ヒーローとして活躍したい滅却師   作:娯楽のチェスター

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どーも、チェスターです
今回も短いですが、お楽しみください
たくさんの評価ありがとうございます


第三話 戦いを終えて

「センサーでは1人しか反応がなかった。つまり緑谷は爆豪と戦闘中と言うことか。さて・・・それで?いつまで隠れているつもりだ?」

 ガチャと彼のマントの隙間から巨大なガトリング砲が姿を現す

それを見た麗日はすぐにその場から後ろに飛ぶ。そこは危険だと脳が告げていた。瞬間、銃声と共に豪風が吹き、先ほどまで自分が立っていた地面や壁が抉れていた

 

「避けたか・・当たっていればすぐに終わっていたものを」

 

 送崎が1歩、また1歩と麗日に歩み寄る。

物騒な物言いは敵らしい演技のためだろうか

 核までの距離は約10メートルほど。その間に立つ送崎との距離は7メートルほどだ。一瞬でも隙をつければ核に手が届く。しかし、彼に一切の隙が無い。

 

「そのまま棒立ちしているつもりか?貴様のヒーローならばこの窮地をどうにか覆してみせろ」

送崎のマントから無数の触手が展開され無数の槍のような触手が彼女を襲う

 

「きゃあああ!!」

 

麗日は避けようとするも地面を抉る程の威力がある触手の攻撃に吹き飛ばされ、壁にたたきつけられる。全身を鈍い痛み彼女を襲う。コンクリートの壁にたたきつけられた。その痛みからすぐに立ち上がることはできなかった。

 

「この程度か・・・なら早々に終わらせてやる」

 

送崎は核の前に立ちはだかるように立つと第二波の構えをとった

 

 

「まだ・・!まだ諦めへん!」

 

麗日は歯を食いしばり痛みに耐えながらも立ち上がろうとした瞬間、再びガトリング砲による風圧が吹き、彼女の身体は床を転がり、再び壁にたたきつけられる

 

「無駄だ、貴様の力では俺を倒すことは出来ない。諦めろ」

 

 その後、何度も立ち上がろうとしたが、その度に送崎の猛攻が襲ってきて、立つことは叶わなかった。

 このままでは近づくことは愚か立つことすらできない。そんなことを思っている時、轟音と共にビル全体が大きく揺れた。

 

『麗日さん!無事!?』

 

 小型無線から緑谷の声が聞こえてくる。

 

「ごめん、送崎くんに見つかっちゃった・・そう言うデクくんは大丈夫なの?それに今の音って・・・」

『かっちゃんだ…僕は大丈夫…今どこ?』

「5階の一番広い部屋、送崎くんに隙がなくて逃げ場も無い。正直、打つ手がないかも・・・」

『わかった…数秒だけ耐えて!麗日さんは中央の柱のほうに!床を吹き飛ばす!その隙を突いて!』

「えっ!?ちょっと、デクくん!?」

 

 麗日は緑谷に言われたように部屋を見回す、たしかに、部屋の中央にコンクリートの柱がある。柱までの距離は3メートルほど。しかし、先程から立ち上がろうとした瞬間、送崎による攻撃によってとてもじゃないが立ち上がることができない。

 

「デクくんは・・・爆豪くんに勝ちたいんや・・勝たせてあげな!」

 

 

いつまでも雑魚で出来損ないのデクじゃないぞ…かっちゃん…僕は…頑張れって感じのデクだ!!

