神器絶焼ギルティギア   作:ジャンクヤード犬

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どうも、犬です。すみません、予定より1日遅れました……!

閲覧&お気に入り登録&感想ありがとうございます。

大2000さん、月日火さん、変態魔忍さん、10評価ありがとうございます!


しかしまぁ、需要がニッチ過ぎて黄色が限界じゃろーとか思ってたらバーがオレンジに……ビックリです(白目
いや、本当にありがたい事です、ありがとうございます。



さぁ、ついに原作主人公と本作主人公が合流しました、どうなるか?

ではどうぞ。


Duel4 「Here comes daredevil!」

 

 

 

「後悔したくなけりゃ、初端(ハナ)からマジで来い」

「…………よろしく、お願いします……!」

 

 ドーム状の広い空間、そこで男と少女が対峙している。男は自然体で余裕そうな雰囲気だが、対する少女はどこか緊張気味で若干冷や汗をかいているようだった。

 

 ここはフレデリックの隠れ家の最下層、そこに最近作ったばかりの戦闘訓練場だ。外壁は四重の特殊装甲板、そこに更に法術による多重の障壁を施した、外部に絶対に検知されない特別仕様だ。

 その訓練場で相手に鋭い視線を向け続ける男──フレデリックは、目の前の少女──立花 響について考えていた。

 

 ──テメェがどういう状態か、そいつを説明してやっても頑なに引き下がろうとしない子供(ガキ)、頭で理解出来ないなら体で分からせるまでだ……だが、もしも覚悟を見せる事が出来たなら、その時は……

 

「さぁ、かかってこいよ」

「……いきますっ!!」

 

 少女の意地と男の意地、相手に届くのは果たしてどちらか。

 

 

 

 ……事の起こりは、小一時間ほど前に遡る。

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

「貴方は、あの時の……!?」

 

 目を見開いた響から思わず出た声が部屋中に木霊する。『あの時』という言葉に一瞬眉をひそめるフレデリック、しかし1つだけ思い当たる節があった。

 基本的にフレデリックは自分達の戦闘を一部を除き他者には絶対に見られないようにしている。理由は勿論、彼らには二課のような政府等大きな組織の後ろ盾が無い、つまりは情報操作する術がないからだ。

 

 だが1度だけ、本格的に戦闘行為を始めるきっかけとなったあの事件……ツヴァイウィングのライブの一件で、一般人の少女が一人だけ彼らの戦闘を目撃していた。

 保護した直後から目の前の少女に見覚えがあるように感じていたフレデリックだったが、ようやくそこに思い至った、彼女こそあの時の少女だと。

 

「……あの時。そうか、覚えていたのか」

「はい、その……あの時は、ありがとうございました……」

 

 そう言って頭を下げようとする少女にフレデリックは「やめろ」と手で制する、彼は様々な理由から目の前の少女に礼を言われるような立場にない、少なくとも彼自身はそう思っていたからだ。

 

「たまたまあの場に居合わせただけだ、俺はお前に何もしちゃいない。ましてや俺達が…………」

「で、でもっ、あの時奏さんの事を助けてくれましたし……!」

 

 何かを言い淀んだフレデリックに対して響が言った言葉、一瞬響が何を言っているのか理解出来なかったが、その言葉の中にある彼女の歪さに彼は気付いて眉間のしわを深くした。

 

「それこそお前が言うべき事じゃねぇ、アイツは戦士として戦っていた、死ぬ覚悟すらもアイツのモンだ。何より、お前は何様のつもりだ?」

「…………えっ……?」

 

 一度言葉を切って響を見る。思わぬ言葉を受けた為か少し怯えたような表情をする彼女に、「一般人の少女(ただのガキ)相手に流石にコレは言い過ぎだったか……」と思うも、それでもこれだけは言わないといけないと思いため息を一つついてから言葉を続けた。

 

「あの場で一番死に掛けていたのはお前なんだぞ? そんなお前が他人の心配だと? そんな冗談を抜かす暇があったら自分の身の心配でもしとき「フレッド?」……なんだ、セレナ」

 

 まだまだ続きそうなフレデリックの()()()を遮ったのはこの場に居たもう1人、響をこの部屋に連れてきた女性──セレナだった。

 セレナはフレデリックの言葉に俯いてしまった響の両肩に後ろから両手を添えて困ったような笑みを浮かべている。

 

