今日は休日だが…………休み何て物は存在しねぇ!
俺も風太郎も家庭教師の仕事がある為中野姉妹の家に向かう事になったのが
出先の事だ、バイト先から家に電話がかかり俺はそれに対応し
風太郎を先に行かせた
「日曜っすか はい了解しました」
「お兄ちゃん店長さん何だって?」
「あぁ 日曜のシフトなんだけどな新しく新人が来たからその日は空けてくれても構わねぇってさ 暇になったわ」
「良かったじゃん 偶にはお兄ちゃんも休まないと倒れるよ!」
「らいはは良い子だな~お兄ちゃんは良い妹を持ったよ じゃ俺も行ってくっから…変な人は家に入れちゃ駄目だからな―!」
『はーい・気をつけてねー』と妹の言葉を受け中野姉妹達がいる
マンションの元へと全力で走って行く事になった
因みに愛用の自転車は現在パンク中と今朝方から不吉な事が起こっていた
「あっ!!お兄ちゃん 替えのコンタクト置きっぱなしだ 」
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「やべ 替えのコンタクト忘れた まぁ眼鏡は持ってきてるしこれで良いよな………ん 三玖か、よう」
「あっ コータローだ 今から家に行くところなの?」
向かう中俺の前を見慣れた後ろ姿が歩いていた
手には袋を持っており買い物でもして来たんだろうと思いながら
俺は彼女に声をかけた
最初の頃なら俺を見れば逃げだしていただろう三玖だが
きちんと返事を返し 俺は三玖の歩幅に合わせ歩き出す
「あぁ 俺は遅れてだけどな 風太郎は先に向かったぞ」
「そう………… コータローあの家庭教師よろしくね」
「了解だ 任せろ……三玖は買い物でも行ってたのか?」
「うん 二乃の飲み物間違って飲んじゃったから だから買いに行った」
「おい これは抹茶ソーダじゃん 二乃は飲めるのかよ」
こくりと頷く三玖だが絶対に二乃は飲まねぇだろうな
あまり聞くべき事ではないと思うけど
姉妹でもそりの合わない人物と言う物はいるのだろう
ジャージの貸し借りの際も二乃が勝手に部屋に入り取って行ったらしいしな
もし何かあるならそこら辺も改善しねぇと後々厄介事になりかねんぞ
「あっ そう言えば今日は日本史中心で行くからな おっ!」
「本当に日本史なの!何処何時」
「それはついてからの楽しみだ 他の科目もこれくらい食いつてくれれば良いんだがな」
「……無理」
「諦めんな………。」
そんな簡単に言われると俺や風太郎の作戦も意味なくなる
けど前の三玖なら聞く前に黙るか逃げてたしこれも進歩と思えばまだ気楽な方だな
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「幸太郎と三玖が来なかったら俺は永遠にロビーで居座る事になってた」
「オートロックくらいは覚えような」
「文明の利器すら持たない お前には言われたくない」
「あっ 上杉さん お兄さん おはようございます! 準備万端ですよ」
マンション下で風太郎がカメラに向かって話しかけている姿を俺と三玖は見ていた
それに気づき『その目はやめろぉ』と逃げようとしたが
何とか取り押さえた 三玖から部屋への番号ややり方を聞き彼も納得
確かに俺たちにオートロック何て縁もないしなぁ
「おはよう 四葉 一花もよう 勉強見ていくだけ見てけよ」
「コウタロウくんが誘ってくれた じゃお邪魔しようかな」
「五月もおはようさん 朝飯は食べたか」
「幸太郎君おはようございます。 はいきちんと食べました 幸太郎君は栄養取りましたか」
「おう食って来たぞ」
「そうですか なら私はここで自習をしているので幸太郎君 何かあれば声をかけてください」
「はいはい」
何だかんだと言いつつ俺や風太郎の声が聞こえる辺りに座ってくれたのは
五月なりの配慮なのだろうさ 感謝しないとな。
風太郎も順調に集まった一同を見て目頭を押さえている
と ここまで良いんだ
一花 三玖 四葉 五月 中野四姉妹だ
あと一人この場にいない
ある意味でここでやって行くにはもっと強力な対決相手だ
カタカタと歩き音が聞こえ そこを見ればニンマリとした笑顔だ
はたから見れば素敵な笑顔としてどんな男でもコロっと落ちるだろうが
本性をしればその笑顔はまた別の側面を写し出している…………。
「なーに また懲りずに来たんだ アンタは先週見たいに途中寝ちゃわなきゃいいけどねぇー」
俺達 上杉兄弟の現在最大の障害 中野二乃の登場だ
ぐぎぎと先週薬を仕込まれた水を飲んだ事を思い出したのか
奥歯を噛む風太郎の姿 あれは不意打ちだしな
「んだよ 二乃 声かけてくるって事は勉強してぇーのか?」
「アンタ一番嫌い話しかけんな! キモ」
「おい お前俺より嫌われてるぞ 何した」
「しんねーよ まぁヘイトは俺が集めるから気にすんな」
今下手に動いてこいつにこの空気を壊されたら
俺や風太郎の頑張りが全て無駄になる
二乃にはなるべく刺激を与えないよう配慮しねぇとな
(なんで ここまで捻くれた昔はもう少し可愛げあったのによ)
『『おーーー!』』
風太郎の声でやる気を出した四葉の姿を見て
二乃は懐からスマホを取り出して何かを言いだしてきた
(やばい 先手を取られた!)
