上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

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第四話 不良少年と家庭教師

入って行く彼を追う俺や

二乃や三玖合流した一花と四葉の五人でエレベーターに入り

彼女達の住む階層30階へと向かって行く

三玖のフォローもあったが 一花や四葉の二人に警戒心と言う物はないようだ

気さくに接するのは良いけど距離感を考えろ…。

 

「さて ついた しっかし あのストーカーまじきもかった 」

 

ごめん そのストーカーは俺の弟だ

ついて早々毒を吐く二乃とそれを聞き流している三玖

一応こいつはさっき風太郎と少なからず会話をしていた為

ストーカーではないと思ってくれてるようだ

ただ あんな強行手段されれば気になるのだろう

その為俺の同行も許可された。

 

 

「おっ いたいた」

 

「優等生くんだ!」

 

「ストーカーよ!」

 

「上杉さんがストーカー」

 

「早とちりし過ぎ」

 

 

「なな なんで こいつらが」

 

「ぷぷぷ…。」

 

ダメだ堪えろ

風太郎は覚えてない様子だったし

学園で出会った彼女達を五月の友人と勘違いしたままだ

俺もあえて姉妹とは伝えていない

困惑する彼は、俺がいる事を確認するとこっちに説明を求める救難信号を送ってきている

 

「ここに住んでるからに決まってるじゃないですか…。」

 

「へぇ… 同級生五人でシェアハウスか へー」

 

「あいつの頭はもう限界に来てるな…。」

 

「違います 私達五つ子の姉妹です!」

 

五月を先頭に左右にそれぞれならぶ彼女達

五つ子の姉妹そう名乗り 事実を知った風太郎は白目を向いていた…。

現実逃避はやめておけ

 

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

その後の流れはドキドキもんだった

家庭教師という事もあり風太郎は家の中に案内されはしたが、五月や二乃は凄く不機嫌な様子だった

当然と言えば当然だ 

一方他の姉妹は、彼と共に招き入れられた俺の方をじーっと眺めてくる

はい!と言い手をあげる四葉は質問があると俺に聞いてきた

 

「上杉さんと上杉さんってお知り合いなんですか」

 

「違いますよ 四葉 上杉君とこの家庭教師と名乗る上杉君は何の関係もありませんから」

 

「でも 何か似てる気がするんだよね」

 

「気のせいです そんな事天地がひっくり返ってありえませんよ」

 

「ひどい言われようだな風太郎…。」

 

「俺が悪いのか…」

 

初対面でお前が彼女にした事を思い返してみろ

流石に擁護は出来んぞ

親切心は受け取るべきだし 頼まれたなら話だけでも聞くべきだったな

 

「幸太郎だって そう言うの無視するだろう」

 

「俺はまぁ…まず相談すらされないからな」

 

俺に話をかけてくるもの好きは

学園だとお前を除けば五月くらいなものだ

今日は珍しく 中野姉妹全員と話す機会があったが、それが無ければ基本は一人

 

「寂しいな…」

 

「お前には言われたくねーよ」

 

「あのさー 優等生君とコウタロウくんってさやっぱり知り合いなのかな」

 

 

話を聞かれていたようだ

それに一花は、この中では一番に鋭い人物だ

目元だけ見て俺と風太郎を兄弟だと見破っていたのだから

そろそろこいつらにも種明かししないと

時間をかければかける程

修正出来ない位に関係が面倒な方向に拗れていく

 

ごっほんと喉を鳴らす 風太郎は覚悟を決めたかのように話を始める

頼むぞ風太郎 上杉家の未来の為に

 

 

 

「えっと こちらにいる 上杉幸太郎と 私事 上杉風太郎は 兄弟です

  そして彼もまた 家庭教師と言うより 補佐を務めてもらうつもりです」

 

 

しーんと静まりかえるリビング

悪いとは思ってる完全に彼女を利用して俺は何食わぬ顔でこの部屋までたどり着いたのだ

風太郎より質が悪いだろうな

 

ガタン

 

 

「あっっ ありえません 絶対に 上杉君と彼が兄弟そして 私の家庭教師 それは悪く

 いえいえ 違います 私は認めません絶対に! 」

 

頭を抱えたまま五月は何処かに走りってしまう

残された姉妹

二乃なんて何も言わずに同じ方向に行っちまうし

三玖はこちらを一度見てそのまま向かってしまう

三人の姿を見て一花も『ありゃー』と言いながら去って行く始末だ。

 

 

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

 

 

「本当に五つ子何ですね……いえいえ 断然  自信が漲ってきました 娘さん全員無事に 卒業させて見せます!!

