ポケットモンスター Re:Union   作:可惜夜ヒビキ

2 / 14
テスト終わったので執筆再開していきます。第一話の方もちょーーっとだけ変えたんで時間ある人は見ておいてください。


第1章 -約束-
第一話 始まりの夜


-カントー地方、マサラタウン-

<side カイ>

 

目の前で、一匹のポケモンが倒れこんでいた。その体から電気がバチバチと火花を散らし家のブレーカーを刺激しているのを見、家の電気が途絶えたのはコイツのせいか、と確信した。しかしこのポケモンは…

 

「ゼラ――オラ?」

 

俺の言葉に反応したのだろう、果たしてそのポケモン――《ゼラオラ》は少し体を持ち上げて俺の目を見つめ返してきた。

ゼラオラは電気タイプのポケモン。その珍しさが故に"幻のポケモン"とも称されている。

で、何で俺がそんな珍しいポケモンの名前を知っているかというと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-日本、山梨県某所-

<no side>

 

「いってきまーす」

 

何の変哲もない昼下がり、一人の高校生――斉藤圭はクラスメートの家でゲームをする誘いを受けて家から出ていくところだった。彼の背負うリュックの中にはポケットモンスターシリーズの最新作、「ポケットモンスター カラクレナイ」が入っている。

彼は言わずと知れたポケモン好きだった。アパート暮らしのため自分の部屋こそ持っていないものの、家のリビングにはいたるところに人形が置かれているほど。勿論全キャラの名前は熟知しているし、何ならポケモン図鑑の暗唱だってやろうと思えばできる。

そんな彼は家を出て自転車にまたがり、友人の家に向かおうとしてアパートから出て

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬の出来事だった。突然急ブレーキの音が聞こえてきて、横を見ると大型のバイクがハンドルを切り損ねてこちらに向かってきていた――いや、隣にいた。

その後はすぐだった、彼はバイクに撥ねられ、病院に搬送された。バイクの運転手はどうにか無事だったようだが、圭の息はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-???-

<side 圭>

 

「う、うぅ…?」

 

何だかひどく呼ばれたような気がして、俺は目を開けた。バイクにぶつかった時の衝撃が、まだ頭痛となって残っている。一体あの後どうなったんだ、ここは病院なのか、アパートの外なのかと辺りを見回して、気づいた。

 

 

人がだれもいなかった。それだけではない、俺が家族で暮らしていたアパートも、俺とぶつかったはずのバイクも、何もかもがすべて消えていた。あるのは、ただ不思議な空間のみ。いくつものうねりが、右へ左へ動いていた。

 

「お、来た来た!」

 

 

 

 

突然後ろから声がして振り返る。見ると、そこには一人の少女がこちらを見つめて立って――いや、飛んでいた。

長い髪は膝のあたりまでかかっており、全身を白い制服姿で包んでいる。それとは対照的に、彼女の背中から身長の倍はあろうかという一対の巨大な翼がはためいて、彼女の体が上下に動いていた。

が、俺はこの超自然の怪異を何の抵抗もなく受け入れている。後になって考えてみれば不思議なことだ――目の前にいるのは、翼を付けた人間、いや、もしくは人間ではないそれ以上の存在であるかもしれないというのに。

そんなことを考えていると、不意に彼女が話し始めた。

 

「私の名前は転生神マリア。最初に行っておくけど――急に殺しちゃってごめんね?それはそうと、君は今からとある世界を――」

「ま、待て待て!いくら何でも話すスピードが速くないか?」

「え、そう?じゃあ最初から…わーーたーーしーーのーーなーーまーーえーーはーー」

「そういうこと言ってんじゃねぇ!話が飛び飛びすぎてこっちの整理がついてないんだよ!」

「あぁ、そういうことね。じゃあもうちょっと詳しく話すと――」

 

 

 

 

彼女はパワーバランスをつかさどる神、なのだという。1シプテム(1シプテム=約二週間らしい)前、前任の神が突如倒れ、その代役として2ダイズ(1ダイズ=約三日)前に交代したらしい。そして、これが彼女の初仕事なのだという。だが転生させたかったのは俺ではなくあのバイクの運転手だったらしい。何でも、俺のような家に引きこもってゲームに明け暮れている貧弱者よりも彼ほどガタイがいい方が都合がいいのだとかなんだとか。