「バスケ部の知り合いが大会の臨時メンバー探してるんだけど あんた運動出来るんだし今から行ってあげたら?」
「えっでも今から…………。」
勉強と助っ人板挟み状態だ
どちらを選ぶか迷い俺達と二乃を交互に見ている四葉
このまま二乃の思惑通りにさせたらなし崩し状態になっちまう
焦る俺達をよそに 二乃が追撃をかけてくる
「なんでも五人しかいない部員の一人が骨折しちゃったみたいでこのままだと大会出られないらしいよ」
「そんなのやるわけないだろ」
風太郎はそう言うが、四葉は動くだろう
こいつはそう言う人間だ困ってる人を助ける中野四葉は自分より他人を優先する
「分かった 四葉行ってこい ただし行くなら半端はなしだぞ」
「お兄さん!ありがとうございます 行ってきます!」
「幸太郎 お前まで何を言いだすんだ」
「どっちにしろ 四葉はいっちまう ならこっちから行くよう促せば四葉も気を悪くしなくて済むだろう」
「コータローの言う通り四葉は放ってはおけない性格だから無理」
風太郎 お前が言いたい事はわかる
けどここは抑えろ 向こうが姉妹の弱点を突きそっちに誘導するなら
俺達はそれに従う姉妹を快く向かわせよう 家庭教師として全然駄目な考えだと思うが
下手にそれを妨害でもしたらその人物からの信頼すら危うくなるんだ。
「っ 余裕ありそうな態度しちゃって あぁ一花も二時からバイトって言ってなかったっけ」
「あぁ そうだった コウタロウくんごめんね」
「いいさ 一花もバイト頑張って来いよ 次の機会に教えっから」
「うん 期待してるよ不良少年ー」
「うっさい はよいけ」
一花もバイトがあったようでそそくさとその場を去って行く
ただ期待してると言ってくれただけでも良い進歩と思おう…………。
「ぬぐぐぐ」
「何だよ 二乃ー お前の邪魔は何もしてねぇぞ」
「五月 こんな奴がいる所で勉強するより 図書館で勉強した方がいいわよ」
「…………」
(五月 これ持っていけ)
(何ですか、この紙)
(俺が教材とかから選んでまとめてある 参考にしとけ これはこの前のお礼だ 家庭教師は関係ねーよ)
(はい ありがとうございます 幸太郎君! 無理はしないでくださいね)
「では私は図書館に行ってきます それでは…………ふっふーん」
二乃に言われた通りに五月は上機嫌で図書館へと向かって行った
勿論ただでは行かせない………。
俺たちを嫌ってる二乃が居るんだ何の対策もしないわけがねぇだろ
あいつには上手く要点など纏めた物が書かれた紙を手渡した
五月は要領が悪いだけだ 何処をやればきちんと出来るかさえ分かれば
真面目なあいつは図書館に行っても勉強を続けてくれる
「何よ五月まで 何で機嫌良いのよ!」
「さぁーな よーし 風太郎 まだ三玖が残ってんだきっちり教えてやろうぜ」
「おっおう お前がいるとこういう時心強いと実感できる」
「普段はちげーのかよ!」
二乃は思惑通り 三玖以外全員勉強から遠ざける事には成功したわりに
機嫌の方はあんまりよろしくないみたいだ。
俺と風太郎にまだ余裕がある事がこいつ的には物凄く納得がいかねぇと見た
そうなれば残った一人三玖にターゲットを絞り 俺達の心を折に来るだろう
三玖に詰め寄ると二乃は余裕なさげに彼女に食って掛かっている
「あんた まだいたの間違って飲んだアタシの」
「それなら買って来たテーブルの上だから そんな事より授業始めよう」
「そうだ 授業開始だ 行くぞ 三玖 風太郎」
「って 抹茶ソーダって嫌味かー!」
知らねーよ それに三玖なりに選んだんだろう
ここまで来るときに飲むからと頷いていたしな
「って あんたら何時からそんな仲良くなったわけ?」
「はぁ? 何時からとかわかんねーよ」
「うっさい え?え? こういう目つき悪い男がタイプなの髪も変色だしさー染めるの失敗してさー」