あぁ 娘さんですか事情を説明して部屋に集まって貰っていますよ おいおい 押すなよ困った生徒だなぁー はっははー」

 

五月から聞かされた事実に疑いを持った風太郎は四葉からこの家の電話を借りると

知らせれていた 雇い主である中野姉妹の父へと電話を入れていた

何度も額の汗を拭っては ここにはいない五月とのやり取りを一人パントマイムで披露し始める

 

隠してた俺が言えた義理ではねーけど少しばかり申し訳なく思えて来た

暫くし電話を切れば深いため息と共に力の無い目で前を向く

勿論そこには 誰もいない

誰も座っていないソファーとお菓子だけが置いてあるテーブル

虚しいなぁ

 

 

「えー今日から 君達の家庭教師となった上杉風太郎と私の兄上杉幸太郎さんです 楽しく勉強を…………。」

 

 

「風太郎よ 現実を見ろ…。 これはひどい有様だ 全員消えたぞ」

 

 

「はいはーい 私がいまーーす」

 

 

残された風太郎は自己紹介を進めているが、

視線の先には虚空のみ 五月を先頭に全員部屋に閉じこもっている

残っているのは 俺と風太郎

そして唯一この場に留まっている四葉だけだ。

 

「というか 幸太郎お前 中野五月が姉妹だって知ってただろう!」

 

「あぁ でも聞かれてないしな 考えても見ろよ 相場の5倍だぞ 五月一人でそれは無いだろう?」

 

「どうりでお前が笑いを堪えてた筈だ… でも教えてくれよ。

  はぁ…えっと四葉だっけか 0点の」

 

改めて相場の五倍という ありえない報酬を思い返し

彼もそれに納得すると眉間にしわを寄せ これからの事を考え始める

父親と電話して『やって見せます』と啖呵も切ってしまったのだ

後には引けないよなぁ。

一方四葉は、風太郎の授業に参加してくれると話

風太郎も嬉しさのあまり『抱きしめていい?』とセクハラまがいな事を言いだしている

綺麗に彼を回避し四葉は残りの姉妹を連れてこうよと提案してくれた

 

「風太郎 お前は勉強の準備してろ 俺が連れてくる 四葉 すまんが部屋を案内してくれるか?」

 

「何度でも言う お前が頼りだ 一人でも多く連れてきてくれ!」

 

期待するな 多分俺の評価はさっきの一件で底辺まで落ち込んだ筈だ

0に何を期待しても0だからな…。

 

 

 

「私達の部屋は前から 五月 私 そして三玖 二乃 一花の順番です」

 

「せめて一人は確保してぇな…。」

 

「大丈夫ですって 五月は凄く真面目な子です 余程の事が無い限り協力してくれますよ

  それに私がいますので0人になりません!」

 

四葉さん その余程の事をあの弟はやってしまったのだ

俺が五月の説得に駆り出されたのもその事が、理由なんだぞ…。

 

足が重いな 今から会いに行く全員に理由を話すのか

だるいなぁ

だけど 風太郎も風太郎なりにここまで来たんだし 勇也さんの為にも頑張らねぇとな

 

 

トントン

 

 

「嫌です!」

 

「即答だな 四葉ダメだ ここが落ちた時点で俺の価値は皆無と化した」

 

「上杉さん 落ち込まないでください」

 

「……」

 

「五月…騙して悪いな 本当にすみませんでした。

 でも気が向いたらで良いんだ 顔だけでも出せよな 行くぞ 四葉」

 

「ちょ 上杉さん 待ってください」

 

(なんで 上杉君が謝るんですか)

 

五月には何を言われてもしょうがないと思っている

嫌ですの一言で済んだだけましと言える

 

