原作と同じで最後に抱き着くか抱き着かないか などの違いだけです
風太郎の場合は完全に五つ子ゲームの答え合わせです
三玖の本当の悩みについては風太郎君は答えられません
フラグを幸太郎が持って行ったので
2000日後の関連も幸太郎sideです
今回も駄文ですがよろしくお願いします!感想などもあれば、受付中です
爺さんは言った
相手の仕草と声 ふとした癖を知る事 それはもはや愛だと
そして何故見分けたいのかとも
悩み悩んだその夜に五月かららいはの携帯に電話があった
明日の早朝 大広間で彼女が待つと
そこで俺と風太郎が 順番に正体を見破って欲しいと
先に見破った方は次の人物が正体を見破るまで その人物との接触を禁ずる
ようは答えを聞かないようにするためだ
そんな真似俺たちはしないと五月は言ってくれたが、そうして貰った方が、俺たちも安心して 偽五月と話が出来る
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「おはよー お前が初日に俺とぶつかった五月って事で良いんだよな?」
「はい」
「了解だ よし 先ずはお前が誰かを知る必要がある 質問いいか?」
「どうぞ…幸太郎君」
五月の指定した大広間に入れば既に五月(偽)が待っていた
最初に彼女と対面するのは俺であり 風太郎はここの会話が聞こえない、少し離れた部屋に待機させてある
俺が、終わり次第ここにいる五月が、本物の五月に連絡し更に本物の五月が、電話でらいはの携帯を持つ風太郎に連絡する流れとなっている
「五月からも聞いてるだろうし それも話す」
「お願いします」
「四葉の悩みは この旅行自体だ ちゃんと変装できるかが不安だったそうだ
あいつは気を遣う性格だ それにお前が四葉だった場合この時点でぼろが出る」
「正解です」
よし 一番わかりやすいが確実な問題だ
確かに四葉は変装を苦手として ここに入った時点であいつ本人がぼろ出す
だが目の前の五月は決して表情を変えない
ここまで完璧に演じきれもしないだろう…。
「続いて二乃だ これ関しては凄く悩んだ 見た目の判別もアイツのつける…マニュキュアか?」
「ペディキュアです」
「あぁー それな そう言ったものでも俺にはわからん」
「お手上げと言うわけですか?」
「お前が二乃じゃないってのは分かるんだよ
でもそれを確証出来る証拠を俺は何も持ち合わせていない」
二乃を判別できる 確固たる証拠はない
この数日 旅館で二乃と接点が多かったのは風太郎の方だ
俺がまともに会話したのは 初日山の上 そして五つ子ゲームでの会話
故にここから先は憶測と俺の勘 それを頼りにこいつが二乃ではないと言う前提で進める
「声のトーンだよ 変装してる時の二乃は声も完璧に真似できる俺はそれで何度か痛い目を見ている
その声のトーンだけどさ 二乃は何故か俺を相手にすると必ず声に力が籠る
怒ったような そこから構って欲しいような 小4の記憶が戻ってから余計だ 俺にはお前が二乃だとは思えないんだ 悪いな 凄く浮いた答えになってさ」
「……それが答えですか」
「俺にはそーとしか言えん お前が二乃には見えないんだよ」
「…いいでしょう正解です では二乃の悩みと言うのは?」
「それに関しては あいつのプライバシーだ 心当たりはあるが言えないんだ」
一応は二乃ではない 正解は出来た
そして二乃の抱える悩み 俺には見当がつく それは風太郎への告白だ
期末試験が終わってすぐに店で二乃は風太郎に告白していた
好きだと言った人間と言われた人間が同じ旅館に泊まるんだ 平静を保つのは至難の業
二乃にいたってはそれを隠そうともせず堂々と風太郎に言い寄っていた
