今回の登場人物
月島柊
月島胡桃
新メンバー1名
以上3名
人物紹介
神木詩音(23)
みかみとは従姉妹で、しっかり者のお姉さん的存在。礼儀も正しく、真面目な性格。周りからは料理の天才と呼ばれ、料理だったら何でも作れる。みかみとも仲が良く、実はみかみの方が年上である。
俺は胡桃の運転する車を助手席で見ていた。胡桃は予定通り高速に入り、やがて米坂線の横を通っていた。高速はしばらく無く、次は山形に入ってからだ。途中の運転交代もなく、そのまま走り続けていた。
「胡桃、大丈夫か」
「大丈夫!まだ行ける!」
元気よく言うが、俺にはもう分かっていた。我慢していることを。
「胡桃、コンビニ寄って」
胡桃は米坂線越後大島駅を過ぎた辺りのコンビニに寄った。胡桃を駐車場に止め、俺は外に出る。
「胡桃は待ってて」
「はーい」
俺はコンビニに行く振りをして運転席どドアを開けた。胡桃を落ち着かせたいためだ。
「胡桃」
俺は胡桃を抱きしめた。胡桃は驚いたような顔で俺を見る。しかし、視線をうまく合わせられていない。
「無理するなって。俺が運転するから」
「でも、それだと柊くんが楽しくない…」
優しい気持ちが裏となったか。
「一緒にいるだけで嬉しいよ。俺が1番悲しいのは胡桃が疲れ果てることだ」
「…じゃあ、交代して…?」
「あぁ。いいよ」
胡桃は運転席から出てくる。胡桃は足を押さえている。ずっと同じ体勢だったらエコノミー症候群か?
「胡桃、一回後部座席に横になって」
エコノミー症候群の時は力を抜き、楽な姿勢をするといい。血が流れにくくなっているから流れさせることが必要だ。
「エコノミー症候群だと思うから、少し休もう」
俺も車は走らせずにいた。車の揺れとかで座っちゃうとまた悪化し始めるから。
エコノミー症候群は、軽度なものだと痛くなるだけだが、悪化すると胸が苦しくなったり、呼吸困難に陥る。
「胡桃、大丈夫か」
「うん…筋肉痛みたいに痛いけど」
疲れすぎたんだ。新潟からずっと運転してたらそうなるよな。
「安静にしてて。先行かないから」
俺は胡桃の腹を優しくポンポンと叩きながら言った。まるで―――
そんな俺が嫌いだった。
胡桃が俺を見つめていて、俺は胡桃の方に少し視線を向けた。胡桃は普通の顔でこっちを見ている。俺は少し不安になって言った。
「どうした…?」
「治った。行こ」
ん?話し方違くないか?そういう話し方なのは絢梨とか、昔の杏、心春、澪ぐらい。胡桃は明るかったのに、今はなぜか人見知りのように無口だった。
「胡桃、なんか――」
「早く」
俺は胡桃の圧に負けて、「あ、あぁ…」となって胡桃を走らせた。胡桃は横になったままだ。
「胡桃、性格変わったか」
「…あぁぁ、気付かれちゃったかぁ」
胡桃は息を強く吐くようにして言った。
「だって、いつものじゃバリエーションないでしょ?」
「あのなぁ、いつものでいないと不安だから」
胡桃は「ごめーん」と言って、運転中の俺をつついた。胡桃はニコニコ笑っていて、楽しそうだ。
山形駅に着くときにはもう16:00を過ぎていて、とても腹が減っていた。昼ごはんは先に済ませたい。俺は蕎麦屋に行って昼食とした。
「美味しいー」
「腹減ってたからな。」
俺がご飯に夢中になっていると、あることを思い出した。
「あれ、ホテル取ってない…」
「え、ホテルないと…」
俺は試しにナナニジのグループに助けを求めた。誰かホテル知ってるかもしれないし。
〈誰かホテルしらない?〉
〈知ってるよー!駅前で待っててね〉
みかみだった。みかみが知ってるなんて意外だったな。俺は食べ終わると山形駅前に向かった。山形駅前に来たって、ホテルを知らないんだから話にならない。
〈17:30まで待っててね〉
17:30って、あと1時間じゃないか。胡桃はあとからやってきた。
「ふぅ、食べた食べた」
「あと1時間どうする」
胡桃は手を顎に着けて悩んだ。あと1時間もあるんだから、何かしたいことは…
「図書館!」
胡桃ってゲームが好きなんじゃないのか?本も好きなのかな。
「図書館?」
「あ、違う。ネカフェ…」
図書館とネカフェをどう間違えたんだよ。俺は近くのネカフェに向かった。みかみが部屋で俺と胡桃が同じ部屋。
ネカフェでは、俺と胡桃で協力音ゲーや、対戦ゲーをしていた。あっという間に17:10になり、俺と胡桃は山形駅前に戻った。
「それで、もう17:20だけど…」
「知ってる人が来る気配もないね」
なんで駅前なんかで。俺がそう思っていると、17:27着の奥羽本線がやってきた。階段から人々が降りてくる。その中にはピンクの髪の女性がいる。
「君が月島くん?」
話しかけてきたのはそのピンクの髪の女性だった。
「え、あ、はい。」
「ホテル探してるんだって?」
事情も知ってるのか。なんで知ってるんだ。
「みかみから聞いたよ。」
みかみからってことは、従姉妹かなんかの関係か?
「従姉妹とか?」
「そう!私の家泊まってってよ。いま一人だからさ」
「え、いいの!?」
胡桃が前のめりになって聞いた。
「ちょっと遠いんだけど、乱川ってとこ」
乱川?どこだろう。ここからそんなに遠いのか?
