上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

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第二十七話 不良少年と家庭教師の補佐

怒鳴られた そりゃ耳にたん瘤が出来ちまうほど

口を酸っぱくするほどに同じ事を何度も言って来た

目の前の教師は生徒指導室まで連行すると今までの鬱憤を発散させるように俺に言い聞かせる

『その髪はなんだ それにその態度だ』と今更新任教師に詳しい説明などする気はねぇ

もう一人の先生が、見かねたのか 俺の事情を説明すれば何処か納得が如何に表情だが

何とか解放され 俺は先生にお礼を言えば『成果で見せて欲しい』と言い

 

そして俺達は中間試験と言う戦場へと同じく向かう

 

「頑張れよ 秀才」

「お前もな 天才」

「嫌味か? んなもん適当で良いんだよ」

天才なんて言葉を俺には似つかわしくない 俺は何処にでもいる

ガラの悪い不良少年に過ぎない それが俺上杉幸太郎と言う 人間だ

でもまぁ 勇也さんや弟に恥じないだけの点数は稼がせてもらうとするかぁ

 

その後無事に試験を受けることになった

それぞれが自分の戦いをしているだろう

一花 二乃 三玖 四葉 五月 彼女達ならば出来ると俺も弟も信じているのだから

 

 

(難しい問題ばっかでも 歴史ならわかる コータローよりいい点数取ったら どんな顔するかな)

 

(うーん 思い出した 五択問題は四番目の確率が高いっと)

 

(討論 討論 わかんないや……………………【でばて】 勝手に教えてくるんじゃないわよ)

 

(おーわった こんなものかな おやすみー……  式の見直しくらいしてもいいかな)

 

(あなた達は辞めさせません らいはちゃんの為 そして彼を一人にしない為)

 

『一人でも赤点なら辞めてもらうと先ほど伝えたんだ』

 

 

彼女達はそれぞれの決意と知力をいかし 戦っているのだ

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

ーー

 

 

 

「ぼちぼち始めっか」

「全員集まったな」

翌週だ 風太郎と俺は図書室へと彼女達を呼んだ

今日は先週行われた中間テストの返却日だ

俺達二人は勿論だが、目の前でこちらを見るこの5人も同じだ

既に貰っている筈だ 隠し立ても出来ねぇし 結果は何をしても変わらねぇ

既に死地に飛び込んでいる 後は閻魔大王への報告だ

きっとどんな結果でも今の俺達は後悔しねぇ……………………。

 

「どうしたの? 改まっちゃって」

「水臭いですよ」

「中間試験の報告 間違えたところまた教えてね」

「了解だ」

「まずは…………答案用紙を見せてくれ」

「はーい」

「私は見せたくありません テストの点数なんて他人に教えるものではありません 個人情報です断固拒否します」

「五月ちゃん…」

「五月 個人情報とかおまえ なぁ 俺には説得力はねぇーぞ」

「うぐ…」

 

携帯の契約の際に人の隣に座りこんで

あえやこれやとお節介やいて テストの点数より見られたらマズイ人の個人情報を見た人間が言えた義理かよ… 痛い所をつかれたのか言葉に詰まる五月

 

彼女にはわりぃけど ここからは…ここからが本番だ

どんな結果でも後悔はしねぇよ

それぞれが答案用紙を机に並べ 自分の点数と自己の評価や反省点を述べている

 

 

「山勘があたってちょうど30点でした こんな点数初めてです!」

「困ったら最悪それもありだしな 悪くねぇぞ」

「社会は68点 その他はギリギリ赤点悔しい」

「成果は出てんだ 胸を張れ」

「私は数学だけ 今の私じゃこんなもんかな」

「何回か見直したんだろ? 十分すぎるぞ」

「国数理社が赤点よ言っておくけど手は抜いてないから」

「抜いたとは思ってねぇーよ 良くやったと褒めてやるよ」

「合格ラインを超えたのは一科目…理科のみでした…」

「五月 お前は自信を持っていい 後はどう学ぶかだ」

 

