ポケットモンスター Re:Union   作:可惜夜ヒビキ

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文化祭も終わったので今週からは投稿頻度上げていきます!

...投稿頻度あげるって何回言ってたっけ、、、あ、本文どうぞ。


第二話 その男、残虐につき

-カントー地方、マサラタウン-

〈side カイ〉

 

ゼラオラのことなど忘れ、俺は家へと急いだ。後ろから誰かの足音がするが、振り返って確かめる暇などない。今は一刻も早く、ここから離れないと──

 

「──!!」

 

目の前の光景に、思わず俺は足を止めた。ここに来て初めて、マサラタウンが──俺にとって最初で最後の、地に足の着く憩いの場が──その存在を、吹き上がる炎によって消し去らんとしていることに気づいた。あのブレーカーだけではない――町へと放たれた炎は、暴走したポケモンたちによるものでもあったのだ。どうして暴走しているのかは分からないが。

 

「クソっ...とにかく急いで、あいつらを見つけないと!!」

 

俺の頭の中は、ガーベラとトレニアのことしか考えていなかった。この世界でできた初めての友人を、こんな呆気ないことで失いたくはない。俺の両親は俺がこの世界にやってくる前からなくなっており、叔母に引き取られるまでは孤児だったのだ。後の叔母の話によると、二人の死因は"殉職"だったそうだ。ともかく両親がいない俺にとって、俺の休める場所はこの街であり、あの家であり、叔母とガーベラ、トレニアなのだ。それを見捨てて逃げるなど、俺にはできなかった。

俺は直ぐに家にたどり着いた。周りの家は既に火の手が上がっており、この街の住民は火事だ、どこから火が上がったなどと騒いでいた。幸い俺の家には火の手が上がっておらず、容易に中に入ることが出来た。

 

「おーい!ガーベラ、トレニア!ここにいるのか!?」

 

しかし返事はなかった。代わりに、2回から大きな物音がした。

 

「そこに誰かいるのか?」

 

なおも返事はない。俺は警戒しつつも階段を昇って二階へ上がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈side トレニア〉

 

「──ッ!!」

 

私はもう動けなかった。目の前にいるサンダースは、もうカイの叔母さんのポケモンではなかった。数分前、停電の続く家の中を明るく照らしてくれた面影はどこにもなかった――サンダースは私の目の前で実のトレーナーをショック死させ、ガーベラを気絶させ、そして今は私を狙っていた。ついさっき瓦礫に躓いて足をくじいてしまったらしく足首が痛むため、ここから逃げることもできない。このまま膠着状態が続いても、いずれこの家に火の手が回って仲良く一緒に丸焼きにされるのが関の山だろう。

流石に丸焼きは嫌だったのだろう、ここで決着をつけるまいとサンダースの全身がバチバチと音を立てて光り出した。数分前だったら部屋が明るくなった、ありがとうとでも言いたいところだが、もちろんそんなはずはない――これは技を撃つサインだ。暴走したポケモン相手に私が敵うはずがない――そう悟った私は、震える声で叫んだ。

 

 

 

 

 

「たす...けて...」

 

 

 

 

 

が、それは叫びはおろか、きっと耳元でささやかないと聞こえないほどかすかな声だった。辺りを包む炎のせいで喉が渇き、かすれた声しか出せなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悔しかった。 泣きたかった。 ガーベラも叔母さんも、君だけは逃げてくれと言ってくれた。だけど、私は動かなかった。他人を見捨てて逃げることなどできない――誰に似たんだか、私は昔からそうだった。そのせいで叔母さんは死に、ガーベラは気絶し、私は動けなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

声を上げて泣きたかった。が、燃え盛る炎がそれを許さない。涙腺は乾ききり、喉は枯れて声がほとんど出ない。おまけにサンダースの体のバチバチは最高潮に達したようで、サンダースが叫び声を上げた。

もう、私はここで終わりなのかもしれない――最後に浮かんだ顔を、精一杯かすれた声で呼んでみる。

 

 

 

「カ、イ...」

 

 

意味なんてない、きっと彼もどこかで同じような運命にあっている――彼は来ない、そう分かっていても信じたかった。最後かもしれない、今にも切れてしまいそうに細い望みを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けて...カ....ィ...」

 

 

 

もう、十分だった。返事をしたのはサンダースだった。

部屋の中を飛び回る稲妻を呆然として見つめることしか、私にはできなかった。その一筋がまっすぐ私を貫かんと迫ってきた。私は目を閉じ、短い人生に幕を下ろそうと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急に聞こえてくる音が変わった――これが"死ぬ"ということなの?が、雷が私の体を貫く衝撃はない。まして全身が痺れる感覚さえも、ほとんどなかった。

私はもう一度目を開けた。まだ部屋の中にいた。どうやら、サンダースの放った稲妻はある一転に集中しているらしい。ゆっくり首を傾けて、私はその方向を見上げた。瞬間、

 

 

 

 

私はこのまま気絶するのではという、強烈なショックを覚えた。

 

 

 

 

 

 

あの稲妻を、人影がまともに受けている。サンダースの力に抗おうと右手を一心に伸ばしている――それは、よく見慣れた顔だった。私の隣でいつも笑っていたその少年は、歯を食いしばって稲妻の衝撃に耐えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<side カイ>

 

 

 

 

 

階段を上りかけて、すぐに俺は二階の状況を悟った。サンダースの叫び声、そして稲妻がほとばしる音――誰か生きているという保証はないが、少なくともあのサンダースをあのまま暴れまわらせてはおけない。俺は急いで階段を駆け上がり、右手を突き出して飛び出した。

 

 

 

 

 

 

「間に合えぇぇぇぇェェェェ―――ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、天地が逆転するほどの衝撃が俺の脳天を貫いた。

 

 

 

 

冷静に考えてみれば当たり前である。あれほどの電撃を喰らい、無事でいられる人間などスーパーマ●ラ人ぐらいだろう。少なくとも俺はただの人間だ。

 

 

 

 

 

(これは...非常にまずいッ!!)

