上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

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家出した五月関連を改変しました
途中から流れは同じになります
ほぼ五月回です


第四十九話 不良少年と末っ子お泊り

見慣れた住宅街 その先 何件か向かった処にその家はある

須藤和之と須藤真弓が住んでいる二階建ての住宅だ

庭も広く 昔は良く 和之や坂下 そして俺の三人で遊んでいた

その頃からだ 坂下の運動センスは須藤も関心する程で俺も見ているだけで

勝てる気はしないと実感させらていた

 

思い出にふける俺ではあるが、彼女からの呼び出しは忘れていない

玄関前まで行くと一旦 息を整え 恐る恐るチャイムを鳴らす

できる事なら須藤には会いませんようにとお祈りし

扉は開かれるのを待つ すると中から『はーい』と聞きなれた声がし

俺は一瞬自分の耳を疑った……。

 

ガチャリと扉が開き 中から出て来たのは 須藤でも真弓ちゃんでもない

 

「こんばん……」

「なーーーんで お前がいるんだ 五月!」

「って 幸太郎君 あれ 何でここがわかったんですか!?」

 

あわわと焦りだし アホ毛も左右に動く

目もこちらに合わせようとはせずそっぽを向く

中野五月が昨日の見た時と同じ私服で須藤の家から現れた

 

「手間が省けたな 帰るぞ五月!」

「嫌です 断固拒否します!」

「うるせー どれだけ三玖が心配してると思ってんだよ」

「今回ばかりは二乃が折れるまで帰りません」

「うわー面倒だ」

「私は 帰りません絶対です」

 

この頑固さ もっと勉強の方に生かして欲しいんだけど

まぁ 見ていて安心できるし これが 今の 五月という人間なんだ

俺も二乃だけではなく 五月の事ももう少し気に掛けるべきだったな

こいつなら大丈夫だろうと勝手に思い込んでいたんだ…。

今は少しでも気持ちを整理する時間が彼女には必要なのかも知れない…。五月に『悪かった』と言い ぽんと頭に手を乗せる

彼女も『私こそ何も相談せずすみません』と謝ってくれた

 

これで一応は五月の居場所もわかった けどそれだけだ

問題は何も解決していない  何故か須藤の家で平然と居座り普通にインターホンに対応してるのか

まじでなんでいるんだと 頭を傾げれば 家の中からまた別の声が聞こえる

 

「先輩 どうもです」

「真弓ちゃん 悪かったな 五月が世話になったみたいで」

「いえいえ 昨日偶然帰り際に見かけたので この時期に外は危険ですから」

「出来た後輩だよ 俺も鼻が高いね」

 

エプロン姿の真弓ちゃんどうやら夕食を作っていた最中

彼女は俺が五月を連れて行こうとすれば何処か安心した表情だ

後輩曰く 昨日のバイト帰りにベンチでうずくまる五月を発見し

そのまま放置するのは顔見知りとして 須藤の人間としては捨て置けないと言い

彼女を連れ家まで帰宅したとのこと…。まったくこの末っ子は

 

 

 

「うぅ……すみません」

「それで こいつを引き取ってくれって事か?」

「そんな 犬みたいな扱い!」

「家出少女が 真弓ちゃんがいなかったらどうなっていたか 心配させんなよ」

「心配してくれたんですか」

「当たり前だ! 三玖からお前が財布もなしと聞いてどれだけ焦ったか 

  たく スマホも電源切りやがって」

「待ってください 本当だ 着信40件 迷惑電話ですか」

「うるせー 何度かけてもお前が出ないからだ」

「それを言うなら私も何ですけどね 先輩」

 

五月は閉まっていたスマホを確認何故電源を切っていたのか理由は明白だ

他の姉妹との連絡を遮断する事で自分の覚悟を見せる為

早速と中を見れば、俺からの電話とメールが大量に押し寄せ

真顔でそれを見せてくる 誰のせいだと思ってんだろうな

 

