逃げる四葉 俺と顔を合わせない一花 何故かもじもじとする二乃
五月は普段以上に思えるが………何時もあんな感じな気がする
三玖も話した感じでは 一花程ではないにしろ何か思う所がありそうだな
けど目を合わせて返事は返してくれていたし 俺の考え過ぎか?
一花 二乃 四葉
上記三名は俺のいない間の2日で何が合ったのだろうか…。
何故だが嫌な予感と言うか、俺の知らんところで大事にでもならなければ良いのだがな
「どうした お前が俺に相談って」
「何故か 四葉や一花に避けられ 二乃はしおらしいんだよ」
「先言うが 家庭教師を行った日はお前の話題は一切してない 安心しろ」
「流石 風太郎くん くっそ真面目だよ」
四時限目が終わると俺は五月との待ち合わせの前に風太郎に今日起きた事を軽く説明
聞けば面倒な顔をされたが、この先家庭教師をやって行く中で後に面倒の種なられても困ると相談
風太郎本人が言うのは土曜日の際に行われた勉強会でも特に様子がおかしいことは無く
むしろ 真面目に勉強し 二乃も珍しくリビングで聞き耳を立てていたとか
良く見てんな こいつは…………。
ただ その原因に心当たりがないと言えば嘘にはなる
『話せよ』と催促する弟にしぶしぶと言った感じで俺はその内容を話した
「実はな 俺の過去を話した」
「えっ…」
「知り合いの医者が口を滑らせて なし崩し的に話す形になってな」
「それが原因だろう」
「だよな でもこれ 金曜の出来事だぞ? 三日経って今更か」
「結構重要な事だろう でも幸太郎が話せたんだし お前も気を許した証拠じゃないか?」
何だろうな 相談に乗る時の弟は普段よりかっこよく見える
こいつはここまでは人とは話せる人物だっただろうか?
『うるさい』と一蹴されるが、その顔は何処か晴れやかだ
風太郎本人もこの話を何時までもあいつらに黙って置く事は心苦しいと言った感じだ
本人は『違う』と言うが兄から見れば一目瞭然だ
「っ …話が終わりなら 俺は帰るぞ」
「悪かったからかって でもお前の言うとりかも知んねぇな」
「そう思うなら あいつらと話してくれ ここで問題事は起こしたくない」
「五月と喧嘩してた風太郎がそれを言うのか?」
「お前も喧嘩したって一花と話してただろう」
「何の事か 俺にはさっぱりだな…」
「戻るぞ 貴重な昼が終わる」
「了解 んじゃ食堂に行くか」
何だかと言いつつ風太郎は本当に人を見ている
俺が自分で気づけない変化をこいつは何処かで感じていたのだろう
出なければ『気を許した』と言うわけもない こいつから見て今の俺はそう見えたのだ
それに向かう途中に弟はこうも言った
『最近のお前 姉妹達に対して言葉使いが柔らかくなったしな』と……
五月の指定した場所へと向かえばそこは食堂であり
既に五月が頼んでいた天ぷらそばを食していた ぱっと見で分かるがこれは高いな
俺が来たと気づけば、慌てて箸を置き 『味見です』と凄く分りやすい嘘をつかれた
「良いよ 美味しそうに食べる姿は嫌いじゃないしな」
「すみません…」
「んで どうした?」
「あっ その前に 幸太郎君は何も頼まないんですか」
「ダイエット中です」
「嘘はやめてください お腹が空くとまた倒れてしまいますよ?」
「分かったよ 後から適当に何か頼むから」
いや本当に五月が食ってる姿を見るだけでお腹が一杯になるんだよ
それで今は食欲より 他の姉妹からの扱いだよ
あそこまで露骨な態度だとやはり気になって腹も空かないし
じーと見てくる五月には悪いけど終わるまでは頼む気もないといった感じだ
納得は行かないようだが、本題には入らないと行けないと言い五月は俺を呼んだ理由を話す
「幸太郎君 先ずは謝らせてください ごめんなさい」
「何をやった あいつ等の反応と関係あるのか?」
「やっぱり みんな幸太郎君と何かありましたか…………」
「まぁ…色々とあったな んで理由は何だ」
やはり他の姉妹が俺に取っている
態度と今回五月が呼び出した理由は関係があった
五月からの呼び出しがなければ
俺はもやもやした気持ちのまま過ごす事になってたと思うと表情も強張る
こいつの話を聞いていて良かったよ
まぁ元より断る理由はないし相談されれば俺はそれを聞き入れる
じーっと五月を眺め 一体全体何がどうなっているのか傍から見れば恐喝だろうな
(すみませんか……はぁ)
謝罪から入った本人は表情も険しくなり だらだらと冷や汗をかいている
本当にこいつは何をやらかした
こいつが追い詰められてるって余程だぞ?
