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脳無がゆっくりと立ち上がり送崎と向かい合う
「くそっ……脳無!!」
手男が呼ぶと脳男はさっきと同じように拳を突き出し、送崎それを後ろに下がって避けようとする。
だが脳無は両腕を振りかぶり強烈なラッシュを繰り出し、直撃してしまう。轟音が鳴り響き、大地が揺れた。
「がはっ……!?」
脳無はマシンガンを凌駕する速度でミサイルよりもはるかに強力な拳を放ち続けている。
その攻撃を受け送崎の身体が悲鳴を上げる
脳無は大きく腕を振りかぶりトドメの一撃を与えようとする。そして…拳が送崎の顔面を捉え仮面が砕け、衝撃により吹き飛ばされた。地面にバウンドし転がるがすぐさま体勢を立て直し、体内からミサイルを放つ
その瞬間、鼓膜が破れそうなほどの低い爆発音が響き脳無に直撃するがしかし、脳無は無傷で立っている
「傷一つつかないとは…」
「先生の脳無がそんな程度でやられるかよ」
ガチャッとガトリング砲を構えるが次の瞬間には脳無は送崎の眼前までら迫っていた
ガトリング砲の先端を掴み握りつぶし、そのまま送崎の頭部を掴み地面に叩きつけた
「ははは。ざまぁみろクソガキ。脳無の個性は怪力だけじゃない。ショック吸収や火耐性もあるのさ。それもオールマイトが束になっても耐えられるような耐性だし、火で焼き殺すなんて事も出来やしないのさ」
手男がそういうと、脳無は馬乗りになり再びラッシュを繰出す
何かが砕ける音、鈍い音がUSJ内に響き渡った
地面に飛び散る白い液体
送崎は薄れゆく意識の中、彼の視界に緑谷が駆け寄ってくる姿が見えた。
(ッ…!?あのバカ!)
しかしそこに黒い敵が立ち塞がる。すると
「どけ邪魔だデク!」
爆豪が突然現れ、黒い敵を強襲し、そのまま地面に叩きつけた。更に轟が個性を使って送崎を捕らえている敵の半身を凍らた。おかげで脳無の動きが止まる。その瞬間脱出する。最後に切島が手の敵に飛びかかるがそれを難なく回避されてしまう
「クソッ!いいとこねぇ!」
「スカしてんじゃねぇぞモヤモブがァ!」
「悪いけどな、簡単にクラスメイトの奴を殺らせる訳には行かねぇんだよ」
「かっちゃん…みんな!」
緑谷、爆豪、轟、切島の4人が送崎こ応援に駆けつける。だが送崎の悲惨な姿を見て状況を察した
「すごいなぁ最近の子供は。恥ずかしくなってくるぜヴィラン連合」
ボソッと自虐気味に呟く。すると凍らされていた脳無が突然動き出し、凍った部分を切り離すとまた新たに身体を再生させた。その場にいる者達が驚いた様子で見ていると
「これは超再生だな。脳無はオールマイトの100%に耐えられるように改造された超高性能サンドバック人間さ」
またもや手の敵が個性のタネを明かす。そして続けて脳無に指示する
「まずは出入り口の奪還だ。行け、脳無」
そう言われた途端、脳無は目にもとまらぬ速さで黒い敵を押さえつけている爆豪の下へ走り出す。その動きに反応出来たのはこの場では送崎のみ爆豪を守ろうと動いた
だが–––––
全身に激しい痛みが走る。脳無に与えられたダメージが彼の身体を限界まで追い詰めていた
この状態では彼を助けることは困難。万が一、爆豪と脳無の間に入り助け出すことに成功したとしても奴の攻撃を防ぐ事は不可能。次の攻撃をまともに受ければタダではすまない。だが、それでも
(…マンダレイ……俺は…貴女に何も恩返しが出来なかった。それをどうか許して欲しい)
咄嗟に送崎は爆豪の肩を掴み緑谷達の方へと押し退けた。突然の出来事に驚く爆豪、そして送崎は爆豪にしか聞こえない小さな声で、
「立派なヒーローになれ。貴様なら必ずなれる」
高く振りかぶられた脳無の右腕はそのまま送崎に振り下ろされた。
爆豪は自分が緑谷達の側で座っている状態であることに気がついた。そして視界には腕を振り抜いた状態の脳無が映っていた。
今一体何が起きた?覚えているのは突然送崎に肩を捕まれデク達の方に押しのけられたことだけ。 そして自分は脳無の拳が振り下ろされるまで何も知覚出来なかった。つまり…送崎が助けに入ってくれなければ自分は死んでいたということ
(あの野郎ォ……!)
