上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

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第二十五話 不良少年と過去の手帳

『-----!ーー!』

 

誰かが俺の名前を呼んでいた

泣きそうな顔で俺を呼び 俺は何も出来ないままそこで転がっていた

視界もぼやけ

体は痛みで動けない…………。

あぁ そうかこれは あの時の

 

 

 

 

「はっ…………はぁ 夢かマジで胸糞悪いぞ」

目を覚ませば俺は知らない部屋で知らないベットで目を覚ます

違うな ここは彼女の部屋 中野三玖の部屋だ

俺と風太郎を信頼し部屋を貸してくれんだ

そして昨日は弟である 風太郎とジャンケンしてベットを勝ち取ったんだったなぁ

嫌な夢でその事も忘れていた

 

周りを見れば床に敷いてあった布団は畳まれ風太郎の姿はなく

既にアイツは起きているようだ

俺を起こさないのはアイツなりの配慮なのだろうな

 

 

「さて おきる …………?」

「すぅ…………」

布団の中に三玖がいた 俺の腰に抱き着く形で寝ており

よく確認しなければぱっと見て分からないだろうな

 

「冷静に何分析してんだぁ やべぇーな 早く起きねぇとバレたらやべぇよ」

 

抱き着いている三玖を起こさないよう最善の注意を払う

無事に離す事が出来れば、後は部屋を出るだけだ

そーっと起こさないように体を動かしベットから身を乗り出す

何時起こしてもおかしくない状態だがしゃねーよ 何でこうなってるか俺にも分かんねぇ

 

ゴロンと寝返りをうち危うく足に絡ませそうになるが何とか脱出し

布団を三玖にかけ直し部屋を出ようと足を動かした時

誰かが近づく音がした 直ぐに入り口まで向かい扉を開ける

 

 

「へ…………」

「おはよう コウタロウ」

 

 

入り口には三玖がいた

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

ーー

 

 

 

彼が起きてくる数分前の時間まで遡る

中野家の食卓には一花 二乃 五月の三名 

風太郎は彼より先に目を覚まし 昨日の借りがあるとして気を利かせ彼をそのまま寝かせ

その後居間で五月達と遭遇 軽い挨拶の後 三玖を探しに行くと話し

四葉を追いかけ共に何処かへ向かってしまった

風太郎も五月も昨日の一件で少しだけ気恥ずかしいようで喧嘩せずともまだ少し距離がある

そんな二人を見て一花も笑みを浮かべて 昨日のやり取りを見ていた為

思いのほか二人の喧嘩が早く収まったのは嬉しい誤算だったようだ

 

ただ五月は未だに満足が行かないのか少しばかりムスッとしている

理由は明白だ 風太郎から謝罪されただが、幸太郎からまだ言葉がない

と言うより昨日もまともに会話をしないまま終わってしまった

 

彼女は部屋に戻ったあと『何で 私は謝れないのですか』と自分が自分で嫌になった様子だ

普段が彼に関わる際そこまで気にはしないが珍しく喧嘩をしてしまい

少々彼女も戸惑っている

 

「別にコータローくんは、気にしてないと思うけど」

「いえ きっと怒ってます 私がいけないんです もう少し彼の気持ちをくみ取るべきでした

 一花や三玖のように素直に言えればと反省してます」

「いやいや、あんなの無視すればいいから」

「そうもいきません 今回の事は私の責任なんですから」

「なんで そうあんな奴庇うのかしら でも まぁもう少しの辛抱だし」

「…………」

「さっき 私や三玖みたいにって言ったでしょ ならさなってみよう 姉妹なんだし」

「えっ いえ それは困ります」

「いいじゃん 三玖はいなんだし バレないよ コータローくんと話したいんでしょ」

「…………はい」

「その素直さを フータローくんの前でも出せれば拗らせずにすんだのに」

 

その言葉にしゅとする五月はモグモグと食を進めるだけだった

一花も何故妹がここまであの少年に気を使うのか気になっている

本人は『べ 別に普通ですよ』と傍目でも分かるほど動揺しており

彼本人も『わかんねぇー』と述べている 彼の言葉に嘘はないだろうと一花は思っている

ならば妹が自分達姉妹に隠し 彼と何かがあったのでは?

