上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

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第十九話 不良少年と四女の行動

「アドレス交換! 大賛成ですよ! あっその前にこれ終わらせちゃいますね」

「一応聞くが何やってんだ?」

「千羽鶴です!友達の友達が入院したらしくて!」

「勉強しろ!」

 

図書室に集まり勉強会が開始されると…………。

俺も風太郎も思っていたが何時もやる気を出してはそれが明後日の方向へと飛ばす四葉さん 今日変わらず全速力だ

渡されたプリントでもなく 風太郎がまとめた問題集でもない

彼女が力を注いでいるのは、何処かの誰かの為の千羽鶴作りだ

終わらせますの前に何も始まってすらいないという何とも四葉らしいと言えばらしい状況だ

頼まれてしまったからには引き受けるのが、彼女中野四葉だ

元気が溢れるとは彼女の為の言葉だと俺は最近辞書を引くたびにそう思う事にしている

人の為に出来るその姿勢は俺も大賛成だ 素直に四葉に頑張ったと言ってあげたい

ただその頑張りを勉強の方にも向けれればこいつは化けると俺は考えている

 

「風太郎と俺で残り半分やっか」

「仕方ないな」

(やってあげるんだ)

 

彼女から数枚紙を預かり俺と風太郎もそれに手を貸す

こういった事はここしばらくやってない

四葉のやっている姿を参考に俺は手を動かしている

 

「っ…………」

「お兄さん 紙落ちましたよ」

「すまんすまん 」

 

紙を折るどころか掴もうとする指に力が入らずそのままするっと落ちてしまった

昨日の疲れがまだ残ってるのだろう

今朝だって寝坊しかけたんだ 蓄積されている疲れは俺が思っているより多いものかもしれん

隣でひたすら鶴を折る風太郎は何でか物凄く手慣れている

何か悔しいな…………。

 

こいつには負けまいと俺もスピードを上げようとしていた矢先

何処かの教諭が四葉に声をかけ何やら話をしている

何度か頷くとその男性教諭は、後ろの本棚付近に置かれたプリントの山を俺達の座るテーブルに乗せるとやり切った感のある表情で去って行く

どうやら俺達が鶴を作ってる間に四葉がまた何か頼まれ事をしていたようで

聞かされれば二つ返事とはまさにこれ 気づけば鶴どころの話ではない

 

隣に座る風太郎から不機嫌なオーラがふつふつと溢れ出ており

一花もそれには苦笑いと言う状況だ

 

「お兄さん 私すでに5枚作りましたよ」

「俺は3枚だ!」

 

「お前も張り合うな」

 

少々俺も悪乗りが過ぎたか叱られちまった

一方四葉には焦りの表情すらもなく鶴を折り続けながらも渡されたプリントをきちんと配りますと言い切っている程だ 何と言うかここまで来ると凄いしか言えない

このまま放ってはおけばどんどん物や頼み事でここが溢れるのんじゃねーか?

見て来た限りだが、四葉は断ると言事を知らんらしい

 

 

俺の考えが表情に出てるのか

お前が言うなと 三玖や一花に風太郎まで俺に視線を向けている

 

「なんだよ 顔に何かついってか」

「目と鼻と口だ 幸太郎」

「奇遇だな お前も俺と同じのついてるぞ」

「微笑ましいねぇー」

「良いから一花もやっててくれ」

「私はうーん 見てるって事をやってるよ!」

「お前なぁ いるならやれよ?」

 

一花も合流はしているが、全くと言っていい程手を動かさない

こちらを見てはニヤリと笑ったり手元でスマホいじったいたりと

こっちに様子を見に来てるだけだ…………。

一度も来ない二乃と比べたらここに顔を出すだけマシと言える

ただ是非とも目の前に置いてあるプリントだけでも書いて貰えねぇ―かな?

 

「?」

「?じゃねーよ 学校いる間だけで良いからやってくれ!」

「はー コータローくんもフータローくんみたいな事言うんだね 悲しいな でもまぁ やりますよ」

 

嫌々やらせるのは俺の主義に反するが、ここにいるという事は少なからず彼女もやると言う

意志は持っているという事だ、今だって言えばプリント相手に格闘を開始

ノートに悪戦苦闘しながらも教科書を頼りに少しづつだが書く速度が上がって来いるようにも見える俺の視線に気づけばチラッとスマホ画面を見せてくる

 

(こいつは懲りねーな)

 

今持ってないもんをどうしろと言うんだ?