「あはっ…アハハハハハッ!!ようやく邪魔な奴は死んだ!これで平和の象徴に傷をつけることが出来た訳だ」
手の男は高らかに笑っていた
脳無の目の先には白い血のような液体を流し横たわる送崎
ピクリとも動かない。砕けた地面に白い液体が広がる
その光景を見て言葉が出ない緑谷達。爆豪は自分のせいで倒れた送崎の姿を見て唇から血が出るほど強く噛み脳無の方へと向かった
「だ、駄目だよ!かっちゃん!冷静になって!今は逃げる事を––––」
「黙ってろクソカスが!!」
緑谷が脳無に立ち向かおうとする爆豪を止めようと声をかけるが、罵倒を混ぜながら返す
しかし。彼の声は震えていた
確かに送崎とは親友でも友達でもない。だが爆豪は心の中では彼を認めていた。彼の強さに憧れすらあった
「よくもテメェ…!送崎をォ!!」
爆豪の手のひらから火花が散る。個性を使ってまとめて吹き飛ばそうと考えたその時
ドゴォォォォォォォォォォォン!!
USJの入り口がすごい勢いで壊され、誰かがゆっくりと歩いてくる。敵も味方も動きを止め、皆入り口の方を見る。
「もう大丈夫。私が来た!」
オールマイトが高らかに宣言する。その顔にいつもの笑みは無い。あるのは生徒達が危険にさらされていることに対する怒り。この日、生徒達は現役No.1ヒーローの本気を目の当たりにすることになる。
皆が注目する中、オールマイトは入口付近に倒れた相澤と13号の姿を見る。そして…恐らく彼等の為に戦ったであろう送崎が無惨な姿で横たわっているのを目にした。己の不甲斐なさをこれほど呪ったことはないだろう。上着を脱ぎ捨てると一瞬で階段下に降り立った。そして静かに横たわる送崎へと歩み、彼の身体を優しく抱き上げる
「…すまない。またしても私は君を救うことが出来なかった……」
送崎から返事はない。そのまま緑谷の方に向かい、彼を頼むと言い残すと敵と向き合う。そして怪物の敵との戦いを始めた。全力で拳を叩きつけるオールマイト。しかし目の前の怪物には一向に効いている様子が無い。
だが、それがどうした?
己の怒りを力に変え、一発、また一発と化け物に拳を叩きこみ、強烈なラッシュを繰り出す
すると脳無に異変が起きた。ショック吸収する筈の肉体が限界を超えたのだ
そう、今のオールマイトの一発一発が100%以上の威力をほこっていた
脳無も負けじと雄叫びを上げながらオールマイトに突進する。脳無は腕を振り上げ、オールマイト目掛けて勢いよくその拳を振り切る。オールマイトはギリギリまで敵の拳を引きつけ、拳が直撃する瞬間に身体を沈み込ませて回避すると、がら空きになったボディ目掛けて渾身の一撃をたたき込む。
「SMAAAAAASH!!!!」
オールマイトの全力のパンチを喰らった脳無はジェット機のような速さで後方に飛んでいき、そのままUSJの壁を貫いて空の彼方へ飛んでいった。
黒い敵は不味いと思い、手の男に
「撤退しましょう。対オールマイト用の脳無が倒された今、勝ち目はありません」
「はぁ……くそ。ゲームオーバーだ。帰って出直すぞ。今度は殺す、平和の象徴。そしてクソガキども!」
手の男はそう言い残すとモヤ男の黒い靄に包まれ消えていった。
手の男とモヤ男が撤退した後、残っていた敵達も駆け付けたオールマイトによって全て制圧され、生徒も緑谷と送崎以外、全員無事が確認された。緑谷に関しては自身の個性の使用の反動によるもの、そして送崎は脳無と呼ばれていた化け物との戦闘により重症であった
すぐさま病院へと搬送される。そして後ほど駆け付けた警察の現場検証を終えた後、先生たちに護衛されながら校舎に戻った生徒たちは、下校を指示されていたが、爆豪、切島、麗日、飯田、耳郎の5名は送崎が搬送された病院に向かっていた
病院に到着した5名は送崎の病室を教えて貰いそこに向かう
爆豪が病室の扉に手をかけゆっくりと開いた
そこには無数の白い管に繋がれ、ベッドで眠っている送崎と近くの椅子に座って彼が目覚めるのを待っている一人の女性
女性の名はプロヒーロー、『マンダレイ』だ
マンダレイが開かれた扉の方に振り返る
「あら。景のお友達?」
「違ェ…」
即答する爆豪に対して思わずツッコミをいれる麗日
「えっ!?そこは友達って言わんの!?…えっと、私達送崎くんのクラスメイトです。私は麗日お茶子って言います」