結果だけ言えば散々と言える

短期間での勉強でもこれはひどいとしか言えねぇが、あの勉強嫌いで合計で100点だった

こいつらからしたら十分過ぎる成長だろう

『改め馬鹿さを認識した』と風太郎がぼやくが、それでもだ

俺達はやる事をやったんだ  それに風太郎 お前は胸をはれここまで育てたのはお前だ

 

少し間を開けた後 息を整え

先ず最初に三玖に視線を送る

 

「今回の難易度で68点は、大したもんだ 偏ってるが 今後は姉妹に教えられる箇所は自信をもって教えてやれ お前はそれだけの成果をだした」

「えっ? それはどういう意味」

「四葉 ミスが目立つ お前はやる気あんだから焦らずじっくりとだ」

「了解です」

「一花 お前はもう少し問題に拘れ  これからも やり遂げろよ 」

「はーい」

「二乃 結局最後まで言う事聞かなかったな マジでどうなんだよと焦ったが あれでここまで取れたんだ 俺は今後バイトをもっと増やして来れる時間はねぇーけどよ 任せたぞ」

 

 

視線を戻せば三玖はこっちを見ていた肩を揺らし、けしてこちらから視線を動かさない

 

 

「他のバイトってどういう事?来られないって・・・・・・・・なんでそんな事言うの?」

「いったろ バイトだバイト 俺は元々補佐だし 風太郎も雇われだ ただ単に俺がバイト増やすだけだ 今までと何も変わんねぇ―よ?」

 

あの時と同じだ 三玖は動揺している

どんな時でも俺を気遣い 珍しく怒ることだってあったんだ

そんな優しい奴にこんな悲しそうな顔をさせる俺はやはり

相応しくないのだろうな あの人の意見は全うだ…。

 

そしてまだ一人残っている

 

「五月……風太郎にはああ言ったが  うんお前は馬鹿だな」

「幸太郎君まで!」

「でも 馬鹿でも不器用でもお前はやり遂げた この点数は誇るべきだ

 俺がお前に手を貸せたのはほんのわずかだ 例え赤点でもこれはお前一人で勝ち取った点数だ

 まぁ 次からはきーつけろ なっ」

 

それが俺が抱いた五月へのテストの感想だ

こいつは頭は良いのだろうが、それを全くと言っていい程生かせていない

何をするにも遠回りになりその結果時間が掛かり 取れそうな点も逃してしまう

本当に馬鹿で不器用な奴だよ。

 

それにこれから俺は風太郎にも嘘を言う

下ろされるなら二人で覚悟した 始めたのも二人ならこれで諦めて

一から稼げる物を探そうと でも俺は風太郎にはこいつらと一緒にいて欲しいと願ってる

五月もすまねぇな お前が寝てる間にスマホを見させてもらった

 

 

まるで図ったかのように電話がなり 五月はそれに出れば

電話を俺に手渡した

 

「ああ 五月くんと一緒にいたのか 個々に聞いていこうと思ったが君の口から聞こうか 嘘はわかるからね」

「俺があなたに嘘をついた事がありますか?」

「君は嘘ばかりだろ」

「はい では 昨日の件お願い出来ますか」

 

「おい 幸太郎 昨日ってなんだよ?」

「幸太郎君 父と話していたんですか!」

 

「風太郎は続けさせて欲しい こいつは兄の俺から見てもひでぇ性格だ だがそれでも

 こいつは相応しい

 五月は言った『俺達に給料』と正式ではない俺もカウントされてんだ その一人を削るだけでいい 

 そしてあんたの要求を俺は飲む…。」

 

「そうか という事は…」

「結果は… 二乃おまえ!」

 

覚悟なんて決まっている

それを口に出せばいい 例え勉強を見れなくても彼女達を見守る事は出来る

 

突然耳に当てていた スマホは無くなっていた

二乃だ彼女が奪いとるようにして俺と電話を代わっていた

 

「パパ?二乃だけど 一つ聞いていい?なんであんな条件出したの?」

「僕も娘を預ける親として 責任がある

高校生の上杉くん達がそれに見合うか計らせてもらっただけだよ 彼が君達に 相応しいか」

「私たちのためってことね。ありがとう、パパ・・・・・・・・・・でも、相応しいかなんて数字だけじゃわからないわ」

「それが一番で至極簡単な判断基準なんだよ」

「あっそ。じゃあ教えてあげるーーーーーー私たち五人で五科目全ての赤点を回避したわ」

「二乃が言うなら間違いはないだろうね これからも上杉くん達と励むように」

 