冒頭でのやり取りだ 風太郎には既に彼女達とアドレスの交換のやり取りをするよう言ってはある

俺と違い何か弱みがある訳でもない為乗り気ではなかったが

昨日の二乃とのやり取りを思い出せた 

それは不測の事態での連絡先の有無である

携帯関連を持ってない俺は論外だが、風太郎は所持している

ならば家庭教師をするうえで彼女達の連絡先知るべきだ

『過度な事は必要ない』とはこいつの言葉だ

少しでも姉妹との関係を良好にしていくにはこういった交換は必須だと

途中からごり押しで話を進めた、

多少なりと効果は出たのか、一花や三玖の連絡先は入手出来ていた

 

 

「コータローにも私のメアドを教える」

「まぁ 教えてもらっても返せる手段を俺は持ってすらいねぇがな………でもありがとよ」

「ううん もしコータローが携帯を持ったら登録しておいて」

「はいよー…………それとな三玖 それ着けてきてくれたんだな」

「これは私の大事なものだから。」

 

三玖は天使なのかもしれねぇな

聞けば気恥ずかしそうに顔を背けてしまうが

送った髪留めを翌日にもしてくれていた

加え大事な物とも話している送った本人としては凄く嬉しい事である

勉強にも自発的に参加してくれる 分からなければこちらに質問も投げかける

難点と言えば日本史以外は極端にやる気が低くなることだろうな

そこは俺や風太郎でカバーしていけば良いだろう

 

ッ!突然の激痛だ

下を覗けば誰かの足が俺の足を踏んでいる

勿論方向から犯人の目星はつく

 

「コータローくん私のは知りたくないのかなー」

「おめぇのは朝見たよ っかどけてくれ」

「そうなんだ 教える手間省けたからいいかな」

「紙に書いてあっから…………まぁ 本体無ければただの紙切れだけどな」

「そう言う事言うと お姉さん勉強やる気でないなー」

「検討させていただきますっっっ」

「素直でよろしい」

 

(三玖良かったね 彼もしかしたら買うかもよ)

(うん コータローと連絡できる)

 

「どうしたー 手が止まってるぞ」

「何でもないでーす それで二乃と五月ちゃんのは良いの 二人とも?」

 

「あぁ…うん、」

 

出たよ最終関門だ

五月はそれとなく頼めば教えてくれる可能性はある

ただし 二乃は難易度が一気に上がって行く

正直言えば、あいつからどうやって聞けば良いのか、考えてはいるが

どれも断られる未来しか頭に浮かばない 

本音を聞かされた分厄介な類だ

まぁ なるようになるとしか言ねぇ

訂正する所はまだあった………。

絶賛千羽鶴量産態勢にある四葉だ

このウサギリボンのメアドを俺はまだ聞けてない

先程この話題には乗り気ではあるが、俺や風太郎が二人に聞く際も本人からは動こうとしない

もしかして交換する気ははなっからないのか?

 

「そう言えば 二人を私は見ましたよ 今のうちに聞きに行きましょう」

「なんでお前も行くんだよ!ってか四葉お前のアドレスは…」

「早くしないと帰っちゃいますよ!」

「やっぱ勉強する気ないだろ!」

「もう今はこれで良いだろう風太郎…………」

「お前は諦めるな!」

四葉の行動を制服するのは難しいとしか言えない…。

下手にコントロールしようとすればまた何か頼まれ事でもして来てそれこそ勉強の時間は無くなっていく

風太郎には悪いが、今は四葉のペースに合わせて動こう

 

「ちょっくら 二人の所に行くわ おい 四葉案内頼む」

「お兄さん 了解しました!」

「二人とも勉強しててくれ!」

 

はいはーいと手をふる一花にこくりと頷く三玖を見て

風太郎も俺と四葉についてくる

四葉から聞きだせばいいのだが、案内したいと言うんだ素直に従った方がいい

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

ーー

 

 

「お断りよ お こ と わ り」

「模範的な回答だぜ…」

 

そう言われる事は知っていた

ランチをしている二人の元へと四葉の案内で来たは良いが、二乃からの返事は即答だ

露骨に嫌な顔をされている

隣の弟も想定してた事なんだろうな表情で分かる

風太郎もここまで何も考え無しで来た訳じゃない最終手段は考えていると話した

 