「そう…クラスメイト。ねぇ、景は…彼は立派に戦ってた?」
さっきまで泣いていたのだろうか、彼女の目が赤くなり頬には涙の跡が残っていた
「はい。彼のおかげでクラスメイト全員、いや、先生方も救う偉業を成し遂げていました。かく言う僕も彼に救われた1人です」
飯田が静かに答える
それを聞いた彼女は、そっかと呟くと送崎の方を向いて優しく頬を撫でた
「偉いじゃない…ちゃんと人を救うヒーローになったわね。だから––––もう、ゆっくり休んで」
彼女がそう告げると。その言葉を聞いた5人はまさかと息を飲む
「俺はまだ死んでいないし、そう簡単には死なんぞ。Ms.マンダレイ」
「生きてるし、起きとんのかいぃぃ!!」
再びツッコミをいれる麗日。
その日、病室から笑い声が聞こえた
あの爆豪も静かに笑みを浮かべる
ただ、無理な戦闘をしたことに関してはマンダレイや後から来たオールマイトからこっぴどく説教された送崎であった
次の日、USJ襲撃事件があり学校は臨時休校となった
送崎は早々に病院を退院し自宅で休む事にした
身体の怪我もあり外出は避けていたが、ドンドンッと扉を叩く音
ベッドから起き上がり扉を開ける
「景、大丈夫だった!?」
そこに居たのはオレンジ色の髪の毛でポニーテール、拳藤一佳が立っていた
「朝から騒がしいなお前は」
「何言ってるの、敵に襲われて怪我したって聞いたからお見舞いに来たのにー!それにもうお昼だよ」
「しかし、どうやって俺の家の場所を知ったんだ?」
「あぁ、それはね…」
拳藤が後ろを振り返る。そこには以外な人物がいた
爆豪勝己だ
「以外だな。お前が俺の家に訪ねるとは」
「あァ?来たら悪いのかよ?」
「いや、別に」
くっくっく、笑う彼に舌打ちをする爆豪
「とりあえず中に入るといい。ここで立ち話もなんだしな」
そう言うと拳藤と爆豪を家の中に招き入れた
「見た感じ今起きたってところ?」
「まぁ、そんな所だな。それで拳藤はお見舞いなのはわかったが…爆豪はどうかしたのか?」
「…ひとつ聞かせろ」
いつになく真剣な表情で送崎を見ていた
「俺に答えられることならなんでも聞くといい」
「お前…なんで俺を助けた?」
「…そんなことか」
「あ?」
送崎を睨み付ける爆豪。だが、そんな視線など気にせずに続けて答える
「もう、俺の目の前で誰かが死ぬのは嫌なんだ…それにヒーローなら助けるだろう?誰かを助けるのに理由など必要ないしな」
「…ハッ」
「フフッ」
驚い顔を見せる爆豪。だが彼の在り方が自分の目指すヒーローに似ていると思わず笑みを浮かべ、送崎も小さく笑う。
「あ、そう言えば敵の集団が襲撃してきたって聞いたけど具体的にどう襲われたの?先輩に聞いたんだけどセキュリティ対策万全だったんでしょ?」
拳藤が襲撃事件について切り出した
「空間移動系の個性を持ってるやつが敵にいた。あと電波妨害できる個性持ちもいたらしい。そいつでセキュリティをダウンさせて、空間移動で敵…と言ってもほとんどチンピラ同然の奴らだったが…そいつらを演習場に移動させてきたようだ」
「ピンポイントでA組だけ狙われたよね?それはなんで?」
「主犯格っぽいのがオールマイトを殺すつってたからなァ。予定ではオールマイトが講師でそこにいる予定だったからそれでじゃねェか」
「どっちにしろマスコミ侵入事件の時にカリキュラムの情報を何かしらの手で盗んだんだろう」
「じゃあ、マスコミの中に敵の仲間がいたのかな」
拳藤が腕を組みながら考える
「いや、その可能性は低い。恐らくマスコミは陽動として利用されたのだろうな…どちらにしろ雄英のセキュリティレベルの強化に期待しておこう」
「もう一回攻めて来た時はぶっ潰す」
「やめておけ。それに今回のでわかったがあの化け物…脳無と呼ばれていたやつは普通じゃない。己の意志もなく命令通り動く捨て駒…面倒な奴がいたものだ」
同時に脳無を創り出した奴に対して怒りが込み上げてくる。関係の無い人間を化け物にし、ヒーローと戦わせる。常人のすることではないだろう
どちらにしろ早々に脳無の製造場所を突き止め破壊しなければと考えていた
その夜、遅くまで騒ぎだてた高校生3人は翌日遅刻ギリギリとなったのは言うまでもない。
ちょっと短めです!次はいつ投稿出来るのやら…(´・ω・`)