この話が一番複雑に 風太郎くんのメインはこのシリーズだと四葉と二乃なので
今回は夜の勉強会と嘘つき嘘太郎を混ぜた回になってます
「自分の人生どうにかしろー!」
中野宅で人生ゲーム真っ最中
現実でもゲームでも厳しい生活を送る風太郎の人生は世知辛いとし言いようがない
俺は自宅に帰ればまず初めに風太郎に頭を下げた
そして自分も同じく 中野父と話をし風太郎があそこまで焦りを見せた理由も知ったと話す
最初は複雑な顔だった弟も『俺も悪かった 幸太郎がいなかったらもっと厳しいままだった』
と言い何とか弟とは仲違いのまま終わるケースは避けれた
彼に何としても五月と仲直りをし 彼女と協力して欲しいと告げれば
こいつも少なからず反省はしているようで 言い過ぎた と顔を伏せながら言う
その言葉は俺ではなく 五月に言ってあげて欲しんだがな
『お前は何ともなかったのか?』と珍しく気がきいた事言ってきたが
俺の問題は、別に中間試験とは無関係で起きた事だし五月は何も悪くない
「どうすっかな…………」
「コータロー フータロー……何かあった私達 そんなに危ない?」
「…………」
また声に出てたのか三玖がこちらを見ている
彼女じゃない 一花も勘が鋭い人間だ下手に動けばぼろが出る
こいつらに事実を伝える訳にいかないと言うのが、俺の考えだ
プレッシャーと言うものは良いも悪い人を押しつぶす
俺の願いは笑顔でこいつら勉強し卒業する事だ
勝手な言い分で風太郎にも『お気楽』と言われても反論は出来ねぇ…
五月にも言うか言わないか未だ考えており
結局そのまま時間が経過し今に至る訳だが、どうも最近は頭が冴えないね
今は勉強を教え 着実に伸ばしていくしか道はない
そして一番厄介な存在と言えば、今まさに こちらに歩み寄ってくる
姉妹の次女 中野二乃だ 知られでもしろ
確実に邪魔をする 異分子とされる俺達を追い出すにもいい情報となってしまう
「私もやるー あんた代わりなさいよ」
風太郎を退かすと彼の代わりに手番を貰うと二乃は所持金の少なさに呆れている 言うなそれが事実でも言われると心に響くんだよ
「ねぇ コータロー?」
「何でもねぇーよ」
一番頑張っている三玖には言う訳には行かない
これ以上心配をかけたくない
「アンタも交ざる?」
ふと俺の後ろに声をやればそこには五月が立っていた
こちらから視線を逸らし 見ようとしない
風太郎は咄嗟に謝ろうとするが、彼女は聞く耳を持たない
「五月 風太郎が話があるって」
「私はこれから自習があるので失礼します」
「そうか……無理はするなよ」
「…………」
呼びかけに答える事はなく
五月はそのまま玄関の方へと向かおうとしていた
「ほら あんた達も今日のカテキョーは終ったんでしょう 帰った 帰った」
「ちょ 二乃」
「待てまだ!」
二乃は俺達二人の背中を押しさっさと追い出そうとする
彼女の言う通りだが、このまま帰ってしまえば何も変わらねぇ
少しで良い 風太郎と五月の仲直りのチャンスでも欲しい
その時 天からの助けだ
「待って二乃 フータロー君もコータロー君も何言ってるの? 約束違うじゃん 今日は泊まり込みで勉強教えてくれるって話しでしょう?」
『『え えぇーーー』』
二乃と風太郎の声がシンクロする
どんな理由かは知らないが、一花がくれたチャンスを無駄にする訳にはいかない
(一花 ありがとな)
(何の事かなー?)