目の前の五月は納得してくれたのか『続けてください』と促す
その前に一つ質問
「俺がこの旅館で最初にあった事件はなんだ?」
「えっ それは偽物の五月の件では?」
「よし お前は五月ではない事が確認出来た」
「??」
五月が知っている俺の悩みは それは封が切られた俺の手紙
盗み見た人物についてだ 本物なら『手紙関連ですね』と即答していただろう
事件自体も偽五月と出会う前に起きたと本人も知っている
この事を知らない ならば こいつは五月ではない 一応確かめる必要はあった
「それとな お前が一花ではない それも俺には、分かる」
「! な 何故ですか? 確証はあるんですか」
「呼び方や好きな物 そういった誘導尋問もあるだろう けど 何か違うんだよ
覚えてるか 昨日釣りに行った事 お前らは海辺だったろ」
「はい それは勿論」
「その時は ある五月と話す機会があったんだ その五月は足を捻挫していた
包帯を巻いた筈だ まぁ それに関して言えば取ってしまえば それまでだ
傷だって化粧品で隠せるだろう」
「なら 何故です?」
「五月と名乗っている 一花は何故か俺と少し距離を開けようとするんだ
同時に距離を詰めようともしていた 何か悩んでいるって感じさ」
個人的な見解だ あれを一花と定義した場合 色々と納得が出来る
一花は何故か行動では、俺に近づいて来る癖に話すと途端に距離を開けようとしだす
元からその違和感を感じていたが、あの爺さんと行動してるうちに色々と見えて来た
「だから お前は………… 三玖だろ お前は分かるんだよ 実は最初の夜に会った時から
偽五月に違和感があったんだ 偽五月は本物と同じ 俺に優しく語り掛ける…話しているとさ すげー心が温かくなるんだよ
今それと同じ気持ちを感じてるんだ…だから
お前は三玖だよ 俺にはお前が分かる 違ったか?」
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三玖side
『三玖 偽五月として幸太郎君の前に出る際の注意として 少しきつめの話し方でお願いします』
『そうだね 流石にコータローにも気づかれる』
『普段のままなら 彼は感づします 私から話が来たのなれば 三玖が偽五月だと言う答えに行きつきます だから悟られないよう 言葉に最善の注意を…………』
五月との約束は守っている 普段と違い棘のある話し方
口調も普段の五月より更にきつく 守っていた
コータローの境遇を考えれば この接し方はしたくはなかったでも彼が私までたどり着くには
必要な事 だから心を鬼に……………………
その筈だ そうしていた筈だ
紛れもない近寄りがたい雰囲気を発し 彼と話し 四葉や姉妹の事を聞いていた
コータローも自信なさげに自分が感じた事を話し 最後に残されたのは
私と一花だった
でもコータローは 私は一花ではなく 三玖だと一発で見抜いた
何故なのか? 『お前と話してると心が温かくなる』 ……………………
『お前は俺に優しく語り掛ける』……………………
何でかな……………………何で分かるんだろうね
あなたはずっとそうだ 昔から ちゃんと私たちを見てくれていた
初めてやった五つ子ゲーム あなたは全員を言い当てた
二回目の五つ子ゲーム あなたは一花と私が入れ替わってる事に気づいた
『何故か 分かったんだよ 三玖ちゃんと一花ちゃんが違うって』
どれだけそれが凄い事か彼は分かっていないだろう
例え友人でも気づけない 些細な間違いすら分からない 話しただけでは誰もが同じ
みんなそう答える そんな中で君は私を見つけてくれた
照れくさそうに頭をかいて 私の答え待つ 君に私はどう答えるのが正しいだろう?