それは昨日ふと思い出した 幼少期の記憶と何か関係があるのだろうか?

 

謎は深まるばかりだが、何時までもしょぼくれて居られると話は一向に進まないだろう

五月に近づくと彼女は妹の髪を先程述べた通り 三女と同じ眼が隠れるような分け目に替える

顔は同じだ髪型さへ替えれば幾らあの少年でも引っかかるだろう

 

その様子を見た二乃はガタッとその場に立てば怒っていると…………

思いきや 『分け目が違う』と五月改造計画に自らも参加

見る見るうちに 彼女の見た目は 三玖と瓜二つの見た目に代わり

素人では判別出来ない程 精巧である

 

この姿で彼のいるだろう三玖の部屋まで行き

話をすれば何かしら自信がつくと一花は冗談交じりに言い

二乃は少し後悔したように五月を止めようか少し迷っていた

 

五月もあまり乗り気ではないただ 折角姉妹がくれたチャンスだ

少し前向きに考えよう 今は三玖として彼の前に立ってみようと…………

 

 

 

 

そして時間は彼が扉の前に着た所まで戻る

 

 

 

「…………」

バタン

彼は勢いよく扉を閉めた

 

 

 

 

「…………なんで ここに」

あれは 三玖? でも俺の隣には三玖が寝てた

え…………ならまさかあの人は!

中野六花では……

 

「あの コウタロウ?」

「す すまん」

「おはよう コウタロウ」

「おっ おう………… あの君は誰?」

「私だよ コウタロウ」

「だから あれ 俺を知らない?」

「こ コウタロウだよね」

「うん 幸太郎だ」

 

何だ あの子なら俺の事を知っている筈だ

でも知ってるようで知らない何とも噛み合わない …………まさか

誰かが三玖の振りをしてるのか?

良く見ればヘッドホンも首にかけてないし 髪型も何処となく違う気がする

第一に彼女がここにいる筈がないだろう 五月は中野六花を知らないと言った

あの言葉は本当の筈だ

それに彼女が着ている服は、昨日五月が着ていた服とよく似ている

 

「まさか 五月か?」

「えっ あのこれはその…………」

「ごめんな 探してる人とそっくりで混乱しちまった」

「…………」

「五月……一昨日はごめんな 俺お前が真剣に聞いてるのに あんな態度とってさ」

「私の方こそ 幸太郎君の気持ちも考えず 立ち入った事聞いてごめんなさい」

「良かった 五月に嫌われたかと思ってさ」

「……………………! 失礼します」

「おっ おい 五月! 」

 

無事に謝る事も出来たし 五月も怒ってない様子だったが

話が終わると何処かへと向かってしまう

下の方では 一花がにんまりとしており 二乃は面白くないと言った表情だ

 

「ねぇー コータローくん 三玖しらない」

「え あー図書館でも行ったんじゃねぇ―かな」

「そうか うんなら 私達も図書館で勉強しよう」

「そうだな 一花」

 

三玖は部屋にいますとか口が裂けても言えない

それこそ事情を知る二乃に何て言われるか分かんねぇぞ………。

一旦俺は部屋に戻り 着替えをすることにした

未だ三玖はぐっすりと寝ている起こすのも悪いし 起こしたら俺が終わるぞ

 

 

 

風太郎が寝ていた付近に俺の着替えはおいてあり

俺はそれを取りに向かう

ガタッと音が鳴り良く見れば三玖の頭が枕もとの棚にぶつかったようで

『うぅー』と寝ながら痛そうな声を出している一瞬ヒヤッとしたが

起きてないようで安心して良いのか少し戸惑うがとりあえず息を整えようと一旦深呼吸をした

 

ふと目を三玖の頭付近にやれば 彼女の物であろう生徒手帳があった

だがそれを良く見れば、俺は目を疑った

 

「……………これ 俺の無くした生徒手帳 何でここにあるんだ?」

 

そこにあった生徒手帳は 俺事上杉幸太郎が去年なくし

そのまま放置した生徒手帳であった……………。

 

「……間違いない……何故ここに?」

 

俺の頭は混乱し 正常な判断が出来ずにいた

どういう事だと何度か寝ている三玖を見るが答えは出ない

 

「何で 三玖が持ってんだよ 」

 

生徒手帳に乗せられた写真は確かに去年の俺だった

一体どういうつもりなのか  可能性があるとしたら一つだでも何時だ?

