上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

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第二十話 不良少年と二つの写真

「憂鬱だ」

「どうしたの?」

中間試験のお知らせと記載された紙を見て

表情を曇らせる眉間にはしわを寄せ

こめかみを軽く指で押さえる、風太郎の後ろから顔を出す妹は普段のこいつから出る言葉ではない為少々驚いている

まぁ 自他ともに認める勉強馬鹿だ 勉強がバカとは矛盾とこいつの言葉だが

そういった人間がテストを知らせる紙を見て弱音のような発言をするのはとても珍しいもんである

 

「へー自信過剰のお兄ちゃんがテストを嫌がるなんて珍しいね」

「俺じゃない……あいつらだ…試験がある事すら知らない可能性すらある」

 

可愛い妹だが時折毒つく事もある

風太郎は軽くスルーし三度用紙を見るが内容が変わることは無い

ここ数ヶ月挑んではいるが、勉強できたのは僅かだ

今日は一花 三玖 四葉が協力して勉強に勤しんでいたが、此処から数週間で全員の成績をある程度まで上げないといけないと思うと彼でなくても深いため息は出てしまう

ただ それを夕食時と言う 家族がそろう場で堂々と見ているのは考え物だ

こいつは五月の一件で何も学ばんのか大抵同じ事をすると人間は痛い目を見るもんだ

勇也さんはもぐもぐと箸を進めるが、口々に『勉強勉強』と話す息子を見て

一言物申した

 

「風太郎 家でまで 勉強の話は やめなさい」

「どんな教育方針だ! そもそも親父が持ち込んだ仕事だろ」

「やめい!今は夕食だ 後に回せ」

「幸太郎まで 良いのかそれで?」

それが親の言う事かと食ってかかる風太郎を制止

今は少しでも良いからお前も自分の事を考えろ

それに良いも何も俺は俺で考えてはいる

ある程度は、ましになって来てるんだ、肩の力を少しは抜く事を覚えるべきだ

 

 

「俺もいるんだ 一人で抱え込むな 何の為の補佐だ?」

「それもそうだが 幸太郎には言われたくないと思うのは俺だけか?」

「お兄ちゃんも一人で何でも解決しようとするからね」

まさか妹にまで言われてしまうとは

抱え込むねぇ 俺はそう言った事してないつもりでいんだがな

周りはそうは思わんらしい

 

俺達のやり取りを見てか深く勇也さんはため息を零す

この人も考え無しでこの仕事を持ち込んできたわけではないと思う

相手があの中野家だ

家にはそれなりに因縁がある家庭だったりするが、風太郎はそこら辺深くは知らんのだ

この人が言わないのなら俺も風太郎にその事を言うつもりはないが

あの人からなのか 勇也さんが無理を言って頼んだのかは知らないけど

重要な事なのは間違いない 下手したらただの家庭教師としての話で終わらんかもしれない

 

「お前だって昔は勉強できなかっただろ 心配しなくても五月ちゃんたちも変わるさ」

「まぁー うん昔のお前は…………すまん笑うつもりはない」

「えぇー前はこんな勉強オバケじゃなかったの?」

「こいつは昔は俺や今の幸太郎見たいにワイルドな男だったぞ」

「俺はワイルドとかではないですよ」

「お兄ちゃん 写真嫌いだから昔の話聞きたーい」

 

何とも懐かしい話題だ

5年前の風太郎の話で我が家は盛り上がっている

その頃はらいはも今より幼く覚えてないのも無理はないだろうな

余り人の事は言えんが、昔の風太郎は色々とやんちゃだった印象だ

今では真面目な人間として日々勉強に明け暮れるがり勉強人間とあの頃では別人だ

 

「別人と言えばお前もだろ?」

「あぁ?誰がだ誰が」

「怖い怖い 悪かった」

 

藪蛇とは、これ如何に…風太郎からの反撃で、俺のいらん過去まで掘り起こされそうになったが、ギロリと、睨んだ事で彼は口をつぐみ、妹もやや苦笑いで俺達の様子を眺めていた、

そんな俺達を尻目に勇也さんは、風太郎の方を見ると何かを思い出したのか、三度口を開いた。

 

 

