「どうぞ 上杉君座ってください」
「おっおう…………」
何と言うかこれで本当に良いのだろうか……
仲を取り持つ事が使命であるのだが。
女子4人の中に俺が居るのは場違い過ぎる
案内された席には先ほど同じく
二乃 一花 三玖 そして五月が座っており
何処かに消えた四葉はまだ帰って来ていないようだ。
俺の前に座る五月は、何でかニコニコしているし
その隣にいる 二乃は笑顔なのだが、何処か違う気配も感じてしまう
他の二名特に 一花は俺が戻ってきた時は『ただいまー』と気さくに挨拶を交わしてくれた
いやほんと もう少し警戒しても良いと思うがな……。
そして俺の隣にいる三玖だが、俺が来た途端に別の席に逃げられた
これが普通の反応だ
やはり俺を向かえる五月が可笑しいのだ
「やっぱ別の席に座るわ」
「なんでですか 上杉君?」
「…………お腹一杯一杯だよ」
移動しようとする俺の腕を掴みは離そうとしない五月
なんでそこまで必死になれるんだよ
この学園ではまだ 今の俺達は 大して交流もないだろうに………。
五月には悪いけどやっぱ集団の中は苦手だ
すまんな風太郎 俺はダメそうだ。
確かに五月からは好感触を得られたようだが、怖くも感じて来た
「あの………」
「三玖か すまん気分悪くしたよな」
「そんな事ない」
「本当か……?」
「コウタロウは悪くない 私が少し動揺しただけだから」
「ほら 三玖もこう言ってます だから座ってください」
俺を避けたと思っていた三玖だったが、俺と五月のやり取りを見て
こっちに戻ってきた
本人曰く少し動揺と話 俺に座るよう促す
何時までも五月に掴まれたままなのも面倒だし
それにここまで女子に言わせて帰るのも男としてどうなのか?
「わーった 座ります はい」
「これで解決ですね」
五月……恐ろしい女だな
「あれー 君さ」
「何だ一花?」
「それだけでいいの 昼食」
「焼肉定食 焼肉抜きどこが悪い 最適解だろ」
「いやいや 意味分からないから」
「二乃までひどい言い草だな」
しょうがねーだろ
どこの家にも家庭の事情という物が存在するんだ
今回は割と豪勢な方だし
食えばどれも同じ何だ栄養取れれば 味何て関係ないよ
味かぁ………。
「あの 上杉君 良ければ私の少しあげましょうか?」
「良いよ 五月はそれ食ってろ お前のは見てるだけで十分だよ」
「でも流石にそれだけだと お腹空きますから!」
「そうだよ 少し貰っちゃいなよ」
「はぁぁ……なら少しだけお願いします」
「はい どうぞ 上杉君」
特盛!俺のご飯の上に大量の肉が乗せられた
これが、焼肉定食か…。
「っか こんなにいらねーよ 」
「良いんです 私の気持ちです」
「あの五月 大丈夫」
「何ですか 二乃その言い方は私はいたって普通ですが?」
「テンション上がり過ぎでしょ」
「そ そんな事はありませんよ!」
やはり姉妹から見ても五月の様子はおかしいようだ
でも理由を聞いてもこいつは教えてくれそうにないだろうな
ここまでされる覚えはないんだけど…………。
一花は一花で俺を見ているだけだし
三玖は謎の飲み物飲んでるし
何だ抹茶ソーダって 一周回って上手そうにおもえるな。
「…………」
「女子から取る訳ねーだろ」
「本当」
そこまで飢えてねーよ
飲み物は水があれば十分だろう
「あのさ 幸太郎くん」
「何だ 一花」
「君って兄弟いる?」
「いねーよ」
「ふーん てっきりさっきのがり勉君の兄弟かと思ってさ 目つき似てるから」
「ぶっふー」
「五月 大丈夫ほら これで拭いて」
一花の奴鋭いな……。
苗字じゃなく目元で判断してくるのか
どうでりでさっきから俺の顔見てるわけだよ
俺の前に座る 五月は、何故か水吹いてるし
お前が何故動揺するんだ………。
