上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

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第十話 不良少年と次女の本音

「失礼します 三玖はいっかんなー」

 

『出かける前にはきちんと準備すべし』

 

まさにそれだな

出先の電話ですっかりその事が頭から抜けていた

眼鏡があるからと安心していればその眼鏡を他の家に忘れると

最近の俺は、妙に抜けてるなぁ

 

 

「うーん!! 三玖さん早くないですか!」

居間に行けば三玖がソファーの上に座りドライヤーで髪を乾かしている

入る前に声はかけた筈なんだが…………。

俺の声も届かず気づいてもないのか?

 

俺が来るって知ってるんだから少し警戒してくれ

一花の時は汚部屋という事もあって気にはしなかったけど

こう普通に着替えられると俺だって意識はすんだぞ…………。

ただ風呂に入ると言って出てくるまでが、早すぎる速攻かよ

 

 

「ねぇー誰 三玖?」

 

(はぁー 二乃かよ 流石の俺でもこれは区別はつかねぇよ)

多少なりと五つ子が入れ替わっても普段の俺なら区別はつくが

バスタオル一枚の姿で判別出来る程優秀な観察眼はもってねぇ

いやいやそんなことはどうでもいいケースを回収したらさっさとおさらばだ

こんな所を五月達に見られて見ろ

不祥事も良い所だ 出くわしてる時点で積んでいるんだよ!!

 

(ケースを確認 二乃のまんまえじゃねーか!)

 

ケースは置かれているのはソファーの真ん前にあるテーブルの中心ポツンと置かれている

二乃が料理勝負を挑む時に三玖の部屋へと移動する時に眼鏡をかけようとしたのだが

彼女から呼び止められた時にかける動作を止め

二乃と三玖の料理の完成をまってそのままケース事放置し

俺は気づかないままだった

眼鏡かけるのは久方ぶりで帰宅する際に気にも留めななかったのだろう。しかし 下に降りた際にふと思い出した

『置いてきた…。』

何であのタイミングで思い出すのか?…。家まで行ったところならそのまま気にせず、明日に回せたものを…………。

 

 

既に俺は二乃の素肌を目にしてしまった 俺で良かったよ 良くねぇが、風太郎だったら家庭教師として二度とこの家にこれなかっただろう

素直に謝った所で今日の二乃とのやり取りだ完全にこの事実を上手く利用されて

家の借金問題はそのままとなり 勇也さんに顔向けが出来ない。

 

 

「いつもの棚にコンタクト入ってるから取ってくれない?」

 

こいつ俺と同じで目が悪いのか?

それもそうだろうな気づけれていたら騒がれていたし

この場じゃなければ、安心していた…。事態は何も変わってねぇがな…。

 

 

(何時もの棚とか知らねぇよ! 俺はお前が目が悪いと知ったの今だぞ)

 

五月が眼鏡を時折着けていたが 姉妹で目が悪いとは…。

目が悪いのと相まって俺と三玖を勘違いしてんのか?

どうすんだこれ………ケースを回収しようにも目の前だぞ

取りに動けば、怪しまれるし ここで帰ったところで下で連絡した三玖には俺がいたと言う事を知られている

 

つ 詰んでる………!

 

コンタクトを渡しても視界回復で、詰むし取りに行っても詰むしこのまま帰っても詰むし

 

ここが地獄かくそったれぇ。

 

一花の時とは状況が違い過ぎる あれは四葉も同行してたし

本人も俺だと気づいてたからだ。

 

 

「なに?お昼に意地悪したことまだ根に持ってるの?」

(おいおいおい)

少し距離を開けようとした瞬間業を煮やしたのか遂に二乃が動き出した

お前見えてないら動くな あぶねぇだろうが

 

 

「あれは勢いで…悪かったとは思ってるわよ。」

おい見えてないんだよな?何で俺の位置を正確にわかんだこいつ!