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勿論泊まる予定なんて最初から無く察した一花の起点だ
その為着替えなんて持ってきてないし 風呂から上がれば着ていた服をそのまま着る事になる
と思えば 四葉が適当に服を持ち出しそれを着るよう言って来た
中野姉妹が上がった後に 俺達が入る事になり
風太郎が上がった事を確認すれば入れ替わる形で俺は風呂場に向かう
他人の家での風呂とは随分久しぶりで最後に来たのあれ以来である
最初は風呂は断る予定だったが『流石にお風呂入るべき』と一花に言われてしまい渋々借りる事に
服を脱げば 嫌でも俺が入りたくない理由が分かる
「相変わらず ひでぇ 体」
洗面台にある鏡に映る 俺の体一応は鍛えてるから見られても肩までなら良いその先だ
喉元にある切り傷と胸にある大きな手術痕 背中にも軽く傷痕がある
きちんと塞がってはいるが、未だに生々しさが残っており
お世辞にも他人に見せられるものではない………。
俺が他人に喉元を見られたくないのはこの傷のせいだ
胸から下なら隠しきれるが ギリギリ喉元まで傷はあり
服もらいはが特徴で縫ってくれた服で隠してあるし 冬服は人より早く着ている
そっと触るが痛みはない ただ最近の痛みの原因の一つもきっとこれだろう
「何時までセンチメンタルになってんだ らしくねぇ さっさと入ってさっさとあがるか」
こんな高級なマンションのお風呂に入るとは
少し前の俺なら『うそこけ ぶっ飛ばすぞ』とガンを飛ばしていただろうな
俺も変わり始めて来たのかもしれないそう思うとこの機会をくれた
中野姉妹と俺にこの話を紹介した風太郎には感謝しなければならない
そのためにも今は、あいつらの仲だけでも良い それくらいは改善しないと後悔したまま終わる
それに今は風太郎が勉強の準備をしている 時間が増えたと考えよう
「あったけー こんな大きい風呂 初めてかもな…。」
一度お湯で体を流しその後湯船につかる
疲れも何も飛びそうだが、今はそんな事考えてる暇はないな
「幸太郎君 五月です あなたから私に話したいことがあると 一花に言われたのですが何か御用でしょうか?」
「?!」
五月が突然現れた…。
風呂場の前に立ち 顔は見えないが立ち姿で確認は出来る
一花に言われてきたと話す彼女に少し混乱したが、扉越しなら見られる事もない…。それにまた一花に気を使わせたようだ
あがったらお礼を言わねぇとな…。
「あぁ そうだ 来てくれてありがとな」
「話したい事とは何でしょうか?」
「昨日は悪かった 風太郎も感情的なっただけなんだ 家の事情は知ってるだろ? 俺以上にあいつは真面目だ だから真剣なんだ」
「何かあったんですか?」
「何かか… お前だから言うが…。このままだと風太郎は家庭教師をやめさせられる 誰か一人でも赤点をとった時点で 俺達は終わる」
「そういうことでしたか」
ガラリと風呂場の扉が開けられた
咄嗟に後ろ向く
やばい 湯気でいくらかは隠せるが、このままだと見えるぞ
何でこいつは躊躇いなく 開けやがる?
つうか やっぱりおかしい気がするこれは本当に五月か?
いや違う!
「前に 私の裸を見たんだから これでおあいこでしょ 弟は何時もだけどアンタと五月の様子が特にへんだったから来てみたら って 何すんのよ」
「お前は乙女だろうが 男の裸は好きな奴にしておけコラぁ!」
俺の勘は五月でないと告げ 扉が開けられこいつが入ってくる前に
湯船から出ればすぐに彼女を風呂の外に押し出し脱衣室に戻す
流石に少し見られたと思うが、全部見られて変な勘繰りされるよマシだ
今は洗面台と風呂場で扉の開け閉め合戦 対抗ロールが発生している
「あんた 恥ずかしくないの!」
「見に来たおめぇが言うな とっと出ていけ!」
「でも 良い事聞いたから 赤点でクビねー まぁそれで良いか い ま は」
「っ…………」
事実を知って満足したのか、二乃は不敵な笑みを浮かべ去って行く
(…………あいつの背中と胸に何かあった気がするけど今は良いかしら)
「はぁ…………やべぇ奴に知られたぁ」
その場でへたりこみ 一番厄介な人物が本当に厄介な敵になった事と
自分の浅はかな行動を後悔した。
彼女が去った事を知ると俺は風太郎にスマホで連絡し一旦来るよう指示した
「すまん…………二乃にバレた」
「なっ なんで」
「五月に成りすまして聞いてきた 俺のミスだ」
「あいつにだけは知られたくなかった」
「風太郎 最悪手段はある………」
「無理だろ あいつは邪魔する事に勤しんで勉強には勤しまないぞ」
「言い訳はしない」
「それと 傷は見られたか?」
「多分 見られてないとは思う 咄嗟に風呂から追い出したからな」
「なら それでいい 俺は先に戻る」
俺を恨んでくれていい弟よ
見た目の判別なら自身はあったつもりだが、あそこまでガチで声のトーンまで真似してくるとは
姉妹は恐ろしいぞ
風太郎は怒りは出さずもやはり頭を抱えてしまう
一番厄介な人物が貴重な情報を手に入れたのだ、確実に妨害してくる
誰にどうばらされるか分かんねぇ状態だ
余りにも軽率過ぎた もう少し警戒するべきだったな
「うーん 見えないよな?」
借りた服を着れば喉も隠れ傷も目立たないだろう
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「お兄さん 遅いですね」
「きっと美少女たちの残り湯を堪能してるんんだよ」
「!!」
「呼びに行く?」
「お風呂…………いいよ さっきフータローが行ったから」
「せっかく コータローくんもバイト休んで泊まってくれるんだし積極的にアプローチしなよー」
「な なんのことだかわからない」
「あっ帰ってきたー おかえりなさーい」
「お おう いい湯だったぞ」
「よし 幸太郎 じゅ 準備するぞ」
「そうだな…………」
「さて幸太郎も来たとこだし さっそく試験対策をに にの一緒にどうだ」
「あ 私は必要ないから」
風呂から上がれば四葉が元気よく声をかけてくれる
今の癒しはこいつだな
一方二乃はスマホをいじり一向に参加する気配はない
ばらされてないだけましだが、このまま参加しないで終わるのか?