「一花 悪い冗談はやめてください 上杉君とあの目つきの悪い人が兄弟なんて絶対あり得ませんから」
「何で五月ちゃんが必死なのかなー お姉さん気になるな」
「必死なんて ただありえないと言ったまでです! むぅ」
風太郎 やっぱお前ダメだ
五月は全否定してるぞ。
第一印象が最悪過ぎるぞ………。
五月曰く 勉強を教えてと頼んだにも関わらず
あいつに拒否され 100点の点数を自慢までされたとか
お前は一体何をしてるんだ
幾ら学業に関係ないとは言えもう少し考えて行動しよう
特に女性関連の事だ。
俺が言えた義理じゃないし ここは少しでもフォローは入れておくか…。
先ほどの焼肉をもぐもぐと口に入れ噛みしめ
呟くように静かに会話へと入りこんだ
「その目つき悪い君も何か事情でもあんだろうよ」
「ありません ぜっっったいに だって食事中に勉強しだす人ですよ 行儀も悪いです!」
「それは そいつが悪いな…………。
けどまぁ 世の中には必死に勉強やらねーとダメな奴がいんだあんまり嫌ってやるな」
「上杉君が、そこまで言うなら考えてみます」
「頼む 俺はあんまし 人が喧嘩すんの嫌いなんだ」
「見た目のわりに意外な事言うんだね」
「見た目は余計だ 二乃」
あいつあれでも頑張ってんだ
例えそのやり方が褒められた物じゃなくても必死なんだよ。
俺みたいな半端な人間より断然ましだ
「幸太郎くんは、優しいんだね」
「優しかねーよ」
「ええ 上杉君は優しいんです」
「五月 うるさいから」
えっへんとポーズを取っている
何でお前が誇らしげに言ってくるんだよ
三玖にすら言われてるぞ。
本当に不思議な奴だよ 中野五月って奴は
けどまぁ こいつら全員それなりに姉妹してんだな。
一人足りないけど
「そう言えば昨日 四葉って子とあったけどぉ おう五月さん」
気のせいだろうか一舜悪寒を前方から感じたのは
ぶるぶると手を震わせる五月さんのお姿だ
「何で 上杉君の口から四葉の名前が出るんですか………」
情緒不安定だなぁ
「さっきも言ったろ 昨日ここで出くわしたんだけど お前らの姉妹か 顔つきも似てるからさ」
「そうよ 四葉は私達の姉妹よ」
「ほー 一番最初に幸太郎くんと接点持ったのは四葉なのか」
ベキッと次は隣から聞こえて来た
恐る恐る見ると三玖が抹茶ソーダの缶を握っていた
三玖までどうしたっていうんだよ
「私 クラスに戻るから」
「え 三玖まってよー 」
一花の制止を振り切り彼女はそそくさと食堂から出てってしまう
それを皮切りに二乃も軽く挨拶をすると席を立ち
何処かバツの悪そな一花も三玖が気になると言ってそのまま彼女の後を追いかけしまった
残された俺と五月は取り合えず残った昼飯を食べる事にした
何と言うか嵐のような時間だったな………。
「ごっそさん じゃ俺も行くわ」
「ご馳走様です 私も行きます」
「無理して早く食べる必要ないだろ」
「あれが平常です」
「はいはい…………」
どう見ても早食いだったのだが………。
お盆を戻そうと進めば案の定人は避けていく
忘れるところだったな
この生徒達の俺へのイメージを
「五月 先に帰れよ」
「さて 早く返して戻りましょう 上杉君」
「おっおい 五月!」
俺の手を引いて隣を歩く五月はただ前向きに進んで行く
何でこいつは平気なんだ
クラスの人間がこうして避けるんだぞ
どうしてお前は何も見なかったように俺の隣を歩けるんだ……。
俺なんかと居たらお前のイメージが悪くなるだろう
転校してきたばかりなのに
「五月 お前さ気にならないのか?」
「何がですか? 良いから戻りましょう 上杉君」
正直言えば 五月の優しが怖くもある
お前は、それで良いのか 中野五月
その後の授業は 頭に入らなかった
五月の行動だが、突然帰ってしまった三玖もだ
