上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

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三玖さんの出番を増やそう


第二十三話 不良少年と迫るテスト

12月のあの日 俺は初めて彼女を見かけた

 

「君は優しいんだね」

 

彼女は語り掛ける

その表情は何処か切なさを感じさせ

何を思い 彼女はそんな悲しい顔をしているのか

この人はどうしてそこまでその人を探すのか…………

 

名前も知らない人

大切な人

そんな人を彼女は探す……

手伝うと決めた以上俺もその人を探す事を諦めるわけには行かない

 

困っているなら俺は彼女に手を貸そう

少し話しただけだが、今の俺を救うには彼女の存在はとても大きいものだった

 

「ではまた 上杉幸太郎さん」

 

ではまた と彼女 中野六花と名乗った彼女はそう言った

『また』と言うのだ ならもう一度彼女と俺は会えるのだろう

 

同じく限られた手がかりで

かつて出会ったあの子と俺はまた再会する事が出来るのか………。

 

 

 

 

 

 

 

 

「コータロー コータロー!」

「おっすまん 折角の勉強会なのに俺が教えないでどうすんだ………」

「大丈夫 少し気になっただけだからでも無理はしなくて良いよ」

「無理? してねぇよ とりあえず今は出来る事を一歩づつやらねぇと」

 

図書室へは俺と三玖しか居らず

一花や四葉ももうしばらくしたらつくと教えてくれた

風太郎はと言えば 先ほど五月に真正面から「ただ馬鹿なだけなんだ!」と堂々と言い

再び怒らせる結果になり 俺の仲裁なぞ入る前に終わってしまった

『幸太郎君に迷惑はかけられません 安心してください』と笑顔で返された

 

「五月かぁ…………」

 

問題はその五月だ 昨日の帰り

彼女を家まで送り届けた後に俺はあいつに聞いてみた

『中野六花と言う人間を知っているか』と俺の事を詳しく知る

五月に聞けば何かわかるかと思ったが結果はと言えば

 

『中野六花さん…………? いえ親戚にも居ませんし ごめんなさい幸太郎君の力にはなれそうにありません』

 

頭を下げられただけで成果は何もなかった

表情自体も嘘を言っている訳でもないし 隠し事をしてるとは思えない…。先ず理由もねぇと来た…。

 

中野と言う苗字で少しは、関係あるかと思ったが、当てが外れたか?

再び考え事をしてしまい気づけば隣に座る三玖がこちらをじっと見ていた

俺の視線がそっちに向かえば顔を逸らしてしまう

何だろうか最近の三玖はやたらとこっちを見てる事が多い気がすんだけど…。自意識過剰だな

 

「どうしたの何かついてるの?」

「いや 綺麗な顔だなーと」

「…………!!」

「あぁー わりぃ」

 

何を口走ってんだ俺は、そんな事言うから三玖は俺から距離を取ってしまった

今の発言は痛すぎた 五月もそうだが、三玖とはあの一件もあり

距離感覚を忘れがちだ…。

 

「急に言われてびっくりしただけだから」

「俺も悪かった 少しな色々とあってな」

「そうなんだ………悩み事」

「そこまで大した事じゃねーけどな」

「でもずっと うわの空で何か考えてる」

 

上の空か昨日の事が気になりすぎて風太郎と五月の事を止める事も出来ない位には…。重症なのは確かだ 人間と言うのは、手がかりがあれば期待を寄せる

ただそれが絶たれた場合のダメージは本人が抱く想いも合わさって倍以上の重みとなって帰ってくる

今の俺はまさしくそれだ。

自分では顔に出さないようしてるんだが、周りにはそれが丸わかりと言う

五月にはああ言った事を聞いてしまい少し顔を合わせずらく

普段より距離を開け 昼飯も見つからねぇように行動していた

勉強会までそんな面で来てるんだ 辛気くせーよな

 

「もし何かあれば私が力になる………コータローには花火の日に助けてもらったから」

「あれは 知らねぇおっさんに手を掴まれてんだ 助けるだろう?」

「必死に追いかけてきてくれただけでも嬉しい」

「必死ねぇ…………」

 