 

 

 

 

と、脳天に何やら声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(こんにちは...私は今、あなたの心に直接語り掛けています...)

(よくこんな時にそんなコントがましいことを言えるな...なんだ、マリア?)

 

声の主はマリアだった。流石にこの状況(執筆開始三話目で主人公死亡という最悪のエンド)を彼女もまずいと感じ取ったのだろう。

 

(今からあなたの真上に大量の土砂を振りかけます...)

(俺を窒息死させる気か!?)

(細かいことはあとで。それじゃあ、1、2...)

(ちょ、待っ)

 

(...3)

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、マリアの声は消え、俺の意識は再び部屋の中に戻った。

 

 

 

 

(――ッ!!お、重...ッ!?)

 

 

 

 

マリアの言ったとおりだった――俺の上には、これでもかという量の土砂が俺の動きを封じていた。お陰でサンダースの猛攻は止まったケド。

 

 

 

 

 

土砂が突然降ってきた衝撃で、サンダースはどこかへ逃げていったようだ。俺は何とか土砂の中から顔を出し、目に涙を浮かべながらどんな反応をすればいいか分からない、とでも言いたげにこっちを見ているトレニアに大丈夫、と笑いかけ((ギシッ

 

 

 

 

 

 

炎で脆くなった木造の床に突然大量の土砂が流れるとどうなるか――まぁご想像の通り、陥没するんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

地面が突然ぱっくりと大口を開き、俺たちは仲良く土砂に埋まって動けなくなった。おまけにその衝撃で家はガラガラと音を立てて崩れ落ち、辺り一帯に大きな音を拡散させて瓦礫の山と化した。

 

 

 

 

「何だ!?」

「地震...ではなさそうだ、様子を見に行くか?」

 

 

 

周りにいる例の黒服集団らしき声が辺りに集まってきた。俺は何とか目だけを出して、外の様子をうかがうことができた。

周りにはやはり、"R"のイニシャルを胸に付けた黒服が大勢集まってきていた。

 

(これは...見つかったらヤバそうだ)

 

と、やけに辺りが騒がしくなってきた。女性らしき声も聞こえる。

 

 

 

「ボス、危険です!」

「少し様子を見てくるだけだ」

「しかし...!ここの視察をしに来ただけだとおっしゃっていたのに!」

「心配なら護衛を連れて来い。いつ爆発するかもわからんがな」

 

その女性は、どうやら上司らしき人物と会話しているようだった。しかしどうにも、俺はあの野太い声に聞き覚えが...

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その声の主が――俺がこの先、幾年と憎むべきその男が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(──!?あれは──)

 

 

 

 

 

 

 

 

それはまるで、悪の中の悪――「悪のカリスマ」とでも形容するのがふさわしいだろう。その護衛の多さから、絶対的な信頼を周りから寄せられていることが分かる。釣り上がった目、そして口元に浮かぶ不敵な笑みを、俺は一生忘れないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

(──サカキ!!)

 

 

 

 

 

 

 

ロケット団のボスは、俺のすぐ近くまでやってきた。どうやら、ある場所を調べているらしい――と、俺はここで初めて、俺とトレニアの他にガーベラも同じ空間にいたことを知った。普段おとなしいその顔からは、恐怖の色が伺えた、さらに先ほどの陥没のせいだろう、頭から血を流しているのも見えた。死んではいないようだが、どうやら気絶しているらしい。先程のサンダースによる電気ショックの影響だろう。無論俺も今、先の戦闘のせいで少し痺れているのだ。

と、サカキが口を開いた。

 

「この少年は...?」

「ガーベラという少年です。ポケモンについては博識なようです」

「ほう...我らレインボーロケット団の新たな戦力となるやもしれぬ。この少年は連れて行こう」

 

 

 

 

 

サカキの言葉が、俺の頭の中で何度も響いた――ガーベラを連れていく――ガーベラを連れて――

 

 

 

 

 

 

許せない、あの男は今ここで殺るべきだ――

 

 

 

 

 

俺はその場で立ち上がろうとした。が、土砂の重みと手足のしびれのせいで動けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「畜生...動け、動けよッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当然といえば当然である。が、その時の俺は冷静さなんてなかった。

この土砂がなかったら、今頃俺はあの喉笛にとびかかることができたはずなのに――この手足のしびれがなかったら、今頃奴らはパニック状態になっていたはずなのに――

 

 

 

 

 

 

 

俺は自分の力のなさを呪った。少しづつ消えゆく意識の中、俺は炎の中で揺らめくサカキの背中をいつまでもにらみつけていた。




はい、文字通りマッサラタウンになりました(は?)
それはともかく、サカキが登場!これからちょくちょく顔を出しに来る...かも。




さてさて次回予告!


「R、R...レインボーロケット...」


カイとトレニアが目を覚ますと、そこにはゼラオラがいた。彼から渡されたものを見、二人はある恐ろしい結論にたどり着くことになる――

次回[表と、裏と]


お楽しみに!
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