何がどうなってるんだか 頭痛くなってきた
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ーー
「取り合えず言わせてくれ 中野五月やばい」
「やっぱりか 何かされたのか」
放課後 風太郎と落ち合い
現状報告をした
俺が言える事は一言だ 『中野五月はやばい』
語彙力もへったくれもないが昨日今日接しての俺があいつから得た印象だ
男女の距離感を云々の話だな あいつは…………。
ただ他にも 気になる点があった
それは彼女の一限目での態度だ
その事は風太郎も気になってはいたようだが、大した事ではないと言う
「一時限目の終わりまで見てたが、中野五月は要領が悪い印象だった」
「良く見てるなぁ………」
「あいつ自身はそれなりに頭は良いと思うんだよ ただそれを正しく学べるかだと思う
そこは家庭教師である 風太郎次第だな」
「幸太郎から聞く限りだと 中野五月はお前に悪い印象無いんだよな?」
「何でそこまで気に入られてるかわかんねーけどな」
「でも 活路は見えたぞ」
流石秀才だ
何とか五月と上手くやれそうだと言ってくれた
あまり疲れる事は苦手だが、この家庭教師問題は俺たち上杉一家には重大な事だ
今日は五月の情報と彼女から信頼を得る所から始めたが
実際は俺が教えるのではなく 目の前のこいつだ
彼女から聞く限り 中々厳しい物を感じてしまうし
結局 風太郎の紹介も出来ずじまいだったしな…。
「そこでお前に頼みたい」
不甲斐ない兄に弟から三度声がかかる
「なんだ 借金返済だ 俺も本腰入れるぞ」
「幸太郎にはこのまま補佐を頼みたいんだ」
「改めて思うけどよ 俺さ人に教えるの苦手かも」
「教えるのが苦手なのは俺もだよ それに幸太郎は成績が良いだろう 」
「元から断るつもりはねーよ」
「よし お前がいれば何とかいけるぞ」
「熱くなってるのは、良いがどうするんだ?」
この事が俺たち家族の未来を決める事になるんだ
熱くなるのも分からないわけじゃねーけど
空回りはするなよ…………。
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ーー
『先ずは 今日中野五月を尾行する 周りの友人が邪魔だが何とか家まで行って話でもしないと』
弟が堂々とストーカー宣言しだした事を思いだし
少々頭が痛くなるが、あいつも自分が五月からどういう事を思われているのかそこは理解している訳で彼なりに考えた結果なのだろう
俺が五月に紹介するのが最初の案だったが、それも成功するかどうかも怪しい
風太郎本人は昼に中野姉妹達に顔を覚えられてると言うし
俺が知らない間に何してんだか…………。
「五月達の家かぁ…………」
「上杉君 私の家が何ですか?」
「おっ 五月か お前も帰りか」
「はい 上杉君も帰るんですね」
「部活も入ってる訳じゃねぇし 何時までも学園にいるのもな」
「なら 一緒に帰りませんか!」
おっ これは願ってもないチャンスなのでは
五月の優しさに付け入る形になるのは心苦しい
けどもう少し警戒するって事を覚えて欲しいもんだがな………。
軽く後ろに目配せすれば既に待機する風太郎の姿が見える
俺がこのまま同行すればあいつが余程ドジを踏まなければ、他の奴に気づかれねーだろうし
そして帰り道…………。
正直言えば居心地は良い方ではない
女子5人男子1人というこのバランスの悪さ
周りの視線もちょくちょく刺さる
俺の姿を確認すれば今日見かけなかった四葉も『上杉さんだー』と手を振ってきてくれた
二乃も何だかんだ言いつつ『よろしく』と言ってくれた
返事を、返せばそのまま五月の元へと行ってしまう
「五月食べ過ぎじゃない」
「そうですか? まだ二個目ですけど はむ ! ひゃ 二乃」