「あの子に会ってからか その子の写真なら生徒手帳に忍ばせてるのを知ってんぞ」

「バレバレだ」

「えっ」

 

あんな頻繁に出し入れする手帳にしまっている

それも一番後ろに挟んでんだ嫌でも見えてしまう

こいつにその気がなくてもだ。

それもあって風太郎が二乃に生徒手帳を手渡した際は俺も驚いた

こいつは案外神経が図太いのだと………。

 

 

「見せて~」

「絶対見せな…あれ?生徒手帳………二乃から返してもらってない……」

迫る妹を避けつつ胸ポケットにあるであろう

生徒手帳を探るが ある筈の物がなく焦りだす風太郎

見たかったものがないと分かるとらいは『残念』と自分の席に戻る

 

「今更か………」

「またお前は知ってたのに言わなかったな!」

「いやお前が余りにも自然に渡すからな まぁ俺はあいつが持ってても別に構わんけどな」

 

その場に力なくうなだれる風太郎は奪還するための手立てを考え始める

相手は二乃だ もし見られたら簡単に返してくれないだろう

風太郎自身の写真は見られてもいじられる程度だろう

だが写真に写るもう一人が問題なのだ その写りこむ髪の長い少女

けどそれを見られた場合 

風太郎が思っているよりももっと厄介な問題が待っている事も俺は知っている

これに関しては風太郎が向き合う事であり俺は、ソレを見守りだけなのだ。

 

「でも お兄ちゃんもないんだよね」

「俺は写真も何も入れてねぇからな…」

「あぁ お前の前の手帳は無くしたんだったな」

「はい あの時に無くしてそれ以来です 見られても問題はないですよ」

 

紛失して早や一年少し

大した思い入れもないあの手帳は果たして今は何処で何をしてんだかな…。

最後に見たのは、買い物の時だっただろうか?

もし誰かが拾っていたなら届けていただろうし

何も連絡が来ないという事は、何処かで処理されたと考えるべきだろうな

 

「勇也さん 少しいいですか」

「おっ お前からとは珍しいな 言ってみろ」

 

俺の手帳の事はどうでもいい

写真の話題で一花の事が頭を過ぎり

すっかり失念してた

もし携帯を持つにしろ 彼には話しておくべきだろう

 

「明日あいつらの家に行って取りに行くか」

 

 

 

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ーー

 

 

 

10月2日朝方

場所は中野姉妹の暮す マンションの一室だ

そこで寝息を立てているのは、この家の次女である中野二乃である

髪は睡眠の時には解いておりぱっと見ただけでは普通の人には見訳はつかない

安心しきっているのか、よだれをたらしパジャマは軽くはだけお腹が見えているが、自分の部屋だ

彼女が警戒する必要は全く無かった

 

ただ熟睡している二乃は気づかないこの部屋にある人物が侵入している事に…

その人物は辺りを見回し

自分の探すものがないと分かれば熟睡する彼女の元へと向かって行った

 

「ん…なに」

 

「生徒手帳を返せ」

 

「ぎゃぁああああああああああああああああ!」

 

中野二乃の絶叫がその朝響き渡った

 

 

 

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「信じられない!」

 

怒りを表す彼女は、自分の前に侵入者である

上杉風太郎を正座させている

彼ではない誰かが以前にも似たような事をおかし

こうやって彼女に謝罪をしていた記憶が彼女の隣にいる三玖の頭に浮かんでいた

 

風太郎がこの家に入れたのもまさに あの時の彼の兄と同じく

中野三玖の協力が合ったからである

深々と頭を下げ二乃に謝罪をし

どうにかして手帳を返してもらおうと試みる風太郎

正攻法で頼んでも彼女は返さないだろうと考え

取りに行けばいいと 何とも大胆な行動に出た結果である

 

彼女の悲鳴で目を覚ましたのは他にもいる

ぼさぼさの髪のまま欠伸をする五月や朝から元気に彼に挨拶をする四葉

既に制服に着替えその光景を楽しそうに眺める一花

この家に集まる事がある人間はほとんどここに集まっていた

約一名は珍しくこの場におらず 風太郎を入れに招いた三玖や起きたばかりの五月も首をかしげている

 

