御伽噺の様にはいかないけれど   作:Feles

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君の願いは聞けない。

約束通り、手は出さないとも。

嬉しいだろう?


世界樹と守護者

森の最奥に聳える世界樹と、7人の妖精のお話。

 

 

 

世界の何処からでも望むことが出来る巨樹、故に世界樹。

 

悪魔の森の更に奥、聖域と呼ばれる場所に世界樹は在ります。

世界樹には不思議な力があるそうです。

葉を食べれば不死に。

実を食べれば不老に、なれるのだと。

誰が言い出したことか、もう誰も知りません。

それでも、それを信じて不死を、不老を、或いは両方を求めて、森に立ち入る人間は絶えず。

そして誰一人帰ってくることはありませんでした。

世界樹に辿り着くには当然、悪魔の森を通り抜けなければなりません。

森の悪魔に出会ってしまえば、そこでお終いです。

運良く出会すことなく、聖域に到達したとしても、守護者達が立ちはだかることでしょう。

 

聖域に立ち並ぶ木には、一つ一つに聖域の守護者、妖精が宿っているそうです。

妖精達は自らのことを木人と呼び、木の心の具現であると言います。

木人達は悪戯好きで、聖域への侵入者を死ぬまで玩びます。

そこに罪悪感はありません。

とても純粋に侵入者の覚悟を信じて、故に何処までも残酷に愉しむのです。

自身の宿る木と世界樹を傷付ける者に木人達は容赦しません。

聖域の木に印を付けた侵入者は、印を付けられた木人にずっとずっと追い掛けられ、それに気づかず同じ場所をグルグルと、グルグルと。

二度と森から出ることは叶いませんでした。

もし、世界樹に辿り着いて。

運良く落ちていた葉を、実を手にしたなら、木人達は祝福するでしょう。

運悪く枯れ朽ちた葉、腐り落ちた実を前に、その身一つで登ろうとするなら、木人達は応援するでしょう。

しかし、怒りに任せて刃を突き立てんとするのならば。

 

世界樹も聖域の木、妖精が宿っています。

7人の妖精が、7つの感情を各々司り、世界樹に代わって表現するそうです。

彼らは自らを木人の統括者、森人と呼びました。

 

歓喜のネオは、世界樹に到達した者を眺めるのが好きでした。

憤怒のウォートは、聖域が荒らされるのが嫌いでした。

悲哀のリースは、木人達を虐める者をジッと見詰めて泣いていました。

悦楽のフォールは、木人達と一緒に悪戯を考えるのが好きでした。

欲望のイブは、綺麗なものを集めるのが好きでした。

憎悪のキスは、いなくなった木人達を数えていました。

理性のスヴェンは、もうずっと眠っています。

 

森人達は、たとえ侵入者が世界樹に辿り着こうとも姿を見せることはありません。

森人達が姿を見せるのは、世界樹に仇なすもの、慮外者へのみです。

木人を切り倒した者。

木人達を燃やした者。

世界樹に剣を突き立てようとした愚か者。

みんなみんな、木人達に呑み込まれました。

慮外者を取り込んだ木人へ、世界樹は根を伸ばし。

 

「不老不死を望むことを悪いとは言わない」

 

チュウチュウ、チュウチュウと養分を吸い上げて。

 

「ただ、覚悟しろ」

 

また世界樹の葉が、実が一つ増えました。

 

世界樹は今も成長を続けています。

 

いずれは世界を呑み込んでしまうかもしれません。

 

しかし、それはつまり人間の欲望の表れです。

 

それとも、人を超える強大な存在にとっても、不老不死は魅力的に映るものなのでしょうか。

 

いずれにせよ、欲望に囚われた者達の末路は、空を見上げれば分かるでしょう。

 

 

 

めでたしめでたし




一説には、森人は最初に世界樹に辿り着いた人間なのだとか。
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