上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

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第十六話 不良少年と彼の答え・長女の道

「さっきの調子だと電話も出れねぇな!」

「かけてるけどやっぱ出ない」

 

くっそ何で三玖がいるんだ

やっぱあの人混みで一人にするべきでは無かった

俺は何してんだ

イライラが募るが、そんな事しても意味はねぇ

今は走って行く三玖を連れ戻さないと行けない。

 

「一花 一つ良いか 何で仕事抜け出した」

「コータロー君は私の友達って聞いたとき答えなかったから教えなーい」

「はいはい 分かりましたよ………今は追いかけようぜ」

 

言おうとしたと口から出そうになったが止めた

言い訳何てしてる暇はない

こいつが聞きたい事は後で答えてやればいい。

少しむくれるているが本当に嫌なら口も聞かないだろう

 

 

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「あっ あの私は一花じゃ」

 

掴まれていた手を離しガシッと彼女の手を取りこちらに引き寄せた

走らされ疲れたのか三玖も息を切らせている

先程は気づかなかったが三玖の髪型は俺と別れた時とは違っていた

髪を後ろで縛っている これでは一花と勘違いされても仕方ない

俺に阻まれたおっさんはまたかと言うよな表情でこっちを見ている

俺も同じ事思ってるから安心しろ。

 

「三玖すまん 遅れた…。」

 

「コータロー」

 

「君は君はなんだ……君はその子の何なんだ!?」

 

鬼気迫るように言ってくる男性

再び俺にその問いを突き付ける友人という単語では歪だ

少し違う知人と言う言葉も少し違う

何時も気に掛ける五月に説いたがあいつは俺は既に知ってると言った

さっきも遮られ一花にも言えずだ

そんで今度はこの男性だ 合計で4回

四度目の正直だ 意を決し俺は自分の答えを聞かせた

 

「聞きいてぇなら言うよ 俺が誰か 俺とこいつらどんな関係か

   俺の家族だ だから返せよ………!!」

 

その言葉に目の前の男性も抱えている三玖も一花も固まっている

それでいい どんな反応をされようと俺の答えは変わらない

中野姉妹は、俺の家族だ 

 

「なっ 何をわけわからん事を言うんだね」

「おっさん 良く見ろ この顔一花じゃねーだろが! ってかヘッドフォン首にかけてんだろう

 一花は持ってたか? 持ってないだろ」

「だけどその顔見間違いようがないよ! うちの大事な若手女優を放しなさい」

 

若手女優…………?

 

 

「っ…………」

 

「カメラって………そっちかよ!」

 

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ーー

 

 

男性から今日の事を聞かされ きちんと謝罪も受けた

一花はこれから大事なオーディションがある

急がないと間に合わないという事を

それが一花の仕事今やるべき事なら俺はそれを止める事は出来ない

だけどこのまま二乃達に自分の口から何も言わず去って行こうとする

彼女をこのまま行かせて良いのか…………?

何か手はないのか

 

それに止めようにもこのまま三玖をここに置いていく訳に行かない

五月と違って地図も渡してねーんだよ

人混みに飲まれたらまた何処かに行ってしまう

さっき見たいな事は勘弁だ

 

「くっそ………」

「コータロー 私はもう大丈夫だよ」

「背負ってでも行くぞ」

 

三玖を風太郎達の元まで一旦連れていき

裏道を通って一花達の所まで戻れば行けるか

…………今の体力的に厳しいか

焦る俺と何処か申し訳なそうにする三玖

お前は何も悪くないんだそんな顔するなよ

 

「お困りのようですね」

「よう 幸太郎辛そうだな?」

 

「四葉に風太郎! 何でここに」

 

困っている所に現れたのは

風太郎と四葉の二名だった

待ってましたとばかりな彼女にやややつれた顔の弟

面白い組み合わせだな

 

「って らいはどうした?」

 

「一旦向こうにいって 俺とこいつで辺りを探してたんだ」

「お兄さんは携帯とか持ってないんで連絡つかないと大変だと思いまして!」

 