五月に食って掛かる前に 真弓ちゃんがしくしくとわざとらしく

自分のスマホを見せる そこには俺への電話がことごとく無視されている。証拠を突き出してくる

 

「あっ うん悪かった まさか用事がこれと思わず後回しにしていた…本当にごめん」

「そんな先輩は嫌いです」

「後輩からの好感度が下がったぞ」

「幸太郎君がいけないとって 痛いです」

「だーれのせいだと思ってんだ!」

「まぁ 冗談ですよ 先輩を嫌いになる理由なんて私にはありませんから」

「真弓ちゃんは何だかんだ 俺を弄ぶよな 将来が怖いわ」

「ふふふ」

 

五月の頭を軽くチョップ

頭を抑えるが別に力は入れてない 痛がる素振りやめろ

真弓ちゃんも俺で遊ぶのはいい加減やめて欲しい

 

 

「それで 真弓ちゃん これを持って帰ればいいんだよな」

「はい 私もバイトですし 今両親も仕事でいないんです 家には兄だけで来年には大学です」

「そうだよな そんな時に見ず知らずの女子生徒がいればあいつにも迷惑がかかるしな」

「五月さんも家には帰りたくないと言うので先輩に相談してみればと言ったんですが」

 

須藤は来年には大学生だ それに彼女の両親は暫く家にはいないらしく

今の須藤は妹には気づかれてないと思っているが

大学の事で少し神経質になっており これ以上兄に迷惑をかけるのは彼女も本位ではないと考え

俺への連絡をした 真弓ちゃんだって期末試験の勉強もしないと行けない時に

五月の面倒を見てくれるとは頼りになる後輩だ

 

その世話になった 五月本人だが、やはり俺の世話にはなりたくないとまだ意地を貫き通すつもりだいい加減諦めろ…。

 

「幸太郎君の迷惑にはなりたくないんです そうです 何処かホテルに泊まります!」

「お金はあるのか?」

「うぅ……私としたことが忘れていました」

「先輩の事情は知っていますけど 今頼れるのは先輩だけなので五月さんを任せても大丈夫ですか?」

「今さら一人増えても変わらん それに俺も今日はいないしな」

「幸太郎君 今日はいないんですか?」

「バイトだよバイト」

「先輩もお忙しい中すみません あのこれ家で作ったおかず何ですけどもし良かったら!五月さん 兄みたいにいっぱい食べるので」

「須藤さん 言わないでください」

「今更だろ それに俺は気にしない お前が食う姿は好きだって言ったろ?」

「先輩? そう言うの勘違いされるので…はぁ 

 五月さんや三玖さん以外にはやらないようにしてくださいね とても悪質ですから」

「笑顔で毒を吐くのやめて欲しいな 悲しくなる って何で三玖まで出てくるんだ?」

 

最近の後輩はやたら当たりが強く感じるんだが俺の気のせいだろうか?

五月も黙ったまま口をパクパクさせてるし 金魚かお前は

俺の調子を見れば腰に手を当て 何度もため息をもらす真弓ちゃん

本当に何が言いたいんだ?

 

「はぁ……これは難敵ですね お二人も大変でしょう?」

「須藤さん 私は別に それに昨日の事はあくまでも 私の話ではないですから」

「はい そう言う事にしておきます」

「あまりこう言う事男が聞く事じゃないけどさ お前着替えはあるのか」

「先輩 セクハラですよ」

「だから事前に言っただろう」

「一文無しで スマホのみです……」

「真弓ちゃんの服借りなかったのか」

「少し小さめだったので」

 

 

 

「………」

 

何かプツリと切れる音がした

前を向けば普段から笑顔を絶やさない真弓ちゃんから笑顔を浮かんているが、様子もおかしい にやりと笑えばこちらに歩み寄り持っていたタッパーを俺につきだす

 

どうやら地雷を踏んじまった…やべ

 

「うーーーーーん ///五月さんが太いんですよね!…。私は別に小さくありませんよ!?」

「あっ あの真弓ちゃん…あの」

「何ですか…。やっぱり先輩は大きな方が好きなんですか!!