 

彼の声が頭の中で響く。今は絶体絶命のピンチなのに思わず笑みがこぼれる

それを見た送崎は攻撃の手を止めた

 

「頭でも打ったか?この状況で笑っていられるとは・・・」

 

 麗日が近くにあった瓦礫の破片を個性を使って浮かばせる

何か企んでいると踏んだ送崎はガトリング砲を構える

 

「無駄だ」

 

 浮かび上がった瓦礫の破片を全て撃ち壊す

砂煙で麗日の姿が見えなくなった瞬間、大気の壁を突き破り部屋の中央の柱の陰に転がり込む。柱を盾に次の攻撃を回避する

 

「今だよ!デクくん!!!」

 

 麗日は無線で緑谷に合図し、彼女は自身の個性で重力を消してた

 

『いくよ!麗日さん!』

 

 無線から緑谷の声が聞こえると、麗日は柱にしがみつく。と共に、床が下からえぐられるように崩壊し、天井までも破壊した。床だったそれは一瞬で瓦礫となり宙に浮く。

 

(なるほど・・!だが・・)

「即興必殺!彗星ホームラン!」

 床と天井が破壊されたことで自由となったコンクリートの柱を麗日は個性で重さを消し、大きく薙ぎ払う。先ほどの衝撃で浮いた瓦礫を、核の前に立つ送崎に向けて打ち飛ばした。

 

「一掃する」

 

送崎は飛んでくる瓦礫を、身体からミサイルを飛ばし全て撃ち落とす。

 

「これならどうや!!」

 

 麗日は薙ぎ払うのに使ったコンクリートの柱を送崎に思い切り投げつける。そして、自身の重さを個性で消し、核に向かって跳ぶ。

彼には巨大な石柱、そして核に向けて飛び上がる麗日。

 

「もらったー!!」

「いいチームプレーだ、だが相手が悪かったな」

 彼から放たれた無数のミサイルと触手が巨大な石柱を破壊し麗日を捉えた

「…え?」

爆風により地面に叩きつけられ身動きが出来なくなった

「・・・・・。」

 無言のまま彼女を見下ろす送崎。

 

麗日は悔しそうに唇を噛みしめる。個性の超過使用により、彼女の身体はもう動かなかった。

 

「くそっ・・・・で、も・・まだ・・だ・・・・!!」

 「いや、既に王手詰み(チェックメイト)だ」

 

 気が付くと彼女の足には確保テープが巻かれていた。

 

「そんな・・・!?」

 

悔しかった。勝てる自信があった、勝ちたかった。

下の階で私よりも頑張っている彼の為にも

様々な想いが彼女の胸を締め付ける

だがここで意外な行動を取る送崎。彼は彼女の確保テープをちぎったのだ

「な、なにしてるの・・・・?」

「・・貴様はこういう行為は嫌がるかもしれないが、俺はお前達2人の行動に感服した。だから・・」

そう言うと彼女を抱き上げ核の方に近く

「これは貴様らの掴んだ勝利だ」

そう言うと彼女の手を核に触れさせた

 

 

『ヒーローチームWIN!!!!』

 

 

「ナイスファイトだったが、お前はもう少し気配を消す努力をした方がいい」

「・・・気持ち・・わるい・・・・」

「・・なんだと?」

 彼女の顔を見ると真っ青であった。

すぐさま降ろして背中をさする

 

『訓練の講評を行うぞ!動けない者は搬送ロボが向かうからその場で待機だ!動ける者は搬送ロボの到着まで傍にいてやってくれ!後ほど地下のモニタールームへ!』

 

「麗日、動けるか・・・?」

「うん、すこし落ち着いた。ありがと・・・」

 

お互いに訓練の内容を振り返りながら、2人は地下のモニタールームへ降りて行った。

 

「さて、講評の時間だ」

 

 緑谷と爆豪はとても熱い激闘をしたと聞かされた。最後には緑谷の個性で自身をも犠牲にし、あと一歩に迫るチャンスを作ったのだが、勝敗が決する前に気絶してしまい、保健室へと運ばれた。

勝利したチームの麗日は酷く疲れている。逆に敗北したDチームの送崎と爆豪は疲労も見えず五体満足だ

 

「ま、今回のベストは見てのとおり、送崎少年だ!その理由がわかる人は挙手して言ってみてくれ。情報を的確に共有するのもヒーローとして必要な力だぜ」

 

 オールマイトが生徒全員に問いかける。そこに八百万百が真っ先に挙手する

 

「八百万少女!」

 

オールマイトにあてられた八百万はスラスラと答えはじめた。

 

