上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

13 / 96
今回は風太郎君がメインです


第十二話 不良少年と次男の思い

「日曜日は最高だな 勉強し放題だ」

「生き生きしてるな風太郎」

「今日はアイツらの事考えなくて良いからなぁ! あっこれは四葉にはいいかもな

 これは三玖に あぁああ って立派な家庭教師かよ!」

「立派だな、俺の弟は。兄は嬉しく思うぞ」

「幸太郎も何か最近立派な家庭教師って気がして来たぞ」

「そうかぁ? 俺は自分のやりたい事やってるだけだぞ」

「それが家庭教師してるって事だよ」

「哲学かよ」

 

今日は日曜日だ 俺や風太郎が休日でも行く日は土曜まで

だから風太郎も大好きな勉強に時間を費やせるとノリノリだったのだ

自分で自分に言い聞かせだす程には家庭教師が板について来た感じである

本人はあまり認めたくないと言っているがな

ぶつぶつと言いながらも再びノートに向き合い

また頭を抱えている どうやら日曜日でもあいつ等から逃げられねぇようだ

 

ピーンポーン

 

俺も少しは勉強しようと思ったが突然のチャイムでそれを中断した

日曜だと言うのに一体誰だ………?

また借金取りか、金はねぇぞ……。

 

 

「はい、どちら様ですか」

 

「おはようございます、幸太郎君」

 

「五月か珍しいな、お前が訪ねてくんのは、んで? 要件は何だ今風太郎が勉強してんだ」

 

「流石彼ですね、ぶれませんね。ではなく幸太郎君達にお渡ししたいものがあります」

 

扉を開けた先には見慣れた赤い髪の少女 中野五月が立っていた

今まさに風太郎と五つ子について話していた所だ 部屋の中にいれたらあいつも驚くだろうな

五月も何か渡したいものがあると言うし 狭い家だけど入ってもらうか

 

「らいはお帰り。お前の大好きな五月さん来てるぞ」

「お兄ちゃん ただいま あぁーー五月さんだーー!」

「いらっしゃい 五月」

「はい お邪魔します幸太郎君」

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

ーー

 

 

「父から預かった。上杉君達への給料です」

 

ポンとテーブルの上に封筒が置かれた

割りやすく『給与』と書かれている

この瞬間は緊張するもんだ

風太郎はあまり変わらぬ態度で封筒を手に取り中を確認し始める

お前はもっと緊張感を持てよ。

 

「でもまだ2回だぞ 中は大して…………は!」

「一日五千を五人分 計二回で五万円になります」

「おおおう…………」

「幸太郎お兄ちゃんも落ち着いて ってお兄ちゃんの汗で諭吉さんがしわしわに」

2回で五万だと俺が一か月ファミレスで働いても3万だぞ

やはり五倍の相場は伊達じゃねーな

流石に風太郎も動揺してるのか汗で諭吉がべとべとだ

 

「お母さん お兄ちゃん達がやりました」

 

「幸太郎…………」

「あぁ なぁ五月 これは受け取れねぇわ」

 

俺と風太郎は視線でやり取りした

思ってる事は同じなんだろうな

 

「お前達の家に2回行った でも勉強は教えてない」

「俺も同じだ 何もしてねぇからな」

 

確かに2回は行っただが

やった事と言えば現地集合で現地解散見たいなやり取りだ

俺達の力不足で勉強会自体は実際行われていない

俺が五月にアドバイスした事もこれとは別の事で俺なりに借りを返しただけに過ぎない

 

「そうでしょうか 幸太郎君はセクハラしてたじゃありませんか」

「五月さん 何で今回そんな事言うんだ お前も違うって言ってくれただろ」

「幸太郎 お前ぇ」

「お兄ちゃん…………」

「やめろ 兄をそんな目で見るな!」

まさか 五月は根に持っているのだろうか

やめてくれ 俺が悪いのは認めるけど弟や妹の前でその事を言うのは、ジロリと白い目で見られ「すみません」とお芝居やっていれば、五月はくすくすと笑う

 

「何もしてない事は無いと思いますよ あなた達兄弟の存在は5人の何かを変え始めています」

 

「5人」

「っ…………違います 4人です4人 幸太郎君も見ないでください 後返金は受け付けませんからどう使おうがお二人の自由です」

 

5人の何かと言う言葉に風太郎は首をかしげるが

俺には心当たりはある 二乃の本音 三玖の気持ち などここ一か月で結構変わった気がする

じーっと五月を見れば両の手で顔を隠してしまう

お前も少しずつではあるけど変わってきてると俺は思うぞ

 

