御伽噺の様にはいかないけれど   作:Feles

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第一章「お日様の旅」


創世神話

生まれた生命は、翼の生えた少年の形をしていました。

 

少年が生まれた場所は、とても寒くて暗い場所でした。

余りにも寒いものですから、少年は温かくなるように走り出しました。

ダッと駆け抜けて。

次第に疲れてベタベタ歩いて。

 

そして。

少年は躓いて転んでしまいました。

すると、身体の下がほんのりと温かいことに気付きました。

躓いたモノは、大きな燃える石だったのです。

走ることに疲れた少年は、明るくて暖かい石の上で休むことにしました。

ゆっくり、のんびり、ぬくぬくと。

 

気が付くと、石の周りは水で囲まれていました。

少年は石が冷たくなり始めたのに気付いて、慌てて火の石を持ち上げて飛び上がりました。

翼をバサバサと羽ばたかせて。

ヒラヒラと羽根を舞い散らせて。

 

そうして。

高い高い場所に留まって、水が昇ってくるのを見ていました。

ジーっと眺めている内に、水は勢いをなくし止まりました。

ホッとひと安心した時、水が揺れていることに気付きました。

ブクブク、ボコボコ、ザブン。

 

姿を現したのは、自分とよく似た形の何かでした。

何やら興奮した風に、手を伸ばしてくるものですから、思わず同じ様に手を伸ばして。

取ったその手が、とても冷たいことに驚きました。

 

なので。

少年は、寒くないように石を分けてあげることにしました。

半分に割った火の石を、ポイと投げて。

トボンッと大きな音と飛沫をあげて、火の石の片割れは水に沈んで行きました。

 

何かが慌てた様に、石を追いかけるのを見て。

少年は満足そうにして、再び飛び上がりました。

翼が疲れてしまったので、まだ水に浸かっていない場所を探すことにしたのです。

 

それから、随分と永く飛んでいました。

何度か水に落ちそうになりながら、けれど決して石を落とさないように。

そうしてようやく、水の世界に浮かぶ地面を見つけたのです。

やっと一休みできると喜んだのも束の間、お腹がグゥと音を立てました。

何か、食べなければ。

けれどやっぱり、翼がとても重たいのです。

仕方がないので、少年は久しぶりに歩くことにしたのでした。

 

グゥグゥペタペタ、生命のリズムを刻みながら。

えっちらおっちら、あてどもなく。

抱えた石が美味しそうに見えた頃。

たった一つだけ実の成った大きな枯れ木を見つけました。

 

少年には、それが何かは分かりませんが、とても美味そうな匂いだったので。

気付いた時には、種だけが残りました。

また食べたいなと、そう思ったので。

大きくなあれと一つ願って。

寒くて冷たくて死んでしまわないように、石を削って。

一緒に埋めてあげました。

 

そうして満足した少年は。

 

「また来るよ」

 

そう言って、再び旅に出るのでした。




太陽は日に一度、世界樹の実を食む。
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