フィーマンのクリスマス   作:束白心吏

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前編

「おやお姫様。今日もお話が聞きたいのかい?」

 

 暖炉で十分に温まってる部屋で、可愛い幼姫(おさなひめ)──レイナは、僕の膝の上に座り、いつものようにお伽噺の催促をしてきた。

 

「今日はどんなお話がいい──え? また僕の話?」

 

 幼姫様は、たまに僕の話を聞きたがることがある。

 前は………そうだ。兄弟の話をしたんだ。

 じゃあ今日は………ふと窓の外を見ると、雪が降っていた。

 そういえば、今日はもうクリスマスなのか。

 雪は僕達が編纂した童話の少女を思い出すけど………それと同じくらい、真っ先に思い浮かぶ記憶があった。

 

「そうだね。今日は早く寝るんだ──え? サンタなんていないでしょ? ははは。そうだね。じゃあ、こんな話にしようか」

 

 はっきりと。明瞭に………ああ、あの頃が懐かしい。

 

「それではいつものように。クリック?──」

 

 

■■■■

 

 

 澄んだ夜空に散らばる星々の下、雪化粧をしたフィーマンの想区は色とりどりの光に彩られていた。

 その彩られた街を、人々の笑顔を、微笑ましげに見つめる一人のサンタとその仲間。

 

 

「さて皆? 準備はいい?」

 

 彼女はプラチナブロンドの長髪を靡かせ、仲間のサンタの方に振り替える。

 その方向には、白髪の青年、ワイルドな壮年、緑髪の三兄弟、そして赤髪の少年が、それぞれサンタの衣装を着て立っていた。

 

「勿論だとも!」

「準備万端だ」

「いつでもいけるよ」

「準備はできている」

「オレもばっちし」

「早く終わらせよう」

 

 数学者ルイス・キャロル。英国紳士ウィリアム・シェイクスピア。僕ことヴィルヘルム・グリム。兄のヤーコプ・グリムと弟のルートヴィヒ・グリム。僕達が尊敬する偉大な作家シャルル・ペロー………そして僕らを纏めるこの想区の創造主。ドロテア・フィーマン。

 彼女が実質的に率いている創造主集団『グリムノーツ』は、今宵の平和を守り、プレゼントを配る為に動き出した。

 

 

■■■■

 

 ──時は少し遡る。

 クリスマス・イブの朝のこと。

 昨夜に雪が降り、早朝から総出で雪かきをした彼らは、ドロテアの作った朝ごはんをものすごい勢いで食べて、今はその食休みをしていた。

 

「ふふふ、今日はクリスマスパーティーをしましょうか」

 

 長い白髪を腰の辺りで束ねた、赤いベレー帽がトレンドマークの美少女。ドロテア・フィーマンは片付けをしながら呟く。

 

「どうせなら、皆も呼びましょう!」

 

 それを聞いていた者達──ヴィルヘルム・グリム、ヤーコプ・グリム、シャルル・ペロー、ルイス・キャロル、ウィリアム・シェイクスピア、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの五人は思った。

 

 ──ああ、またいつものか。

 

 彼らがそう思ってしまうのも無理はない。

 ドロテアは以前からとんでもないことを唐突に始めたかと思えば、本当に実行してしまうのだから。

 そしてそれは、今彼らがいる想区──『フィーマンの想区』も同様である。ここは彼女が作りだした想区。

 彼女が『空白の書』を持つ人の受け皿に──という彼女の優しさから創られた想区なのだ。

 

「ドロテア、さすがに町中の人全員は無理じゃないかい?

 確かに皆キミの親戚だし、来たがると思うけど」

「そうよねぇ………あ、そうだ!」

 

 そう言って、ドロテアは自分の部屋へと向かう。

 少ししてドロテアは、大きな白い袋を人数分持ってきて、言った。

 

「皆でプレゼントを配ればいいのよ!」

 

■■■■

 

 ──そうして、時刻はクリスマス・イブの深夜に戻る。

 

「それにしても本当にやってしまうなんてねぇ」

「それがドロテアさんだよ。ルイスも知ってるでしょ?」

「旅してく中でよぉーくね」

 

 僕はルイスと軽い冗談を言いながら各家庭にプレゼントを届けていく。

 

「あーあ。少女達に触れたいなぁ………ねぇヴィルヘルム。写真くらいなら──」

「ダメだよ」

 

 僕は暴走を止める為、彼と行動を共にしている。

 いつもならウィリアムと一緒なんだけど──喧嘩していてプレゼント配れませんでしたじゃどうしようもないからね。お目付け役に僕が選ばれたんだ。

 

「い、一枚なら………」

「ダメって言ってるよね?」

 

 僕は彼が手に持っていたカメラを没収する。

 「あああああああ!」と情けない叫びをあげていたけど、ここは心を鬼にして………!

 

「いいかい。写真は後で、きちんと許可をもらってからだ」

「何を言っているんだいヴィルヘルム! ボクは少女の今この瞬間をおさめたいんだよ!」

「──んぅ………?」

「「!?」」

 

 僕達は咄嗟に屋根に登る。

 

「ルイス。自重してくれないかい?」

「は、はい………」

 

 

 そこからは順調にプレゼントを届けていった。

 僕達が担当するのはフィーマンの想区の西。

 住宅街が広がる区域を、僕とルイス。そしてシャルルと共にプレゼントを配っていた。

 

「やあ貴公ら。調子はどうだ?」

「やあシャルル。こっちは順調さ」

 

 僕達は持ってる袋を見せる。

 プレゼントがどっさりと入っていた袋は余裕が出来てきており、多少へこんだりしてきている。

 一方シャルルは──

 

「ははは! 我はもう少しで終わるぞ!」

「それじゃあ、お互いにラストスパートといこうか」

「おうとも! 負けないぞ!」

 

 シャルルは恐れ多いことに、僕達グリム兄弟──特に兄さんと僕に対抗心を抱いているようで。

 本当に恐れ多いんだけど………とても尊敬してるけど、それを伝えると「ふざけるな!」と一蹴されてしまうし。

 

「さて、もうひと仕事しようか」

 

■■■■

 

「──クルル! クルクルルゥ!」

 

「!? ヴィルヘルム!」

「さっきのは──ルイス! すぐ向かうよ!」

 

 この世界に蔓延る正体不明の魔物──ヴィランを倒すため、僕は『メルヒェン・テラー』を持ち、声の発生源に向かう。

 

「ここはボクに任せてくれ!」

 

 ルイスは『リトル・リドル・リデル』を振るう。

 

「『ミスター・グッド・ジョーカー』!」

 

 どんな趣味であれ、ルイスも僕達の仲間。

 戦闘力は一流だ。

 ルイスがヴィランを一掃した後、スッと一匹の帽子を被った猫がやってきた。

 

「──やあ弟の」

「どうしたんだい『長靴を履いた猫』。まさか、兄さん達の方も──」

「ああ、お察しの通りだ」

 

 どうやら、今日はまだまだ終りそうにないや




二ヶ月くらい前、私は思った。
──あ、ヴィルヘルム×ドロテアの作品書きたい。

それがどうしてこうなったか………私にもわかりません。
後編は書けたらすぐ投稿します。
後編で、私は絶対にヴィル×ドロを………書く!
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