謝罪を述べた後 俺と四葉は次の部屋である三玖の元へ向かう

三玖にも謝らねぇとな

あいつなりに気を使って俺を部屋まで連れて来た訳だしな

四葉が『心配ないですよ 三玖ならきっと来てくれますよ』と声援を送ってくれるが、足取りは重いままだ。

 

 

トントン

 

 

「……嫌」

 

「あれー 三玖までぇ」

 

「だろうな すまねぇ 折角三玖が気を利かせたのに利用する真似して

   でも余裕がある時で良いんだ お前も参加してくれ」

 

「あっ…その」

 

「ん どうした三玖」

 

 

五月と同じだ彼女もご立腹だった

そうだろうさ

中に入って行った風太郎を探す手伝いを言いだした人間が俺

それを了承してくれたのが三玖

なのにどうだろう 実際は言いだした俺も共犯だ

怒るなと言うほうが難しい

 

頭を下げた 彼女にも参加して欲しいとだけ伝え去ろうとしたのだが

裾を掴まれてしまった…。

ふり返れば三玖はこちらを見ている

そうか 説教か受けるぞ、これも上杉家の為だ。

 

 

「何で コウタロウは、此処にいるの」

 

「えっ それはお前たちに勉強を教える為で、」

 

「それだけ…? 他に何か」

 

「んなもんねーよ さっきも言っただろう お勉強を教えるって ただそれだけだ 行くぞ四葉」

 

「はっはい! ごめんね 三玖 あぁー待ってください 上杉さーーん」

 

「コウタロウ…私は」

 

三玖が何を期待してるかは知らないけど

俺が言えることは、お前達の家庭教師をする(・・・・・・・・・・・) その事だけだ

試すように俺を見つめる彼女の部屋を去り

直ぐに隣の二乃の部屋に向かう

 

結果から言えば 論外だった

居留守を使われた挙句に『うっさい』と怒鳴られる始末だ

二乃さんも相当怒ってらっしゃる

その矛先は今は俺に向けてくれ

風太郎の心を折る事だけは勘弁してほしいな…。

 

 

「えっと まだ一花が残っています 一花は…」

 

「何が言いたいか大方予想はつく フォローする必要はないぞ 四葉」

 

「いえいえ あぁー えっと すみません」

 

「あやまるな」

 

残るは中野姉妹の長女である

中野一花のみだ まぁこのままの流れで行けば簡単に話は進まないだろう

けど試合終了のベルが鳴るにも早すぎる…。

接してみて 一花は少なからず興味を持ってくれる筈だと勘が囁く

それが勉強する意欲になるかは、別として参加してくれるだけでも動いた甲斐はある

四葉のように協力してくれればいいのだ。

 

真正面の部屋 事前に『驚かないでください』とだけ注意された

あぁ 覚悟は出来てる

この如何にもと言わんばかりの彼女の表情で俺は確信した

 

一花はきっと…

 

 

「知ってたよ ったく…。」

 

開けられた扉目に映る光景

一目見れば、人が住んでるとは思えないこの光景

辺り一面に脱ぎ散らかされた服や散乱する荷物の山々

机とも思わしきものもただの荷物置きとなっている

 

まさに  汚部屋だ!

 

この惨状を見て冷静でいられるのは以前にも似た部屋を俺は訪れた事がある為で

こういった事には慣れているからだ

 

「一花さん 入るぞ」

 

「上杉さん 驚かないんですね」

 

「似たような人間を知ってるからな……」

 

「上杉さん?」

 

「何でもねぇよ…さて何処かな」

 

(なんだろう 今の上杉さんの寂しそうな顔…)

 

関係ない昔の思い出だ…。

今は一花を探して話だけでも聞かないねぇと

四葉だけとか洒落にならない…。

 

 

「うぅー 誰かなぁ 勝手に入ってるのは? 」

 

「おはよう 一花」

 

「もーまた散らかして」

 

「まさか 君が私達の先生とはね… それで五月ちゃんを」

 

「確かに五月に近づいたのは、それもあるけど 正確には俺は補佐だ」

 

「へぇー 認めるんだね」

 

「今更 隠し立てする必要もねーだろ…服着ろよ風邪引くぞ んで下に来い」

 

「そんな風に言われるとお姉さん自信無くすなぁ…。」

 