一度向こうに行けば逸れても目的は分かるしな

渡りに船と言えばいいんだろうな

 

「花火の事はお任せください」

「何かあるのか?」

「ふっふふふ取って置きがありますよ!」

 

 

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ーー

 

 

 

「了解だ 俺は一花の所に向かう 三玖その髪型似ってるぞ!偶にはいいかもな」

「幸太郎 これ持ってけ」

「お前の携帯…………」

「こっちに連絡する時困るだろ 今だけ持っててくれ 後捨てるなよ俺のだから」

「あぁ 分かった!」

 

 

四葉達の考えを聞き即座に実行に移す事に

去り際に風太郎本人の携帯を渡された

実行するにも俺と連絡着かないんじゃ意味はないと言う

捨てるなよと念を推されたがそこまでじゃねぇよ少しは信頼しろよ

(俺のじゃないんだ………気にするな)

 

 

「三玖良かったね お兄さんに髪型褒められて」

「うん……少しだけ勇気だして良かったそれと……良い事も聞けた」

「えぇー何々!教えて」

 

 

 

ここまでされて何も言えずあいつを向かわせたら

今度こそ二乃の言う通り出入り禁止だろうな

最近は良い流れで来てるんだそれを崩したくないんだ

 

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

ーー

 

 

 

 

 

「一花見つけたぞ あのおっさんはどうした?」

「車を取りに行ってるとこ」

こちらを静かに見据えている

声も何処か低い そこまで真剣なんだろうな。

 

 

「コータロー君 さっきははぐらかされたけど私からまた聞くね なんでただの家庭教師のいや彼のサポートしている君が、ここまでお節介をやいてくれるの?」

 

そんな事かあそこで言い切ったんだ今更恥ずかしくない

もう一度言えばいいんだろう

さっきなんて結構人がいる前だったんだ

今は観客はこの一花のみだ

 

 

「家庭教師としては協力関係だ けど俺にとってはお前ら姉妹は妹みたいなもんなんだ 家族と言っていいぜ」

 

「家族ねぇ もっといい例えなかったの お兄ちゃん?」

 

「うっせーよ」

 

茶化す余裕があるんだ

少しは肩の荷が取れただろう

さっきよりはましに見える………。

すっと本のような物を俺に手渡す

受け取るのを見ると安心したのか彼女はそのまま話してくれた

自分とこの仕事の出会い

半年前に会った彼女への夢の始まりをだ

ちょっとした事で人の運命とは自分が想像していた事よりも大きく

それが大切なものに変わって行くんもんだ

彼女はそれを演技をしていく中で見つける事が出来た

そして今回のオーディションで一花が本格的なデビューが掛かっていると

 

「そう せっかくだから練習相手になってよ?コータロー君が相手役で」

「演技ねぇ…あんました事ねぇぞ?」

「お願いお兄ちゃん」

「はいはい」

 

俺に演技を期待されても困る

そう言った事は苦手だ

それでも構わないと一花は言っている

断る必要はないと台本に目を通し

自分の台詞部分を自分なりに朗読をはじめ

それに合わせ彼女も台詞を読み上げる

 

内容と言えば良く見る学園ものだ

クライマックスという超重要な場面である………。

自然と彼女の演技も気持ちが籠って行く

 

 

「あなたが先生で あなたの生徒で良かった」

 

その台詞を聞けば目頭も熱くなる

あの一花からそんな台詞が出てくるとはお兄ちゃんは涙が止まらんぞ

 

「良い台詞 そして一花良い演技だ」

「ありがとね 自信つくよ」

 

これなら俺も彼女を見送る事が出来る

少しすれば向かいの車がこちらに向かってくる

ライトが見え始めた頃には一花は移動を開始し

こちらに笑顔を振りまく

 

まだダメなようだ

 

「い…………コータロー君!」

「一花 お前の笑顔で俺を見ろ そんな顔じゃ俺はお前を安心して見送る事はできねぇ」

 