「ハイ、オールマイト先生。それは、送崎さんが一番状況設定に適応していたから。爆豪さんの行動は戦闘を見た限り私怨丸出しの独断、そして先ほど先生が言っていたように屋内での大規模攻撃は愚策中の愚策。緑谷さんも同様の理由ですね。麗日さんは中盤での索敵の甘さ、そして最後の攻撃が乱暴すぎた事。ハリボテを『核』として扱っていたらあんな危険な行為出来ませんわ。しかし、彼はそのような危険行為にも慌てず冷静に対処してみせた。あれだけの実力であれば、もっと早く麗日さんを確保できたようにも思いますが、ほぼ完ぺきな立ち回りだったと思います」

 

 しーん…と聞こえて来そうなほど皆が静まりかえった。やがて、オールマイトはぷるぷると震えながら

 

「ま・・・まぁ送崎少年もまだ視野を広く持つ必要があったりするわけだが・・・まあ・・・正解だよ」

 

と言い親指を立てる。オールマイトのその顔はどこか悔しそうだった。

だが1人、彼女の言葉に否を唱える者がいた

 

「少し違うぞ、八百万。彼らの行動は確かに合理性に欠けていた。まして爆豪は私怨で 丸出しでの単独行動・・その点は俺も同意しよう。だが・・・」

 

静まり返るクラスメイト誰一人として喋らない

完璧な回答に異議を唱える者がいたことに驚きを隠せない八百万。

 

「あの状況下に置かれても尚、諦めなかった精神力は評価するところだ。だからこそ俺はあの場で勝ちを譲ったのだ。早々に諦めて降参などしていればそのまま我等の勝利で終わっていたさ」

 

「ヒーローとは如何なる状況下に置かれても諦めない心というものが必要だ・・・と俺は思うが、如何だろうかオールマイト先生」

 

「えっ!?あー・・・うん!その通り!送崎少年の言う通りだ。何事も諦めず頑張っていれば結果が出る。そういう事を言いたかったんだよ俺は!HAHAHAっ!それじゃ!次のチームの訓練と行こう!」

 

 

 オールマイトは先程と同じように両手で、二つの箱からくじを引く。

(成長したな、送崎少年。出会った頃よりたくましいよ)

 

 

 全チームの訓練と講評が終わり、印象的だったのは、ヒーローチームとなった轟焦凍だ。建物ごと凍らせ、敵も拘束、そのまま勝利と一方的な展開に、皆圧倒された

 そんなこんなで授業は終わり、皆着替えて教室に戻って来ていた。

 

オールマイトと直接会うのは久しぶりだったので、授業終わりに少し話しがしたかったのだが、彼はあっという間に消えてしまった。おそらく個性で筋肉ダルマに変身するのにも制限時間があるのだろう。また次の機会を待つしかない

 

「おーい!」

 

そんな中、ある少年が声をかけてくる。

 

「なぁ!みんなでさっきの訓練の反省会しようぜ!」

 

「いや、俺は・・・・」

「いやー初っ端から熱い戦いだったぜ!俺、砂糖!」

「送崎くん敵役がすごいハマってたよー!私、芦戸三奈!よろしくねー!」

 

 そこには麗日と飯田、そして紫色の肌をした女子、芦戸三奈とたらこ唇の大柄な男子、砂糖力道がいた。

 麗日がすこし気まずそうな顔で声をかけてくる。

 

「ねえ、送崎くん。その、さっきの訓練の事なんけど」

「どうかしたか?」

「 あのさ・・何でウチらに勝ちを譲ってくれたの?」

「ああ・・・その事か。それはさっきも言ったろう。お前達の熱意と勇敢な行動に感服したと・・・納得出来ないと言う顔だな」

「そういうわけじゃないけど・・・うーん、」

「少し昔話をしてやろう。とある昔、一人の少年が居た・・その少年は親に捨てられ身寄りもなく独りで生きていた。だがある時、一人の男に拾われたのだ」

 

その場にいる皆が送崎の顔を見る

仮面のようなもので表情はわからないが、なぜかとても悲しそうに見えたからだ

 