三玖や一花も既に準備をしているし彼女達のやる気があるうちに出来る限りをしてやろう
だから二乃お前も参加してくれよな。
「さて始めるか…………」
「はーい詰めて詰めて」
「おっと」
「三玖が分からない所あるってー」
「一花………ッ」
「ここかぁー でも三玖から聞いて来るとは珍しいな」
「ふふふ」
「よーし 任せろ答えてやるぞ お前らわからない所があったら何でも聞いてくれ」
「上杉さーん 「討論」って英語でなんて言うんですか!?」
「良い質問ですね ⅾebate これは確実に今回の試験に出るぞ「でばて」と覚えるんだ!」
風太郎は苦肉の策 声を上げて出来る人間アピールと問題の内容を教える二重戦法を開始
如何にもといったように大きな声だが 二乃は興味は一切なしスマホしか見ていない
「お兄さん………… 結論ってどういうのですか!」
「結論か conclusion 俺は「カァンクールジャン」って覚えてる」
「ふむふむ 了解しました かんくーるですね」
「カァな 発音は面倒だが覚えればすんなり行けるぞ」
討論に結論か今の俺達みたいだな
幾ら討論しても結論は変わらない このままだと確実にクビになると
どうにか覚えやすい単語を俺も二乃に聞こえるよう言うが、スマホしか目に入ってないようすだ
「教えて 欲しい事 好きな女性のタイプ」
「え」
「え」
「え」
「三玖さん あのですね 意味が」
「私は俄然興味あります!」
「そんなの知りたければ教えてやる 俺の女子の好きな要素トップ3」
「風太郎 お前…………」
「流石に コータローくんも答えてくれよね?」
「風太郎だけでは?」
「ロマンティックな事言う コータローくんの好み気になるな-」
「はーー 分かったよ」
突然行われた 俺と風太郎の好みを教える問題
別に構わないけど 面倒だよな。
何気に風太郎もノリノリだったりするし
ノート1ページに一個づつフリップの下から剥がしていく形式である
扱いやすいと思うが気が引けるな
「はい出来た」
「第三位 何時も元気」
「第三位 真面目で素直」
「はい 次!」
「第二位 料理上手」
「第二位 料理上手」
「終わったよ」
「よーし 第一位」
『『お兄ちゃん 想いだ!』』
「って それはあんた達の妹ちゃんでしょ!」
俺と風太郎の声は後半はほぼシンクロしていた
まさかここまで好みが被るとは流石兄弟と行ったところか
最後が発表されたと同時に椅子から立ち声を上げた二乃
どうやら聞こえていたようで『嫌でも聞こえるだけ』と本人は言うが
俺と風太郎は一瞬目を合わせた
((これはいけるのでは?))