「この肉まんおばけーー」
「やめてくださーーい」
「男にもてねーぞ」
「余計なお世話ですーーー」
帰り際に寄ったコンビニで五月が何個か肉まんを買っていた
美味しそうに食べる彼女のお腹を何度も握る二乃
五月はくすぐったいようで、振り払おうとしている
「わ 私だって昨日は男子生徒とランチしたんですからね…………」
(確かにな 俺と相席だったな)
「キャー誰 誰 一年先輩? 頭文字だけでも教えてよ~」
「一年先輩…………いえ違いますよ」
「何よ 自分だけ秘密にしゃってさー あぁ逃げるなー!」
突然黙りだした五月はそのまま二乃を振り払い去ってしまう
見失わないよう俺も追うと思ったが、風太郎が足止めを食らっているようで
流石に怪しまれたのか三玖にじーっと見られている バレるよなやっぱり……。
スマホを取り出し何処かに連絡しようとする素振りを見せた後三玖はこっちに戻ってきた
チラッと視線を風太郎に送る
コクリと頷き彼はその場で止まり俺や三玖の様子を窺っている
「三玖どうかしたのか?」
「…………不審者」
「はぁ? 誰が誰が?」
「コウタロウじゃない………」
「冗談だよ 冗談」
「意地悪なコウタロウは嫌い」
「へいへい」
昼時は何だか逃げられて会話もろくに出来なかったけど
一応話せば、それに答えてくれるくらいの事は彼女もしてくれる
「三玖 ヘッドホン首に下げてるのは良いけど 着けたまま歩くなよ」
「!! しない…………」
「ん……?」
「それは絶対にしないから!」
親切心で言ったつもりだが
どうやら怒らせたみてーだ
彼女は言い切るとそのまま走って行ってしまう
さて追いかけるか
(行くぞ)
(了解)
風太郎にアイコンタクトを送ると俺たちもそれに続いてついて行く事にした
ーーーーーー
ーーーー
ーー
五月達の元まで無事つけば
目に入るのは超高層マンションだ30階近くはありそうだ
俺や風太郎の住む家が蟻んこみてーに思えてくるな
バイト代といい このマンションといい お金持ちになったんだな
隣で見ている風太郎も空いた口が塞がらないと来ている
「確か五月がさっき言ってたな 30階って」
「ほぼ最上階かよ ブルジョワはレベルが違うぞ」
何時までも関心してる場合じゃねぇ
俺がついてこれるのもここまでだ
こっから先五月とどうやって会話するかは風太郎次第だ
向こう側で手を振る五月に俺は一声かけ
歩み寄る
「んじゃ またな 中野」
「五月です! 上杉君からかわないでください」
「はいはい 中野さん」
「もー上杉君でも怒りますよ ふふふじゃまた明日」
「明日な 五月」
軽くやり取りをすれば彼女も満足したのかマンションへと入って行く
鍵がないとエレベーターまで行けないタイプか
部屋番号が分かればどうにかなるが、果たして風太郎は教えてもらえるのだろうか
「ちょ! きみそいつを止めて」
「コウタロウお願い!」
「おっと…………(今の風太郎だな」
俺の横を風太郎が走り去って行く
適当な演技をして彼をそのまま五月の元へと向かわせた
ただ運悪くエレベーターは行ってしまい
風太郎は階段を発見するとそのまま昇って行く
「すまんな 取り逃した」
「あの ストーカーやろうめ」
「ストーカーじゃないと思う」
「いやいや ストーカーだから」
「ついていくか? 男手があると便利だろうしな」
「コウタロウ 良いの」
「さっき何か気分悪くさせたみたいだしな その詫びだ」
「うん ならお願いする」
適当な理由をつけて彼女と同行し
マンションの中へと入って行く事になった
利用させてもらってすまねぇな
アイツが強行手段に出たのだ 俺もそれの流れに乗る感じで彼と合流しなければな
ここまで大胆に行動するとは少しばかり予想外であるけど…。