 

「――とりあえずこんなとこかな。それで、ここからが本題なんだけど――」

 

マリアが急に改まって、俺の方を見てきた。思わず後ずさりしてしまう。

 

「な、なんだよ…?」

「あなたには――カイ君には、ある世界を救ってもらいたいの」

「へぇ、だったら人違いだな。俺の名前は圭だ、カイじゃないからな」

「ううん、人違いじゃないよ。だって

 

 

 

 

 

 

君はもう、斉藤圭じゃなくてカイなんだから。」

 

思わず、は?と口を開けた。いつの間にか名前が変わっている――これも転生したときの影響なのだろうか。が、なんだか実感がない。心の中で何度も自分の名前を呼んでみる。カイ、か。うん、なかなか悪くない。俺は思わず口角を上げ、マリアと再び話し始めた。

 

「カイ、か。気に入ったぞ、この名前!」

「はいはい、名前が一文字変わったぐらいなんだからそれぐらいのことで騒がないの」

 

さっきとは打って変わって、マリアがまるで汚物でも見るかのような目でこちらを見てきたのでおとなしくすることにした。

 

「ふぅ、さてと…そうだ、さっきも言ったけど、君にはある世界を救ってもらうよ」

「そうだ、さっきも気になってたんだけど、その世界って?」

「ふっふっふ、聞いて驚くなよ…」

 

マリアは人差し指をこちらにばーん!と近づけてこう言った。

 

「君に行ってもらうのは、『ポケットモンスター』の世界なのだッ!」

「ゑ、

 

 

 

 

 

 

 

えぇぇぇっっっ!?!」

 

 

思わず変な声が出てしまった。それもそのはず、ポケットモンスターと言えば俺が愛してやまない世界だからである。どっかのアニメのように、巨大な仮想空間を作ってその中にはいれたらどれほどよかったか、などという妄想は数えきれないほどしてきた。

こちらの反応に、向こうも満足したようだ。

 

「ま、せいぜい楽しんできてよ。私は影から君を見守っているからね、じゃ、あとはよろしく――あ、そうそう。転生後の君の姿は歩くのもままならない幼児だからね、頑張ってねー」

「おいちょっと待て、なんで12歳も若返らなくちゃいけないんだ!?」

「んーまぁ向こうの生活に慣れてもらうってのと、周りの人の認識も変えないといけないからね。んじゃ、今度こそよろしくね。"素質"を持つ人」

「え?ちょ、待っ」

 

まだ頭が混乱している俺に向かって、マリアが親指を立てて(*'ω')bグッ!のサインをした。

 

「いやいやいや(*'ω')bグッ!じゃなくてもう少し詳しく…うわぁぁぁぁぁぁぁ――」

 

気づけばマリアの姿も消え、俺は光に呑まれて何も見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-???-

 

 

(――ん、ここは…)

 

 

目を開けると、そこはどこかの住宅地だった。とりあえず周りの状況を確認しようと周りを見渡そうとするも、何故だかうまく立てない。それに、体の大きさが一回りも二回りも小さくなっている気がする。と、何やら一枚の紙きれが俺の目の前に落ちてきた。一番後ろにマリアと書いてあるため、どうやら書いたのはあいつらしい。俺は少し急ぎ気味に読んだ。

 

 

――カイ君、転生お疲れ様!早速だけど、君は多分うまく体が動かせずに戸惑っていると思う。まずは自分の姿がどうなっているのか、窓とか鏡とかで確認してね  マリア――

 

 

 

思わず苦笑する。流石は転生神、俺のことは常に監視して見守っているらしい。まぁいい、とりあえず自分の外見だ。マリアは幼児とかなんだとか言っていたが――。

鏡が見当たらなかった(見つけられなかった)ので、窓に自分の姿を映そうと、窓辺まで這って行って始めて気が付いた。

 

 

 

 

窓の外に、ポッポがいる。何度目をこすっても、俺の目の前にいるのはやはり画面を介して見てきた、慣れ親しんだ姿の鳥ポケモンだ。ここにきてようやく、本当にポケモン世界に来てしまったのか、と身をもって実感した。

おっと、そんなことを確かめに来たんじゃない。俺の姿がどうなっているか、だったな。そう思いながら窓ガラスに目のピントを合わせて

 

 

 

 

(うぉっ!?)