「あなただけですか?」

「ん? 幸太郎なら暫くしたら来るんじゃないか」

「うんうん 良かったね 五月ちゃん」

「何ですか一花 私は別に何も言ってませんが?」

 

妹が何を言えばからかえるのか姉である彼女には丸わかりであり

五月も予想通りの反応を示しているようで、別段誰の事とは彼女は言ってないにも関わらず

その場で慌てふためいている

少々いじり過ぎたのか三玖がぎろっと一花を人睨み 三玖の前でこの話題で触れるのはよそうと

軽い感じで一礼し何とか五月も許すが『知りません』とそっぽを向かれてしまう

 

一方侵入者である彼とそれに向き合う二乃は未だに冷戦状態

彼も下手に動き中を見られれば、自分の写真を見られるリスクがあると理解している

なるべく穏便にここは済ませたいと腰を低く素直に彼女と接する

ただ冷や汗は止まらない

 

その真っただ中に 一花は二乃に何かを伝えるとテーブルにあるものを置いた

彼は一瞬だが、そっちに視線を送る

ん?と不思議がるも彼はそれを見た事があった

針が付いた手のひらサイズの機具である

興味はないが見た事のあるそれが何故この家にあり 一花が持っていたのか彼は疑問に思ったが

年ごろのなのだろうと解釈し 再び二乃の方に向き直す

何度か取れるチャンスはあったが、隙を見つける事が出来ず焦りばかり募る

もう少しで取れる範囲まで来たときに ひょいと生徒手帳を二乃は上にあげてしまい

彼の手は空を切る 握ったの空気だ 

 

何で返さない?と彼は問うが彼女は先ほどの機具をテーブルから取れば

風太郎に着いてくるように言い

何をさせられるのかと嫌な汗を彼は滲ませていた

逆らった所で戻ってこないと彼はしぶしぶついて行き

再び中野二乃の部屋へと入って行ってしまう

 

残された姉妹は彼等が行った方を見たあと暫くし

学校に向かうまでの支度や着替えなど出来る事を始めた

一人 四葉だけは彼が連れて行かれた部屋を少しばかり眺めていた…。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

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ーー

 

 

 

 

着替えをし朝食を食べ忘れ物がないか確認する

胸ポケットにある筈の手帳は、二乃が持っているままだ

それ以外気になるものは特になく

妹と勇也さんに声をかけアパートから出ていく

最近は風太郎との登校も多かったが

今日は珍しく俺は一人で向かっていた

珍しくと言いながら昨日は一花が出待ちしていたり 何だかんだと言いつつ最近は人との交流も増えて来たと実感している

 

 

 

少し前なら学校でも風太郎とは会話もすることは無く

互いに干渉は避けていた

あいつ曰く俺が逃げていたと言うが、そんな事ある訳ないと思いはするが

幾つか思い当たる節が、あり完全に否定はできない

 

その風太郎だが俺より早く起きると『取り返してくる』とだけ言ってさっさと家を出てしまった

せわしない奴と口に出そうになったが押しとどめた

 

よくよく考えればあの写真はあの頃のあいつの支えであり

大切な思い出だ 当時の俺は、今よりもましだと思うが

それでもいい兄とは言えない人間だと記憶の淵に残るものを読み取り実感させられる

 

 

一花にはお兄さんしてるねと言われ 俺も自分の言葉でやり過ごしたが、果たして本当にあれは俺の本音だったのか…?

自分の事は自分が一番理解してると思っていたがあまりそうではないんだろうな。

 

少しため息を零し幸せもまた減ったと苦笑いを入れ

俺は歩くペースを速め目的地に向かって行く

 

「まぁ…今は俺の事より 家庭教師の事そして中野姉妹の事あとは

  五月に聞かないといけない事が出来ちまったしな…。」

 

 

あの日五月は『詮索してすみません』と俺に言った

それは彼女が、知っているからだろう

俺の事に関して言えば詳しいにも程がある

聞けるタイミングがあればあいつに一度聞いてみたい

 

 

「…? 求人雑誌か…バイト増やさねぇとな」

 