 そうりゃそうですよね…。坂下先輩も大きかったですしね」

「あいつは今関係ないだろう…。うんまぁ…。悩む事はないよ 誰しも成長期ってものがあるし」

「そ そうですよ 須藤さん 私も元から大きいわけではなくですね」

「もー ///良いです!…。では先輩 五月さんを任せましたよ さようなら!」

 

バタンと扉を閉めると俺と五月だけが玄関前で取り残され

『『えぇ』』と声がシンクロする

 

 

「はぁ……帰るぞ」

「でも私は 家に帰る訳には…。」

「だから俺の家だって言ってんだろう 野宿はさせねぇぞ」

「しかし 幸太郎君の家にご厄介になるのは気がひけます」

「今はそんな事はどうでも良い…。真弓ちゃんからも頼まれたし…。拒否権はなしだ…。それと待ってろ 家にだけは連絡入れておく…。もしもし 俺だ うん一人泊まれるか?あぁ そうか分かった ありがとならいは  よし了解は取れたぞ」

「はや! そんなあっさりで良いんですか?」

「まぁ 女の子泊まらせる訳だしな 安心しろ お前を優先するからよ」

「そう言う問題ではなく……うぅ」

「それと 三玖達にも確保した事だけでも知らせないとな」

「三玖に言うんですか……」

「帰れないって言うだけだろ 別に疚しい事は何もねぇだろ?」

「…………」

 

このままここで立っていても近くの家から怪しまれるだけだ

五月は納得出来ないようだけど こいつを外に放って自分だけ帰るの何て俺はしない

外で一人で考え込む事もさせる訳にはいかない 

それこそ何をしでかすか分からんぞ 家にいる妹に連絡すれば二つ返事でОKを貰えた…。

勇也さんも大歓迎と言っており 『えぇー』と風太郎のぼやく声も聞こえてくるが我慢しろ

 

その後すぐに三玖に連絡を入れる

 

「三玖か…。あぁ 一応は確保したぞ 暫くは帰れないそうだ」

『そう………わかった五月の傍に居てあげて』

「お前も心配だろうけど任せておけ 風太郎もいるんだ それと三玖 俺はお前を頼りにしてる

 それだけは忘れんな」

『分かった コータローに任せた 一花と四葉には私から連絡する』

「了解じゃ おやすみ三玖」

『おやすみコータロー 今日はお疲れ様でした』

 

思う所はあるだろうけど 追及はせず一任してくれた

他の姉妹はここを知らないならば彼女の居場所を伝えてもここまで来ることはないだろう

三玖達にも考える時間や整理する気持ちもあるだろうならばそれが出来るように俺はするだけだ

 

「いくぞ」

「三玖は私があなたの家に泊まる事を許可しましたか?」

「してないって言えば」

「私は…………」

「一任された 任せると お前の傍に今は居ろとな」

「それは本当ですか?」

「本当だ だから落ち着け それと二人にもそれとなく連絡するとさ」

「分かりました 彼女達がそう言うのなら…………ん? 幸太郎君 その手どうしたんですか」

 

二乃との扉で起きた合戦の最中に挟まれた左手は微かに痕がついており

五月は先ほどより真剣な面持ちで これが出来た原因を聞いて来る

『二乃とのやり取りで出来た傷』とは口が裂けても言えない

過保護な妹は何をしでかすか分かったもんじゃないしな

 

「あっ 痕ついてるな まぁ良いか…」

「良くありません あなたの手は!」

「お前が何処まで知っているのか何故それを言わないのか、

 俺は聞かないでも 俺の手はもう大丈夫だ」

「…………わかりました…。でも帰ったらちゃんと治療してくださいね」

「はいよ みんなが待ってるしな」

「今日はお世話になります 幸太郎君」

 