「自分だけ名乗って、そのままお説教まで始めたらかわいそうでしょう? ごめんなさいね?」

「あ、いえ……えっと……」

 

 困惑した様子でセレナを見上げる響に対して優しげな笑みを浮かべるセレナ、そのまま彼女は自己紹介を始めた。

 

「あっ、私も名乗っていませんでしたね? 私の名前はセレナ・カデンツァヴナ・イヴです、貴女のお名前は?」

「あ、立花……響、です……」

 

 ぎこちないながらも名前を答えてくれた響にニコリと微笑むセレナ、いきなり蚊帳の外にされたフレデリックが若干ムッとした顔をするも、それに構わずセレナは響との会話を続けた。

 

「立花さん、ですね? 本当にごめんなさい、この人ったら随分とキツい言い方をして、ショックだったでしょう?」

「いえ、その……」

「気を使わなくていいですよ、本当の事ですから。ただ、誤解しないであげて下さいね?」

「えっ……?」

 

 しどろもどろになりつつもセレナの言葉を聞いていた響だったが、誤解しないでとはどういう意味なのかと思わず首をかしげた。そんな響にセレナは再び困ったような笑みを浮かべて言葉を続けた。

 

「この人ったら、要するに『もっと自分を大事にしろ』って言いたいだけなんです「おい、セレナッ!!」……ふふっ」

 

 途端にクスクスと笑い始めるセレナと渋面でそっぽを向いたフレデリック、その2人の様子を見て響はセレナの言葉が真実であると気付く、同時にこの人たちが皆優しい人たちなのだとも。

 

「あの……?」

「~~~~ッ!! ……ソイツの言う通りだ。さっきの一言でお前が自分の事よりも他人が助かった事に安堵してる事くらい判る」

 

 困惑気味にこちらを見つめる響と、言うなり頭をガシガシと掻き毟るフレデリック。そして響は、自分を見つめるその目がどこか心配げな事に今更ながらに気付いた。

 

「自分よりも他人、そうやって天秤を傾けるヤツってのは大体が大なり小なり自己犠牲の精神を持ってる……どうせお前も、困ってるヤツを見たら放っておけないタイプなんだろう?」

「………………っ」

 

 悪戯がバレて怒られそうになっている子供のような顔をする響、そんな響の様子にフレデリックはため息一つの後「それが悪いとまでは言わん」と付け加える。

 それを聞いてハッとして再び彼の方に顔を向けた響に「だがな……」とフレデリックは前置きをして語りかけた。

 

「だったら、誰かを助けたけりゃ自分も助けろ。間違っても相手に余計なモンを背負わせるな。救いってのは、救う側救われる側どっちも救われてこそ救いなんだ」

 

「……どっちも救われてこそ、救い……」

 

 そうオウム返しのように呟く響、そんな響の様子を見てまた溜め息を吐くフレデリックに「幸せが逃げますよ?」と半笑いでセレナが言う。ますますフレデリックの眉間のシワが深くなった。

 

「……もうこの話は終わりで良いか? いい加減本題に入りてぇ」

「そうですね、いつまでもお説教してたら先に進みませんし」

 

 ジロリと睨むフレデリックに対してセレナはどこ吹く風といった様子だ。フレデリックは諦めた。

 

「ハァ……響っつったか? 単刀直入に言うぞ」

 

 先ほどの言葉を反芻していた響は、いきなりの名前を呼ばれた事にビクリと反応した。一応聞く姿勢になった響の様子を見てフレデリックは続けた。

 

「お前がこの前使った力、()()()の事を俺達は良く知っている。そして、これから先あの力を使い続ければ、おまえがどうなるか判らん」

「…………ッ!?」

 

 淡々と語るフレデリックに対して思わずギョッとした顔をする響、その響の後ろに居るセレナからは先ほどの笑みが消え、どこか苦しげな表情をしていた。

 

「だが、今すぐ処置を施せば勿論その力を失う事になるが、お前は無事日常に帰れる」

「…………所……んて……」

「……あ?」

 

 ポツリと呟いた響の言葉に怪訝な顔をするフレデリックだったが、そんな響の顔を見て彼は思わずギョッとした。

 

 

 

「帰る場所なんて……ないです……私は、帰りたくない……ッ」

 

 

 

 涙を流す少女の姿に、2人は言葉が出なかった。

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 ギリィッと鈍い音を立てる奥歯と握り拳、フレデリックは響の境遇を聞いて怒気を滾らせていた。そして、あの優しげな雰囲気を纏っていたセレナでさえも、そんなフレデリックを宥めるどころか一緒に怒っていた。

