ポケットモンスター Re:Union   作:可惜夜ヒビキ

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今回からメモ帳による事前執筆を始めました!これで少しは効率が上がる、、、はず


第七話 はるか昔、人とポケモンとが一つだった彼の日

「オラァァァッ!!」

「ジュペェェッ!!」

 

お互いの技と技がぶつかり、巨大な爆発を起こす。ジュペッタもゼラオラも至近距離で爆発を受けたため、互いに吹き飛ばされた。

 

「ゼラオラ!!大丈夫か?」

 

俺が駆け寄ると、ゼラオラはすぐに立ち上がって応えた。

 

「よし――ゼラオラ、プラズマフィスト!」

「こっちも行くよ――ジュペッタ、シャドークロー!」

 

再び、爆発。両者ともに吹き飛ばされるが、お互い倒れることはない。

 

「もう、いつになったら倒れるのよッ!?」

「それはこっちの台詞だ!いい加減くたばれッ!!ゼラオラ、飛び蹴り!!」

 

そう指示してすぐ、しまったと思った。ジュペッタはゴーストタイプのため、かくとうタイプの技は効かない――戦闘に熱くなりすぎて、つい忘れていたことだった。

が、ゼラオラの技は止まらない。ぐんぐんジュペッタに突っ込んでいく。

 

アセロラはにやりと笑うと、すぐさま追い打ちの指示を出した。

 

「どうやら判断を間違えたようだけど、慈悲はないからね――ジュペッタ、シャドーボールの準備!」

 

俺はもう、どうすることもできなかった。ただ、ゼラオラが地面に衝突するのを見ていることしかできなかった。

よろめきながら立ち上がったゼラオラに、ジュペッタの《シャドーボール》が炸裂した。

 

「オラァァァ――ッ!?」

「ゼラオラ――ッ!!」

 

慌てて駆け寄ると、ゼラオラはもう傷だらけで歩くこともままならない状態だった。俺はゼラオラを抱きかかえると、すぐに建物の中へ駆け込もうとした。が、アセロラがそれを黙ってみているはずがなかった。

 

「おっとぉ、建物に入って状況を改善してから挑み直そうという心の声が駄々洩れですよー?まぁそんなことしたって、このアセロラに勝てるわけがないんですけど」

 

アセロラとジュペッタが俺を邪魔する間に、アセロラの後ろでトレニアがテールナーに指示を出していた。完全回復とはいかなかったものの、どうやら戦闘に復活できるまでには回復したようだ。

 

「――!!」

 

俺には何の指示を出しているか聞こえなかったが、どうやら放った技は《かえんほうしゃ》のようだ。テールナーの放った炎は一直線にアセロラへと伸びていき――

 

「ジュペッタ、シャドーボール!!」

 

――が、彼女も気づいていた。すぐさまシャドーボールで威力を相殺すると、再びシャドーボールを放ち、テールナーを戦闘不能へと追いやった。

 

「そんな…」

 

トレニアはその場に座り込んでしまった。近くではリーリエがその様子を黙って見ていたが、テールナーが倒れたのを見ると、すぐさま立ち上がって二匹のポケモンに指示を出した。

 

「だったら私が――シロン、ふぶき!ピクシー、マジカルシャイン!」

 

指示を受けた二匹がエネルギーを溜め始めた。しかしそれより早く、ジュペッタが動いた。

 

「――どくどく」

 

ジュペッタは目で追えないほどの速さで、ピクシーとキュウコンを《もうどく》状態にした。

二匹はたまらずその場で倒れ、痙攣してしまった。

 

「そんな――あの速さは何なのですか!?」

 

驚愕するリーリエを前に、俺はすでに一つの答えにたどり着いていた。

 

「――いたずらごころ」

 

俺とアセロラは同時にそう言った。そう――ジュペッタの特性は《いたずらごころ》、つまり相手よりも早く変化技である《どくどく》を撃てたのだ。

 

「さてさて、アセロラの背後を取ろうとした人はお仕置きが必要かな」

 

アセロラはトレニアに歩み寄り、指示を出した。

 

「ジュペッタ、シャドークロー」

「――!!」

 

ジュペッタの振り上げた手が妖しく輝きだす。思わずトレニアは目を覆った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、トレニアに刃が届くことはなかった。それより早く、俺の体が動いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ぐぁッ!!」

 