「っか あんたは 現代人のなのに携帯もないじゃん? 何で聞いてくるわけ…アドレスって別に電話番号じゃないんだけど わかるよね?」

「んなも知ってるわ!」

 

電話番号とメールアドレスが違うってくらい知ってるし

俺が携帯持ってた頃もきちんと使えた

そこまで脳内は過去の人間じゃねぇよ

二乃からしたら俺は、いまだ現代の人間と言う呼称ですらないらしい

一応違いを教えてくれるだけの優しさはまだあるようだ

と言うより困惑してるように話している

 

「けど 幸太郎君が聞いて来るのは意外です はっまさか!」

「まぁ…お前に言われた訳じゃねぇけど 考えるだけは良いかなってよ…なんだその目は」

 

そこまで可笑しなことを言ったか?

二乃は信じられないと言いたげな顔でこっちを見ている

五月は何処かよそよそしいが食は進んでいる

 

(ん?)

 

食堂でのやり取りだ やはり目立つのだろうな

周りの連中がこそこそと噂話を始めている

中野姉妹とは今では有名な人間となりつつある様で

そのうち二人からアドレスを聞きだそうとする俺は異端に見えるのだろう

こういった光景も半年近く見ていれば慣れてくるな………。

何かがすり減るがそれも今更だ

 

 

「幸太郎君 何時頃とか予定はあるんですか」

「まぁ追々な 早めに見ておこうかは思ってる」

「そうですか…了解しました」

「そうか…何を了解したかは知んねぇけどな」

 

「でも アンタが買うとかうける」

「言いたいだけ言ってくれ」

「アンタが新しい機種とか絶対にお店の中で混乱するから!」

「はぁ? 俺はそこまで老化進んでねぇよ二乃さん」

「どうかしらねー」

今どきの携帯やスマホがどれだけ進化してるか知らんけど

どうせ何処まで大した進歩はしてないだろう

風太郎ですら扱えるんだ 俺だって今どきのは扱える自信はある

 

二乃と変わらぬやり取りをしていると横を見れば

風太郎はらいはの番号とアドレスを盾に五月から聞きだす事に成功していた

卑劣なやろうだ 身内の顔が見て見たいな

 

「あんたが兄でしょ っか身内を売るなんて卑怯よ!」

「何だ二乃は教えてくれないのか残念だな ではお前抜きで話すとしよう俺達と四人で内緒の話をな」

「うわ…」

 

上杉風太郎 これがお前の最終手段か、ひどいと言う感想しかでない

何時も思うがこう言った行動をする際の弟は容赦と言うもんがねぇな

流石に効いたのか、苦虫を噛んだ如くと言った顔で肩を揺らす二乃は、手帳を提示するよう風太郎に言い 彼はそれを手渡す

手際が良いと俺も関心させられる

俺はと言えば、二乃からも五月からも聞けず仕舞いだ

先程の二人ほど簡単に行くとは思ってなかったが、まさか収穫なしとはな…。

 

「何だ 二乃」

「アンタも生徒手帳出しなさいよ」

「何で?」

「馬鹿なのアタシの書くからに決まってるでしょ」

「あぁ………悪りぃな はいよ」

「あんたの手帳やけに綺麗ね新品?」

「前の奴は無くしたからな…。」

 

ふとした疑問なんだろう

風太郎の持っている手帳よりも綺麗だったため気になったと話す

ちょとした事で無くしちまうんもんだしな

しかし難攻不落と思っていたが二乃は何だかんだ言いつつ優しい子だな

手帳に書き写す彼女を見ているとやはり昔と変わってないのだと思えてくる

 

「これで全員揃いましたね」

「あと一人いるだろ」

「えっ?一花 三玖 五月 二乃 あーー!!私です!」

「お前らしいな…。」

 

図書室から今まで共にアドレス交換の旅をして来たが

四葉は自分を勘定に入れる事をすっかり忘れいたようだ

千羽鶴からプリントの配布 ここまで案内と四葉は四葉で動いていたんだし忘れんのも

仕方ねぇだろうな…。

わわわと焦る顔を見ると果たして忘れていただけなのかアホなのか怪しくもある

 

五月も入力は終わったのようで風太郎へ携帯を返す

彼女が持っているスマホなんだが良く見れば俺が渡した鈴がストラップ代わりに付けてあった

 