すこしばかり悠長に構えていたのだろう俺はもう少し 真剣に彼女と対話すべきだった
彼女が口を開き先ず第一声
「幸太郎君……私は あの事故の事実を姉妹に伝えました……」
「…………」
「やはり怒ってますか?」
俺は一瞬だが、固まった 今こいつは何と言った
『あの事故の事実を伝えた』 おい待て 今更五月がどれだけ俺の過去を知ってるのかはもはやツッコむ事はしないだろう 何を知っていても驚きはしない 幾ら聞いても五月は『話せません』としか言わない
それに無理に聞くのも気が引けると言うのが本音だ
(別に怒る事でも無いけどさ…………)
ただ今回に関しては何で言ってしまったんだと頭が少々だが痛くもある
黙っていた俺も悪いがまさか俺抜きで話をするとは…………。
せめて事前にだけで良い一言は入れて欲しかった
「はぁ…………まぁ 嘘ついた俺が悪いしな」
「そうではないんです せめて姉妹には幸太郎君の事実を知っていて欲しくて」
「事実は俺が事故にあった それだけだろう?」
「いえ 幸太郎君は私の姉を三玖を助けました それは何があろうとかわりません」
「…………」
俺が三玖を助けた
五月はそう言った 確かにあれはそう言う話だ 事実である
あの日俺は三玖と出くわし 彼女を助けた
だがその事は伏せ適当な理由でその場をやり過ごしたのだ
どうにもそれは三玖本人には納得がいくものではなく『嘘』と言ったのもその為だろう
そして五月は何故かそれを知っており 姉妹達にそれを話していた
何時からだと言えば 帰って暫くしてからだと 勿論勇也さんの許可は取ってあると言う
「怒ってはないさ…………」
怒る理由と聞かれれば勝手に話した事だけだろうが、俺に怒りという感情はない
この子ならそれを知っていれば話していただろうと言う確信だけはあった
「本当に 勝手に話してしまいごめんなさい…。
ただみんなにだけは誤解させたままにはして置けないと思って…………」
「特に隠してた理由はねぇよ 人に言いふらす事でもないと思っただけだ」
中野先生 俺は言ってねぇぞ…。
あの人は言うなと念押ししたがどうやらダメだったようだ
でも彼なら何時か知られると察しはしていただろうけど
案外早く露見した
それにだ この話を聞けば 他の姉妹がどうしてあんな態度かも頷ける
そりゃよそよそしくもなるな
「みんなは 幸太郎君にお礼を言いたいんだと思います」
「実は俺が助けましたとか 知れば そりゃ驚くよな」
簡単に『ありがとうございます。』と言えば解決だが
そうも行かないのだろう
余りにも唐突で現実味もない 内容で今まで過ごしていた家族が実は事故に巻き込まれていた
突然過ぎるそれは彼女達を困惑させるには十分過ぎただろう
俺が話さなかった理由の一つがそれだ下手な混乱は避けたいと言う事だ
五月は何度も頭を下げるが、お前が俺に謝る事なんて何一つとしてはない
でも彼女の誠意はきちんと受け取るべきだ それこそ失礼と言うもんだ
「幸太郎君 姉を助けていただき ありがとうございます」
「三玖が生きてるだけで俺は良いんだ まぁ人生何があるか分かんない」
見知った人間が目の前から消えるのはもういい加減こりごりなんだ
泣いている彼女達を俺は、もう二度と見たくはないのだ…………。
後から俺がどうこう言う必要もなくなった訳だし
ここは四葉に見習いポジティブに捉えよう
「五月 あんま気にするな 俺もあいつらと後から話するから ただし」
「は はい!」
「次からは俺にも一言頼むぞ 良いか?」
「分かりました 今回はすみません 幸太郎君」
「いいさ 困った時に助けんのが俺の役目だ 昔も今も変わんねぇよ」
びくっと肩を揺らし 何度も首を縦に振る五月
確かに俺は自分の事には無頓着かも知れないが一応は相談して欲しい時もあると言う事だ
「言ったら 止められると思ったので」
「まぁ 口留めはするよな」
「幸太郎君ですからね………でも何でですか?」
「さっきも言ったが特に理由はないよ 別に言いふらす事でもないしな」
見知った顔もあるし何よりそんな状況を俺は見過ごせない
当時の俺は正義感で生きていたような人間だ
性格で言えばある意味では今よりも歪んでいただろうし
『理由なんてない』と言えば五月は何処か不満気だ
ただ俺はそう言う事をやったと言いふらす趣味はないだけだそれで勘弁して欲しい
ここに呼ばれた理由と彼女が俺に頭を下げた理由もはっきりしたし
他の姉妹が何を言おうとしたのかも判明し気分は少し晴れやかだ
取り合えず五月は何かあったら先ず話してほしいとだけ伝えた
『分かりました でも幸太郎君も話してくださいね』と何故だか反撃を受けたりもしたけどな
「幸太郎君は本当にこのままで良いんですか みんなから勘違いされたままで」
「その事か、別に間違ってはないし 間が悪かったと思う事にしてるさ」
「けど 私は納得できません あなたは何も悪い事はしてないのに」
「人の考えなんて掌返しの連続だ 周りがそう思うなら自分もそう考えようってな
俺はそれに抗うのが面倒なんだ…………けど」
俺が学校で噂されている事も五月は納得がいかないと話はまだ終わっていなかった
一年前まで優等生だった男が一つの事件で不良少年と呼ばれ
周りから避けられるし それを本人は受け入れたままの現状だ…………。
でも今は少し違う 風太郎や家族 中野姉妹や 近しい友人が俺を少なからず信用してくれている
だから…………そんな人達の事は信用してみようと
「まぁ…………気長に考えるわ」
「そうおっしゃるなら何も言いません」
「おっ 言ったな なら何も言うなよ」
「今はです! 私は考えを変える気はありませんから あなたは悪くはないんです」
「本当に 五月はどうして そこまで言えるんだろうな」
「そ、それは言えません」
っとこのように決して自分の思いを彼女は教えようとはしない
手で口元を隠し 目線を下にし 頬を赤らめる五月
まぁ………こいつはこいつだ 詮索はやめよう
「じゃ 俺は一旦教室戻るから」
「って!幸太郎君もお昼食べましょう」
「お腹が空いたら食うから んじゃ またなー」
席を立てば俺は、何処かへと足を動かす、特に目的地なんて決めてはいない、
適当に歩けば、あいつ等とも顔を合わせるし
それに放課後は、図書室で軽く勉強会だ。何人かとはそこで会えるだろう、無理に探す必要はなねぇな…………。
少々考える時間が必要だ、それは俺や彼女達も
(もう一年になるのか)