やっと帰宅を始めようと足を一歩動かしたは良いが

ある問題があった 寝泊まりする所はある 服も俺や風太郎が着ているジャージを貸せば良いだろう

だが 服の下はどうすれば良いだろうか? 今さら真弓ちゃんに貸してとか死んでも言えないし

その為だけに帰れば五月の覚悟とは何だったのかと…………。

まぁ…本人はそこまで考えて行動してるとは思えない 感情任せに家を飛び出した訳だしな

財布の中を確認すれば、それなりには入ってはいるし それくらいは足りる筈だろう…。

 

 

「でも その前に コンビニでもよるか お前には適当に服を貸すからそれを着てろ」

「えぇええええ 良いんですか こ 幸太郎君の服を私が着ても」

「別に減るもんじゃないしな  服はいい 中身はどうする」

「あっ 下着がって 何を言わせるんですか/// 幸太郎君 相手でも怒りますよ」

「自覚はしてる らいはのは無理だろうし コンビニで代用品買ってこい」

「お金がありません」

「それくらい 俺が持つ  拒否権はねーから?」

「あう…………」

 

こいつが俺の世話にはなりたくないと言うのはここ数か月で嫌という程分かっている

素直に聞いたのは初めての授業くらい

でも偶には俺にも力にならせてほしい そうでなくとも今回は俺達兄弟にも責任がある…。

 

「今は俺に甘えてろ」

「どうして そこまでしてくれたんですか?」

「ブーメラン刺さってるぞ お前もそうだろう」

「私は特に何もしてません」

「なら 俺も同じだ」

「解せませんね」

「俺の台詞だよ それは…………」

 

大型のブーメランが刺さる五月を連れて俺は近場のコンビニへと入って行く

流石にそれをまじまじと見る程俺も人間性を欠いていない財布を渡せば五月に好きにするよう言う

『財布ごと…………少しは危機感を抱いても良いんですよ?』

こいつが持ち逃げするとは俺には思えないし そんな度胸があればこんな事自体起きない

『さっさとしろー』と言えば、何着が選び直ぐにレジに向かう

暫くすればこちらにやって来た…。

 

「あっ…ありがとうございます」

「へいへい」

 

 

顔を赤らめながら俺に財布を返しそのまま何も言わず歩いて行ってしまう

お前は方向音痴なんだから軽率に動こうとするな…。

 

 

「布団敷くだけの形になるけど それは我慢しろよな」

「幸太郎君 知っていてそんな意地悪言うんですから」

「一応言っておくだけだー…。」

「忠告感謝します でもあなたも知っているでしょう 私達がどんな生活をしていたのか」

「覚えてるさ お前も大変だったろう ごめんなそんな時に」

「良いんです 幸太郎君も母の事がショックだった事を私は知っています 

  あなたもずっと泣いていましたから」

「それしか俺には出来ないからな………」

 

葬式の際に俺は泣く事しか出来ずにいた

自分の無力さを痛感する中 

当時の五月は涙を流しながら『ありがとうございました。』と俺に言うんだ

俺の知る 五月はいないのだと勝手に思い込んで逃げた

だけど 話していてわかる 例え彼女を真似ていても五月は五月だ

 

「母の事を思ってくれるだけで良いんですよ」

「俺が最後に見た お前は まるで零奈さんだったよ」

「私が代わりになって姉妹を導こうと決めたんです……幸太郎君を混乱させてしまいましたね」

「まぁ多少なりとな………」

「でも 上手くは行きませんでした 本当に頼りないです」

 

きっと 二乃に手を出した理由もそれだ

彼女なりに母である零奈さん演じていた故に出たのだろう

本当に真面目で馬鹿不器用だ それでここまで大事になるとは彼女も思ってもいなかった

自分の不甲斐なさを痛感し肩を落とす

それが今の五月なんだろう 俺にはそれを否定する事はできない

俺も彼女と同じだ 俺は兄という役割を捨て 勇也さんの代わりをやっていた

けど それはただ兄妹の中を複雑にするだけの行いだった

でも後悔はしていない それが無ければ今の俺は居ないと思っている

 