徐々に近づいて来やがるんだが

俺も男だぞ 恥ずかしいに決まってんだろう

だが活路はある 最悪この場を逃げ二乃が、三玖を問い詰めた場合

三玖が俺を信用してその場をやり過ごしてくれる可能性それにかけるしかない

じゃないと風太郎と家の未来も俺からあの子への恩返しも出来ないまま終わっちまうだろ!

 

体力には自信があるこのままじりじり詰め寄られても

一瞬の隙を突いて走り出せばこの状況から逃げ出せるのだ

 

(動くなら………ん?)

 

 

だけど それは出来なかった 

正確には俺は足を止めてしまった

 

 

「やっぱり怒ってるんじゃない…全部あいつらのせいだわ!」

 

その一言が俺を鈍らせた

 

 

「全部あいつらのせいよ…パパに命令されたからって好き勝手家に入ってきて 特にあいつの兄貴よ 

ほんとむかつく 何でもかんでも余裕ある雰囲気出して 何でよ あいつを見るとムカムカしてくるのよ!! 」

 

(…………二乃 お前)

俺は少しだけ昔を思い出した それはこいつが小さい時だ 俺達が遊んでる時にこいつは良く俺の後ろを追いかけていた『まってーーコウにぃ』

 

「今日だって何よ アタシの料理には愛情がない だから三玖の勝ち はぁ? アタシだって頑張って作ったのよ 何でああまで言われないといけないのよ あいつに言われると腹が立つのよ」

 

(俺がこいつに何を言われても気にしねぇ理由は、こいつが俺にとって妹見たいなもんだったからだ

 …………だけど俺はそんな二乃の料理にあんなひでぇ事を言ったんだ。)

 

 

「私達5人の家に、あいつらの入る余地なんてないんだから!」

二乃は怒りを表すかのように手をテーブルに叩き叫んだ

俺は色々と考えてたつもりでこいつらの気持ちをくみ取ってやってなかった

何が全員笑顔で勉強させるだ 何が全員笑顔で卒業させるだ

目の前にいる 妹同然に接してた こいつの気持ちも理解してやらねぇでよ

また あいつにやった事と同じ事を 二乃にまでする所だった

こいつは不器用なだけだ 不器用ながらこの家を家族を守っているんだ

俺達が家に来ると見せるあの表情は、この家を姉妹との時間をこいつなりに守っていたんだ

思い出を大切にしていたんだ…………。

 

『幸太郎君 もし私に何かあった時は娘たちを気にかけてあげて そして出来るなら守ってあげてください………。』

あの人が普段は見せる事無い顔を俺は見た………。

 

 

俺は何やってんだ あの人と約束しただろ

こいつらを守ってやるって………泣かせてどうすんだよ

家庭教師が嫌いだからじゃねぇ こいつの本心は純粋にみんなが姉妹が大好きなんだ

 

 

 

 

「もー決めた!あの兄弟は今後一切出入り禁止!」

 

その場で地団駄を踏み暴れ出す二乃だったが先ほど開けようとした扉に手を強打する

それと同時に俺の目には彼女に迫る物体が目に入った

大量の本の山や荷物が彼女の頭上めがけて落ちていくのだ

 

 

「っいた…………!?」

 

「二乃あぶねぇー!」

 

「えっ」

 

 

考えるより先に体が動いた

二乃の名前を呼び俺は突き飛ばすように覆いかぶさる

ドドドと俺の頭に多数の本がぶつかるが目の前にいるこの子に何もない

それだけで体を張った甲斐があった…………。

 

 

「二乃 無事か…………。」

 

「えっえええ この声は何であんたがここにいんのよ!」

 

「取りに来たんだよ」

 

「とととりに!」

 

 

そう忘れ物を取りにきたそんで妹同然に接してたやつの本音を聞けた

二乃は動揺しているが、それはそうだろうな

ほんと 風太郎すまん 弟より 妹を選んじまった。

 

 

 

 

 

 

 

バタン

 

「ここ 幸太郎君 何をやってるんですか!」

 

「まじで終わったわ…………。」

 

 

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