電話が切れたようだ、五月に返せば二乃はこちらに向き直す

 

 

「私は英語、一花は数学、四葉は国語、三玖は社会、五月は理科。五人で五科目クリア、嘘はついてないわ」

 

「嘘じゃねぇーけどよ ひでぇなそれはそれで」

「そんなのありかよ」

 

「結果的にパパを騙す事になった。多分二度と通用しない」

「だろうな あの人には通じねぇさ」

「やってやるよ」

「次は、実現させなさい」

 

まだ認めてはいないのだろう

だけど二乃はチャンスをくれた このチャンスを俺と風太郎は活かさねぇといけない

彼女の言う通り 次は確実にあの人自ら出向くだろう

そうなれば俺と風太郎に出来る事はないに等しい

 

少しばかり二乃と話していれば 四葉と一花が駆け寄ってくる

事情を話すと面倒だし 後は風太郎にでも丸投げだ

 

「三玖、安心してください。どうやら彼らとはもう少し長い付き合いになりそうです」

「ーーーーーーうん」

 

 

「じゃこのまま復習しちゃいましょう!」

「え? 普通に嫌だけど」

「逃げないの」

「そうだな 試験が返却された後の勉強が一番大切だ だが直後じゃなくてもいい ご褒美だっけパフェとか言ってたろ」

「ぷっははははは 風太郎から パフェって言葉がでるとはなぁー」

「笑い過ぎだ 幸太郎!」

「いやいや すまん」

 

まさか あそこまで面倒とかほざいてた風太郎がそんな事を口走るとは

そこまでは、想像出来なかったな…。

膨れっ面でそっぽを向いてしまった弟に俺は、ニヤリと笑みを浮かべた…。

こいつは確実に変わって来てんだ…。

それもいい方向へと 中野姉妹の影響だろうな

感謝してもしたりねぇな…。

 

「幸太郎君 父と何を約束したんですか?」

「…大したことじゃねぇよ 心配すんな」

「私ではやはり信用なりませんか?」

「違う違う お前は信頼してる けど男の約束ってのはあまり口外する事じゃねぇんだよ…。だから泣きそうな顔すんな 俺に心配かけるのが嫌ならその顔はやめて笑顔で頼むぜ」

「わかりました 幸太郎君 でも何時か私にも貴方の抱えるものを打ち明けてください!」

「お互い様って言いたいが あぁ 分かった」

 

 

五月とまた喧嘩したら面倒だ

けどこの話だけは、彼女の前では決して言えねぇ

俺とあの人が交わした言葉

 

『君の覚悟は聞いた もしもダメだった場合でも上杉風太郎君の解雇は免除しよう

  そして君は 金輪際 五月くんと三玖くんに近づかない それは他の姉妹も同じだ』

 

少しでも風太郎をサポートしそれを助けるのが補佐であり兄である俺の役目だ

直接的には関われなくなるが、 零奈さんの言った 見守る事だけでもするにはこれしか方法が無かった

 二乃の起点が無ければ本当に何も出来ないままだっただろう

 

 

「そう言えば上杉さんって何点だったんですか?」

「全部100点」

「あー めっちゃ恥ずかしい」

「その流れ 気に入っているのですか? …それで幸太郎君は」

「俺か まぁ こんなもんだろうな」

「お兄さんもすごい 90点代をキープしてます」

「はぁ? 何であんたみたいな奴が高いわけ? 納得いかない」

「さーなー」

「幸太郎は 今でこそバイト尽くしで成績は落ちたけど 実際は俺よりも上だ」

「そんなに へぇ 人は見かけによらないって言うけど」

「うっせー 帰るぞ」

 

一応は俺も補佐だ

勉強出来なきゃ教えることも出来ねぇからな

それに今は、ある程度出来てればいいんだ そんくらいがちょうどいい

 

 

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