 

 

 

 

俺の体がこんなんでもなければ、おそらく尻もちをついていただろう。三歳ぐらいだろうか――男子だとは思えない、可愛らしい顔がこちらを覗いていた。思わず声を上げてしまうところだったが、その幼さのせいか、うまく発声できない。出てきたのは、高音の呻き声だけだった。それを聞きつけたのだろう、階上から誰かが足早に下りてくる音が聞こえる。やれやれとんでもない世界に来てしまった、と俺は思わずため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、この世界で前世と同じ年齢、つまり15歳になった俺は、ブレーカー共同管理所でゼラオラを見つけた、という訳だ。あの後、どういう訳だかマリアが前世の記憶はさっぱり消してしまったので、ホームシックのような衝動に襲われることはなかった。が、彼女も変なところで気を利かせたのだろう、俺の中にあるポケモンに関する一切合切の記憶だけは消さずに残しておいていたようだ。つまり、前世で俺が蓄積してきた戦闘パターンや育成論、その他諸々の情報はすべて覚えている。もう一種のチートと言ってもいいだろう。であるから、幻のポケモン一匹の名前を思い出すことなど、俺にとっては造作もない。

 

 

ゼラオラはちらりとこちらの方を見た。どうやら、こちらを警戒している様子はない。無理もない、傷だらけの状態でどうやって警戒しようってんだ。

俺達は時間を忘れて見つめあったが、突如ゼラオラがまた地に伏したことで現実に引き戻された。

 

「あっ!!ゼラオラ!?」

 

いくら呼び掛けても、反応がない。が、まだ息はある。俺はまだバチバチと火花を散らしているブレーカーの様子など目もくれず、ゼラオラを抱えて夜の闇へと再び駆け出していった。

 

 

 

 

家に着くと、戸口に立っていた叔母が俺を見つけて慌てて駆け寄ってきた。相変わらずブレーカーは復旧していないが、家の随所に電球を張り巡らせ、叔母のポケモンであるサンダースが発電する、ということをやっていた。

何とかベッドにゼラオラを寝かせて、トレニアとガーベラにまた明日、と別れ、俺はゼラオラの横で眠りについた。誰のポケモンなのか分からないが、必ずトレーナーを見つけてあげないと。きっと、どこかでまだ探しているだろうから――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-カントー地方、マサラタウン付近-

<side ???>

 

「…そろそろか」

 

手元の懐中時計を見ながら呟いた。周りには、俺と同じ格好をした連中が火を焚いている。その中の一人が、俺に話しかけてきた。

 

「まったく、何でこんな外れの田舎町を焼け、なんて命令が出たんでしょうね」

「知らん。そんなことは俺の管轄外だ」

「それにしても、ようやくあなたも昇進のチャンスがやってきたんですねぇ。この任務を成功させれば団員組頭でしょう?」

「…汚れ仕事は嫌いなんだがな」

 

隣にいたやつが焚火の周りに戻っていったのをちらと見、俺はすぐ近くの町に目を細めた。家々の電気は灯っておらず、町を照らしているのは淡い光を放っている街灯だけ――いや、俺たちのいる場所からすぐ近くで、何やらバチバチ言っている。見ると、ガラス張りのプレハブ小屋のような建物の中で、白い火花が絶え間なく散っていた。そういえば、この町では全体の電気を共同管理していると聞いたことがある。何らかの衝撃で短絡でもしたのだろうか?いや、そんなことはいい。これはむしろ好都合かもしれない――

 

 

 

「フッ、これが俺たちの"本来の"姿なのかもな…」

 

不敵な笑みを浮かべ、俺は指示を仰ごうと連中の元へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<side カイ>

 

突然、ゼラオラが起き上がった。急に飛び上がったのでうっかり俺の手を踏んづけてしまい、俺も一緒に起こされる羽目になってしまった。時計を見ると、時刻はまだ午前2時。周りの家の電気は全くついておらず、町を照らしているのは月明かりと街灯ぐらいだ。その中に、ひときわ輝く建物が一つ。俺の部屋からもはっきり見えたそれは、あのブレーカー共同管理所だった。

 