上目遣いでこちらの表情を確認しているが

そういう子芝居は効果はない

 

「自信ねぇー 大丈夫だろ 一花は十分魅力的だから」

 

「…彼はああだけど お兄さんは、結構言う方なんだね 何か面白いね」

 

「面白くねぇーよ…… あと一花もすまねぇな 騙す真似して」

 

「私は別に気にしてないよ」

 

「上杉さん 私も気にしてませんよ!」

 

おい 四葉 フォローは有難いんだけど

パンツを持ったまま向くのはやめてくれないかな

流石に俺でもその光景は心臓に悪いから…。

『すっすみません!?』と下着を一花に返した

 

「とにかく 居間に来いよ? 風太郎が準備してんだから…。」

 

はーいと二人の返事を聞き俺は静かにガッツポーズを取った

これで二人確保出来た

最低ラインとして後一人は確保したい所だ

少しづつで良い 彼女達を仲間に引き入れる

全員一気にと考えるからダメなのだ

脳内で開かれる裁判でもその方針で満場一致と出ている

 

 

「あのぅ コウタロウ…。」

 

「どうした 三玖 やる気出てくれたか でも無理はするなよ?」

 

「あの そうじゃなくて」

 

「そうじゃねぇのかよ…それはそれで嫌だな」

 

「私の…体操服が無くなって」

 

「何色だ?」

 

「赤のジャージ…さっきまであったの」

 

「四葉と俺が来た後か前か?」

 

「コウタロウ達が来た後に無くなってた…。」

 

 

廊下で待っていた。三玖に事情を聞けば

 

『赤のジャージが無くなった』盗難事件発生だ

 

それは俺と四葉が来る前は確かに部屋にあったと話す

確かに俺たちは部屋に軽くだが、お邪魔させてもらったが、物を取れる暇なんて無かった………。そこまで手癖も悪くねぇしな…。

急に訪れた人物となれば絞られるし三玖が俺を疑ってしまうのは無理ないだろう

彼女には恩があるし 困ってるなら助けないとな

 

(助けるかぁ…………。)

 

「一つ良いか 俺たちが来た後に誰か来なかったか」

 

「えっ…………うーん あっ! 」

 

「思い当たる節はあるようだな」

 

この廊下は一本道だ

誰かが、出入りすればすぐ分かるだろう

あの時部屋から出なかった人間は、五月と三玖と二乃

一花は、あの部屋で寝てた訳で三玖の部屋に来る暇なんて無いんだよ

可能性としては…………

 

 

「あれとか…。」

 

「あっ!」

 

 

居間を指させば何か準備している二乃の姿があり

彼女は、胸基に『三玖』と書かれたジャージを着ている

大方俺たちが、部屋の前から去った後に三玖の部屋に入ったんだろう

兄弟で着回し出来るとついつい借りてしまう事は、俺もあるからな…。

サイズが合うと余計な

三玖の消えたジャージは無事に発見され

彼女も少しは安心出来ただろ

大事にならずに済んで良かった良かった………。

 

「俺は行くから…」

 

「コウタロウ その疑ってごめん」

 

「気にするな 困ってるなら助ける何て 当たり前だろ…? この外見だと説得力ねぇけどな

 あぁ これで別に勉強しろとは言わないから やりたくなったら来てくれ」

 

「……………」

 

「三玖?」

 

「たす…………!」

 

「おーい たす? 何だよアイツ?」

 

何かを言いかけ三玖は全部言い終わる前に居間の方に行ってしまった

『たす』その後に続く言葉を俺は分かっているつもりだ

でもお前が気にする必要なんてねぇんだけどな…………。

 

はぁ…色々と考えて頭痛がして来たな。

 

居間の方で二乃の呼ぶ声が聞こえる

一花と四葉も準備を終えて部屋から顔を出す

五月はと言えばさっきのやり取り以降姿は出していない

あいつにはあれだけ世話になって仇で返したんだ

時間はかかるが気長に待つとすっか……。

 

 

「さて行きますか」

 

「上杉さん 私達もいきますよー」

 

 

俺の後ろに続くように二人も階段を降りる

何とか二人集まった 風太郎、まだまだこれからだ 気張れよ。

 

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