朝の風太郎はまさにそれだ

来週には中間試験が待っている

その結果次第ではあの人の事だ…。何を条件にして来るから分からねぇ下手したらこの仕事も下ろしにくるぞ

そんな事にでもなれば最悪だ 家の問題もこいつらの問題も何も解決しないまま変な気持ちのまま残りの学園生活を送らねぇといけない それだけは避けたい…。

 

風太郎の負担を少しでも減らし あいつと他の二人との仲も良好になれば、それが万々歳だ

ちょっとした事で拗れて見ろ。修正は難しいぞ

心配してくれる三玖にもこれ以上そんな泣きっ面させたくねぇしな

五月と言い三玖も何でそう直ぐに悲しそうにすんだよ

 

「俺は大丈夫だ…。三玖が頑張って勉強に参加してんだ それはきっと成果として出てくる」

「実感はあまり湧かない 少しのミスで頭から出ていきそう」

「そう言う時は何かしら好きなもんで 例えれば良いんだよ まぁ日本史に関して言えばお前は俺よりも上だと思ってるから 俺は三玖を信頼してる」

「そうかな 私でも間違えるときはあるから」

「それでもだ 間違える事を恐れる事無く挑んでんだ」

 

間違える事を恐れないか………

またブーメランが刺さる事言うなこの馬鹿は、はぁ何だか今日はネガティブに捉えがちだ

パンパンと顔を叩き気合を入れなおす

結構響いたのか周りも見てくるが、視線なんざ今更だ

 

「痛そう」

「まぁ 少々気合は入れすぎたかな あっやべ 落ちた」

 

思いの外力が入っていたようでコンタクトが落ちてしまい間違って踏んじまった

 

ペッキ

 

嫌な音がしたが、無かった事にする 三玖にはじっーと見られたがやめろ

コンタクトに替えた事で時折これがあるから困りもんだ

眼鏡ならそうも無いんだがな 鞄からケースを取り出し中から黒縁メガネを装着した

人前で付ける事は最近なかったし 以前は、付ける前に忘れあの場面に出くわしたりと散々な目に遭った。まぁ…二乃の方が散々だったけどさ…。

 

「これでいいな」

「…………」

「何だ 三玖変か? まじまじと見られると気になんだが」

「に 似合ってるよ………」

「お ありがとな この髪だと眼鏡はあんま似合わねぇと思ってるからそう言われるとちっとは自信がつく」

「ふふ」

「何だ笑う事があったか」

「何でもないよ」

「変な奴だ 俺の方が変だけど」

「自覚あるんだね」

「今日はやけに素直に感想をいってくるな 三玖さんは」

 

表情自体にそこまでの変化は、見れないが、何処かこの状況を楽しんでるように思えた

勉強が嫌いとは言ってたが、日本史となれば話はべつなんだろうな

 

暫くすれば一花や四葉も顔を出してきた

元気よく声をかける四葉は行われた小テストの答案を片手に『いやー 難しいですよねー』

と何だか他人事に言うがもう少し気にしておいてくれ

一花は俺見てにやりと笑っている

 

「コータローくん 眼鏡なんだ イメチェンかな」

「さっきコンタクトを踏んだからな………」

「災難だね 君も」

「おお 本当だ お兄さんが凄く賢そうです!」

「目の前で喧嘩うってくんな イメチェンって言うなら 四葉もだろう」

「えっ」

「リボンの柄違う お前こそ気合でも入れ直したのか?」

「まさか お兄さんがそこまで乙女に敏感だったとは 私から言おうと思ったんですが 上杉さんには秘密で問題としてだしたいので!」

「よーし なら俺からもお前に何か問題でも出してやっかなー」

「ご勘弁を…………」

「諦めんな まだ何も俺はいってねーよ」

 

普段とは少し違うのは四葉も同じだったうさ耳リボンは柄が違う

 

 