両頬を軽くひっぱる

当然びっくりしてこちらを見てくれる

こいつは何時だってそうだ

風太郎もそれに気づき先ほど俺に忠告していた

一花は重要な場面で何時も笑ってごまかしている 本心を見せようとしないのだ

内心イラっとしていると弟は話した

俺もそれを何処かで気づいていたでも怒りよりも寂しさを覚えた

その作った笑顔を姉妹相手でも使う姿を見て来たんだ切なく思える

そうまでして本心を見せたくないのかと

自分に突き刺さる台詞でもあるがな………。

 

此処から先の内容は風太郎からも許可を得た

本心を見せて欲しいのならこっちも自分達の状況を伝えなければ

不公平だろうな 

 

「俺達の家は借金をかかえている その借金を返す為 俺は風太郎に協力し

 お前達姉妹の面倒を見る事にした。でもやって見れば全然上手く行かんどころか、何もしてねぇのに五月に給料だって渡された  その分は働くし義理を返す

 それに俺はお前達が本気で報われる姿が見たい!

   俺にはお前達に返さないと行けない恩があんだ!  

 それに震えるお前をこのままにしたくはないしな…………ッ」

 

俺の言いたい事は全部言った 

最近自分らしくもない熱血な長い台詞を言う事が多くねぇか?

中野姉妹の笑顔の代償と思えば安いもんだろうが精神がすり減る

 

「この仕事を始めてやっと長女として胸を張れるようになれると思ったの 一人前になるまであの子達には言わないって決めてたから 花火の約束あるのに最後まで言えず黙って来ちゃった

これでオーディション落ちたらみんなに会わす顔がないよ」

 

それがこいつ中野一花の本心だ

自分にも厳しいけれど姉妹を思う心の優しい少女の姿だ

こいつは俺なんかより立派に長女をしている

偽ってばかりなのは俺なんだ………。

あの日から一花は一花なりに前に進もうとしている 何時までも後ろ向きの俺とは違う

 

 

「もう花火大会終わっちゃうね でも流石にあんな事するだけはあるねコータロー君… 君って思ってた以上に気がきくのかも お姉さん驚いたよ」

 

「俺が敏感に思えるか?」

「それはそれで色々と面倒だね君は……。」

「まぁ 俺はただ一花とあいつらの笑顔が少し違うそう思っただけだ」

「何だろ 君相手だとペース崩されっぱなしだな……こんなで崩されてて芝居出来るかな」

「一花……俺はお前の夢の道を応援する 夢は諦めたら終わりだというが本当に終わるときは

それを誰かのせいにしてずっと逃げ続ける事なんだ………

だから自信を持っていけ お前なら出来る!」

 

自信なさげに表情なる一花を励まそうと出たその言葉自分で言っていた

耳が痛くなる 逃げ続けているのは

あの人の言葉に振るえ自信を無くしたのは他でもない俺だろうが………。

だけどこんな男の言葉でも少しは一花の力になれるのなら今はそれでいい

 

「一花 謝る時は一緒に謝ってやるよ それと御守りだ鈴無くすなよ?」

「…………うん」

 

「一花ちゃん 早く乗ってー」

 

「はいはーい」

 

一言だけ言うと彼女はそのまま車に乗り込み

オーディション会場へと向かい走って行く

俺は見えなくなるまでその場で立ち止まり

その場で深呼吸をした…………。

 

 

「はぁーーーーーー…………って一花を待つ間済ませねぇとな!」

 

今日の俺は色々と人に救われてばかり

五月にも四葉にも風太郎にもそして三玖にもだ

少しだけ此処を離れ一旦屋台の方へと向かう

一花達が戻ってくるまでには戻れる筈だ……。

 

 

 

 

「すみません…………これください もしもし四葉………。」

幾つか並んだ品の中で彼女に似合いそうな物を選び

袋に入れてもらう上を見れば最後の力と言わんばかりに力強く

花火が夜空を照らす

体力の限界が見えて来たが明日までは持ってくれと足を叩く

こっちの準備も間もなく終わる 四葉に連絡を入れ 

空にあがる花火を見つめ オーディションで戦う彼女に激励の言葉を投げかける。

 

(一花 お前なら大丈夫だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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