高校生からの物語 完結   作:月島柊

110 / 203
長引いてるので長編です。
今回の登場人物
月島柊
月島胡桃
新メンバー1名
以上3名
人物紹介
神木詩音(23)
みかみとは従姉妹で、しっかり者のお姉さん的存在。礼儀も正しく、真面目な性格。周りからは料理の天才と呼ばれ、料理だったら何でも作れる。みかみとも仲が良く、実はみかみの方が年上である。


第一長編小説 第6話 旅行6日目

 俺は胡桃の運転する車を助手席で見ていた。胡桃は予定通り高速に入り、やがて米坂線の横を通っていた。高速はしばらく無く、次は山形に入ってからだ。途中の運転交代もなく、そのまま走り続けていた。

 

「胡桃、大丈夫か」

「大丈夫!まだ行ける!」

 

元気よく言うが、俺にはもう分かっていた。我慢していることを。

 

「胡桃、コンビニ寄って」

 

胡桃は米坂線越後大島駅を過ぎた辺りのコンビニに寄った。胡桃を駐車場に止め、俺は外に出る。

 

「胡桃は待ってて」

「はーい」

 

俺はコンビニに行く振りをして運転席どドアを開けた。胡桃を落ち着かせたいためだ。

 

「胡桃」

 

俺は胡桃を抱きしめた。胡桃は驚いたような顔で俺を見る。しかし、視線をうまく合わせられていない。

 

「無理するなって。俺が運転するから」

「でも、それだと柊くんが楽しくない…」

 

優しい気持ちが裏となったか。

 

「一緒にいるだけで嬉しいよ。俺が1番悲しいのは胡桃が疲れ果てることだ」

「…じゃあ、交代して…?」

「あぁ。いいよ」

 

胡桃は運転席から出てくる。胡桃は足を押さえている。ずっと同じ体勢だったらエコノミー症候群か?

 

「胡桃、一回後部座席に横になって」

 

エコノミー症候群の時は力を抜き、楽な姿勢をするといい。血が流れにくくなっているから流れさせることが必要だ。

 

「エコノミー症候群だと思うから、少し休もう」

 

俺も車は走らせずにいた。車の揺れとかで座っちゃうとまた悪化し始めるから。

エコノミー症候群は、軽度なものだと痛くなるだけだが、悪化すると胸が苦しくなったり、呼吸困難に陥る。

 

「胡桃、大丈夫か」

「うん…筋肉痛みたいに痛いけど」

 

疲れすぎたんだ。新潟からずっと運転してたらそうなるよな。

 

「安静にしてて。先行かないから」

 

俺は胡桃の腹を優しくポンポンと叩きながら言った。まるで―――

そんな俺が嫌いだった。

 

 胡桃が俺を見つめていて、俺は胡桃の方に少し視線を向けた。胡桃は普通の顔でこっちを見ている。俺は少し不安になって言った。

 

「どうした…?」

「治った。行こ」

 

ん?話し方違くないか?そういう話し方なのは絢梨とか、昔の杏、心春、澪ぐらい。胡桃は明るかったのに、今はなぜか人見知りのように無口だった。

 

「胡桃、なんか――」

「早く」

 

俺は胡桃の圧に負けて、「あ、あぁ…」となって胡桃を走らせた。胡桃は横になったままだ。

 

「胡桃、性格変わったか」

「…あぁぁ、気付かれちゃったかぁ」

 

胡桃は息を強く吐くようにして言った。

 

「だって、いつものじゃバリエーションないでしょ?」

「あのなぁ、いつものでいないと不安だから」

 

胡桃は「ごめーん」と言って、運転中の俺をつついた。胡桃はニコニコ笑っていて、楽しそうだ。

 

 山形駅に着くときにはもう16:00を過ぎていて、とても腹が減っていた。昼ごはんは先に済ませたい。俺は蕎麦屋に行って昼食とした。

 

「美味しいー」

「腹減ってたからな。」

 

俺がご飯に夢中になっていると、あることを思い出した。

 

「あれ、ホテル取ってない…」

「え、ホテルないと…」

 