「地毛だって言ってんだろ」
「目つき悪いとか弟の俺まで無駄に被弾するからやめてくれ」
「二乃はメンクイだから でもコータローの髪は変じゃないよ シマウマ見たい」
「ひどい事言った後にフォローしてくれんのは良いけど すごく複雑だ」
三玖の態度に明らかに怒りを表す二乃
どうやら余裕といった雰囲気が気に入らないらしい……。
「なーるほど こんな奴でも気にしないからそんなダッサイ服で出かけられるんだ」
「その尖った爪がおしゃれなの?」
「あんたには分からないでしょうね」
「分かりたくもない」
「とりあえず 少し頭冷やせ 二乃も言いたい事あれば俺に言え」
「そうだね 言う通りに頭を冷やす もう邪魔はしないでね」
最近の三玖はやたら素直だな
勉強を教えるのも楽になるからこれは有難い事だ……。
んで残った二乃だが凄い見幕でこっちをぎろりと睨んでいる
暫くそっとして置こうと風太郎にプリントを渡していた時だ
不意に二乃からお声が掛かった
「ねぇ アンタらお昼は食べて来たの……」
「あっそう言えば」
「食ってねぇな…………。」
ぐぅぅぅと二人同時にお腹の虫がなっている
それを聞くとてくてくとキッチンまで歩き
三玖を見ながら話を再開し始める
「じゃあ三玖の言う通り中身で勝負しようじゃない!どちらがより家庭的かアタシが勝ったら勉強なし!」
「………!」
「そ そんなのやる訳ないよな」
「諦めろ風太郎 三玖頑張ってこい」
「分かった コータロー フータロー すぐ終わらせるから座ってて」
「お前が座ってろよ! って幸太郎も座ってるな」
「この流れはだめだ」
「さっきまでの余裕はどうした 何か策は」
「んなもんねーよ料理対決何て想定してるわけねーだろ」
風太郎が思ってるほど俺は万能じゃねよ
想定してたりしてなかったりとあるんだ
今日はこのまま二乃が黙って俺に罵倒でも飛ばして終わりかと思ってたのに
『『ことごとくうまくいかない』』
やはり兄弟シンクロしている
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料理対決から数分
良い匂いが鼻を刺激する
料理が出来るまでの工程は俺も風太郎もなるべく見ないようにしていたが
初めて来たときに 二乃はクッキーを手作りしていた
アイツは手慣れた手つきで器具を使っていたのだ
三玖はぱっと見た感じ何でかファイヤーしてたり色々と危なっかしい
これは勝負が見えたかもな…………。
でも そんな簡単に勝負が決まる程俺達
上杉兄弟の舌はあまくねーぞ 二乃…………。
「じゃーーん 旬の野菜と生ハムのダッチベイビー」
「オムライス………です」
この勝負の審判がもし見た目で判断するのなら
三玖の料理は論外と言われてもしかたねぇ
それに代わり二乃の料理は文句のつけようがない程完璧な出来である
多分味も良いだろう
勝利を確信する二乃は余裕の笑みを崩さない
三玖は俯いたままこっちを見ようともしてくれない
開始前から諦めてどうする
「やっぱりいい 自分で食べる」
「せっかく作ったんだし食べてもらいなよー」
「では俺から頂きます うんどっちも普通にうまいな」
「はぁ」
「風太郎は貧乏舌だ」
「意味わかんないんだけど」
「んで 俺は味覚音痴と来たもんだ!」
「はぁーー アンタら兄弟の舌どうなってんのよ!」
「んじゃ 俺も食べるかいただきます」
「コータロー良いよ食べなくて」
「幾ら味音痴とか言っても見た目じゃ…………」
一口目は二乃のダッチベイビーうん触感は良いし歯ごたえもいいだが分からん
二口目は三玖のオムライスだうん ぱさぱさしてるしタマゴも焦げてるだが分からん
スプーンですくったそれぞれを食べ終えた俺の感想だ