 

「……生存者のバッシングは知っていたが、そこまで悪化させて野放しだと……? 学校や教委もだが、何より二課……いや政府の連中は何をやっていやがった……?」

「……ここまで酷いだなんて、本当に……この国も……!!」

 

 先ほどまで嗚咽を漏らしながら身の上を語っていた響は、目の前のフレデリックやセレナのそのあまりのブチギレ具合に、思わず涙やら何やらが引っ込んでしまった。いわゆる、自分よりキレてる人が居たら冷静になる、とかいうヤツだろう。

 

 ──……あぁ、本当に良い人達だなぁ……

 

 自分の為に怒ってくれている、そんな2人の様子に響は、もう随分長い事忘れていた別な意味での、嬉しさでの涙が思わず出そうになる。家族以外でここまで優しくされたのが本当に久しぶりだったからというのもあるのだろう。響は心の底から感動していた。

 

 ……が、しかし、そんな響の感動もすぐに吹っ飛んでしまうのだが。目の前の2人が響の目が潤んだのを見逃さなかった為に、思いっきりその涙の意味を取り違えていたせいで。

 

「もう大丈夫だ……俺達が何とかしてやる、お前はもう何も心配する必要はねぇ」

「そうですよ、やられたらやり返す、倍返しです! いえ、これはもう10倍返しでも足りないです!」

 

 なんだかとても()る気になっている2人を見て、嫌な予感がした響は慌てて止めに入った。

 

「ま、待って、待ってください! わ、私は、大丈夫ですから!?」

「大丈夫なワケがあるか、大丈夫じゃねぇヤツは皆そう言うんだ。大体イジメってのはな、他人が他人の人生を玩具にして遊ぶクソみてぇな行為だ。そんなクソみてぇな真似されて、お前はソイツらすら庇うってェのか?」

「い、いやっ、だから……!?」

 

「そうですよ立花さん! いえ、響さんっ!! アナタは何も悪くないんです!! こういう事は徹底的に、やり返す気力すら湧かない位に徹底的にやらないと、遺恨が残ります!!」

「い、遺恨!? いったい何をする気なんですか……!?」

 

 だめだコイツら、早く何とかしないと――!? オトン力とオカン力を炸裂させている2人のその鬼気迫る様に更に慌てる響、彼女の頭の中は最早「どうしよう!? どうしよう!?」とパニック状態に陥っていた。

 

「よしやるぞセレナ、先ずは「や、やめてくださいっ!!」……あン?」

 

 突然大声を上げて、フーッフーッと息を切らせる響の様子に怪訝な顔をするフレデリックとセレナ、そんな2人に響は力強い目をして更に叫ぶように続けた。

 

「わ、私は、本当に大丈夫ですからっ!! 余計な事は、しないでくださいっ!!」

 

 本当は大丈夫じゃない、けれど彼らに任せたら学校どころがご近所一帯が大変な事になる気がする、きっと、いや絶対に――! そう確信した響の最後の良心が2人の行動を止めようとした。

 

 必死になって大声をあげる響に困ったように顔を見合わせるフレデリックとセレナ。2人もまた、自分より興奮している人間を見て落ち着きを取り戻していた。

 

「お前がそこまで言うなら……まぁ、止めておくか……」

「えぇ、そうですね……すみません、私も頭に血が上っていました……」

「い、いえ……こちらこそ、心配してくれたのに、急に大声なんか出して、すみません……」

 

 一気に重くなる空気、まぁ、2人が自らの暴走っぷりに落ち込んでいるのはもうどうしようもない事なのだが。そんな2人に気を使おうと別な話題を響は頭の中で話題を探していた。もう完全に立場が逆である。

 

「そ、そうだ、この力が何なのか……それを、先ずは教えてもらえません、か……?」

 

 が、話題のチョイスが少々マズかった。重かった空気が今度は凍りついてしまった。

 

「……聞いてどうする? これから失う予定の力の事なぞ知った所で何も良い事は無いぞ?」

「それなんですけど、その……処置は受けません、受けられません……」

 

 どういうつもりだ、と言わんばかりに鋭い目で響を睨みつけるフレデリック、その迫力にたじろいだ響だったが、その目は決して反らさなかった。

 