 

しばし混乱する頭を押さえ俺は生徒手帳を戻すと三玖の部屋を出る事にした

 

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

ーー

 

「…………」

 

風太郎は彼女の言葉を信じると言ってくれた

昨日の一件と一日経ってこいつも冷静になったのだろう

ただ心配事は尽きない

やはり このままでは幾ら時間があっても足りないのが現状だ

 

図書館に行けば 弟は四葉相手にその言葉を声に出していた

 

「もしもこの先誰かが進級できなかった時お前はどうする?」

「私ももう一回二年生やりますよ と言っても私が一番可能性高いんですけど あはは でも上杉さんとお兄さんがいればそんな心配いりませんね」

「心強いな なぁ風太郎?」

「あぁ……………2年生をやり直すか」

 

四葉のそのポジティブさを俺も見習うべきかも知んねぇな

自分の事にはとことん後ろ向きな事が多いからな

それに俺の仕事は終わってないまだ時間あるんだ

こいつらに限界まで教えてやるべきだ

 

「そう言えば 私筆箱わすれた コータローくんお願いできる?」

 

一花はまた気を利かせてくれたようだ

五月の事は信じているだが、俺はやはり一緒に勉強してぇんだ

あいつにはずっと世話になってんだだからもう少し借りを返させろ

 

「風太郎 ここは頼むぞ」

「そっちは任せた」

 

こういう時 弟がいると頼りになる

待ってろ五月!

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

ーー

 

 

 

「おっと 三玖か!」

「コータロー 図書館に行ったんじゃ」

「忘れもんだ 一花達は向こうにすでに行ってる 合流してくるなら向かった方がいい」

「もしかして昨日の夜」

「あぁー 俺は居間で寝てたぞ やっぱり人様のベットで寝るのは難しいな」

「そうだよね 良かった」

「ソウダネ…」

「じゃ 私先に行ってるね」

「あぁ また後で……………あとさ三玖 今度時間あるか」

「えっ?」

「お前に聞きたい事があるんだ テストが終わった後でも構わねぇ 出かけないか」

「うん良いよ 何時でも」

「ありがとな 三玖」

「…………え 何処か出かける? デート!!」

 

マンションにつけば三玖と出くわした 俺の顔見れば驚いた表情だ

俺と一緒に寝ていた事は覚えてねぇようだが、正直言えば顔が会わせにくいし

適当な嘘で誤魔化しちまったな 三玖には聞きたい事もあるしその時お詫びも兼ねるか

 

三玖が鍵を使い開けてくれた為 中に入る事が出来

そのまま30階まで向かい中野姉妹の部屋まで到着

 

「五月 少しいいか?」

「えっ 幸太郎君が何故ここに図書館で勉強している筈では」

「お前の勉強を見に来た」

「でもそれは昨日の話で」

「これは家庭教師と関係ねぇ 前にも言ったろ それと偶には俺を頼れ お前が何を俺に隠してるか知らねぇけど お前の勉強見るくらいなら出来っから!」

 

五月に俺を頼れと言ってきた。

だが五月は俺を頼らないし アドバイスは受けるが勉強は頑なに受けようとしないのだ

笑顔で勉強させたいと俺は思ってるが、このまま五月に何もお礼を出来ないまま放置を決め込むのは主義に反する…。

 

「だから 頼む 今だけは頼ってくれ!」

「……………………私は絶対にあなたに迷惑をかけないと決めているんです」

「理由は教えてくれないんだよな?」

「はい これは私が決めた事です」

 

俺にはそこまでされる義理も筋合いもない

何故ここまで頑なに真実を言わないのか、無理には聞かないしそれでもいい

 

「俺は今から 勉強を始める」

「えっでも 私は」

「勝手にするだけだ 聞こえた事は聞き流せばいいだろう」

「幸太郎君は勝手ですね 何時も」

「うるせー それが俺のやり方だ だからお前も勝手に始めてろ」

「はい 私も勝手に勉強をします よろしくお願いします 幸太郎君」

「あぁ よろしくな 五月」

 

受けた借りは返す

それが俺のやり方だ だから絶対に誰も落とさせねぇ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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