風太郎は五月に言われお金の使い道をしばし考えていた

その時だ 家の電話が鳴り出し らいはがそれを取ると俺を呼び電話を俺に手渡した

 

 

「はい 上杉幸太郎です あぁ店長どうしたんですか はぁあ?!大丈夫ですか

 いえ ファミレスの方は今日はないですね いえ俺は別に了解です時間は

  また急ですね はい分かりました では現地で失礼します………… まじか」

 

「どうした 幸太郎?深刻そうな顔して」

 

「幸太郎君 今の電話は何ですか?」

 

「あぁ それが急にバイトが入ってな ファミレスとは別の所なんだが、そこに行くはずの人が急遽来れなくなったらしくてな 俺が使命された断る事も出来たがそうもいかねからな」

 

「えぇー お兄ちゃんせっかく休み取れたのに」

「ごめんならいは 今度遊び連れて行ってやる 風太郎すまねぇけど その金の使い道はお前で考えてくれ」

 

バイト先の人でが足りず俺へと電話がかかってきた

断る事は出来たし 向うも言ってくれればそれでいいと言ってくれたが

そういう訳にもいかねぇしな

世話になってる先の人だ それを無下にする事は俺にはできねぇ

初給料はまかせ俺は荷支度を開始する

 

「幸太郎君 大丈夫なんですか? ここ数日働き詰めで 今回お給料も出ましたし」

「五月 そういう訳にはいかねぇんだよ 心配してくれるのは素直に嬉しいよ 

 でも困ってる人が居るんだ助けてやらねぇと 

 んじゃ 俺は行くから 風太郎自転車借りるぞ! んじゃ五月また今度な」

 

俺の愛用自転車は未だにパンクしたままだ

風太郎の持つ自転車を借りれば今から行っても余裕で間に合ってくれる筈だ

俺のバイト事情を詳しく知る五月は『今回給料が出たのだ休んでもいいのでは』と気にかけてくれたが

そう言う訳にも行かんのだ 

家庭教師は家庭教師だ 俺のバイトとはまた別件なのだ

 

「さて らいは 何処か行きたい所あるか?」

「うーん ゲームセンター」

 

それにだ俺には給料をどう使うか点で思いもつかないしな

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ーーーー 

 

 

 

ーー

 

 

 

「何だ 五月……幸太郎がいないと寂しいのか」

「な そんな訳ある筈ないですよ…………」

「説得力ないぞ そんな落ち込んでる姿は」

 

俺は幸太郎に任された初給料をらいはに使ってあげる事にし

あいつの頼みもあり五月にも同行をして貰っている

『断れません 可愛すぎます』と全く同感だな

 

三人で時間を過ごしていた 流石に今この時まで勉強とは俺も言いはしない

らいはが目に見える範囲でゲームをしている間 俺は五月聞きたい事があり

話しかけている 人と話す事はあまり得意ではないけど少しばかり聞きたい事があった

 

 

 

「なぁ 五月 お前さ 幸太郎の過去知ってるのか? だからあいつを気にかけるのか」

「!?…………な 何ですか急に」

「あいつは何も言わないけど、俺はそれしか思いつかないんだよ」

「……いえ 私は別に彼に何かしら ってもし何かあってもあなたに言う必要があるんですか」

「あるよ 俺はあいつの弟だ、理由はそれだけで十分だろ それにもし知ってた場合

 それが同情の気持ちならやめておけ それは逆にあいつを苦しめる」

 

「…………もし 私が彼の何かを知っていてもそれはあなたには関係のない事です ただ」

「何だ」

「私は彼に害を及ぼす気はありません 彼を傷つける事はしません それだけは分かって欲しいんです」

「分かった 今はその言葉を信じよう お前が、話したくないのかそれとも本当にただの過保護なのかそのうちハッキリするだろうしな」

「上杉君はお兄さんが大切なんですね らいはちゃんと同じく」

「大切か……そうかも知れないな 今では、あんな奴で人には怖がられてるけど本当にいい奴だ 学園の噂も誰かが勝手に言ってる事だ 真に受けないで欲しい」

「安心してください 私は、あんな噂何一つ信用も信じる気もありませんので私は私の目で見た 幸太郎君の姿で判断します」

 

 

