でも、嬉しい誤算だ。
後は勝手にすればいい。
ステラは、星の国と太陽の国を繋ぐ街道付近に自生する花である。
夜になると、花弁を輝かせる様から星の花とも呼ばれる。
国渡りの平原一面を埋め尽くす花として有名。
もし夜に通ることがあるならば、煌めく花の絨毯に一筋の線が浮かび上がる絶景が見られるだろう。
魔物の存在しない今の時代ならば、試してもいいだろう。
語源は、嘗て勇者の旅に同行したとされる星の魔女ステラから。
元々、5つの花弁と魔方陣の形のそれぞれを星と結びつけてはいたが、勇者一行の功績を称え、忘れられぬように星の魔女と結びつけて名付けるに至ったとされる。
魔術師や錬金術師の間では、汎用魔法素材として重宝される。
それは、花弁が光る仕組みに由来する。
星の花ステラは空気中の魔力を微量ながら花弁に溜め込み、それを夜闇の中で“ライト”の魔術に変換しているのだ。
つまり、不思議なことにステラには生物としての器官の中に“ライト”の魔術式が刻み込まれているということになる。
それこそ、星の花が古の時代の魔法あるいは神秘そのものと呼んで差し支えない事実だろう。
その他、どれだけ採取しても減らない花としても知られている。
単純に繁殖能力と生命力が非常に強いのだと考えられる。
とはいえ限度は存在するため、大量採取の際は必ずギルドを通すこと。
古くから、占星術に用いられていた花でもある。
現在でもその名残なのか、星の国では摘み取った日から輝きを失うまでの日数で花占いをする少女が見られる。
最短で1日、最長でも7日と考えられており、長ければ長いほどに良い結果とされているようだ。
しかし、余りに長く待ちすぎて機会を失することのないように注意されたし。
花言葉は「繁栄」「私の光」「失恋」。
世界樹と同じ創世紀の時代に生まれた花とされており、故に「恒久的な繁栄」を人は幻視する。
暗闇の中で道を指し示すかのように輝く様から、転じて「あなたは私の光」という意味で送られるようになったようだ。
星の魔女は勇者に恋をしていた、と言われている。
結果は、推して知るべし。
星の魔女は、あまりに永く輝きすぎたのだ。
そのため、贈り物とする場合は注意が必要である。
もしもプロポーズに使うのであれば、夜に贈ることを推奨する。
この花は神話にも登場する。
それは太陽の落とした種であり、月の涙で育った花であった。
故に、神々の足跡とも呼ばれていた。
世界樹にとって、それは可愛らしい妹であった。
星の花は夢を見る、月と太陽の再会を。
あなたは鶏であり、卵であった。
…質の悪い冗談みたいだね。