「五月 これなんだが…。」

「はい 幸太郎君がせっかく渡してくれたので この鈴の音が私を見つけてくれたんです大切にしたいんです…。」

「そうか  大事にしてくれる人に渡ったんだそいつも喜んでるだろう」

 

付けてある鈴を大事そうに見つめる彼女を見ていると

こいつに渡して良かったと思えるしそれに五月が言う様にこいつのお陰で見つける事が出来た

縁起が良いものは傍に持っておきたいしな

五月は大事そうにしてくれているが、一花の方は身に着けている姿を見る事は無かった

流石に無くしたって事は無さそうだとは思うけどな

 

「一花ですか? 彼女なら財布に着けてましたよ 私と同じだと間違ってしまうからと言ってました」

「そうだったのか…財布とか見せびらかすもんじゃないしな 大切にしてんならいいさ」

 

一花は目に見れる範囲では気づけないだけで所持はしていると言った

五月と同じだと咄嗟にどっとがどっちと区別もつきにくいと言うしな

 

小学生なら鞄にでも付けるんだが、もうこいつらも小学生じゃねぇしな…。

手帳にメアドや番号を書き写し二乃を見ていればそれも頷ける

五月はスマホに付けられた鈴を鳴らしニッコリとしてしており

ちらっと二乃は視線をそっちに向けるどうやらこいつはこれの出所を聞いては無いと言った感じだ

 

「五月 あんたそれ昨日から持ってるけど何?祭りで買ったの 一花も持ってたけど」

「えっあぁー これは」

「鈴の音色は厄除けや勉強運向上の効果もあるんだぞ 五月は自分なりに勉強してんだ少しでもこういう効果を期待してんだろう」

「へぇー アンタが珍しいわね 一花は昨日のオーディションの為かしら」

「んじゃね? それに音色は案外良いだろ 心が落ち着くし」

「あんたのその顔で 心が落ち着くとか似合わないわね」

「余計なお世話だーー」

 

姉妹でも知られたくない事があるそれを一花で学んだ

五月が言ってねぇんだし 俺も言いふらす必要はねぇだろう

二乃もらしくないと言いつつも『偶には良いんじゃない』とあとに付け加えた

男から送られた物とか言えば姉妹大好きなこいつからしたらどんな気持ちなのか用意に想像出来ちまう

 鈴の効果を適当な理由で誤魔化したが実際に効果があるのは、持ってる人間を判別できる事ってくらいだろうと五月が持っている鈴をじーっと眺める

二乃も難航しているようだし暫くここで待つのもありだと離れた場所に座ろうかと思えば

五月が自分の隣の席をぽんぽんと叩いている

 

「だから おめぇは母親かってんだ」

「幸太郎くんは今日はお昼取ってませんよね?」

「何で知ってんだよ」

「昼頃には上杉君と何処かに行ってましたし その後は保健室に居ましたから」

「把握してんなよ 少々お前の考えを俺は改める必要があると思て来たぞ」

「ですから、少しでもお腹にいれるべきです」

「携帯の事考えると暫くは無駄使いはパスだな 適当に水分取れば行けっから」

「それでは体が持ちませんよ!」

「まぁ 落ち着け周りの目がある クールダウンしてろ」

「うぅ…………」

 

ここまで良く他人の為に出来ると驚かされる

四葉と違い五月は普段見る限りは、断れる事は断っているし

自分の許容範囲と言うもんをこいつなり分かってんだと思う

だけど何故か俺に余計に世話を焼いてくる

ここ暫く考えているが、俺は五月に世話を焼かれる理由がない

俺は姉妹を妹のように思っており 学園でも自発的話す努力はしてる

だが五月はどうなのか? 学園であった際も俺の事は覚えてない様子で

今もずっとそれが続いている 不良少年を更生させる優しい女の子と言えば聞こえはいいかも

知れねぇけどそんな感じとは実際やられてる側の俺は思ってない

たまには注意をするがそれだけだ 更生させようとする人間の行動ではない

今更言った所でこいつがそれを止めるとは思えねぇけど俺に向けるそれを風太郎の勉強へ向けて欲しいというのが俺の本音だ

ただこいつには不本意と言え騙す形で近づいたんだ 人の事は言えん

 

しゅんと拗ねながらも口に物を運ぶ

もぐもぐとメロンパンを頬張る姿は何処か小動物を思い描かせる

 