目に入った広告と自由に取れるように置いてある幾つかの求人雑誌が数冊

勇也さんと話 俺は自分のバイトを少しだけ増やす事を決めた

携帯を買うにもお金がない

 

全くと言うわけでなく、バイト生活に明け暮れるゆえに多少の蓄えは、持っている、いるものの、どうしたものかね

 

諸々の事情もあり勇也さんに負担させるわけにも行かないと昨夜のうちに話しておいた。

あの人もしぶしぶ納得してくれたが、『無理はすんな』と一応の忠告は受けている

 

家庭教師での収入は風太郎やらいは、勇也さんに使い

借金も返済しなければならないわけで…。

どうにかして収入を得るには今よりも数をこなさないと全てが不足してるのが事実だ

実家にいる祖父母にも心配をかけてしまう。

 

「はぁ…………問題は山隅だな」

 

今の俺はきっと情けねぇ面してるんだろう

こんな姿 母さんが見たらどう思うか

あの明るい母さんだきっと『大丈夫 元気にいこう』と言ってくれるだろう

 

不思議と記憶に残る母と四葉が重なったように見えた

底抜けに元気な姿はとても良く似ている…。

だからなのか俺は四葉を叱れないのは、何処となく母と似た雰囲気を見せる彼女に自分の母の姿を見てしまう

発想がやばいと思いつつもそう思う俺が今ここにいるんだ

 

「っ 感傷にふける暇あったら風太郎達迎えに行くか!」

 

フリーペーパーを幾つか貰うと俺は今度こそ目的地場所へと向かった

 

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

ーー

 

 

 

場面は再び中野姉妹のマンションへと変わる

既に風太郎の目的は終わったようで二乃から手帳を取り戻す事は出来たようで

中をめくりかつての自分

金髪に染め愛想のない顔で写真に写っていた

如何にも悪ガキと言ったこの少年がかつての風太郎だった

だがこれを取り返す際に全てが上手く言ったわけではない

実の所写真自体は二乃に見られてしまった

 

彼女に部屋に呼ばれ ピアスを開ける手伝いをした際

悪ふざけがすぎ彼女から逆襲を受け

危うく開けられそうになったが、その時手帳が二乃の元から落ち

ページが捲られ中身が見られてしまった

 

覚悟を決めた風太郎に対し

二乃の反応は彼が思っていたものとは、正反対の反応で彼はそれに戸惑いを隠せずいた

『ちょー好み誰これ ? あいつじゃないでしょ えっ親戚? うそー』と

何故か過去の風太郎は今と違い二乃から好印象だった

咄嗟に嘘で誤魔化し

親戚だと話したが、そんな人間は何処にもいない

元は幸太郎だと溜まった鬱憤を晴らそうと思ったが、ここでその選択をしたら

何かやばい事がこれから起きる気がし彼はそれをやめ

架空の存在を作り出したのだ…。

 

 

その甲斐もあり無事に写真の入った手帳を取り返す事が出来

彼もそれに満足し 架空の親戚の事を頭の隅に追いやった

 

手帳にしまってある写真を彼が取り出せば

その写真は二枚に折られたもので、開いた先には

仏頂面の小学生の風太郎と真逆で笑顔でピースをする赤い髪の少女が写っていた

 

(五年前か色あせて来たな…。)

 

彼に取って大切なその一枚を彼は普段は見せない微笑むように眺めていた…。

何時かの再会を願う彼 ただそれは思いのほか近くにいるのかも知れず

彼はそれに気づく事はなかった…。

彼が事実を知るのはもう少し先の話である

 

 

一方 彼に金髪子がタイプと言い『何時か会わせる』とその場凌ぎの嘘に誤魔化された二乃は、一枚の写真をきっかけにかつてのアルバムを持って

姉妹達の元へ向かう

手帳を手に入れた風太郎はそれに見向きもしなかったが、ここでもし彼が彼女が見せようとしたアルバムを見ていれば、少しだけ話は変わっていただろうがそれは もしも の可能性である

 

