生まれた生命は、翼の生えた少年の形をしていました。
少年が生まれた場所は、とても寒くて暗い場所でした。
余りにも寒いものですから、少年は温かくなるように走り出しました。
ダッと駆け抜けて。
次第に疲れてベタベタ歩いて。
そして。
少年は躓いて転んでしまいました。
すると、身体の下がほんのりと温かいことに気付きました。
躓いたモノは、大きな燃える石だったのです。
走ることに疲れた少年は、明るくて暖かい石の上で休むことにしました。
ゆっくり、のんびり、ぬくぬくと。
気が付くと、石の周りは水で囲まれていました。
少年は石が冷たくなり始めたのに気付いて、慌てて火の石を持ち上げて飛び上がりました。
翼をバサバサと羽ばたかせて。
ヒラヒラと羽根を舞い散らせて。
そうして。
高い高い場所に留まって、水が昇ってくるのを見ていました。
ジーっと眺めている内に、水は勢いをなくし止まりました。
ホッとひと安心した時、水が揺れていることに気付きました。
ブクブク、ボコボコ、ザブン。
姿を現したのは、自分とよく似た形の何かでした。
何やら興奮した風に、手を伸ばしてくるものですから、思わず同じ様に手を伸ばして。
取ったその手が、とても冷たいことに驚きました。
なので。
少年は、寒くないように石を分けてあげることにしました。
半分に割った火の石を、ポイと投げて。
トボンッと大きな音と飛沫をあげて、火の石の片割れは水に沈んで行きました。
何かが慌てた様に、石を追いかけるのを見て。
少年は満足そうにして、再び飛び上がりました。
翼が疲れてしまったので、まだ水に浸かっていない場所を探すことにしたのです。
それから、随分と永く飛んでいました。
何度か水に落ちそうになりながら、けれど決して石を落とさないように。
そうしてようやく、水の世界に浮かぶ地面を見つけたのです。
やっと一休みできると喜んだのも束の間、お腹がグゥと音を立てました。
何か、食べなければ。
けれどやっぱり、翼がとても重たいのです。
仕方がないので、少年は久しぶりに歩くことにしたのでした。
グゥグゥペタペタ、生命のリズムを刻みながら。
えっちらおっちら、あてどもなく。
抱えた石が美味しそうに見えた頃。
たった一つだけ実の成った大きな枯れ木を見つけました。
少年には、それが何かは分かりませんが、とても美味そうな匂いだったので。
気付いた時には、種だけが残りました。
また食べたいなと、そう思ったので。
大きくなあれと一つ願って。
寒くて冷たくて死んでしまわないように、石を削って。
一緒に埋めてあげました。
そうして満足した少年は。
「また来るよ」
そう言って、再び旅に出るのでした。
太陽は日に一度、世界樹の実を食む。