みぞおちのあたりに激痛が走った。俺が痛みに腹を押さえるなか、トレニアとアセロラ、そしてリーリエは驚愕しているようだった。その間にも、腹から血は止まらなかった。恐る恐る手を離すと、俺の腹は綺麗に引き裂かれ、腸やあばら骨が剝き出しになっているのが見えた。やがて、トレニアがぽつりと言った。

 

「そんな、カイ――」

 

そうだ、これで、いいんだ。トレニア――君だけは、生きて――

 

 

 

 

 

 

 

俺の意識はそこで止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[side トレニア]

 

「そんな、カイ――」

 

私の目の前では、凄惨な光景が広がっていた。唖然とするアセロラの前で、カイは血を流して倒れていた。意識はすでになく、呼吸もか細いものになっている。

 

「へぇ、まさか君を庇って自分が死ぬなんてね。よっぽど好きだったんだろう、君のことが」

 

死――今まで身近に感じたことのない言葉だ。だが、彼は実際に、私の目の前で死を迎えようとしているのは確かだった。無意識のうちに、私の目から涙が出てきた。

 

「あらら、そんなに悲しいのかな?でも安心しなよ、すぐに会わせてあげるから」

 

そう言って、再びシャドークローを放とうとしたジュペッタを、一筋の電撃が襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アセロラの後ろで、ゼラオラが立ち上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや、これは驚いたなぁ。まさか至近距離で放ったシャドーボールを耐えるなんて」

 

アセロラは口ではそう言いつつも、この状況を楽しんでいるようだった。まだ口元には笑みが浮かんでいる。

 

「それともあれかな?主人を殺された怒りで力がみなぎったとかかな?」

 

その言葉が、ゼラオラの逆鱗に触れたようだった。ゼラオラは体を震わせ、歯をむき出しにして怒りの咆哮を上げた。

 

「オラアァァァァ――ッ!!」

 

その瞬間、カイの体が少し動いた。どうやらゼラオラの咆哮に対して反射的に体を震わせたようだった。相変わらず意識はないようだが、確かに彼はまだ生きようとしている――私はカイに近付いて、彼の名前を呼び続けた。その時彼の懐が光っていることに、私は気づかなかった。

 

「カイ――カイ!お願い、死んじゃだめだよ!私の声が聞こえてるなら、お願い――応えてッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[side カイ]

 

気が付くと、俺は不思議な空間で、大の字になって寝転がっていた。無数の光が、星のように瞬いている。俺の体は薄くなっていた。

俺は記憶が曖昧になっていた。確か、リーリエと会って、それからアセロラと会って――

 

――ここは、どこだ…?

 

声を発すると、俺の声は遠いところから響いているかのように、この不思議な空間の中で反射を繰り返していた。

 

「あなたの意識の中よ」

 

声のする方を見ると、そこにはマリアがいた。俺と違って、彼女の声ははっきりしている。

 

――あぁ、あんたか…何だよ、俺の意識の中って?

 

「あなたは今、瀕死の状態にあるわ。この場所であなたの体がはっきりしていないのは、そのためよ」

 

マリアからそう言われて思い出した。俺はアセロラからトレニアを助けて、彼女の代わりにジュペッタのシャドークローを受けたのだ。

 

――そうか…俺は、死んじまったのか…

 

「いいえ、死んではいないわ」

 

マリアの一言に、俺は驚いた――あれほどの一撃を受けてなお、まだ生きていられるとは。

 

「あなたは死んではいない――いいえ、死んではいけない存在なのよ。私があなたをこの世界に呼んだのは、この世界を救ってもらうためだもの。それを成し遂げるまでは、あなたが死ぬことを私が許さないわ――さぁ、立ち上がりなさい、小さき勇者さん。この世界を――あの少女を、救うために」

 

そう話すマリアの横に、トレニアの姿も浮かび上がった。

 

「カイ!!死んじゃだめだよ、お願い――応えてッ!!」

 

トレニアも俺が戻ってくることを信じて、必死に呼びかけてくれている。この瞬間、俺の心は決まった。

 

「ありがとう、マリア、トレニア。俺、もう一度戦ってみるよ」

 

俺の声は、もう反射し続けることはなかった。姿もはっきりしている。

 

「そう言ってくれるとあの子も喜ぶわよ。それじゃ――いってらっしゃい」

「あぁ、行ってくるよマリア」

 