「風太郎が来たらあいつから話す事があるかも知んねぇし 聞いてやってくれ」

「うーん?何かな  あっ そう言えばさ コータローくん新しく買ったスマホ見せてよ」

「関係ねぇーだろ」

「そうですよ お兄さん見せてください」

「勉強をしろ 勉強を!」

「見せてくれれば 頑張るから― ね」

「っ ほらよ」

 

ポイっと嫌々ながら机に乗せる

それぞれが謎の食いつきを見せる それを勉強に使って欲しんだがな

 

「白とは意外だね」

「まぁー 元は5色から選ぶ筈だったんだけどな」

「五色…………コータローは選んだの?」

「選ばなかった」

「ふーーん」

「何だ 一花文句あっか? んで5色はなくて 6色目があってな必然的にそれになった」

「コータローくんも助かったね 二重の意味で」

「たかが スマホの色だろ?」

「うん まぁそうだね さて適当にやりますかねぇ」

 

なんだろう 激しく不安になってきた

まじでこいつらは中間試験が近い事を知らねんじゃねーか?

何とか勉強をしてくれてんだが、正直言えばこのペースで行って間に合う自信はあまりない

ただ無理な方法だと頭から抜け出るし 今のこのやり方で着実に覚えさせる方が良いんだろうな

楽しい?勉強会は進み風太郎も合流する事になるが、二乃の説得に失敗する所かくっきり頬に後が残るくらいの力で叩かれた形跡をつけて来た

 

『痛そう』と言う感想しかでないな

 

兄弟にして同じ個所を殴られるとはシンクロニシティでも言えばいいのか

焦りを感じさせながらも風太郎は彼女達に勉強するよう言い

来週には迫った中間試験の事も伝えている

案の定一花辺りは、気にも留めめて無さそうで

『林間学校だー』『楽しみ』と言う女子の会話が聞こえてくる

そういう事を言うとこいつにまたストレスがかかる

今も何処か表情は険しい……。

 

 

「おっ お前英語をやってんのか苦手な科目を挑むのは良い傾向だ」

「うん 少しは頑張ろうと思っただけ」

「頑張るって事が大事だ 気持ちと行動は噛み合わねぇ もんだからな」

「気持ちと行動か…………」

「何かまた俺言っちまったか?」

「気にしないでいい」

 

「よーし 私も頑張ります!」

 

四葉も気合を入れて声をだし 勉強を開始した

先程も風太郎にリボンの柄とテストのチェック柄で叱られていたし

こいつなりに気にしてんだろうな

風太郎も教えていく中で時間が足りないと言葉に出さずとも

兄である俺には、分かってしまう

だがあまり焦り過ぎると何か大事になりかねん

余裕を持てと言いたいが、そうも言ってらねぇからな…………。

 

 

 

鐘が鳴り俺達も帰宅の路に入る

靴を履き替え外に出れば 解放されたと声をだし動き回る四葉の姿が目に映る

お前は本当に元気だな………。

 

「ふぅー」

「いいいいいい 何にしやがる」

「何時も怖い顔してるのに そんな眉にしわなんてよせてさ 心配しなくても私達も頑張るからさっ

 じっくりつき合ってよ」

「気遣いに言葉なら 俺じゃなく 風太郎に言ってやれ 俺はただの補佐だ」

「お に い ちゃ ん」

「了解です」

「素直でよろしい」

 

耳に当たる温かい空気 さっと横にさけ確認すれば

一花が立っていた

どうやら俺の顔は辛気臭さが出てたようで声をかけたと

また『お兄ちゃん』といじられたが、それでも頑張ってくれると彼女は言ってくれた

先程も適当にと言いつつ最後までやり遂げてくれたんだ感謝しねぇとな

もう少し彼女達の実力を信じよう 

一人に出来る事は全員出来るかもしれないと言う希望はまだ潰えてはいない

 それに今は彼女達と同じく いやそれより重症なのは弟の方だろな

二乃や五月の交渉を失敗させたのはこのタイミングでは大きな損失だ

少しは風太郎本人にも気を配ろう 最近は疎かにし過ぎてた気もするしな

 