正直言えば判断基準はない 見た目なら二乃と言いたいが俺は違う
「三玖の勝ちだな」
「コータロー…………」
「意味わかんない アンタ味覚音痴って自分で言ったでしょ」
「あ? 言ったけどんで勝負の内容は 見た目じゃなく中身だ」
「アタシの料理に中身が無いとでも言いたいわけ」
「いやちげーよ 二乃は確かに完璧に作っただろうし 誰でも選ぶぞ
でも三玖のは歪だ でもな歪ながらもあいつは自分の不得意な料理を頑張ってくれた
その料理に中身が無いわけあるかよ? 勝負優先と頑張って作った料理なら
味音痴の俺でも 三玖を選ぶぞ」
料理に対して俺はとことん無頓着と言ってもいい
食えればどれでも同じと言える人間だ
でも譲れないものがある それは作り手の愛情だ
どんな料理でも愛情が籠って無ければ大して変わらんのだ
らいはだって俺が味音痴と知ってても欠かさず料理を作ってくれる
だから俺は妹の作る料理をおいしいと認識できるし
三玖の作ってくれたぼろぼろのオムライスも美味しいと感じるのだ
二乃の料理は愛情がないと言えば嘘だろう
こんな手の込んだ料理を作ってくれたんだでも 愛情よりも勝利して三玖を見返そうと言う魂胆ばかりを意識した それが三玖との差だろうな
「何それ ほんとつまんない この馬鹿!」
どたどたと足音を立てて二乃は何処かに行ってしまった
残された俺達は出された料理を食べきる事にした腹は減るしな
「ご馳走様 三玖美味かった やっぱ愛情にまさる調味料はねぇーな」
「お前は良くそう言う事ハッキリ言えるよな」
「コータロー…………ありがとうほんと」
「泣くなよ どうした大丈夫か」
「うん 大丈夫だから」
「焦らせるな はぁ…」
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「もうこんな時間だ 今回は出直すとするわ 二乃の策にまんまとはまったな」
「しゃーない あいつはあいつで俺達をどうにかしたいんだろうさ」
「お前は特にあいつから悪意はんぱじゃない程受けてるからな」
「記憶にございませんとはこういうことだな はぁでもそのうち分かりあえるとおもうぞ」
「うん ちゃんと誠実に向き合っていれば分かってくれるよ」
「でもどうすれば良いんだよ」
「私に言われてもわかんない」
「聞いて分かれば苦労はねーぞ?」
「うん…それを考えるのが フータローとコータローの仕事でしょ」
誠実に向き合う 今の二乃と分かりあうにはそれしかないんだろう
俺も分かり合えないとは思ってはいねぇ……。
こいつらが実際は素直だと言う事も知ってるし
風太郎と一緒に気長にやって行けば二乃も何時かは認めてくれるだろう
俺に対する敵意はどうにもならん気がするけどな…………。
料理勝負で使った食器や器具など後片付けをしていれば圧倒的に時間はすぎてやがる
その日は解散と言い
三玖に別れを告げそのまま帰宅する事になった…
ただここで俺はある物がない事に気づいた。
「やべぇ 眼鏡をケース事忘れた」
「あれ お前コンタクトじゃ」
「朝替えの分忘れて 鞄の中に予備に眼鏡があってそれで誤魔化そうかとな
取りに戻るわ らいはに遅れるって言っといてくれ」
「わかった オートロックには気をつけろよ」
「お前じゃねえんだから大丈夫だ」
戻った俺は中野家の番号を入れ誰かが出るのを待つことにした
二乃だったらさっきの事話さないとな 俺も少し言い過ぎたかもしんねぇしな。
待つ事30秒
「忘れ物?」
「すまんが 開けてもらえるか」
「シャワー浴びてるから勝手に取ってて良いよ」
「おっ ありがなとな 三玖!」
この時 俺は眼鏡の事など気にせずそのまま帰宅するべきだったと少なからず後悔する羽目になる
それは色々な意味で俺の運命を左右しかけた出来事の一つだった…。