何が良いコータロー? 私が何をすれば あなたは喜びますか……………………
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「当たり 私は三玖だよコータロー!」
「おっと!」
ドサ
答えを待っていた 彼女が本当に三玖なのか
俺は俺の直感と自分の記憶と心を信じた
一花ではない お前は三玖だ
数分待った 待って顔を覗き込んだ
その時だ 彼女が笑顔で俺に抱き着いてきた
とっさの事で反応が遅れそのまま押し倒された
「良かった…………やっぱり 三玖だった」
「ねぇ…………一つ聞いて良い?」
「なんだ 俺が言える事ならいいぞ」
「私の悩みって何かな?」
「それな………一花もそうなんだが実は全く見当がつかない
最初はバレンタインのお返しが遅れて怒ってるかと思った」
二名の抱える悩みについて俺は答えに行きつけない
一花の事だ仕事関連かと思えば俺の勘が違うと語り掛けるなら何だと聞いても答えは帰って来ない
残った三玖はさらに謎だ まともに会話をしたのが五つ子ゲームが終わった後
だから俺はあの日プリンを差し入れに向かい 三玖にはバレンタインのお返しをした時
発した『こい』という言葉にこそヒントが隠されているのではとずっと考えていた……………。
「違うよ ちゃんとお返しくれたから」
「だよな ………………そこで思い出した
あの日お前が言った言葉『こい』って」
「!」
「だからさ…………………俺は調理師免許を取ろうと思ってる」
「えっ? コータロー何を言ってるの」
「鯉が食べたいんだろ だからさその為に 魚の調理師免許 取ろうかなって …あの後色々調べて 調理法も結構って三玖?」
「あははははは……コータローはおバカだね」
「え なんか違ったか」
「何でもかんでも真剣過ぎ…………」
「真剣に考えるさ 三玖の事だぞ?」
「コータローは本当に 鈍いね」
「??」
(コータローは教師であり兄のような人 私は生徒で妹のような存在
それは変わらないのかもしれない でも全部変わらないなんてことはないんだ
私を見つけてくれてありがとう コウくん)
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その後風太郎の試験も行われ
あいつはあいつなりに姉妹を見分け
『俺にはお前が三玖に見える』
逃げる事無く三玖の正体を看破
結局 悩みについては俺と同じく答える事は出来なかった
一旦別れる前に俺は三玖にある質問を投げ掛けた
五月との相談でこれは偽五月事件が解決してからという決まりになっている
俺の持っている手紙について
三玖と話している中でとてもじゃないが内容を知ってるとは思えず
知っていて態度を変えないのなら
相当な役者かはたまた俺に興味がないかと失礼な事も視野に入れていた
「手紙…? 五月が置いた手紙は見たけど コータローが持ってる手紙は知らない」
「やっぱりか となると 犯人候補は一花 二乃 四葉に絞られる
まぁ 姉妹が犯人とは決まった訳じゃないけど」
「私が…。手紙を読んだ後 五月が戻ってきたかと思って外で待機してたんだ…その時には一花と四葉がそれぞれ出入りしたのは見たよ…ニ乃は見てない」
「二乃は除外でいいか…一花と四葉ねー うーん」
三玖は、旅行初日に俺に用事があった 理由はやはり教えてはくれなかったが、俺を探しお風呂上がりの風太郎を確認して彼女は、脱衣室に足を運んだらしい…
その途中に置手紙をつい見てしまい あの時間まで待っていたと
手紙を読んでる時に誰かが、戻ってきたと思った三玖は、時間指定が、書かれた五月の手紙を持って一旦外に逃げてしまう
その間にお風呂に出入りした 人物は 四葉と一花だけ 彼女が手紙を戻し
俺が出てくるまで、他の誰もその時間帯にはあの場から出入りしてないと…。
それ以前なら他の姉妹を目撃したが、彼女が手紙を持ち出してしまったときには、二人が出入りした姿を見たのみ…
「つまり 二乃→四葉→三玖→一花→五月→三玖→四葉→一花→三玖の順番か……
つうかみんな出入り激しいな…。どれだけ風呂に用事あんだよ」
(多分 二乃はフータローを捜しに…。四葉もそうなのかな? 私や五月、一花はコータローでも何で二人はまた戻ってきたんだろ?)