「真面目で素直…………」
「お兄ちゃん想いね コータローくんも面白い事言うね」
「別に騙した訳じゃない 俺が今思うのがこれだってだけだ………」
「俺のスタンスも前に言った筈だしな」
隣の少年は恋愛事は無駄と言い張っていた
俺の方は恋愛は否定もしないが、俺には無理だ…。
そう言った事は諦めている 他人との距離を開けてしまうだけだ
そんな人間に……
「三玖 課題終わったんだ コータローくん頑張った人は褒めないとね」
「おう 三玖お疲れ良くやった」
「…………」
「どう ドキドキしない?」
「人並にはなー」
「ぶー 四葉チェック」
一花に言われ そのまま手を三玖の頭に持っていかれ撫でる形になった
この感覚は懐かしいな
小さい頃にこうやって撫でた事があった けどこいつらは覚えてないだろうな
俺の答えが不満なのか 一花が四葉の名前を呼べばあいつは俺にとびかかるようにし
胸に耳を押し付ける
「やめろ 離れろ」
「うーん……… これは」
「はーい 終わりだ」
「あの お兄さん」
「良いから終わりだ 四葉も頑張ってんだ 風太郎手を貸せ」
「おっおい 幸太郎!」
「お兄さん! 上杉さん あのぅ…………」
ノートを見れば四葉もある程度は進めており
彼女もきちんと努力してんだ 報酬は貰うべきだ
隣で素知らぬ顔そする風太郎の手を取り 四葉の頭に乗せれば、自然と彼女は静かになってしまう…。
「お疲れ」
「感想はそれだけか?」
「特には」
「冷めた弟だな おめぇ?」
「コータローくんがそれを言うんだ…」
何を呆れてるんだ?
「騒がしいですよ 勉強会とはもう少し静かな物だと思ってましたが」
「ごめんねぇー」
上の方から声が聞こえ視線を送れば冷めた目でこちらを見ている五月がいた
少々疲れたようにも見えるが大丈夫なのか?
「五月 参加しないか? 風太郎も悪気があって」
「三玖 ヘッドホンを貸してもらっていいですか?」
「いいけど なんで?」
「一人で集中したいので」
「五月 頼む…………」
「すみません 幸太郎君 私はあなたの足手纏いにはなりたくありません」
「どう言う 意味だ?」
俺の足手纏い? 別にお前を足手纏いと思った事は一度もない
お前は確かに俺に毎度の事絡んでくるが俺はそれをそんな風に捉えた事は一度たりとも無いんだぞ
心では何とでも言える ただ昨日の事が尾を引くのか それを口に出す事は出来ず
三玖から借りたヘッドホンを手に持ち去って行く彼女を見ている事しか出来ず立ち尽くしていた
「五月…………」
「コータローくん ちょっと外出ようか」
「一花 分かった 風太郎後は頼んだ」
何かを察した俺は彼女の後を追いベランダに向かう
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ーー
「綺麗な空だな」
「うん それとコータローくん オーディション受かったよ」
「良かったじゃねーか! お前の道は続くんだ」
「ほんと嬉しそうに君は、語るんだね」
「夢や道は誰にも持つ権利はある それを俺は純粋に応援してるだけだ」
最上階とはよく言ったものだ 想像してたものより何倍も空は綺麗だ
普通ここまで星は見えないものだが、見てると心も晴れるかもな………。
案内した本人は先日行われたオーディションの結果を俺に教えてくれた
彼女は無事に夢に近づく事が出来た それはとても喜ばしい事だ
中途時半端な俺とは違う 一花は頑張って掴んだんだ
『君は一度考え直すべきだ』かつて誰かがそう言った俺は何も言い返せず
何も出来ないまま今を生きる 須藤が俺に切れる訳だよ
「コータローくんに夢はあるの」
「俺には…………ねぇよ 夢なんて 持つ事は金輪際ないだろうな」
「それは 寂しいね 君はあれだけ他人の夢を応援するのに」
そんなたいそうな物を俺は持っていない
きっとこれから持つことは無いだろう
俺には夢なんてないんだ
「そんなもんだろ んで 一花 本題は?」
「じゃ 聞くけど 五月ちゃんと喧嘩でもしちゃった?」
「喧嘩ねぇ…………風太郎はしてたぜ」
「二人は何時もだからね でもさっきコータローくんは仲を取り持とうしてたの見たし」
「あいつらには早く仲直りしてもらいたいからな…………」
「あの子とフータローくんは似てるから 似た者同士」
「それは言える」
「でもね 喧嘩をするなら仲良く喧嘩して欲しいんだ きっとあの子もいじになってると思う
フータローくんもでしょ?」
「そうだな アイツは昔からそうだ 本当の事は言えず不器用でさ 俺とは何度も喧嘩した」
「あの子もそう 不器用で素直じゃない だからきっと今も一人で苦しんでいると思う
コータローくんには特にそう言うの見せれないんだと思う 」
