隣のブランコに風鳴弦十郎が、座っていた。
「良かったら、飲むか?」
弦十郎が、コンビニ袋からお茶のペットボトルを取り出す。
「あ、ありがとうございます。」
お茶を受け取り、飲んでみる。
(‥‥‥味がしない。俺はいつから散華していたんだ?)
と味のしないお茶を飲みながら、現実逃避をしていると
弦十郎が、話を切り出す。
「ああ、自己紹介をしていなかったな。
俺は、風鳴弦十郎。仕事は公務員をしている。」
「俺は、霧崎サクラです。家もない家族もない無一文です。」
「なら、これからどうするんだ?帰る家がないんだろ?」
「まぁ、色々調べて、1人でもどうにか生きていく術を探そうかな、
って思ってます。」
「‥‥‥そうか。」
弦十郎が難しい顔をして、顎に手を添える。
しばらくお互いに無言なる。
(何か考え込んじゃったよ。
‥‥‥流石に昨日の事で、声をかけられた訳じゃないよね?)
弦十郎が、軽く膝を叩く。
「よし、君が良ければだがーー」
ノイズが現れたことを知らせる警報が、町中に鳴り響く。
「ノイズ!」
「に‥‥逃げましょう!今すぐに!」
俺は立ち上がり、弦十郎の袖を引っ張るがピクリとも動かない。
「いや、避難できていない人の助けに行かねば。」
「死んじゃいますよ!」
「死ぬと分かっていても、俺は人命を守るために行かないといけないんだ。」
弦十郎はゆっくりとサクラの手を解き、不敵に笑う。
「フッ、君が心配するほど、俺は弱くはないさ。」
「風鳴さん‥‥‥」
「君も早く避難するんだぞ!」
弦十郎は、公園から物凄い速度で駆けていく。
「‥‥‥もういない、実物は想像以上に早いんだね。とりあえず避難しよう。」
シェルターに向かって走り出す。
しばらく走っているとシェルターの入り口が見えてきた。
「あと少しでーー」
「君!危ない!」
「へ?」
シェルターの前に立っていた自衛隊が、
サクラに向かって慌てて駆け寄ってくる。
後ろを振り返ると人型ノイズが、サクラを優しく抱きしめる。
「いや!優しく抱きしめーー」
灰になる。
10周目
オールカット
「ああ、自己紹介をしていなかったな。
俺は、風鳴弦十郎。仕事は公務員をしている。」
「‥‥‥霧崎サクラです。家もない家族も居ません。」
「‥‥‥君は、これからどうするんだ?今は、帰る家がないんだろ?」
「色々調べてから、考えようかな、って思ってます。」
「‥‥‥そうか。」
弦十郎が難しい顔をして、顎に手を添える。
しばらくお互いに無言なる。
(そろそろ警報が鳴る頃、逃げるシェルターを変えねば。)
弦十郎が、軽く膝を叩く。
「よし、君さえ良ければだがーー」
ノイズが現れたことを知らせる警報が、町中に鳴り響く。
「風鳴さん!今すぐに避難しましょう!」
「いや、君だけ避難してほしい。俺は、
避難出来なかった人達の救助に行かないといけない。」
「それが、風鳴さんのお仕事ですか?」
「ああ、それが俺の仕事だ。」
「‥‥‥気をつけてくださいね。」
「君も気をつけるんだぞ!」
弦十郎は、公園から出ていく。
俺は、その後違うシェルターに駆け込むと
無事にノイズをやり過ごすことが出来た。
その後、風鳴弦十郎に会うこともなくしばらく経った。
その間、体も服も汚れないことが分かり、
朝昼晩全ての時間をフラフラ歩き回って過ごす。
歩き回るのにも飽きたので、情報収集のために図書館に通う様になった。
今日も図書館のパソコンや新聞を読んで過ごす。
パソコンのニュースサイトの見出しにツヴァイウィングのコンサートがある事を知り、
行こうかなと考えるが、お金がないことと
ノイズで即死する事を思い出し行けなかった。
結局、コンサートには参加できずに新聞でしか、
事の顛末を知る事しか出来なかった。
「え〜と、『ツヴァイウィング ノイズにより死亡』
‥‥‥うん?いや!待てぇぇ!?」
「図書館では、お静かに!!!」
「す、すみません!」
司書に怒られて、大人しく新聞を読む事にした。
『コンサート中に、ステージが爆発。
ツヴァイウィングの天羽奏、風鳴翼は、爆発に巻き込まれ怪我を負う。
爆発によって生まれた穴からノイズが現れ、抵抗する間もなく灰になるのを
辛うじて無事だった監視カメラの映像から確認をした。』
「‥‥‥マジで?」
(何がどうして、こうなったの?)
俺は、新聞を読み進めていく。
『さらにコンサートに参加していた観客、関係者あわせて10万を超える人間が居合わせており、
死者、行方不明者の総数が、92571人にのぼる大惨事であった。』
(これってうろ覚えだけど、確か1万2千人ぐらいじゃなかったけ?
数が増え過ぎじゃない?
戦える2人が、真っ先にいなくなったから被害が増えたのかな?)
『ノイズが、コンサート会場の出入り口にも現れたため逃げ場を失い、
被害が増大。
生存者は、ノイズが自壊した事で助かった模様。』
新聞の次のページをめくる。
『行方不明者名簿』と書かれており、名前がズラッと並んでいた。
「やっぱり、多いな。」
なんとなく、立花響の名前を探してみる。
『立花 響 13歳』
サクラは、頭を抱えた。
(‥‥‥俺の知ってるストーリーと違う。)
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