五月との何時ものやり取りをしている時

四葉の方から何やら音楽が聞こえ そっちの方を向けば

スマホの画面を確認する彼女は、何かを思い出したと言うような表情でこちらを見ている

その表情を俺と風太郎は今日嫌と言う程見て来たし

何を考えているのか容易に想像出来る…つまりはあれだ

頼まれ事なんだろうなと風太郎には悪いが俺は自然と折れている

やる気がある分四葉に勉強しろとはあまり強く言えないのが最近の俺だ

一礼し その場を去ろうとする彼女を追いかけようと走って行く弟を見て

俺も他人事ではないとそっちに視線を送り

中野四葉の真意を知る為にも俺もまた彼女の後を追う事にした

 

「んじゃ そう言う事で」

 

「幸太郎くん! あの私まだ 教えてませんよ! 私が最後と言うのですか…」

「って 二枚とも書き終わったんだけど…いないし」

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ーーーー

 

 

 

ーー

 

 

「…何してんだ」

「隠れろ見つかる」

「へいへい」

二人を追えば廊下の角で風太郎が身を隠しちらちらと覗いている

俺も身を乗り出し顔を出せば、四葉がにこやかに会話をしていた

相手の顔は部屋の中に入ってるから分かんねぇが、ここは部室等が並ぶ建物だ

何処かの部活から呼ばれているんだろう

 

「バスケ部だ」

「あぁ…………例の怪我してるやつが出たって言う」

 

数ヶ月前に行った勉強の際に

二乃がこちらを妨害するために画策した四葉排除作戦の一つだ

勉強意欲がある四葉に変な罪悪感を抱かせる訳にいかないと彼女に行くよう俺は促し

『やるなら半端はなしだ』と言ってしまった張本人だ

あれ以降も関係は続いてるようで時折勉強を抜け出していたり参加が出来ない理由はこれなのだろう

まぁ四葉の事だ他の部にも力を貸してんだろさ

それ程四葉は人を放ってはおけないと言う 善人と言う位置付けられる立ち位置立っている

 

盗み見る事は良い事ではなく勉強にも参加してくれる四葉には悪いと思う…。だが俺は、あいつの真意や覚悟にも似た気持ちを知りたい

こうやって誰かを助け続けるなら俺は、それを止める事はしない

自分に出来る範囲で他の姉妹と同じくカバーもする

しかし 四葉の成績を上げる必要も俺にはある

アイツが本当に勉強に取り組みたいのかそれともただ来ているのか確かめたい…。

 

暫く監視をしていれば『入部の件考えてくれた?』と女子の声が聞こえる

どうやらバスケ部の主将のようであの一件以来 四葉を何とか部に入れたい

そしてその才能を生かしてほしいと語る

 

(才能か…………)

(幸太郎?)

 

その才能があるなら応援するべきだ

何時ものように力になる声をかけようと頭が勝手に判断している

それは軽率だと言え自然と足は止まる

 

バスケ部と話す四葉は笑顔を崩さないが、スカウトの事を聞かされた時に

顔色を少し変え ちょっとばかり間を開けた後に口を開く

『入ります』と言えば確実に風太郎は止めに動くだろう

でもそれをさせる訳には行かないし する必要もねぇと何処か確信めいた物を覚えた

 

 

 

「はい 誘ってもらえて嬉しいです でもごめんなさいお断りさせてください」

 

彼女はバスケ部の勧誘を断り

四葉は頭を下げる 隣にいる風太郎も驚いた表情でそれを見守り続ける

話はまだ終わっておらず顔をあげると言葉を続ける

 

「バスケ部の皆さんが大変なのは重々承知の上ですが 放課後大切な約束があるんです

も もちろん試合の助っ人ならいつでもОKですので…………!」

 

「そっかなら仕方ないね  せっかくの才能がもったいない気もするけど」

 

バスケ部の言葉は最もだ

四葉の運動している姿は時折見かけるが、それは下手な部員よりも戦力になる

誰よりも早く 誰よりも動く そんな才能と能力を彼女は持っている

昔からだ四葉は姉妹の中でも一番に運動を得意としていた

五つ子だから平等だとかつての二乃は話したでも他人目から見ても

運動のセンスは確かにあった…………。

全員それぞれ何かしらを得意とするそれは長所であり短所になってしまう

三玖と話しそれを俺は知る事になった

俺が動かなかった理由はそこだ………三玖や一花と同じように考えていた

けど 四葉はそれをやりたい事とは話していないのだ

 