「私、先に駅まで電車で行ってるから、駅で待っててね!」
そう言ってみかみの従姉妹は行ってしまった。えっと、とりあえず車に戻ってカーナビで調べるか。
「とりあえず乱川まで行こう」
「うん。明日北に行くんだったら近くなるね」
明日は確かに北に向かう。盛岡だからな。俺はカーナビで乱川駅を調べた。ここから東北中央自動車道で天童ICまで行くようだ。
「よし、行くか」
「おーっ!」
右手を挙げて胡桃は言った。俺は車を走らせた。
やがて30分ほどで乱川駅に着いた。電光掲示板には18:19新庄行きと書かれていた。多分この電車だ。いまの時刻は18:07。電車より早く着いた。待ち時間の問題もあるけど。
そして18:18、予定通り新庄行きがやってきた。みかみの従姉妹がこっちを見ている。みかみの従姉妹はドアを開け、ホームに降りてきた。
「早かったね。」
「高速使ったし」
みかみの従姉妹は無料駐車場にあった車を取りに行き、俺のところに戻ってきた。
「私についてきてね」
「分かった」
俺は車に戻って、胡桃を助手席に乗せ、車を走らせた。みかみの従姉妹が乗っている白い車は道をそれなりのスピードで走っていく。俺もその後ろをついていく。
「集落あるんだね」
「確かにな。この辺だろ」
乱川駅を出発してから5分、みかみの従姉妹を乗せた車は止まった。みかみの従姉妹がこっちに向かってくる。
「着いたよ。」
「えっと、名前ってなんていうんだ」
まだ「みかみの従姉妹」だと考えづらいし、名前で呼べないから呼びづらい。
「神木詩音。よろしくね」
詩音か。だったら呼びやすいな。
「よろしく。だったら、俺はなんか食ってこようか」
「あ、作るよ。」
料理作るって、なんか申し訳ないし、というか、人に作ってもらうって、なんか不安だし。
「あ、怪しいとか思ってる?」
「あ、あーいや…」
「中入って待ってて」
詩音はキッチンで料理を作り始めた。テーブルに胡桃と向かい合わせになって座っていた。
「なんか、不安じゃない?」
「だけど、そんな悪い人じゃないだろ」
俺が胡桃と話して待っていると、詩音がこっちに来た。
「出来たよ、余り物だけど」
献立は茶色でもなく、緑も結構入っている。バランスよく作られていた。
『いただきます』
時間はもう19:00に近づいていた。
今日は借りていることもあり、風呂は全員別々に入ることになった。寝るところも別々で、胡桃は21:30ごろに寝た。俺はみかみにもお礼を言うため、PCを開いた。
「みかみ、聞こえてるか」
《うん。聞こえてるよー》
みかみとオンラインで繋いだ。
「今日はありがとな。」
《いいよー。詩音も迷惑してないって言ってたから》
みかみはいつも通りおっとりしていた。他のみんなはもう部屋に数人いる程。みうや麗華、あかねはもう帰ってしまっている。画面に、帰る用意をしているあーや、つぼみが写っていた。
《もう帰るねー!》
つぼみがPCに向かって言った。
「ゆっくり休めよ」
《はーい!》
《楽しんでねー、つっきー》
あーやとつぼみは画面から出ていった。写っているのはみかみだけ。
「じゃあ、また明日」
《うん。》
みかみが通話を終了し、俺はPCを閉じた。もう22:10だ。寝よう。
翌日朝、詩音の家で朝ごはんを食べて、7:10に詩音の家を出た。次の目的地は盛岡駅だ。ルートは仙台まで抜け、盛岡駅まで北上する。3時間2分で着くと案内されていた。
休憩もあり、10:20に盛岡駅に着いた。ここから車を駐車場に車を止め、田沢湖線に乗り換える。
「旅行3日目か」
「どう?楽し?」
胡桃から聞かれて俺は言った。
「最終日になったら話す。」
俺はそう言って田沢湖線の時刻を調べた。次の田沢湖線は14:12大曲行き。俺は券売機で秋田までのこまち9号の指定席券を購入した。あと30分ほどで到着する。席は17号車4番Aと4番Bだった。
「新幹線かぁ。」
「在来線があんまりないからしょうがないよ」
10:57発こまち9号秋田行きだ。
「えっと、4番だから…」
「そこだ」
胡桃が窓側、俺が通路側に座った。胡桃は窓の景色を見て、俺は通路側で、背もたれに体重をかけて寝た。
俺が起きたのは大曲でスイッチバックをして、後ろに引っ張られるようになってしばらくした、秋田車両センターの横で起きた。
「あ、起きた?」
「眠い…もう青森行くのか」
秋田駅まではあと10分もない。
秋田に着くと、急な肌寒い空気が俺を包んできた。寝起きの俺を起こすようだった。
「次って何時って書いてある…」
「13:58だよ。ちゃんとしてよ?」
まだ寝ぼけてるんだよなぁ。もういっそ…
【月島胡桃視点】
(まったく、ちゃんと起きてないと)
柊くんに少しあきれた。ちゃんとしてよ?本当に。
「胡桃…」
「んへっ!?」
私は驚いて変な声が出た。柊くんは私の後ろから抱きついてきたのだ。
「眠い…リゾートしらかみまで連れてってくれ…」
「もう…お返しはしてもらうからね!」
私は柊くんを後ろに乗っけたままリゾートしらかみが来る2番線に向かった。全車指定席で、五能線経由だと聞いていた。全部柊くんからだけど。
指定席は4人用の個室。座席を平らにして、私は柊くんをおろした。柊くんは起きずに眠っている。私はドアを閉め、柊くんの上に乗っかった。
(起きないかなぁ)
私は柊くんの上に乗っかったままうつ伏せになった。
第何話で二章終わりにした方がいい?
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100話
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101話以上