「俺も勇也さんの代わりをしようとして 風太郎とよくケンカした」

「幸太郎君も…………?」

「けど 俺には無理だった 俺にはあの人は大きすぎた そのせいで風太郎との仲は最悪だった」

「今を見る限り そうは見えませんね」

「まぁ そんな事もあったってだけだよ でもお前のそれを俺は否定しないさ」

「母の真似事とあなたは私を笑わないのですか?」

「笑わないさ それで限界が来るようなら そん時は今回みたいに俺を頼れ 兄貴だしな」

「ふふふ………ありがとうございます 幸太郎君」

 

今日はずっと見れなかった五月の笑顔を見る事が出来た

これからもずっとその笑顔でいてくれ

もう五月の泣き顔も二乃が泣いてる姿も俺は二度と見たくない

…………俺も決心がつく 彼女達が笑顔でいる為に何ができるのかを……。

 

そのまま軽い談笑と共に これから勉強をして行く中で必要な心構えを彼女に伝授

耳を塞いで決して聞こうとはしない辺り 本当に勉強が嫌いなんだな……

 

 

 

「ただいまー」

「夜分遅く すみません お邪魔します」

「お兄ちゃん お帰りー 五月さんもいらっしゃい!」

「らいはちゃん こんばんわ」

「ほれ らいは知り合いからおかずおすそ分けを貰った食べるぞ」

「うおー 豪勢だー 今日は凄いね」

「おう 幸太郎 お疲れ! それに五月ちゃん男ばかりでむさ苦しいがまぁ好きなだけいてくれ」

「勇也さん ただいま帰りました」

「あの よろしくお願いします お父さん」

「何で お父さんなんだよ」

「あっ…ごめんなさい」

「っははは これは良いな 幸太郎 お前も良い顔になって来たぞ」

「勇也さんもからかわないでくださいよ」

 

アパートまで来れば良い匂いが鼻を刺激する

どうやら以前に五月が来た時と同じく今日の夕食はカレーのようだ

隣のお姉さんは早速お腹を鳴らしている

『見ないでください…………』 と俯くが慣れたよ

 

「今更だろ」

「本当に今更だな」

「こんばんわ 上杉君 お邪魔します」

「ふん 」

「何ですかその態度は」

「風太郎はお前が心配だったんだよ なぁー」

「ち ちがう 俺は別に何も 何でそういう事をお前は言うんだよ」

「上杉君…………」

「あーもう さっさと食べようぜ」

「素直じゃないな 弟は」

「お前もな 俺にくらい連絡入れろ 何でらいはと親父しかしならないんだ さっき聞いて驚いた」

「泊まる宿がないしな 狭くはなるが知り合いを野宿させるよりいいだろう?」

「さーな…………」

 

 

本当にこの子は素直じゃないな

財布がないと知った時真剣な顔で悩んでたくせに

本人が無事で今日家に泊まるとしればこれだ………ツンデレという奴か?

距離感は大事だがこういった時は例外だ 力を貸せる人間が俺達しかいないんだ

分かってやって欲しい 追い出さないだけこいつも状況は分かっているようだしな

 

それから真弓ちゃんから頂いた唐揚げもおかずに加え

みんなで食卓を囲んだ 風太郎は『普通にうまいな』と何時もの感想だ

五月は『一人何個までですか じゅるり』と涎をたらす もう少し抑えような

俺も久々に真弓ちゃんの手作りを食べたがやはり 美味しい と感じる

らいはも太鼓判を押すし 勇也さんも『うめー』とがつがつ食べている

 

とても賑やかだ この風景を早く 中野姉妹に戻してあげたいな………。

 

「おっと…………」

「お兄ちゃん大丈夫 ありゃこれは染みになるね」

「悪い らいは」

「良いよ これくらい」

「大丈夫ですか 幸太郎君」

「ぼさっとしてた…………」

 

見入っていたのかスプーンが手から落ち ズボンに色がつく

最近気が抜ける事が多いな 少しでも気を抜けばこれだ

らいはは『染みは何時でも落とせるから気にしないで』と言ってくれた

また迷惑をかける 本当に妹には頭があがらないな

 