俺のいた場所には、いつの間にか扉が出現していた。それを押し開け、俺は向こう側に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは、真っ白な空間だった。俺の目の前にはゼラオラがいた。

 

「ゼラ…オラ?」

「オラッ」

 

不意に彼が何かを差し出してきた――俺達が初めて会った時ゼラオラが持っていた、あの小さな機械だった。今までとは違い、光り輝いている。

 

「これは――」

 

あの時と同じだ――俺はこの機械の使い方が、分かるような気がした。

 

「ありがとう、ゼラオラ。もう一度、俺と戦ってくれ」

 

俺の突き出した拳に、ゼラオラは同じ動作で拳を合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来い、ゼラオラ!"Re:Union"!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、俺の視界は晴れ、再び森の中に俺は戻ってきた。

驚くほど体が軽くなっている。目の前では、驚愕の色を隠しきれないアセロラが立ちすくんでいた。そういえばゼラオラの姿が見えない気がするが、一体どこに行ったんだろうか?

 

「か、カイ…なの?」

 

そう言われて後ろを振り返ると、同じくひどく驚いているトレニアがいた。

 

「あぁ、俺だよトレニア。ありがとう――お前の言葉、ちゃんと届いたぜ」

 

そんな中、アセロラが驚きつつも再び警戒態勢を敷きながら言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ、ふんっ!!ただポケモンと合体しただけじゃない、だから何だっていうのよ?」

「ぽ…」

 

 

 

 

 

 

 

俺は、彼女の言ったことが信じられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「ポケモンと、合体…!?」

「へぇ、君、自分に何が起こったのか分かってないんだ?これは好都合だね――ジュペッタ!!」

 

再び、ジュペッタのシャドークローが飛んできた。ゼラオラではなく、俺に向かって。当たり前だ、ゼラオラは今、俺と合体している――らしい――のだから。

 

「うぉっ!?」

 

俺は成す術もなく、反射的に手を翳した。無論そんなことで防げるわけもない――と思われたが、なんとシャドークローが当たる寸前、(ゼラオラ)の腕に電撃が走り、エネルギーを相殺したではないか。そしてそのまま爆発により吹き飛ばされたのは言うまでもないが。

 

「うぅ、いてて…」

 

俺は背中をさすりながらゆっくり立ち上がった。心配そうに駆け寄ってこようとするトレニアに俺は大丈夫だ、と手を上げて知らせると、再び建物の外へと向かった。

 

「来たね!ジュペッタ、シャドーボール!」

「くっ…ゼラオラ!!」

 

俺が叫ぶと、体の内側から力がみなぎってくるような感覚が現れた。そして、俺の両手に電気が迸り、火花が散り始める。

 

「これは――」

 

プラズマフィストの構え。そう直感した俺は、飛んできたシャドーボールを両手で受け止めた。案の定それによる衝撃は一切なく、俺はシャドーボールを投げ返した。

 

「うわぁぁぁ!?避けてジュペッタ!!」

「ジュペッ!!」

 

ジュペッタもあわてた様子だったが、何とか飛んできた(投げ返された)シャドーボールをかわした。

 

「あの感覚…もう一度、試してみるか」

 

俺は先程プラズマフィストを放った時の感覚を取り戻そうとした。体の内側で電気が作られ、それが両手にたまっていくイメージ。すると、微弱ながら俺の両手に電気がたまり始めた。そして俺は、どこで電気が作られ、どのように体を伝っているかを感覚的に理解した。俺が再びイメージをすると、先程以上の電撃が走り、火花が飛び始めた。

 

「おぉっ、こうか!!」

 

これで準備完了だ――俺は両手を、地面に叩きつけた。

俺の両手から伸びた電気は地面を這い、その後ジュペッタめがけて伸びていった。今までゼラオラだけで放っていたプラズマフィストとは、早さも威力も段違いだ。

 

「きゃぁぁぁっ!!」

 

アセロラの悲鳴が聞こえる中、俺は人生初の技を撃った余韻に浸っていた。上出来だ――どこからか、そんな声が聞こえたような気がした。

 

「これならいける――あの技もッ!!」

 

俺は確信した――ゼラオラと感覚をリンクさせた今なら、四つ目の技も出せるかもしれない。俺はゼラオラと融合した瞬間、彼の覚えている技も把握した。そしてすぐ、四つ目の技はゼラオラだけでは放つことはできない、と確信した。

 

「行くぞ、ゼラオラ!はぁぁぁ――」

 