「この力があれば、ツヴァイウィングみたいにノイズと戦えるんですよね? だったら私は、この力を手放したくない、です……」

「あぁ、確かにソレはツヴァイウィングの2人が持ってる力とほぼ同じモンだ……だが、お前のソレとアイツらとでは色々と事情が違う」

 

 一度目を閉じてから今度は睨むではなく真剣な目で響を見るフレデリック。出来れば適当な所で切り上げたい話題だったが、目の前の響がどう考えても納得しそうにない事に気付いた為、彼はある程度は話してやる事に決めた。

 

「順を追って説明するぞ、お前やツヴァイウィングの連中が持っている力、ソレの名は『シンフォギア』、正式名称『FG式回天特機装束』、現状ノイズに対抗可能な数少ない手段の一つだ」

「……シンフォ、ギア……」

 

「FG式、フォニックゲインの略だが、コイツは歌によって生じるエネルギーの事だ。シンフォギアはそれによって稼動している。稼働中はエネルギーを催促するかのようにシンフォギアの装者には歌が浮かぶらしい」

「歌によって……あ、だからあの時……」

 

 何か身に覚えがあるらしい響の反応を見て「続けるぞ」と促すフレデリック、響が頷いたのを見て説明を再開した。

 

「でだ、本来ならシンフォギアは待機形態であればペンダント状の形を取る」

「……え? でも私そんなモノ持ってないですけど……」

 

「あぁ、そうだな。で、その事でだが、悪いがお前が寝ている間にこっちで色々と検査させてもらった」

「あ、はい、それは別に……」

 

「その胸の傷」

「!?」

 

 ビクリと響が反応するがフレデリックは構わずそのまま続けた。

 

「例のライブの事件の時の傷だな?」

「えぇ……そうですけど…………見たん、ですか……?」

 

 再び凍る空気、自分の体を抱きすくめて若干顔を赤らめてジト目で見てくる響と、それを見て困った顔をするセレナ、対するフレデリックは……なんかもの凄い顔をしていた。

 

「……ガキが色気付いてんじゃねぇ、大体俺はガキの体になんぞ興味は「フ・レ・デ・リ・ッ・ク・?」……チッ!!!」

 

 笑顔なのに凄い圧を放つセレナのそんな態度に、しかめっ面を更に酷くしたフレデリックは舌打ち一つ吐いた後に口をひん曲げながら言葉を続けた。

 

「……着替えやら何やらは全部セレナと此処に居ないもう一人に任せた……! 俺が見たのはスキャン後の体の中身や計測されたエネルギーの数値だけだ……!!」

 

「あ……えと、なんかその、すいません……」

「いいんですよ、デリカシーの無い事を言ったこの人が悪いんですから」

 

 何か勝ち誇ったような顔のセレナに苦虫噛み潰したような顔をするフレデリックだったが、やがて溜め息を吐いてフレデリックは説明を続けた。

 

「お前のその傷跡の奥、あの後病院で受けた処置で取り切れなかった破片、ソレは奏が纏っていたシンフォギア・ガングニールの破片だ」

「ガング、ニール……? あっ、起動する時の歌の……」

 

「そうだ、ソイツが心臓の周辺に複雑に刺さって残ってやがる。で、ソイツがお前の歌でシンフォギアとして稼動しやがった訳だ……ん? どうした」

「その……破片だけで起動するモノ、なんですか……?」

 

 響の質問に微かに笑むフレデリックは「良い質問だ」とそれに関する説明を続ける。

 

「まず前提として、シンフォギアの材料となっている物は聖遺物だ」

「せい、いぶつ……聖遺物?」

 

「そうだ、異端技術、ブラックアート、オーパーツ、ロストテクノロジー……まぁ色々と呼び方はあるが、先史文明時代……要は大昔に作られた超技術の産物だ。どれもこれも今の技術じゃ再現もままならねぇトンデモナイ代物だ」

「え、そんなモノ、簡単に弄ったり出来るんですか?」

 

「…………それをやった女が居る、自他共に認める天才研究者様が、な……」

「へぇ……そんな凄い人が……えっと、どうしたんです、か……?」

「……なんでもねぇ、続けるぞ」

 

 フレデリックの顔が一瞬歪んだのに気付いた響だったが、本人のなんでもないという言葉にとりあえず大人しく引き下がる事にした。

 

「その聖遺物だが、今なおほぼ完全な形で原型を留めている状態のモノは完全聖遺物と呼ばれ、基底状態から稼動状態になれば多少の損傷であればエネルギーを消費して復元するらしい、恐らくこの辺の機能を利用しているんだろうな」