上杉幸太郎 それは俺にとって憧れのような人間で

俺とらいはに取って頼りになる兄である

学園でどんな扱いを受けようが、俺はそれに干渉する気もないし

あいつもまた俺の学園での生活に干渉はしない

がだそんな俺達兄弟の日常を少しずつ変え始めた奴らがいるのだ

それが俺の隣にいる この女 中野五月といや五月だけではない

三玖や一花 四葉 二乃だってアイツが周りからどんな評価を受けて居ようが関係ない

と言う様に接して居るのだ

楽しく話すし 冗談も言うし 喧嘩だってする

中野姉妹は、俺達兄弟が変わらない 変わろうとしない時に現れた起爆剤のような存在だった

だからだ あの日からアイツの顔から消えた笑顔を俺は最近見るようになった

作り笑いを浮かべる事もやめた

それに学園でのアイツと話す機会も少しづつ増えてきているのだ

俺を見てもあいつは避けようとはしなくなった

むしろ俺を見るなり  『五月がまた』『二乃の罵倒は健在だ』『四葉は教えていると楽しい』『三玖にここを教えたいんだ』『一花は勉強に参加させるためには』と自分で考えている

五つ子卒業計画を話してくれるのだ

その事に関しては、言えば俺は中野姉妹に感謝しないとならないだろう

 

上杉幸太郎は不良少年だ 周りはそう言い あいつの見た目で全てを判断する

でも違う そんな人間が汗水たらして毎日のようにバイトをし

面倒な五つ子の家庭教師の手伝いなどする筈もない 真正面から彼女達と向き合う事なんてしないのだ

あいつは根っからのお人好しで真面目な奴なんだ………。

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ーーーー 

 

 

 

ーー

 

 

「五月、来てくれてありがと、あと話を聞いくれて感謝する」

「良いんです。らいはちゃんの頼みです。それに上杉君が、彼をどう思っているかも聞けましたから」

「まぁ結局日曜は、潰れたけどな………いやまだ夜がある…お前らも勉強しろよ」

「わ、私はこれで」

 

おいまさかこいつは…………。

幸太郎が、あれだけフォローしてやってるのに何もしてないのか?

さっさとこの場を去ろうとする彼女に幾つか問い詰めているが

『ついてこないでください』としか言わず勉強の事については何も答えない

本当に何もしてないのか?日曜だぞ 24時間あるのにそれを有効活用していないのか

そんな事ありえるのか…………。

 

「お兄ちゃん…………五月さんが四人いる」

 

「えっ?」

 

らいはの言葉で後ろふり返れば

あの顔が四つ 今横にいる五月合わせれば五つだ

そう中野姉妹が、全員集合しているのだ

それも浴衣で着飾って四人はここにいる現れた…………。

何だその恰好は、

 

「集まったし早くお祭りいこう…………フータローだ」

「あれー 五月といるのフウタロウ君 珍しい組み合わせだね こっちが好みだった」

「五月もなんで そいつといるのよ!」

 

お祭りだ? 何だその浮かれた考えは

この場に幸太郎がいれば『勉強向上の為 行ってもいいだろ』と二つ返事だ

だが俺は違う そんな時間はない さっさと残った宿題をやる必要がある!

 

「わっー 上杉さんの妹ちゃんですか? これから一緒にお祭り行きましょうよ」

 

「ねぇ フータロー」

 

「何だよ 三玖」

 

「コータローは?」

 

「あいつは用事で今日は、夜まで戻ってこないだろうな」

「そうコータロー居ないんだ…………」

「って お前達勉強を!」

「お兄ちゃん…………お祭り行きたい ダメ」

 

ふっ俺を甘く見るない

らいはがどれだけ俺に頼みこもうが俺は………。

 

 

「あ いいぞ行こう お祭り!」

 

日曜日が潰れました

俺も幸太郎の事はあまり言えないのかもしれない

だがこれはあくまでもらいはの頼みだそうでなければ動く事もしない

でもな 俺だって簡単には祭り何て行かせない

 

「お前らは今から宿題終わらせてからだ!」

『『はーーーーーーーー!』』

 

幸太郎 俺はとことんこのやり方で行くぞ

信頼もこいつらの学力向上も俺は狙って行くからな!

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ーーーー 

 

 

 

ーー

 

 

 

 

「幸太郎くん すまんな今日は休みなのに こんな時に休みとは全く」

 

「良いですよ店長 それに祭りですから楽しみたいんでしょ 俺が居るんで怒らんでやらんでください」

 

「君は真面目だね じゃ今日は頼んだよ ! 」

 

「了解です!」

 

 

さて屋台での販売だ

折角の休みを返上してやってきたんだ 稼がねぇと元も取れねぇぜ!

渡されたタオルを頭巻き気合を入れなおす

ここはもう祭りという名の 戦場なんだ!!

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。