壊れちゃうのなんて当たり前ですよ!」
「それでも文句も言わずにフーリちゃんの存在を維持し続けてたんですから、すごく偉いんです!」
「分かってますか!?」
「はい、ごめんなさい…」
「果てには自分でくっつけてしまって!拒絶反応が起きなかったのは奇跡…いえ、これは当然とも言えますけど…」
「でも、普通はこんなこと誰もしませんからね!?」
「はひぃ…」
「分かってると思いますけど、転生なんて完治するまで禁止ですからね!」
「うぅ…はいぃ…」
勇者ユーリ 様
拝啓
ボクが死んでから如何お過ごしでしょうか。 ボクは冥界のような場所で、女神様と思われる女の子に毎日滅茶苦茶に怒られています。 自業自得とは理解していますが、助けてください… とても辛くて泣きそうです… こんな調子なので、会いに行くのはだいぶ先になりそうです、ごめんなさい。 もし寂しいようでしたら、貸してあげるので魔女で遊んでてください。
死ねない体にしてあげたので安心ですが、現世ではお元気にお過ごしください。
敬具
フーリ |
「聞いてますか!?」
「はひゃあぃ?!」
「ここに落ちてきた時は『自分第一!』といった風でしたのに、どうして自分自身を使い潰すようなことを!いえ、だからこそでしょうけども!」
「それもう、二回目…」
「なんですか!?」
「ひぃん…」
世界樹、キミの感性はおかしいんじゃない…?
これで大喜びしてたの…?
被虐趣味か何か…?
あぁ、会いたい…!
会いたいよぉ、ユーリぃ!
たすけてぇ!ゆーりぃ!!!
「…ということがありました」
「ふーん」
「…なんですか?あの時の仕返しですか」
「別に?」
「いい年をしたお兄さんが幼女に対して恥ずかしくないんですか」
「俺は無敵だね!」
「いいんですかそんな態度とって、幼女のマジ泣き見たいんですか」
「…ちょっと興味ある」
「あれですよ、周りから白い目で見られるどころか衛兵が来ますよ」
「今更でしょ」
「…そうでした、絶賛誘拐中でした」
「誘拐された側にも問題があるからね」
「わたくしは悪くなくってよ」
「それ、前も聞いたなぁ」
「そうでしたっけ?」
「というか、なんで急に丁寧になったんだ?」
「えっと…これは、生まれ故というか生意気な幼女から序列を理解している大人の女になった弊害というか」
「んははっ!」
「何処で笑っていまして?」
「似合ってないよ、それ」
「うっさい!」
「そう!それそれ!」