上杉幸太郎と六等分の思い出   作:Aikk

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第七十四話 不良少年と三年生

「と言う事があってな…。うちで次女を雇う結果になった」

 

「はは…。みんなには困らせること言っちゃったなぁ」

 

 

 

あれから2日程が経過した…………。

隣を歩く一花に当日のあらましを簡潔に説明

内容を聞けば、若干苦笑い…。

 

まぁ…突然の提案に姉妹も焦ったし、知った俺らも確かにびっくりはしたさ

でもそれを負い目に感じる必要は、全くない…。

一花は、一花なりに考え姉妹に提案したのだろう、

事前に一花から電話で聞かされた俺は、凡その理由を考えた

今の姉妹の生活を支えるのが誰なのか? 考えれば分かる事だ…。

 

それに今回の事は、あいつらにも良い刺激になったと思う

春先には、『バイトよりも勉強を優先に』と俺や風太郎はそう伝えたが、

机とにらめっこばかりの毎日はどうにも息が詰まってしまう………。

勉学以外でも学べることは、沢山ある その機会を増やしてやったとプラスに考えれば良いだけ

 

 

 

「つーかなんで一花がここにいるんだ? 他の姉妹とは別登校か」

 

「ん? お姉さんは寂しい…。コータロー君と一緒に登校をと思って フータロー君も見えないし彼は一緒じゃないの?」

 

ここでふとした疑問を浮かべただろう、さも当たり前のように一花は横を歩いている

その理由は、本人曰く『寂しい俺を思って近くまで足を運んだ』いやー良い友人が出来て嬉しいねぇ

 

 

(俺に合わせて登校ねぇ…)

 

 

昨日は何時もと変わらずバイトが、終わったのは夜遅く 家に着く頃には明け方で睡眠も疎ら

ギリギリまで布団にくるまっていたが、妹に取っ払われ 歯ブラシを口に突っ込まれた

んで弟は、『今日は遅れるなよ?』とやけに真剣で

らいはも『今日は大事な日だよーしゃっきとしてー』 ぼーっとしている俺は、気づけば家の外

二人は気にかけてくれたが、等の俺本人は、今日と言う日を余り意識はしておらず

欠伸混じりに学校まで足を進め暫くすれば、何時かのやり取り『おっはー』と声をかけられ

目を凝らせば、中野姉妹の長女が、にこやかに手を振っていた…。

 

そう言う経緯で彼女と登校している

 

「俺より先に出たからな…。つうか何時も一緒にいる訳でもないさ…ふぁ………悪い話中に欠伸だ」

 

「毎日毎日お疲れ様ですコータロー君」

 

「何が?」

 

(コータロー君…。君はいい加減オーバーワークって事理解しよう 何時か限界が来るよ)

 

「んでよ…。お前に相談された時も思ったけど…何か見つけたかやりたい事?」

 

「流石だね うん…。今までは家賃や生活の為で仕事をやってきた」

 

「家賃の返済の為に仕事して、普段は学校や家庭教師…………まぁ一花の自由な時間は皆無と言っていい…………お前は頑張り過ぎだ」

 

『君には言われたくないな-』と眠たそうな俺を見ては、不満気に語る一花さん

全くその通りです…。でも家の事情を考えれば、はいはいと頷ける物でもなく

彼女の言葉は受け取るが、『俺は俺で充実してる』と適当な言葉でその場を流した…。

 

 

「俺の話は終わりー…で一花は何を思ったんだ?」

 

 

「私もやりたい事に挑戦しようかなって…色々考えて出した結論だよ」

 

一花が、ここまで仕事をして来た理由は、アパートでの家賃やその他生活費の為

全部が全部そうだと言わないが、過半数は生活費の為に身を削っての毎日

その中に彼女自身の時間やお金は存在しない

いい加減足踏みは、やめて一歩先に進んでみたと前向きに捉えている

 

四葉や三玖もそれぞれバイト先を見つけ

案の定と言っていいのか見つかってないのは、五月のみとある意味想定内だな

あいつの事だから下手に構え無駄に悩んでいる…。思ったものに挑戦すれば良いんだが

俺も俺で少し意地悪が過ぎたかな?