二乃が持ってきたアルバムを囲む懐かしさに浸る彼女達

「懐かしい」

「私達も随分雰囲気がかわりましたね」

五月が一枚の写真を見つける

それは小学校6年生の時に姉妹で撮った集合写真である

写りこむその姿は風太郎が持つ写真の少女と全く同じ顔の少女が5人

笑顔で写っていた どの子もピースサインをし 当時から彼女達が仲のいい姉妹だという事を思わせる

 

幾つかページをめくって行く中で一花は一枚の写真に目が留まる

それはまだ母が生きていた頃

修学旅行が行われるよりも前の写真だ 何処か原っぱで撮られた写真なのだろう

姉妹全員は先ほどと同じく笑顔でカメラに向き合う

 

そしてその中に一人 この空間にいない人物が写っていた

 

帽子を被り 一花に手を引かれる形で写真に写りこむ少年がいた

歳は彼女達と同じか一つ上に見える 

彼女達と同じく笑顔でカメラに向かい 彼に横から抱き着くように映る二乃もいた

 

 

「えっ 誰この子 それにアタシだよねこれ?」

「この手を引いてるの私かな…」

「アルバムにあるって事は、知り合いって事だよ!」

うーんと唸る二乃は何かを思い出しそうになるが、自分の記憶の中で名前が検索にかかる事はなく

イライラとするが、一花は何かを思い出したようで口を開く

 

「この子 昔よく私達と遊んでくれたお兄さんだ…………名前は確かうーん」

「あぁーー そうだ 良く遊んでた人だ! 二乃が何時も後ろを追いかけてた」

「言われてみれば…そんな気がするかも 」

腑に落ちたようでポンと手を叩く

当時を思い出したのか二乃は懐かしそうにその写真を眺める

 

「確かこーって呼んでた気がする」

「そうか…こーお兄さんか 懐かしいな 今も元気かな?」

「修学旅行より前の期日ですからね…」

「きっと元気だと思う 何時か会えるよ」

「だよねー うふふ こーお兄ちゃんにも会いたいな-」

「二乃何だか今日は機嫌が良いね」

「何か今日は 嬉しい事が多くてさー 朝のあれで神様も私にプレゼントくれたのかな」

 

ガラの悪い金髪少年

笑顔がまぶしい爽やか少年

今日だけでも二乃は二つの写真で気分が舞い上がっていた

同じく他の姉妹も写真に写りこむその少年が、今はどうしているのか

元気で過ごしているのか 何時かの再会を願い少年に思いをはせていた

 

 

 

ピーンポーンとインターホンがなり

四葉が応答に向かう

 

「本物の四葉だ」

「はい 本物の四葉です!おはようございます! お兄さん」

「おう おはよう つうかおめぇら 時間みろ!」

 

相手は上杉幸太郎だった

相変わらずの目つきの悪さと目立つ髪色 首元まで隠す学生服と何時もの彼だ

先程まで四葉が頭に浮かんでいた為 本人が出た時不意にその言葉が出た

彼の登場に反応する 三玖と五月そして彼の手帳を持つ二乃

幸太郎は『時間だ』と彼女達に言い時計を見るよう促す

針が示す時間は、遅刻する程ではないが悠長に構えていれば遅刻してしまう

絶妙なラインだ

 

急いで準備を始め

写真の入ったアルバムを片付け始める

その中で一人考え込む少女 一花は先ほどの写真の少年の事を考えていた

幾つか考えるが、頭を振り勘違いと自分に言い聞かせる

(こーお兄さん まさかね…………)

 

風太郎も会話を聞き急いで下に向かう

全員は準備を終えエレベーターに乗り込んだ

 

 

 

 

「おはようさん」

「おはようございます! 幸太郎君」

「おはようーー コータローくん」

「コータロー おはよう今日もよろしく」

「ほら アンタの手帳返してあげる!」

 

それぞれと挨拶を交わし 二乃から渡したままの手帳を受け取りお礼を言った

ふんとそっぽを向かれたがこれが何時もの光景だと自分の日常を思い出す

そう思うと先ほどまで色々と考えていた自分が笑えて来ると口元もにやける

?と頭に浮かべる彼女達に『気にするな』と言い彼は遅れて来た風太郎と共に一歩先に学園へと向かう

 

(色々考えたけど 今はこいつらが笑えるよう頑張る事を第一にするかぁ)

 

 

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