「やべぇ、ちゃんと見てなかったからショートしてるかも!?」

 

が、今一番気がかりなのはゼラオラの方だ。家にあったきずぐすりをいくつか使ったものの、まだ傷は完全には癒えていない。言ってしまえばまだ傷だらけの患者だ、そんなものを野放しにしようなどだれが考えるものか――無論俺もその一人で、窓から飛び出そうとするゼラオラを俺はベッドに押し戻そうとした。が、所詮はろくに外に出ることもない15歳の少年、相手は幻のポケモン。どちらに軍配が上がるかなど、初めから明確だった。ゼラオラは逆に俺をベッドに押し返し、こちらを向いて低く唸ったかと思うとすぐに飛び出してしまった。

しばらく呆然としていたが、俺もあわてて玄関から飛び出し、ゼラオラの後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の中、俺は遠くに見えるゼラオラを追いかけるのに精一杯だった。ほとんど何も見えない中、町を照らしているのは弱い街灯と月明かり、そして火花を放つプレハブ小屋のみ。が、ゼラオラの後を追いかけるには十分すぎる光量だった。俺とゼラオラはかなり離れていたが、それらの光のお陰でゼラオラの輪郭ははっきり映し出されていた。それにしても、皆が寝ている時に誰にも気づかれず散策するというのもいいものだ――おっと、深夜徘徊とか言ってはいけない。が、何だろうこの感覚。この風景、この暗さ…なんだか前にもあった気がする。前世の記憶がまだ残っているんだろうか?

 

 

 

 

どんッ!!

 

 

 

 

おっと、余計なことを考えすぎていたようだ。周りを見渡すと、ゼラオラの姿はいつの間にかどこにもない。そして、あのブレーカー共同管理所はかなり近い場所でなおも火花を散らしていた。心なしか勢いが強くなっているような気がする。しかし何にぶつかったんだ、相手が人だったことも考えてとにかく謝らないと――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小僧、こんな夜に走り回ッてどうしたァ?」

 

 

 

 

 

 

 

突然、野太い声が聞こえてきた。見上げると、坊主頭の色黒コワモテ男が俺の前に立っていた。思わず、息をのむ。何より目を引いたのは――彼の胸のあたりにある五色の「R」の文字だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、俺はこの男が何者なのかすぐに察した。

 

 

 

 

 

レインボーロケット団――通称RR団。アローラ地方に突如として現れエーテルパラダイスを征服するもすぐに消滅したポケモンマフィアだ。目を引くイニシャルは、画面越しに何度見たことか。それが今、俺の目の前にいる。アローラではなく、カントー地方で。そして気づいた――奴の後ろには、他にも数名の団員が、釣り上がった目でこちらを見ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰だ、あんたら…こんなド田舎まで、はるばる何をしに来たんだ?」

「お前のような若造の知ることではない。さぁ、帰った帰った」

 

その威圧感に押され、俺が踵を返しかけたその時――

 

 

 

 

「オラァァーッ!!」

 

 

突然、近くの茂みからゼラオラが飛び出してきた。俺もその男も他の団員も、皆が驚いて目を丸くする。ゼラオラはその拳を固く握りしめると、俺の前に立っていた男に向かって拳を突き出した。

が、すぐに避けられてしまう。図体のわりにこの男、随分と反射神経はいいらしい。

まだボーっとしている他の団員に向かって、その男が叫んだ。

 

 

 

 

 

 

「えぇい、こうなっては仕方ない!お前ら、少し早いがやっちまえ!!」

 

 

 

 

 

一体何をするんだろうか、と俺が首を傾げた刹那、突然あのブレーカー共同管理所が激しく火花を散らし始めた。俺は何か嫌な予感がして家の方へと戻っていった。小さなプレハブ小屋から小さな炎が出ているのにも気づかずに。




だいぶ長くなりましたがとりあえず終了!(もうテスト明け一週間近くたってるのに何してんだ)
キャラ紹介とか近々書いて行けたらなぁ、と思ってます。


さて次回は...


「畜生、動け、動けよッ!!」


RR団の企みによって、その存在を消し去らんとするマサラタウン。燃え盛る炎、逃げ惑う人々の中、カイが目撃した人物とは――!?


次回[その男、残虐につき]


お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。