あれから約5年6か月が経っていた
上杉らいはもすっかり成長し かつての兄達と同じく高校生となった
台所に立ち『パパパパーン』と口ずさみ 軽い朝食を作ってる最中である
すると家の電話が鳴りだし らいはは慌ててそれに出る
その相手が誰かと分かれば 彼女はため息を漏らす
電話の向こうでらいはと話すの今日結婚式を挙げる主役である
上杉家の次男 上杉風太郎だ
彼は今日と言う 大事な日に指輪を家に忘れたと話し
今から取りに行っていては間に合わないと言い
妹に持ってきて欲しいと頼み 彼女は『わかった』と電話を切る
今でも変わらない兄に嬉しくもあり 悲しくもありと言った表情だ
二人の会話が終わるとそれを聞いていたのか 父である 上杉勇也は『血は争えんな』と堂々と語る
そんな似て欲しくない所が似ている父と兄を見て
『良い人と結婚する』と決意を固めた
だだをこねる父に呆れるらいはだったが、ふと この場にいない彼
もう一人に兄の事をらいはは思い出す
「幸太郎はもう 日本に戻ってきたのか?」
「ギリギリだって伝言残ってたよ でも間に合わせるぞーって」
「あいつも風太郎の結婚が嬉しいんだろうな」
「お兄ちゃんは向こうで良い人見つかったのかな?」
「ふーん 俺には分かるぞ あいつが好きな子は日本にいる」
「えぇーー 私にはいないって言ってたよー」
「ふははは 父親だからな 勘で分かるぞ
それに あいつは苦労したんだ幸せになるべきだ」
「そうだね お兄ちゃん達には幸せになって欲しいね~」
ここにはいない 上杉幸太郎 彼は今どこで何をしているのだろうか?
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一台のタクシーが速度制限ギリギリのスピードで道路を突っ走っている
事故は起こさないよう尚且つ目的の場所まで間に合う様にと…………。
「洒落にならん 弟の華々しい日に俺は遅刻する可能性すらあるのか?」
上杉幸太郎は焦っていた 今日は弟の結婚式だ 事前に彼女等からも聞かされ
その為に服も新調している 髪もセットした 色自体は当時とは違い真っ白になっており
向こうの大学に来て3年程前だ 知り合った友人達が彼の昔の写真を見て面白がり
白く染められてしまった
朝方に気づけば『ふざけんな!』と部屋にいる全員を追い出した
それも今では良い思い出なのだろうと苦笑いしている
そして今日 それから3年が経った日 出発前日
彼の弟の結婚を勝手に祝いだした友人達がどんちゃん騒ぎ
朝まで飲み明かしていた
そのまま彼を巻き込み朝まで大騒ぎだ 酒は飲まされずには済んだものの部屋の惨状は見るも無残
『私は先に向かうから幸太郎も遅れないように』と二日目にここを発った友人の言葉を思い出す
『俺も早めに日本へ向かえば良かったよ』 ボヤキ交じりに部屋で寝ている彼等にシーツをかける
足元に転がるワインの瓶を掴めばやはり昨日の騒動は夢ではないんだなと嫌でも思い知らされる
本当に何をしているんだと彼は呆れている
一度彼は現状確認 パスポートや財布 向うで使うだろう品も忘れずチェック
目の前にある紙に何かを書き出せば彼は部屋を出る準備を開始
時計を見れば自分が乗る筈の飛行機が出発するまであと僅かばかり
間に合わないと判断した幸太郎 その場でスマホを取り出し
急いでらいはに電話を入れ『遅れるけど絶対間に合わせる』と伝言
日本との時差は8時間近くあり電話の向こうは夜だった
乗る筈だった便を諦め 次に日本に向かう便を探し急いで荷物を纏めると自分の部屋に
『No Trespassing』と紙を貼り そのまま全速前進で空港へと走って行く
場所は日本へ
それから飛行機に揺られ 無事に日本に到着した彼は空港を足早に出ると
急いでタクシーに乗り込み 風太郎達がいる式場へと向かう
「5年少しか…………手紙ではやり取りしてるけど 会うのは久々だ 元気かな」
ふとスマホを取り出せば 卒業旅行で撮った集合写真が待ち受けにされている
彼が弟や中野姉妹と撮った最後の思い出であり
風太郎や彼 中野姉妹も笑顔で写っている
思い出すだけでどれだけこの日本で彼等と楽しくもあり そして辛くもある
高校生活を過ごしただろうか全て良い思い出である
卒業旅行を最後に彼は 日本を離れた…………。
それから5年近くが経っているのだ
連絡は取り合ってはいるが直接会うのと手紙 その差は大きいものである
期待に胸を膨らませながらも 遅れてくる自分はどう彼等に弁解しようとか脳内で会議が行われている
「まぁ……取り繕う 必要もないか 実際に遅れてきてるんだしな」
そして今日 4月28日 弟と彼の恋人が結婚する
林間学校からちょうど2000日が経ったこの日に これは伝説の効力かはたまた二人の為した事か
恋や愛には興味を見せずただひたすらに勉強をしていた彼 それを見守るあの子
きっと沢山の人々が彼等を祝福するだろう
そう思えば自然に笑みも出る
「ここからは歩きます。…………。これで足りる筈です、さて走るかぁ!」
遠目で見え始めた式場 ここからの道は車で移動するよりも歩いて行った方が断然早く
運転手にお金を支払うと彼は急いで会場へと走って行く
全速前進だ これまでにない程に 既に式場の中からは音が聞こえだす遅刻だ…、入り口の扉が見えれば彼は迷うことなく その扉を力強く開けた
「はぁ はぁ…………間に合った」
扉の先には、弟とあの子がいた
綺麗に着飾ったあの日の少女だ
急に扉が開かれたと思えば、息を切らした髪の白い男が入ってくるのだ嫌でも目立つ
本人も『すみません』と頭を下げ
兄が来た事を知った妹は『お兄ちゃんタイミングが最悪だよ』と小さく呟く
隣の父は大笑いだ 主役より目立ってしまった
参列者一同もその人物が誰なのか気づけば笑いを堪える
そしてそれは今日の主役も同じだ
日本から去った 兄が戻ってきた自分と彼女の結婚式の為に
「たく 間に合ってないぜ 幸太郎」
「久々だな 風太郎」
「!!」
「それと○○もおめでとう!」
二人を祝福し 二人も『ありがとうございます』と彼にお礼を述べる
林間学校の伝説
それはキャンプファイヤーの結びの瞬間に手を繋いでいた二人は生涯を添い遂げる
素敵な素敵な伝説である
彼は言う 人は恋や愛を通し変わっていくと
恋とは人生の終着駅 学生はそこで終わりと弟は言った
だが 風太郎は変わった あの子と出会う事で…………。
林間学校の最終日の事は二人も良く覚えていない
誰が誰と手を繋いだのかも定かではないけど 幸太郎には確信えた何かがあった
きっと風太郎は結ばれると だからこの結婚は必然なのだと…………。
彼等と祝う幸太郎 果たしてその伝説は彼にも適用されるのか
父が言う 幸太郎の相手とは一体誰なのだろうか…………。
(俺も答えを出さないとな………あいつ等の為にも………。)
キャラ設定
上杉幸太郎
今作の主人公であり
弟である上杉風太郎と彼の恋人である中野○○の結婚式に呼ばれ
海外から帰国してきた
友人達のいたずらで髪は白く染められている