 

(流石に五月でもバイトを疎かにするほど食に目が行く訳…ないよな?)

 

なるべくあいつに向いたバイト先を選んだつもりで選び飲食店を避けたが、それが仇になってしまった…少々不安だ…。

 

 

「まぁ…。俺から言えるのは何時ものあれだ 何かあれば頼れ 

 それにここまで来たんだ成績は落とすなよ風太郎が嘆くからな」

 

「あはは…。そうだね卒業したいしね…。じゃ これからも頼りにしてるよ 

            せーんせっ」

 

先生かそれは俺ではなく風太郎に言ってやって欲しい

うれし泣きして暫くは静かになってるさ

 

微笑むように話す一花の表情は誰をも魅了する

少々俺もドキッとした…。

 

 

「私が言いだしたことなんだけど 少し寂しくもあるんだ」

 

「みんな働くわけだしな…。」

 

「うん…。きっと前見たいに一緒にいれる時間も減っていくと思う

 そしてそのままバラバラになって…。大人になっていくのかな」

 

「うーん…。一緒にいれることは大事だ でも偶には離れるって事も悪くはねぇーかもよ…それによ…これでさいならって訳でもないさ」

 

「だねっ」

 

 

 

 

 

今日で俺たちは三年生になる

いよいよもって俺にとっても最後の一年だ

実感が湧かないとは言いつつもこうして家族以外の人間と話すと多少なりと意識はする

 

一抹の不安を覚えつつも学校へと向かう足を止めずしっかり一歩一歩進んで行く

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

ーーーー 

 

ーー

 

 

 

「幸太郎君 おはようございます!」

「おっす おはよう五月」

「先輩おはようございます 私三年一組でしたよ 五月さんと同じです!」

「へぇー 良かったな真弓ちゃん 同じクラスになれてさ」

 

貼りだされた掲示板には今年最後を共にするクラスの割り振りが書かれている

事前についていた真弓ちゃんは五月と同じく三年一組

視線を掲示板に戻せば、上からの準に

上杉風太郎 須藤真弓 中野一花 中野五月 中野二乃 中野三玖 中野四葉

と何時もの面子が間をおいてではあるがちゃんと記載されている…。

 

本当に些細な不安だが消え去ったな

 

ん……………………? あれ

再度掲示板を確認し ある事に気づいた…。

 

「あっ…。俺だけ名前ねーな 何組だろ」

「えっ」

「本当だ コータロー君だけ名前ないよ 一番上に来るはずなのに」

「まぁー こんな事もあるわ お前らはさっさとクラス迎えよー 俺は自分のクラス探すから さーてどこかなー」

 

五つ子が同じクラスで俺だけ省かれるとはこれは裏も感じざる負えないぞ

去って行く俺を捨てられた子犬見たいに見つめる五月さん

悪いなこればかりは俺にもどうしようもねーよ

 

避けていく生徒をしり目に掲示板を何度も見つめる

違和感だ何度見ても上杉という名前が一組の風太郎しか見当たらない

い いやな予感が…。 嫌な汗がどんどん出始め 柄にもなく焦っている

これは不味いのではなかろうか? 

 

勇也さんに何て説明すればいいんだよ…。

 

「寂しくはあるけどな…。つうか 俺の名前が何処にもねーよ まさか 進級出来なかったのか、あの点数じゃダメなのか…。」

「コータロー見つけた」

「おっ三玖か…。何か俺だけクラスが見つからねー いじめか?」

「そんな…。何でコータローだけ」

「どうにも学校は俺が嫌いらしいな…。嫌になってくるな」

「ごめんね 私のせいで」

「お前はなんも悪くねーよ」

 

いや今回は割と三玖は無関係だ

以前は事故だが、今度は違う出席日数も足りてるし 期末試験は散々だが赤点回避はしている

これはもう謎の力が働いてるとしか思えないな…。

俺を進級させたくない新手のいじめだろうと呆れ気味だ

 

と普通に考えれば一報は来るはずなんだ 今回は何事もなく学校に来ている

一人の生徒を傍観なんてそんな陰険な事するだろうか?