気合を入れながら、俺は目を閉じてさらに集中力を高めた。体内で作られた電気が、今度は右手のみに集中するイメージ。が――

 

「カイ、危ないッ!!」

「――!!」

 

ジュペッタの放ったシャドーボールを、俺はよけきることができなかった。そう、この時は極限まで集中力を高めているせいで、周りからの攻撃にも気づかないのだ。

 

「畜生、どうしたら――」

「だったら私が守る!!」

 

驚く俺の目の前に、トレニアが躍り出た。

 

「私がカイのことを守って、カイが技を撃てる時間を作るから!!」

「それなら私も!!」

 

次いで、リーリエも歩み出る。

 

「私も、彼のことを守りましょう――信じていますよ、カイ君」

 

2人から期待のまなざしを向けられ、俺は頷いた。

 

「あぁ、ありがとう2人とも。すまないけど、少しだけ頼んだ!!」

 

そして、俺は再び集中した。辺りで爆音が飛び交っているが、恐らくトレニアとリーリエがジュペッタと交戦しているのだろう。2人のことが少し気がかりだ――が、今はそのことに気を向けてはいけない。集中力を極限まで高めてこそ、あの技は顕現する。今は彼女らを信じ、彼女らの信頼を無駄にすることのないようにしなければ。

 

「よし…」

 

俺はそう呟くと、電気の充満した右手を後ろに振りかざした。

 

「ありがとう2人とも!あとは俺に任せてくれ!!」

「分かったよカイ!!頑張って!!」

 

トレニアの声援に、応えている余裕はなかった。何しろ真正面から、ジュペッタが左手に最大限のエネルギーを溜めてこちらに向かってきているのだ。そのシャドークローは、先程までのものの二倍近くの大きさをしていた。

 

「けど、俺だって――」

 

タイミングを合わせ、俺は走り出した。ジュペッタめがけて、思い切り右手を引き下げる。

 

「俺だって、こんなところで負けてられないんだ――ッ!!」

 

その言葉と共に、俺は一筋の槍となった右腕を、ジュペッタに突き刺した。同時に、ジュペッタのシャドークローも俺をめがけて振り下ろされた。二つの技は膠着し、俺は空中で留まった状態になった。

 

「みてろよアセロラ…いや、ガーベラ!!」

 

俺はありったけの力を右手に込めた。ゼラオラも、同じことをしているような気がした。これが、俺たち全員の想いを込めた、必殺の一撃。暗く沈む今日を光さす明日へと導く、一筋の希望――《サンダーランス》。

 

「これが俺の、いや、俺達のッ!!この世界を照らす――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

必殺の、撃槍だぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の右腕が、俺とゼラオラの叫びが、そして――俺とゼラオラだけでなく、トレニアとリーリエの想いも束ねた槍が、遂にジュペッタを貫いた。ジュペッタは少し離れたところに叩きつけられ、チャックの開いた口から無数の魂のようなものが空へと昇っていったかと思うと、次の瞬間には動かなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの瞬間、アセロラの首もとで何かが紫色の光を散らして砕けたことは、俺もトレニアもリーリエも――そしてアセロラすらも、意識していなかった。




そう言えばゼラオラのステータスを乗せてませんでしたね、、、

<ゼラオラ>
特性:ちくでん
技:プラズマフィスト、サンダーランス(オリ技)、とっしん、とびげり

(サンダーランス:右手に体中の電気をため、相手に叩き込む技。
直前に電気タイプの攻撃を受けると威力が上がる。
相手をまひ状態にすることもあるが、電気が右手にたまっているときは体の他の場所は無防備になるため、使いどころが難しい技でもある。)

ユニオンスキル[雷の加護]:自身が電気技を使った時、次の相手の攻撃による状態異常を無効化することがある。
※ユニオンスキル:ポケモンと一つになっているときにのみ発動するパッシブスキル。

出逢い:マサラタウンの発電所でカイと出逢う。


こんな感じでしょうか?
次回以降も新キャラとかが出たらその都度ステータスとかは乗っけていきます!




さてさて次回予告!

「それなら、私にいい考えがあるよ!」

死の淵に立たされたカイが発現させた謎の能力、"Re:Union"。新たな戦力となったカイは、トレニア、リーリエと共にエーテルパラダイスへと向かうが…


次回[未来を貫く、希望の光槍となりて]

お楽しみに!
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