四葉達がこっちに手を振り 俺達を待つ中

一人とぼとぼと別の方向へと向かうあいつを見て俺は三人に手を振り返し

風太郎を追いかける事にした

 

「お兄さんもいちゃった」

「男子二人とは花がないね」

「…………」

「三玖 やっぱり寂しい」

「別にそんな事はない 早く帰ろう」

「あぁー待ってよー 三玖―」

 

 

 

 

 

 

 

足早に去って行く風太郎を俺は追いかけた

三人には出来る限り勉強して欲しいとだけ伝え『無理はするな』とも注意はしておいた

頑張ってくれているが、中々彼女達の成果は出ず風太郎も焦るばかりだ

下手に打って出て問題を広げなければいいがと不安が募る

 

結論から言えば問題は起きようとしていた

俺が彼の元につけば 五月が風太郎と共にいた

あいつは誰かと電話をし いっそう焦りの色を滲ませ

勢いに任せ 彼女のスマホを下に投げようとし我に返ればそれを五月に返し謝罪を入れる

どうやら安心は出来そうだと 俺は少し安堵したが、そう簡単には解決しないという事を目の前で見せつけられた 朝の時と良いこいつらはどうして直ぐに喧嘩をすんだ?

 

元をたどれば風太郎が五月に言った言葉と態度が原因でそれが延長戦となっているだけなのだが

もう少し穏便にと 自分の事も棚ね上げてる俺がいるのだがな

 

「黙って俺の言う事を聞いていればいいんだよ!」

 

これは不味い本格的に修正が困難になってしまう

焦りから出た言葉でもその発言は言ってはいけない 

少しづつだが風太郎の頑張りを五月は認めつつあった 

花火大会の日で四葉の捜索や諦めず続けた勉強会など 彼女もそれを見て来た

だが それが今崩れようとしている

 

「所詮お金の為ですか」

「金のために働いて何が悪い」

 

「やめろ お前ら! いい加減に頭冷やせ」

「幸太郎もそれどころじゃないんだ! 今やらないとダメなんだ後がないんだ」

「お前らしくないぞ 少しは冷静に」

「冷静だよ 俺はお前と違ってお気楽主義じゃない なる様になるとか考えない」

「 それは あんまりです! 彼は頑張ってくれてます」

「なら何でお前は俺達に勉強を教わろうとしない! こっちだって必死なんだ 仕事じゃなければ誰がお前なんか!」

「無理して教えてもらわなくて結構です 私は あなたのお金儲けの道具じゃありません」

「そうかよ 後悔しても知らねぇからな」

「ええ! 例え退学になっても あなたからは絶対に教わりません」

「お前にだけは絶対に教えねー!」

 

最悪の展開だ これどうやって収集付ければいいんだ?

二人の言い争うを止める事も出来ず風太郎はそのままアパートの方向へと走り去り

一方残された俺と隣で顔を真っ赤に肩を震わせる五月と言う気まずいってレベルじゃない

あいつを追いかけたいが、今は五月を家まで届けるべきだろう

あの怒りようだ、それぞれ何があったのか聞きたいところだ 

 

 

「はい 分かりました 幸太郎君 父からです」

風太郎が去って少し見計らったようなタイミングで五月の電話がなり

相手側が俺に用事があり取り次いで欲しいとスマホを渡してきた

五月は、何もないと言うが、今にも泣きだしそうだぞ

嫌々ながらも電話を受け取り 俺はその相手と会話をした。

 