「少年が拾われた先に待っていたのは地獄であった。来る日も来る日も自分の個性の実験ばかり、だが少年は抗わなかった。これが己の運命なのだと、こうするしかないのだと・・・そうして少年は超えてはいけない一線を超えてしまった。何故かって?諦めていたからさ己の運命に・・・」

 

「送崎・・くん・・?」

「あー・・・すまない。つまり、俺が言いたいのは貴様らの勝ちたいという執念と諦めない心に負けたという事だ。理解したか?」

何か言いたげの彼女だが麗日はグッと親指を立て麗日はにこっと微笑む

 

「なになに~お茶子ちゃんと送崎って結構仲がいいじゃん!お姫様抱っこされてたし!そういう仲なのー?」

 

 芦戸が声をかけてくる。

 

「何故そうなる・・・」

 すると教室のドアが開いた。

 右腕がギプスで固定された緑谷が教室に戻ってきた

 

「おお緑谷来た!お疲れ!!!」

 

 切島が声をかけ、芦戸、砂糖、麗日が緑谷に駆け寄る。

 

「騒々しい」

 

 机に腰かける常闇踏影が怪訝な顔をしながら呟く。それを見て飯田が

 

「机は腰掛じゃないぞ!今すぐやめよう!!」

 

と注意していた

 

「・・・・ふっ」

 

その光景を見て苦笑いする送崎。騒々しい連中だが満更悪くない

 

「飯田のいかなる時でも己を見失わない凛とした精神。評価に値する」

 

 そんな会話をしていると、教室内に爆豪がいないことに気付く。

やはり勝手に勝ちを譲った事をまだ怒っているのだろうか

 「飯田、爆豪を知らないか?」

「彼なら先に帰ってしまったよ。一応止めたんだが…」

「・・了解」

(俺はそういうことをしないキャラなんだが・・今から追えば間に合うか?)

 

「済まないが、用事が出来た。先に失礼するぞ。また明日学校で会おう」

 

 みんなにそう声をかけ、教室を後にする。送崎は速足で校門へ向かい自身の個性の1つである『センサー』を使い爆豪を探した。すると廊下の窓から校門のあたりで爆豪らしき人影を発見した。軽い駆け足で階段をおり、校舎を出ると、もう一つセンサーに反応があった。右腕のギプスをつけた緑谷だ。

 二人は話し中だろうか、すこし離れたところで立ち止まる。

 

「人から授かった個性なんだ」

 

どうやら自分の出番は必要ないらしい

立聞きするつもりはなかったのだが、彼らの話し声が聞こえてしまった。

 

「だからなんだ…今日…俺はてめえに負けた…それだけだろうが…!!!」

 

 ぼそぼそと呟いていた爆豪の声が段々大きくなっていく

 

「俺はてめえとサシでやって負けた!でもな!アイツは!送崎は余裕で勝ってやがった!」

 

 彼の声はどこか震えていた。

 

「氷の奴見て!敵わねえんじゃねえかって思っちまった!!ポニーテールの言うことに納得しちまった!!」

 

 そして、爆豪は振り返り、緑谷と向き合う

 

「てめえもだデク!こっからだ俺は!!氷の奴も、ポニーテールも、送崎も、全員に勝って俺はここで一番になってやる!!!俺に勝つなんて二度とねえからな!!!」

 

 彼はそう言うと、緑谷に背を向け歩いて行った。

 そんな一部始終を見てしまった彼は、二人にばれないよう遠回りする。

 

「なるほど・・・爆豪。貴様という人間が少し理解出来た気がする」

 

彼の心情をなんとなく察した

ならばこそ少し彼への見方を改めようと思ったただのチンピラではなく、ツンデレに近いようなあれなのだと・・・男のツンデレはイケメンなら許されるものだろう。そう思いながら夕日を見ながら帰り道を歩いて行った。

 




補足 送崎のガトリング砲についてですが、実弾ではなくゴム弾を使用しております
だから、人に当たっても激痛が走るだけです
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