「なんで 俺にそこまでするのかわかんねぇーけどな」
「私にやれることはやってみるけど きっとこれは君達にしか出来ないことだから お願いね」
昔から何も変わっていない 一花は本当にいい姉だ
俺はそんな一花だからだろう 長女と長男という似た関係だから
少しは本音を言えるのだろうな
「それでさ コータローくんの方はどうなの」
「俺はアイツに迷惑をかけたくねぇ…………世話になってるのもあるけどよ
五月に 誰かにそう言った事させるのが俺は嫌なんだ …………
だから俺は俺に出来る事をしようと思う」
「うん コータローくんなら大丈夫だよ」
「お前は立派に長女してるよ 五月の事も考えてる 自分の出来る事を分かってる」
「…………この手は何かな お兄ちゃん?」
「お礼って言うには割にあわねぇーけどな それとありがとな一花」
「!!」
『ありがとね 一花ちゃん!』
「どうした一花?」
「な なんでもない」
「そうか なら戻るぞ 寒くなってきたしよ」
「寒いかな あれ なんだろう………この感覚 さっきの言葉…………。」
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ーー
「風太郎 お前聞いてただろう?」
「…………」
「今からでも遅くない 行くぞ」
中に戻ると風太郎が入り口で立っていた
どうやら俺と一花の話を耳にし考え込んでしまったようで凄く複雑そうな表情だ
でも先延ばしには出来ねぇ
五月が泣いている苦しんでいるのなら俺はそれを助けないと行けない
未だ答えは出せないが、こいつもそうだ
謝りたくても素直になれない ぐれた時期もそうだった
こいつことある事に反発し 本音も言わず一人で頑張ろうとした
一花に任せられた あいつも一歩を踏み出したなら風太郎も少しは素直に話せばいい
一人で行くのが嫌なら俺が連れて行く
コンコン
「はい 誰ですか…………」
「よっ 五月」
「幸太郎君ですか 何ですか 私は今を勉強をしてます」
「あぁ知ってる だから連れて来た」
扉を開ければ眼鏡をかけた五月が顔を出す
怪訝そうな表情だ
「五月 話がしたい」
「あなたの力は借りないと言った筈です」
「うーん…………俺が…感情任せにお前を怒鳴った事は謝る すまない
俺も焦っていた…けど少しは、考えるべきだった
お前は一人で頑張っていたんだそれをきちんと見るべきだった」
「…………!」
風太郎は口下手だ 俺が言えた義理ではないが社交的とも言えねぇ
けど根は悪人ではないんだ きっと五月もそれに気づき始めてる筈だ
少しで良いのだ 風太郎と俺にチャンスをくれるだけでいい
明日でも明後日でも良い 一緒に勉強をさせて欲しい
「昨日の事は謝る だから俺に家庭教師をさせてくれ!」
素直になれないこいつの背中を押すのが、家庭教師の補佐である俺の役目だ…。
「…………私もすみませんでした 話も聞かずに」
「なら俺と一緒に勉強してくれるか!」
「それは少し難しいです…………ですが信じてくださいお願いします」
「いいよ 五月! 全然いい 気持ちがあるならそれで」
「あの時間も時間です 少し音量を下げてください」
「悪い でも待ってるから」
「はい」
一花の言う事は正しかった
話してしまえば簡単に解決出来た 素直にごめんなさいと言える人間になればいいだけだ
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ーー
俺はソファーで寝ると決めたが四葉に止められた男二人が寝る場所なんて無いと思ったが
三玖が部屋を貸してくれると言うのだ
それこそ男二人が入って良いものかと迷ったがここで時間を食っている暇はない
五月と風太郎の仲も最悪な状態は回避されたし 五月も自分を信じて欲しいと言ったんだ
「最初はグー」
「じゃんけん」
「チョキ」
「パー」
「風太郎は床な?」
「畳仕様じゃなければ文句を言っていたぞ」
「男二人でベットにはいる趣味はねぇーよ」
「抱き合うとか勘弁だしな」
部屋にはいればもちろんベットは一つだ
流石に男二人寝るには狭いし そんな趣味はない
どちらが寝るかじゃんけんで決めた
他の布団は借りてきている それをひく形で風太郎は寝る事になった
「幸太郎 ありがとな」
「何がだ…………」
「五月の事だ きっとお前に言われなかったら」
「お前は勝手に答えを出してたよ」
「そんなものか」
「そんなもんだろうよ でもよ 風太郎 もう喧嘩するなよ」
「努力はする」
「はいはい じゃ寝るぞ」
俺と風太郎の長い一日は終わった
五月は言った明日には答えを出すと それまで待ってほしいと
俺もあいつに謝らねぇとな またタイミングを逃しちまった