「どうも 上杉君 弟くんと同じく 娘達が世話になってるね」

「っ どうもお久しぶりです 中野さん」

「こうして話すのもあれ以来かな」

「去年の6月に話したのが最後ですね」

「君も随分とあの頃より変わったようだね」

「思い出話は結構だ あんたも俺が嫌いだろ それと先ず言っておく 携帯代の事だ余計なお世話と言いたいが正直言えば、助かったありがとうございます それだけだ」

「その件は僕の独断だ 五月くんは関係ない」

「くんとか付けるな 娘だろうが!」

「君にとやかく言われはないよ」

「あぁ そうかい 用事がないなら切るぞ」

「その様子だと 何かあったようだね」

「そう言うのは良いから  あいつに何を吹き込んだ!」

「中間試験で誰か一人でも赤点をとれば彼には家庭教師を辞めてもらうと 当然だ娘を預かる身としてはきちんと実力を把握しておきたい 」

 

想定した最悪のケースだ 次の中間試験まで誰一人として赤点をとるなだぁ?

無理にも程があるぞ 俺が知る限り一番勉強してる三玖も日本史以外は厳しいし

目の前にいる五月も努力はしてるが、風太郎の言う通りだ 今の方法では確実に赤点だ

二乃は論外 一花や四葉はもどうなるんだ。

卒業まで一年近くあるんだぞ そんな無理な条件出すなら最初から依頼してくるな

 

「僕も父親だ そこの所はきちんとしておきたいんだ」

「っ…」

「君が何を思おうが彼には辞めてもらう」

「わかった あんたがその手で来るならこっちも覚悟をきめる」

「君が覚悟とは、その言葉 本気と受け取って良いんだね?」

「俺にも俺のやり方がある!」

「そうか それと上杉君 君は本当に何も異常はないんだね」

「しつけーな 体の事なんて俺が一番知ってんだ 異常とかなんもねぇーよ!」

「了解した 最後に一つ」

「なんだよ?」

「君だけには 娘をやる訳にはいかない分かってくれたかい 僕は君が嫌いだ 上杉幸太郎」

「…………うるせ お互い様だ」

「では健闘を祈る」

「あばよ中野先生………  ほら返す」

 

ほんとあの人は、昔から苦手だ

声も態度も全部が苦手だ だけど憎むに憎めない 憎み切れないと言った方が良いだろうな

俺も俺だついつい感情的になって怒鳴ってばかりだった 少し冷静になるべきだった

五月はずっと驚いた様子でこっちを見てたし 彼女は事情を知らないと見るべきだ

口留めされる訳でもないが、これをネタに協力を持ち掛けるのは俺の信条に反する

一花の時とは状況が違い過ぎるしな 五月に頼るとしたらそれは更に状況が悪くなった場合だ

 

「あの 幸太郎君は随分と父とは親しいようですね」

「あれ 聞いて良くそう思えるな」

「会話まで聞こえませんでしたが 父を相手にあそこまで話す人は私は知りません」

「前も言ったが 色々あったんだ」

「それで 幸太郎君 さっきの言った 体に異常とは何ですか?」

「だから 何もねぇーよ 俺の事なんかより先ずは風太郎と和解するか勉強するべきだろ」

「『俺なんか』ではないです 何かあれば言ってください 力になりますから」

「いらねぇーよ お前は中間試験に集中してくれ」

「幸太郎君は そうやって何でも秘密にするんですね 私では頼りになりませんか?」

「関係ないだろ 今は俺の体は何ともねぇーってんだろが」

「そうですか…………詮索するような事をしてごめんなさい 幸太郎君 では私はこれで帰ります」

「あっ………… 何やってんだ 五月に当たってどうすんだよ」

 

 

凄く悲しい瞳だった

五月は一礼すればそのまま向かってしまう

 

あいつが何処まで知ってるかは知らないが心配から来る言葉ならもう少し聞いてあげるべきだった

それを俺はあしらう様にし 相手にしようとしなかった

怒ると言うより 彼女は何処か悲しそうな目をしてそのまま帰って行った

風太郎の事を言えねぇな…………。

最近はどうしてこうも面倒な事が立て続けに起きるんだよ

 

風太郎とは帰って話せば何とかなりそうだが、五月に関してはお手上げとしか言えない

あと一週間でどうにかなるのか…………?

してみせねぇと俺達も中野姉妹もお先真っ暗だ

 

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