「コータロー…。もしかしたら二人が…。その手紙を読んだ可能性もあるよ」
「あっ確かにな…誰か一人と勝手に思い込んでたな うーん 向こうから言ってこない以上、下手には動けんな…。暫く様子見だ」
「手紙ってさ どんな内容なの?」
「それは秘密 俺のプライバシーも含まれてるし 色々とな」
「わかったよ 無理には聞かない」
「助かる…さて みんなの所に戻るか…。
後さ 三玖 何で俺たちに家庭教師を辞めるよう言って来たんだ?」
「あぁー…。それさ 無かった事にしていい?」
「ОK お前も思う所が合ったんだろうし俺も忘れよう」
結局は誰が読んだのか特定は出来なかった
成果がないと言えばそれも違う 見れた人物は二名とまで絞れた
それに誰か一人とも限らない 二人が読んだ可能性すらあるとまで
いやー本当に面倒な事だ…。
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ーーーー
ーー
時間は進み 場所もかわる
女性陣はそれぞれ温泉に集り 二乃 四葉 五月 らいはは温泉に浸かり
一花と三玖はサウナへ入ればそこから出ずに我慢くらべ
「三玖・・・もう限界なんじゃない・・・?」
「ま・・・まだ平気・・・」
じーっと耐え忍び 二人の一騎打ちは一花の根負けで終わり迎える
という訳にもいかなかった…。去って行く彼女に三玖は一声かける
「すごいね・・・お姉さん、そんなに無理はできないよ・・・。脱水症状はいやだからね…降参でいいよ…。」
「一花」
「!」
「期末試験…。本当は悔しかった」
「・・・・・・」
「・・・多分、顔に出てたから気づいてたよね」
(何時も無表情だし 卒業式の日も普通にしてたから分からないよ…。)
表情には出していた と言っているが今日までそんな素振りは見えず
彼と出向いた卒業式の日も 彼からの差し入れを貰った日も一花から見れば三玖の表情はあまり
変わりのないものに見えていた
「でも…もういい」
「!」
「私たちは生徒と教師だけど・・・ 勉強だけが全てじゃないって今日わかったから・・・。
勉強を諦めたつもりはない・・・だけど・・・私は私を好きになってもらえる
私は何時までも子供じゃない…。何時までも守られる側じゃない…。同じ目線で見れるように…何かを探すって決めたんだ」
彼女にどんな変化があったのか 表情には出ないだけで何かしら抱えていた
時折見せる表情は暗く あの日聞いた言葉が彼女の中でも尾を引いて
きっとそのままモヤモヤな気分で終わってしまうと でも今の三玖の表情はすごく晴々としている
この数時間の間 彼の事で何があり自分にそう答えたのか
姉として嬉しい 嬉しい筈だ…。
四葉の言葉で我慢をやめる 自分のしたい事をすると決めたからにはあまりおもしろくもない
「ふーん…」
扉にかけた手を離せば来た道を戻り三玖の隣座り直す
「・・・降参、したんじゃなかったっけ?」
「・・・なんか、負けたくなくなっちゃったよ」
林間学校とは正反対 あの時は引いた一花 今では三玖とは対等な立場として
小さな宣戦布告だ
それに彼女にはそれ以外にやりたい事が出来ていたり……。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
「二乃…。どうしたのですか?」
「してやられたわ……」
口元まで湯につけぷくぷくと泡を立てる二乃は一花が入ったサウナ室をずっと眺めては
イライラと言ったような何処か悔しそうな表情だ
気になった五月は声をかけている
「まさか 一花まで 三玖は兄貴の方だからって安心しきっていたわ…もうなりふり構っていられない…ねぇ…五月?」
(一花と何かあったのでしょうか? 三玖が幸太郎君を好きだと言っていましたから…)
壮大な勘違いが発生 一花が蒔いた種は二乃の暴走機関車に更なる油と燃料を投下する羽目に
詳しい事は三玖から聞かされてないが五月からの主観では一花が風太郎と何か合ったとは思えない
『五月は鈍い』と三玖から言われた言葉がずっと木霊している