「え、えっと……?」

 

「……シンフォギアに使われてるのはその聖遺物の残骸、破片だ。で、お前の胸に刺さってるのはその破片の破片。元が多少ぶっ壊れても勝手に直るようなモンだから、お前のソレも稼動してる、って事だ」

「な、なるほど……」

 

 途中、明らかに判ってなさそうな態度だった響にこれから先の説明に着いて来れるのか若干の不安を覚え、途中ざっくりとした説明に切り替えたフレデリックだったが、ひとまずそのまま説明を続ける事にした。

 

「ただ、お前のシンフォギアはソレだけで稼動してるワケじゃねぇ」

「……えっ??」

 

「ここで初めて登場するのが、俺達の使っている技術、『魔法』だ」

「ま、魔法っ!?」

 

 ここに来て新しく出てきた単語、それもファンタジー全開の単語に響は軽く混乱するも、フレデリックはお構い無しに説明を続けていく。

 

「魔法科学論・法力。現在、世界のどこにも公表していない、無限のエネルギーを生産する超自然的な制御法、それの理論化に成功した代物だ」

「え、と……それと私の、シンフォギア……? に、どんな関係が……?」

 

 フレデリックはソレを説明する前に一呼吸置く事にした、響が明らかに理解出来ていなさそうだから……ではなく、隣に居るセレナがどこか辛そうにしていたからだ。

 ……だが、そのセレナは続きを促すようにフレデリックに向かって頷いて見せる。ソレを見たフレデリックは説明を再開する事にした。

 

「……お前の胸に刺さっている破片、ソコに法力のコードが刻まれていた」

「えっ、えーっと……?」

「魔法の呪文みてぇなモンだ、正確には違うが今はその程度の認識で良い」

「あ、はい……え、でも何でそんなものが……??」

 

「私の、せいなんです……」

 

 頭に疑問符を浮かべる響、ソレに対して答えたのは、フレデリックではなくセレナだった。

 

「あの日、響さんの胸の傷の出血が想定より酷くて、私が止血する為に法術を施しました。恐らくその時に、何らかの要因で破片にコードが刻まれたんだと思います……」

「セレナ、何度も言ったがお前の判断は間違っちゃいねぇ、恐らくお前がその処置を施してなきゃコイツは失血死していた」

「えっ」

「でも、法力のコードが無ければ恐らくあのガングニールは「あの!」……っ?」

 

 いきなり自分が死んでいたかもしれないと聞かされて驚く響。申し訳なさげなセレナの言葉を響は遮り、そして。

 

「あの、その……ありがとう、ございました」

「……えっ?」

 

 どうしてお礼を言われたのか判らないセレナだったが、響は構わず続けた。

 

「あの時、セレナさんが魔法? をかけてくれなかったら……私は、死んでいたかもしれないんですよね? だから、ありがとうございました」

「響さん……いえ。はい、どういたしまして」

 

 泣きそうな顔で微笑みながら答えるセレナ、パッと見は何とも痛ましい表情だが、それでも本人は少しだけ肩の荷が下りたような雰囲気を纏っていた。

 

「さて、じゃあ説明を続けるぞ、お前は昨日の戦闘で炎を放って見せたな?」

「あ、はい……あれ、見てたん、ですか?」

「いや、お前の周辺から残存法力が計測された……魔法を使った跡が残ってたって事だ」

「あ、なるほど……え、じゃあ私、魔法を使ったんですか……!?」

 

 思わず驚きで声が大きくなる響に、「そうだ」と頷くフレデリック。響はますます困惑した、いつぞやに見ただけの技術を自分が簡単に使えてしまった事に。

 

「この辺ももっと詳しく調べなきゃ判らんが、恐らくお前のシンフォギアが色々な補助を行っていると見て間違いねぇだろうな。理論上誰でも使える技術ではあるが、パッと見ただけでポンポン使えるような代物じゃねぇ……というか、だ」

 

 途中で言葉を切ったフレデリックに首をかしげる響、そう、ここで話が最初に戻るのだ。

 

「お前がシンフォギアを経由して法力を使えている、コイツが問題なんだ」

「え……」

 

「さっきも言ったがこの技術は、現在世界のどこにも公表していない、何でだと思う?」

「……え、危険だから??」

 