俺は試しにナナニジのグループに助けを求めた。誰かホテル知ってるかもしれないし。

 

〈誰かホテルしらない?〉

〈知ってるよー!駅前で待っててね〉

 

みかみだった。みかみが知ってるなんて意外だったな。俺は食べ終わると山形駅前に向かった。山形駅前に来たって、ホテルを知らないんだから話にならない。

 

〈17:30まで待っててね〉

 

17:30って、あと1時間じゃないか。胡桃はあとからやってきた。

 

「ふぅ、食べた食べた」

「あと1時間どうする」

 

胡桃は手を顎に着けて悩んだ。あと1時間もあるんだから、何かしたいことは…

 

「図書館!」

 

胡桃ってゲームが好きなんじゃないのか?本も好きなのかな。

 

「図書館?」

「あ、違う。ネカフェ…」

 

図書館とネカフェをどう間違えたんだよ。俺は近くのネカフェに向かった。みかみが部屋で俺と胡桃が同じ部屋。

ネカフェでは、俺と胡桃で協力音ゲーや、対戦ゲーをしていた。あっという間に17:10になり、俺と胡桃は山形駅前に戻った。

 

「それで、もう17:20だけど…」

「知ってる人が来る気配もないね」

 

なんで駅前なんかで。俺がそう思っていると、17:27着の奥羽本線がやってきた。階段から人々が降りてくる。その中にはピンクの髪の女性がいる。

 

「君が月島くん?」

 

話しかけてきたのはそのピンクの髪の女性だった。

 

「え、あ、はい。」

「ホテル探してるんだって?」

 

事情も知ってるのか。なんで知ってるんだ。

 

「みかみから聞いたよ。」

 

みかみからってことは、従姉妹かなんかの関係か?

 

「従姉妹とか?」

「そう!私の家泊まってってよ。いま一人だからさ」

「え、いいの!?」

 

胡桃が前のめりになって聞いた。

 

「ちょっと遠いんだけど、乱川ってとこ」

 

乱川?どこだろう。ここからそんなに遠いのか?

 

「私、先に駅まで電車で行ってるから、駅で待っててね!」

 

そう言ってみかみの従姉妹は行ってしまった。えっと、とりあえず車に戻ってカーナビで調べるか。

 

「とりあえず乱川まで行こう」

「うん。明日北に行くんだったら近くなるね」

 

明日は確かに北に向かう。盛岡だからな。俺はカーナビで乱川駅を調べた。ここから東北中央自動車道で天童ICまで行くようだ。

 

「よし、行くか」

「おーっ!」

 

右手を挙げて胡桃は言った。俺は車を走らせた。

 

 やがて30分ほどで乱川駅に着いた。電光掲示板には18:19新庄行きと書かれていた。多分この電車だ。いまの時刻は18:07。電車より早く着いた。待ち時間の問題もあるけど。

そして18:18、予定通り新庄行きがやってきた。みかみの従姉妹がこっちを見ている。みかみの従姉妹はドアを開け、ホームに降りてきた。

 

「早かったね。」

「高速使ったし」

 

みかみの従姉妹は無料駐車場にあった車を取りに行き、俺のところに戻ってきた。

 

「私についてきてね」

「分かった」

 

俺は車に戻って、胡桃を助手席に乗せ、車を走らせた。みかみの従姉妹が乗っている白い車は道をそれなりのスピードで走っていく。俺もその後ろをついていく。

 

「集落あるんだね」

「確かにな。この辺だろ」

 

乱川駅を出発してから5分、みかみの従姉妹を乗せた車は止まった。みかみの従姉妹がこっちに向かってくる。

 

「着いたよ。」

「えっと、名前ってなんていうんだ」

 

まだ「みかみの従姉妹」だと考えづらいし、名前で呼べないから呼びづらい。

 

「神木詩音。よろしくね」

 

詩音か。だったら呼びやすいな。

 

「よろしく。だったら、俺はなんか食ってこようか」

「あ、作るよ。」

 

料理作るって、なんか申し訳ないし、というか、人に作ってもらうって、なんか不安だし。

 

「あ、怪しいとか思ってる?」

「あ、あーいや…」

「中入って待ってて」

 