「五月!」
「あっすみません なんですか?」
「あんたは、これ以上私に内緒にしてることはないでしょうね?」
それはどれを示しているのか? 上杉風太郎の事か 上杉幸太郎の事か
真剣に見つめる彼女に向けるべき言葉は今は持ち合わせていない
誰だって秘密は持っている 話す事で楽になる事もあればそれが心を傷つける結果にもなる
(そうです…秘密です 例え姉妹でも言えない事は私にもあります…
彼の為の選択で彼を傷つけない為にも…。)
「…あったとしても言えないから、隠し事なんですよ」
「…それもそうね」
姉妹だからこそ言えない事も言いたくない事も沢山ある
上杉風太郎の一件で少しばかり神経質なっていた二乃も五月の言葉で一度頭が冷え
再び湯につかる…彼女達の姿に不安はあれど喧嘩は起きないと分かり四葉は微笑む
(二乃も五月も三玖も一花も色々と悩んでたけど…。きっと大丈夫
上杉さんも見かけた時は何故かすっきりとした表情でした …。後はお兄さんか)
「私で力になれないかな…。何時も迷惑をかけてるし…。 あの事も心配だな」
「四葉さん?」
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場所は変わり男湯
勇也 マルオ 幸太郎 風太郎の四名
朝から飲み始める勇也と違いポーカーフェイスを崩さないマルオ
ただ彼の息子二名の事は未だ警戒中 不審な動きを見せようならばすぐにでも動くだろう
「カーッ!たまんねぇなぁ!お前も飲めよ、マルオ!」
「上杉、僕を名前で呼ぶな」
「勇也さん飲み過ぎ注意ですよ」
「それに酒は苦手だ。特別な日にだけ飲むと決めている」
「ったく、お前は昔からかてぇーんだよ。長湯して、少しはふやけたらどうだ
幸太郎もだ こんくれー何ともねーよ」
家で飲む機会は無く ここで知り合いと出くわした飲まない理由は彼にはない
疲れも癒せるし 喉も潤う最高のひと時だ
幸太郎は父のその姿に心配しながら満喫する姿を見れた事が嬉しいようだ
笑みもこぼれる…。
「まぁ 気をつけてください それと先生もせっかくなんで 俺がお酌しますよ」
「遠慮させたもらおう 本当に苦手になりそうだ」
「へいへい それじゃ 俺達はそろそろあがるんで」
「親父またあとで」
「おー」
居心地の悪そな弟を気にかけ 声をかけ二人でお湯から上がる
幸太郎は中野マルオとはそれなりに交友と言う名の因縁があり基本彼には物怖じしない
相変わらず兄の姿に頼りに思うと同じく少々怖くも思えた
彼が知っている兄と今の兄は本当に同じなのか
自分が知らない所で何が起きているのか風太郎なりにも考えている
きっかけは何でもいい…。たまには自分も頼れと口にはけしてださない複雑な弟心…。
「・・・そういや中井さんから不思議な話を聞いたんだが・・・」
「やめてくれ。僕とお前は世間話をする間柄でもないだろう」
「まぁ聞けって。知っての通りこの旅行はうちの息子とお前んとこのお嬢ちゃんが偶然当てたもんだ。けど、こんな偶然があると思うか?5組限定だぜ?」
世間話をする間柄じゃない ある程度関係を知っている幸太郎も歩きながら
『確かに』この少年自ら中野院長そう述べた事もあった
やはり似た者同士なのか…。そんな不穏な単語が頭を過ぎるが首を横に振りそれを追い払う
そのまま脱衣所に向かう その筈が 父の言葉で足が止まった
この温泉旅行には何か裏があると
5組限定のこの温泉旅行で上杉一家が来る前に既に4組来ていた
ならば同じく当たったと口にした 中野三玖の言葉は嘘なのか?
それは違った 風太郎にも幸太郎にも心当たりがあった
偽の温泉旅行を計画するまでこの父親がここに訪れる理由なんて一つしかない
気づけば二人そこに向かう
姉妹にとって何が重要な事か…。それは彼女達と祖父を会わせてあげる事
父として最低限出来る事が何か彼なりに考え決行した…。
「あのー・・・実は昨夜の話を聞いたんですが・・・」
「すみません 勝手に聞いてしまって」
「・・・・・・」
(生きてるよな?)