確かに俺の悪評判で色々と学校も問題を抱えたとおっさんが話していたしな…。

 

うーんと考えこむと俺を呼ぶ声が聞こえてくる

 

 

「幸太郎君の名前ありました…。同じ一組です!」

「だってさっき無かったろ?」

「記入漏れだと先ほど先生方が話していました」

「うわー 俺の三年最初が幸先悪すぎ…。」

「良かった…。良かった コータローが三年生になれるよ 五月」

「はい 喜ばしい事です すみません少し涙が…。」

「普通は俺がうれし泣きするんだけどな まぁありがとな」

 

何ともこの先が不安になりそうな三年最初の一日だ

全く記入漏れとは、たらふく給料貰ってるわりにやることがざるだな この学校の先生は…。

 

 

「三年生か…。」

「思う所はありますか?」

「風太郎にも同じ事聞かれたな…。昨日までは意識してなかった 

 でも名前がないとやっぱビビるな」

「コータローはちゃんと頑張ってここまで来てる…。だから何に恥じる事はないよ」

「何時もと変わらず…。まったりとだな」

「ふふ そう言いつつ幸太郎君は困ってる人を見過ごせませんからね」

「うっ…。うるさい」

「コータロー照れてる?」

「照れてない ひっつくな…。 、それと今年も一年よろしく」

「うん やっと同じクラス頑張ろうねコータロー」

「はい…。学校での勉学も自習も頑張って行きたいと思います」

 

今年最後は五つ子全員と同じクラス

去年までは俺 風太郎 五月 それが今年は7人+真弓ちゃんで合計8人か

世間は狭いな…。

喜びや戸惑いを感じつつも俺たちは少しばかり大人になった

足踏みしていたあの頃とは、おさらば今は前を向いている

抱えている問題は割と無視は出来ないが…。

友人達と居るんだ乗り越えられるだろうな

 

五月達と軽く話し 一旦彼女達は教室に入る

二乃や四葉ともに報告に行くらしい

恥ずかしいから黙っててくれねぇ―かな…。

 

 

「はぁ…。何か急に疲れたな…ん?」

「上杉 すまんな こっちのミスだ」

「園田のおっさん 勘弁してくれよ 焦るからさ」

「あっははは 悪い悪い…。こっちも生徒を捌くので手一杯 

 弟の名前を記入した時点でお前の名前も記載したつもりだったと担当も反省していた」

「別に怒っちゃいないけどさ」

 

突然現れた 白髪の目立つ恰幅の良い男性はこの学校の教師の一人

数少ない教員で俺の事情を知っている園田雅先生だ

小学生の時に一度世話になりこの学校で再会した

須藤共々散々面倒見られた…。

 

「んで おっさんは今回何組の担任だ?」

「一組 お前らの担任だ」

「へぇー…。知り合いに囲まれ 兄弟とも同じクラス 担任は素性を知っている

 なーんか胡散臭いな」

「俺は何も知らぞ 兎に角だ 俺がお前の馬鹿に付き合えるのも今年で最後だ

 上杉…。今度は抱え込むなよ」

「へーいへい おっさんも和之も心配症だな」

「まずは そのおっさんってのをやめんか 馬鹿たれ」

「さーせんしたーー!」

 

 

 

三年生とは高校では最上級生だ

三年間の集大成…。地道に積み上げた結果で誰しも迎える事の出来る最後の学年

俺はあの事故でその機会を失い 更に父がくれた最後のチャンスまで棒にふった

やり直しの効かない人生で俺は2年生をやり直し

共に学んだあいつらは先に進み遂には卒業…。

取り残されたと思う反面決別したあいつらに未練はなく 今ともに歩む

この五つ子や弟 そして数少ない友人達とともに俺は最後の年を迎える

 

ここから先きっと去年の比ではない面倒事が押し寄せる

覚悟を決めろ上杉幸太郎…。そしてあいつらを全員ちゃんと卒業させるんだ

 

 

 

 

 

(さらば 二年生の俺…。俺は今日でお前とは本当にお別れだ 二年間世話になったな)




キャラ設定
園田雅
詳細
彼らの三年のクラス担任を務める男性教諭
幸太郎の小学生時代からの恩師の一人
彼の事件の詳細を知るため2年をやり直した際の彼を気にかけていた
何だかんだと彼も園田を信頼し『おっさん』と呼んで叱られている
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