幻想新魔郷   作:黒野真琴

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序「幻想郷に落ちた星」

 ある年の快晴の春。満開の桜が神様のため息のような突風に揺らされた。その突風によって散る花びらをかき分けるように綺麗な女性が一点を見据えた足取りで進んでいく。

 

 女性は博麗神社の鳥居をくぐるとすぐに目的の少女を見つけた。

 それは現博麗の巫女の親友である霧雨魔理沙だ。

 

「お二人さん、お楽しみのところ悪いけれどちょっといいかしら?」

 

 女性が聖人のような微笑みを浮かべてそう言うと、さっきまで楽しそうに話していた2人が途端に表情を曇らせた。

『こんな奴は幻想郷にいた覚えがない』と2人は思ったからこそ怪訝な表情をしているのだろう。

 

「あんた、魔理沙に何の用?」

 

 博麗霊夢は巫女として危険なものに対処するためにお祓い棒を構えて適当なことを言った。

 巫女様の言うことは的を射ているが、女性はそれを悟ることが出来ないように笑顔で話しかけた。

 

「私がいつ彼女に用事があると言ったのかしら?」

 

 そう言われて霊夢は『確かに言ってない』と思ってしまったが、強気な姿勢で言い返した。

 

「異変解決を依頼しに来るような人はそんなに笑ってないわ。それに、あんたはここに来てすぐに魔理沙のことを見てたじゃない。それが何よりの証拠じゃ無いの?」

 

 女性は驚愕した表情を見せた。

 見られていないと思っていたのにバッチリ巫女の目に映っていた。

 そんなはずがない。でも、本当に見られていたのなら言い逃れは出来ない。

 

「はぁ...観念するわ。確かに私は霧雨魔理沙がここによく来ていることを知って会いに来たのよ。だから、悪いけど魔理沙とお話をさせてくれるかしら?」

 

「仕方ないわね。でも、あんたは怪しすぎるから立ち合わせてもらうわよ」

 

「どうぞ、ご勝手に」

 

 霊夢は相手に敵意がないか注意深く観察しながら少し距離を取った。

 すると彼女は魔理沙に向かってツカツカと歩いて近づいた。

 それから女性は高身長から見下ろして魔理沙に話しかけた。

 

「あなたが霧雨魔理沙ね」

 

「そうだぜ。私はあんたのことを知らないが、用があるなら話くらい聞いてやるよ」

 

「なら、単刀直入に言うわね。あなたには私の、コスモの力を受け継いでほしいの。あなたほど光と星に愛されて人はいないもの」

 

 そう言われて魔理沙は目を丸くした。

 得意な魔法は確かに光や星を利用したりモチーフにしているが、会ったことも無い人が知ってるのはおかしい。

 

「あんた、一体何者だ。名前を知ってるのは誰かに聞いた可能性があるから置いておくが、能力や使用してる魔法を知ってるのはさすがにおかしいだろ」

 

「そうなるわよね。でも、占いや予言なんて信じないでしょう。私の『星々を司る程度の能力』なら出来るけど、今実践してあげたところですぐには受けいられないはずよ」

 

「確かにその通りだ。なら、あんたの魔法を1つでいいから見せてみろよ。その魔法で大体の実力は分かるからな」

 

「なら、見せてあげるわ。あなたの才能をもったいなく終わらせたくは無いからね」

 

 コスモという女性はブラックオパールのような瞳を輝かせてその場に魔法を発動した。

 その魔法は半径50メートルを彼女の領域に変えて、そこを星々がきらめく宇宙空間にしてしまった。

 

「なっ!こんな魔法見たことも聞いたことも無いぞ!」

 

「これは星魔法の最上位に位置するものよ。私は能力込みでようやく使えるような代物だけど、あなたなら使いこなせると思うわよ。どうする?こんなすごい魔法をあなたは手にするチャンスがあるのに、みすみす取り逃がすの?」

 

 力の差とその魔法の美しさを見せつけられた。

 霊夢はこの時何も言う気が無いようなのでここが魔理沙の人生の分かれ道になるのだろう。

 

 魔理沙はしばらく悩んで答えを出した。

 

「あんたなら私を強くしてくれるんだよな」

 

「あなたにやる気があるなら私の全てを叩き込んであげるわよ。それが星空の守護者の務めだから」

 

「なら、私の人生をあんたに預けるぜ。霊夢を越えられるような強者にしてくれ!」

 

「喜んで。星空の王女様」

 

 この時、魔理沙は霊夢に目でさようならと言っていた。

 いや、霊夢はそう言ってるように感じた。

 

 実際、魔理沙はこの後コスモに連れられて魔理沙の家に行ったっきり博麗神社に来ることは無くなった。

 その代わりに魔法の森で無数の煌めきの目撃情報が絶えなくなった。

 八雲紫はこのことを黙認しているが、これのせいなのか博麗神社によく顔を見せるようになった。

 まるで、博麗の巫女様を見張ってるようだ。

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