(ガチで死んでるかと思うから笑えない)
来た時と変わらず 寡黙と言うには静か過ぎる程
彼女達の祖父はじっと何かを待つようにそこに立っている
ここまで来た 後は何を伝えるべきなのか二人は考えが纏まる前に動いていた
二人に何が出来るのか? 幾ばくも無いと言われるこの老人に出来る事なんて
ましてや二人は赤の他人だ…。でも言えることはある
たった一日それでもこの老人に付き従い 数日だがこの旅館で楽しくもドキドキな日々を過ごせた
『『・・・お世話になりました』』
ここでの数日全てに対する 敬意を込めた言葉とお辞儀
今自分達に出来るのはこれくらいだ せめて敬意と誠意を示そう
「・・・孫はワシにとって最後の希望だ。娘の零奈を喪った今となってはな」
「え?」
「零奈さん……。」
「お前さん方…。孫たちに伝えてくれ」
「…………」
「自分らしくあれ、と」
「爺さん……」
「………………」
この人は最初から気づいていた 姉妹が自分の為に同じ姿をしてくれていた
改めてこの老人には驚かされ同時に頭も上がらない
「・・・爺さん。あいつらは・・・きっと乗り越えます。あなたの死も。あいつらは強い。短い付き合いですが、それは必ず保証します」
「爺さん また来るさ あんた達との思い出作りの為にさ」
「・・・その時は・・・5人の顔くらい見分けられるようになってるんだな」
次までの宿題 その時は必ず間違えるつもりはない
風太郎も幸太郎も『上等だ』と表情もかわる 辛気臭い顔はここまでまた会う日まで……。
ーーーーーー
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風太郎と共に挨拶を終え 姉妹や家族と共にあの鐘の前で記念撮影が行われる事になった
ここに来ると『コンビニか』と風太郎の何とも情けないツッコミを思い出す
彼女達の姿はここに来た時とは違い 未だ五月が五人いる……あの時は分ったけど
やっぱ全員が並ぶと分からなくなるな………
「それでは撮りますよ。はい、チーズ」
カシャッ!
秘書である江端さんが俺たちを撮影してくれた
この人のこの格好………あぁーそう言う事ね
今更だが12月の謎が一つとけた
「よかったー、みんなで撮っておきたかったんだー」
「この姿のままで良かったのでしょうか…………?」
「これはこれで記念だね」
「いやぁ、じっくり見ても誰が誰だかわかんねぇなぁ」
「確かに。全然わかんないですね、これ」
「お父様も見分けられますよ。愛があれば!!」
「愛で
あっはは流石我父で冴えたセンスしていらっしゃるな
写真の撮影も終わり山を下山 出発までまだ時間は残っているゆっくり帰ろう
一方風太郎は考え事か鐘の方で突っ立っている
「愛の力か…。なぁ幸太郎もそうだったのか?」
「俺はまぁ……色々とな 今度話すさ 俺の昔話を…………」
「了解 気長にまつさ…んどうかしたのか?」
「あっ…………スマホの充電器置きっぱなしだ、急いで取ってくる!」
「遅れるなよー」
使ってもない充電器を鞄からだしてそのままだった事を思い出した…出るときになーんで気づかないのか……。
風太郎に、すぐ戻ると伝え…伝言も残した、勝手に消えれば、また何を言われるか、いい加減俺も学ぶさ
下山する道とは逆の旅館のある方へと足を動かす
まさか爺さんとこんな早く再会するとはな…………。気まずいな
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ーー
「…………」
「すみません 忘れもんがあって」
「幸太郎って言うのは…。若いの、お前だったのか……」
「えっ?」
「零奈の口から何度か聞いた 元気な男の子だとな」
「!!」
「……………………」
「あの…ありがとうございます。本当にお世話になりました!」
零奈さん…。
俺は…。僕は少しだけ前を向こうと思います だから見守っていてください
カウンターには、忘れ物として充電器が置かれていた
一声入れそれを鞄に仕舞い 俺は元の場所まで走って戻った
少し晴れやかでどこか足取りも軽く……
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「誓いの鐘か…。 『この鐘を二人で鳴らすとその男女は永遠に結ばれる』風太郎じゃないけど
コンビニかって言いたくはなるな」