(幸太郎君…………)

 

笑顔でその場を済ませる中じっと五月が見ていたが、本当に心配性な奴だ

 

 

 

「じゃ 俺はバイト行くから 風太郎後は任せたぞ」

「分かった 幸太郎も無理はするなよ」

「帰りは朝方かも知んねぇから…………」

「おいそれを先に言えよ」

「五月の風呂 覗くなよ」

「覗かねーよ」

「幸太郎 こいつも男だ そこは触れてやるな」

「そうですね ごめんな 風太郎」

「なんだよ 二人して 見ないって言ってるだろう!」

 

少し意地悪し過ぎたな

家族に声をかければ俺は家を後にし バイト先の店まで自転車をこいで行く事に

 

 

 

「すみません お風呂先にいただきました」

「どうだい 五月ちゃんうちの大浴場は?」

「は はい狭………落ち着ける空間でリラックスできました」

「ガハハ そうだろ! らいは次は俺らが入るぞ」

「はーい」

 

「幸太郎君のジャージ…………温かいです///」

 

幸太郎が去って少しした後に五月がお風呂から上がり

お礼を述べる 勇也は感想を聞くが一瞬だけ本音が出るも

彼女なりに考え 何とか乗りきる 今まで大きなお風呂が当たり前で

こう言った小さな湯船は久方ぶりだ 狭いと思いつつもリラックスできると言うのは本当だろう

 

満足いく言葉が聞けたのか豪快に笑えば着替えを持ち

お風呂場に向かう

五月はそのまま近くに腰をかける 勿論風太郎はいるが何を話して良いものか分からず

何故兄は連れて来たんだと 頭を悩ませる

確かに彼女を一人で放っておくのはまずいのは彼にも理解できる

もしも彼女の父に知られれば何を言われるか考えるだけで血の気が引く

 

「お兄ちゃん お布団敷いておいて」

「あっ私がやります」

「やはり 泊まっていくのか………… 果たしてお嬢様が固い布団で寝れるかな?」

「寝れます!」

「もー お兄ちゃん仲良くして 今夜はお父さんも幸太郎お兄ちゃんも帰って来ないんだし」

「あっそうです 幸太郎君は何処に」

「バイトだバイト 今日は普段より遅いらしくてな帰ってくるのは明け方だ」

「聞いては居ましたが 朝までいないとは……」

「今日は仲良く三人川の字だね」

 

 

軽い皮肉を述べるが五月は平気ですの一言で済ます

風太郎は彼女が幼い頃どんな生活をしていたかを知らない

いや知る機会はあった…ただ

当時の彼はそれを大して気にも留めず 兄とは別行動が多かった

一方でその兄である幸太郎は明日まで戻ってこない可能性があり

五月は、がっくりといった様子でうなだれる

らいはも五月を慰めればお風呂に行ってしまい

風太郎と二人 更に気まずい空気が広がった…………。

 

 

 

 

その後 勇也も仕事に向かい

風太郎 らいは 五月の順で布団敷き三人仲良く?横になる

ただこの状況ですぐ寝れるほど風太郎も鍛えられてはいない

林間学校と訳がちがう あの時は風邪をひく中無理をしており

寝る際も彼女等が来る前に幸太郎と話し すぐに就寝した

 

今夜は違う 姉妹の大喧嘩を間近で見せられ

その原因一端は自分達家庭教師組にもあり けして無関係とは言えず

朝の二乃とのやり取りもあり 彼は寝付けずにいた

勿論それは 五月も同じだった 幸太郎と話す事で少しは楽になるが

未だ風太郎と真剣な話は少なく 数えただけでも2回程だ

 

彼がくれたこのチャンスを無駄にする訳にいかない 風太郎と少しでも話そうと

五月はふぅと 心を落ち着かせる

 

「今日は月が綺麗に見えます 少し歩きませんか?」

 

真夜中 月の光が入る部屋で五月は風太郎と共に夜の街並みを散歩する事に…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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