あいつはただ単にそれを誰かの為に使っているに過ぎない

続けはするが、それが本当にやるべき事ではないと彼女も考えていてくれるのだ

 

 

「才能がない 私を応援してくれる人がいるんです」

 

その言葉は俺の隣にいる風太郎には良く刺さっている

効果はてきめんと言った感じだ 断った姿を見てからずっと何かを考えている

嬉しいような 恥ずかしいような何処か困惑している様子

自分の行動は無駄じゃないとこいつも分かったんだろうさ

 

 

 

「ぬわ! 上杉さんにお兄さん なぜここに………」

「あぁ?逃げたウサギを5羽探しにな」

「う うさぎですか! 何故学校にうさぎが………お手伝いしますよ」

「まぁ 二羽は捕まえたし お前がくれば三羽」

「えっえ あのどういう うさぎ?」

「四葉 お前の用事は終わったのか? 今日はしごいてやるから覚悟してろよ」

「はいっ 覚悟しました!  そしてうさぎも見つけます」

「幸太郎の冗談は気にするな」

 

5匹の兎とは俺も咄嗟だが適当な理由で誤魔化したもんだな

四葉でなければ信用しねぇよこんな言い訳

 

風太郎の言葉で四葉も表情に力を入れ右手で敬礼している

その後は図書室に戻り授業を受け俺と風太郎の学校での一日は終わって行った

5人中3人だが、当初に比べれば大きすぎる進歩だ………。

なーにか忘れてる気がするけど思い出せないって事は大して重要な事ではないんだろう

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

ーー

 

 

 

「って事が今日あってねー」

「だから遅かったんだ」

「それに四葉がウサギって言ってた意味も分かったかも 5匹の兎ってコータローくんも中々だね」

「えぇー 一花は兎の事わかるんですか」

「さぁーどうかな それで五月ちゃんはどうしたの? 帰ってからずっとテンション低いけど」

「幸太郎君が…………私のアドレスと番号だけ聞いてくれませんでした」

 

 

中野姉妹の夕食風景

それぞれが今日起きた出来事を楽しそうに話す

四葉は自分が部活には入らないと決め断った事も伝えた

一花は元から心配はしていなかったのかにこやかにそれを聞き

同じく今日妹が口にした『兎が5匹逃げてるんです』の意味を理解したのかふふと笑っている

楽しく話し 順調に学園で生活出来ていると実感する中で

ふと自分の前から見て右に座る五月の様子が帰宅の時からおかしい事に気づき

声をかける あまり食も進まず 雰囲気も重い………。

上杉兄弟とのやり取りの中 風太郎の連絡先と本命のらいはの連絡先も無事に手に入れたと言うが

彼等の兄である あの少年一人だけ文明の利器を使用しない彼には教える事が出来ず

後から聞いてくれる事もなかったと思いだすだけで、ため息をついてしまう

発端は自分だった事を思いだした一花はフォローを入れ

妹を落ち着かせる

 

「コータローくんは楽しみは最後にとっておくタイプかも知れないじゃん」

「…………!!まさかそうなんですか一花 いえ別に何でもないですが、私だけ教えてないのはおかしいと 言うだけで別にどうこうとは無く あの私は何を言ってるんでしょうか」

「あっははは 複雑な年ごろだからね まぁゆっくり考えれば良いよ 三玖も焦らずね」

「なんで私が…………私は別にコータローの事は言ってないから」

「えぇー 何の話ですか! 私もまぜてよ」

 

一花は知っている彼がそんな事するわけはない

ただ単に聞くタイミングを逃し 彼の事だそのまま忘れてしまったのだろう

自分の事にはとことん無頓着で彼女が、言わなければ自発的姉妹から聞く事もしなっただろう

暫く話す中一人会話に混ざらず 手元に二枚の生徒手帳を持つ少女がいた。

二乃もまたタイミングを逃し 風太郎と幸太郎の手帳を持ったままだった

じーっと手帳裏の証明写真に写る目つきの悪い二人を見て如何するべきか一人考えを巡らせる

 

とその時だ ニ乃を除いた、全員のスマホが鳴り出した

電話ではなく メールだったようで音が鳴ればすぐに止む

彼女達は中身を確認するが、顔色が一気に変わっていた

 

文面にはずっしりと問題が本文の文字数の限界まで書かれていた

これが彼からの初メールだ

 

「やっぱり 断った方が良かったね」

 

四葉の言葉に四人は頷くのみだ

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