来た道を戻った先には誰もいない
鐘の前で考え事をしていた風太郎もあいつらと合流してるだろう
鐘の方に視線を向ければ 江端さんの話した その伝説を思い出す
ここが絶景スポットで人気があるのはこの鐘があってこそ
数多のカップルがここで鐘を鳴らし 結ばれた
「素敵な話だな…。 ここで鐘を鳴らせば、永遠…… って何考えてんだよ はぁ…。」
『『幸太郎君』』
ゴーンゴーン…
鐘を眺め それに触れようとした時 後ろから俺を呼ぶ声が聞こえ
同時に鐘の音がその場に響く…。
木霊でもするかのように反響するその声……。
ふりかえれば「彼女たち」が、いる
さて 俺を呼んだ この二人は、誰なのか? 案外早く宿題の答え合わせが来たもんだな
何かを待つ二人は、俺が足を動かす事を望むのか、はたまた…
ーーーーーー
ーーーー
ーー
2000日の結婚式
上杉幸太郎がついた頃、別室で一枚の写真を眺める四人の女性
当時を懐かしみ その時を思い出す
祖父と撮った最後の一枚は今から二年前のもので姉妹や映ってはいないが風太郎も訪れていた
彼等と初めて顔を合わせた時には寡黙で表情一つ変えない印象を受けた彼だったが
写りこむその表情はとても優しさに満ちていた
「二人は既に結ばれるって決まってたからね」
「うーん」
「どうしたの?」
「彼は間に合ったかな…。」
「この写真の時も結局来れず謝ってたね でも大丈夫 今度は間に合うよ」
「どんな顔してるかな 二人を見て」
「彼はきっと祝福する筈です 兄だからね」
今日だって連絡すら寄越さず 何時つくのかも分からない
祖父が他界した2年前も『戻れなくてごめん…。爺さんに伝えてくれありがとうって』
彼は間に合わなかった 正確には彼は戻れなかった
電話越しでも涙を出さないよう五つ子の祖父を心配させないよう 自分を押し殺していた
彼が去って五年 あの少年基青年が、間に合っていれば今頃は二人を見て自分の事のように祝福をしている事だろう。何時でもどこでも彼は変わらない それが上杉幸太郎だ
(あなたの言葉を私たちは待っています 上杉幸太郎君)
ゴーンッ、ゴーンッ、ゴーンッ・・・
ーーーーーー
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突然の乱入者 式場は騒然となるが
その男が分かれば笑い声も聞こえだす
本人は『すいませーん』と腰を低く 手招きする妹と父の元へ向かう
遠くで彼よりも先に海外から戻ってきた彼女も流石に苦笑い
『幸太郎は本当に馬鹿だねー』と他人事…。
「お兄ちゃんー! 台無しになるところだったよ それに髪もどしたの!」
「らいは 5年越しの再会で兄を叱るのか…。 それにこれは俺の意思とは無関係だ」
「っははは お前もかわらねーな」
「父さんも相変わらずだね」
彼が5年越しに再会するのは弟や姉妹だけではない
家族とも離れ一人でイギリスへと行ってしまった 当時は妹は猛反対だった
それも一年が過ぎた頃には『月に一度は連絡だからね! 忘れたら怒るよ』と
幸太郎が欠かさず行っている その度に自分の現状や学校でどう過ごしているのかも伝えている
「俺は今も昔も かわらねーよ それでどうだ 風太郎と○○ちゃん良い顔だろう」
「はい 風太郎も随分と男前になりましたね」
「実はお兄ちゃん 結婚指輪忘れて来たんだよ」
「あいつは…。なんでこうも大事な日に」
「新郎は指輪を忘れた式の内容は変わるし 親族は遅れてくるし 前代未聞だよ」
らいはも呆れるだろうせっかく指輪を届けても式の内容をすっ飛ばし
誓いのキスだ 追い打ちをかけるようにその瞬間に兄が息も絶え絶えでイギリスから戻ってきた
二重のトラブルばかりで頭が痛い…。
でも 離れていった二人の兄は全然変わっていない 何時も問題の中心に立たされる
面倒なお兄ちゃんたちだ
(ねぇー お兄ちゃんの好きな人って誰―?)
(秘密ー 兄は妹にも隠し事するんですよ)
(残念だなー ふふふ)
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「さて みんなが待ってる 帰るぞ ○○ ○○ 迎えに来てくれてありがとな」
『『!!』』
答えは当たっているのか…。帰った後たっぷり聞けばいい
この二人の五月は何処までも心配症な奴らだな……。