詩音はキッチンで料理を作り始めた。テーブルに胡桃と向かい合わせになって座っていた。

 

「なんか、不安じゃない?」

「だけど、そんな悪い人じゃないだろ」

 

俺が胡桃と話して待っていると、詩音がこっちに来た。

 

「出来たよ、余り物だけど」

 

献立は茶色でもなく、緑も結構入っている。バランスよく作られていた。

 

『いただきます』

 

時間はもう19:00に近づいていた。

 

 今日は借りていることもあり、風呂は全員別々に入ることになった。寝るところも別々で、胡桃は21:30ごろに寝た。俺はみかみにもお礼を言うため、PCを開いた。

 

「みかみ、聞こえてるか」

《うん。聞こえてるよー》

 

みかみとオンラインで繋いだ。

 

「今日はありがとな。」

《いいよー。詩音も迷惑してないって言ってたから》

 

みかみはいつも通りおっとりしていた。他のみんなはもう部屋に数人いる程。みうや麗華、あかねはもう帰ってしまっている。画面に、帰る用意をしているあーや、つぼみが写っていた。

 

《もう帰るねー!》

 

つぼみがPCに向かって言った。

 

「ゆっくり休めよ」

《はーい!》

《楽しんでねー、つっきー》

 

あーやとつぼみは画面から出ていった。写っているのはみかみだけ。

 

「じゃあ、また明日」

《うん。》

 

みかみが通話を終了し、俺はPCを閉じた。もう22:10だ。寝よう。

 

 翌日朝、詩音の家で朝ごはんを食べて、7:10に詩音の家を出た。次の目的地は盛岡駅だ。ルートは仙台まで抜け、盛岡駅まで北上する。3時間2分で着くと案内されていた。

 

 休憩もあり、10:20に盛岡駅に着いた。ここから車を駐車場に車を止め、田沢湖線に乗り換える。

 

「旅行3日目か」

「どう?楽し?」

 

胡桃から聞かれて俺は言った。

 

「最終日になったら話す。」

 

俺はそう言って田沢湖線の時刻を調べた。次の田沢湖線は14:12大曲行き。俺は券売機で秋田までのこまち9号の指定席券を購入した。あと30分ほどで到着する。席は17号車4番Aと4番Bだった。

 

「新幹線かぁ。」

「在来線があんまりないからしょうがないよ」

 

10:57発こまち9号秋田行きだ。

 

「えっと、4番だから…」

「そこだ」

 

胡桃が窓側、俺が通路側に座った。胡桃は窓の景色を見て、俺は通路側で、背もたれに体重をかけて寝た。

 

 俺が起きたのは大曲でスイッチバックをして、後ろに引っ張られるようになってしばらくした、秋田車両センターの横で起きた。

 

「あ、起きた?」

「眠い…もう青森行くのか」

 

秋田駅まではあと10分もない。

秋田に着くと、急な肌寒い空気が俺を包んできた。寝起きの俺を起こすようだった。

 

「次って何時って書いてある…」

「13:58だよ。ちゃんとしてよ?」

 

まだ寝ぼけてるんだよなぁ。もういっそ…

 

【月島胡桃視点】

 

 (まったく、ちゃんと起きてないと)

 

柊くんに少しあきれた。ちゃんとしてよ?本当に。

 

「胡桃…」

「んへっ!?」

 

私は驚いて変な声が出た。柊くんは私の後ろから抱きついてきたのだ。

 

「眠い…リゾートしらかみまで連れてってくれ…」

「もう…お返しはしてもらうからね!」

 

私は柊くんを後ろに乗っけたままリゾートしらかみが来る2番線に向かった。全車指定席で、五能線経由だと聞いていた。全部柊くんからだけど。

指定席は4人用の個室。座席を平らにして、私は柊くんをおろした。柊くんは起きずに眠っている。私はドアを閉め、柊くんの上に乗っかった。

 

(起きないかなぁ)

 

私は柊くんの上に乗っかったままうつ伏せになった。

 

第何話で二章終わりにした方がいい?

  • 70話
  • 80話
  • 90話
  • 100話
  • 101話以上
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。