「なんとなくで言ったな? だが大正解だ。この技術は今の世の中にとってどこまでも危険な代物、猛毒にしかならねぇ。自惚れでも何でもなく、公表すりゃ世界がひっくり返る、そういう代物だ…………何より、コイツはまるで『あの細胞』のような……」

「…………!?」

 

 最後の方は何を言っているか聞き取れなかったが、想像以上に大きな話に目を白黒させる響、先ほどから新しい情報の連続で正直頭がパンクしそうだった。

 

「だから、その心臓の周りにある破片を全部取っ払って、全てをなかった事にして貰いたい、そういう事だ」

「私の為、なんですか……?」

「そうだ、もしお前がこの力を持っている事がバレれば、色々な勢力から狙われる事になる可能性が高い。それでもお前は、その力を棄てる気は無いのか?」

 

「はい……!」

 

 どこか苦しげに、それでも響は力強く答えた。

 

「……どうなっても知らんぞ? 後悔するぞ?」

「しません、絶対に……!」

「どうしてそこまで頑なになる?」

 

 フレデリックは段々と表情を険しくさせながら響きに問いかける。

 

「……色々な事に関わってしまって、知ってしまった以上、見て見ぬフリなんて出来ません。それに、それ以上に……」

「それ以上に、なんだ?」

 

「私は、私を押し殺して生きたくない……押し殺した私は、きっと死んでないだけで生きてない……私は、生きるのを、諦めたくない……私自身が……救われたい……!!」

 

 目を強く見開いてまるで血を吐くように、響はそう答えた。もはや言っている事は支離滅裂で滅茶苦茶だが、その言葉の中にどれほどの想いが込められているのだろうか。

 その目を見たフレデリックは「あぁ、コレは腹を括らなければならない」と、そう確信した。

 

「だったら、お前の『覚悟』を見せてみろ」

「……えっ?」

 

 一瞬フレデリックが何を言ったのか理解出来なかった響は思わず聞き返す。

 

「今からここの最下層の訓練施設に行くぞ。そこで俺と戦え、そして俺を納得させてみろ」

「……もし出来たら、どうなるんですか?」

 

少し間を空けて、フレデリックは言い切った。

 

「まぁ色々条件はつけさせてもらうが……俺が直々に、お前にその力の使い方を教えてやる」

 

 

 

それは、彼女が待ち望んだ物に手が届くかもしれない『可能性』だった――

 

 

 

HERE COMES DAREDEVIL

 

 

 

 

 


 

【人物・用語・裏話】

 

 

 ・『響の傷』

 ……原作通りであれば、奏が絶唱を使った後に比較的早いタイミングで救助隊に引き渡されていた筈なので、出血量は致死量には達しない、その筈だった。

 だが、フレデリック達の乱入に対応したノイズの追加投入が行われた結果、原作より処置を受けるまでの時間が延び、出血した血液の量が増えてしまったのである。

 その出血量と響の顔色を見て危険と判断したセレナにより止血を目的とした法術が施された結果、今回の事態が引き起こされた。

 しかし、セレナが法術で出血量を抑えていなければ響は出血多量で死亡していた可能性が非常に高い。

 奏も助かり響も助かった、誰もが最善を尽くした結果である、故に誰も責められる必要は無い。

 

 ・『響のガングニール』

 ……胸に埋まった破片に法力のコードが刻まれており、本来のシンフォギアには無い仕様が幾つか確認されている。ある意味バグが発生した状態とも言える。

 具体的な作用は現状未知数ではあるが、素人がいきなり大出力の火の法力を扱って見せた点から見て、少なくとも法力の増幅機能がある事は確認が出来る。

 この存在を目の当たりにしたフレデリックは『とある細胞』の存在を思い出していたようだが、果たして……?




違うんです、普通に説明回にする予定だったんです。
気付いたら殴り合いを始めてたんです……!!
俺は悪くねぇっ! 俺は悪くねぇっ!!

あ、戦闘シーンは頭の方とか書いてあったんですが、長くなりそうなので切りました。
……書きかけの時点で、フレデリックが、すごく、バッドガイです……

あとビッキーが大人しめかつ若干情緒不安定なカンジ、上手く表現できてますかねぇ? コレ。
うーん……やっぱ微妙かなぁ……とりあえず、最終的にはグレてそうでグレてない、けどちょっとグレてるちょいグレビッキー、みたいなのを目指してます。が、さてどうなることやら……



ではまた。
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