高校生からの物語 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
月島柊
月島胡桃
月島かりな
以上3名


第24話 出発

 今日の朝ごはんも胡桃が作ってくれる美味しいものかと思ったら、出てきたのは目玉焼きとベーコンだけ。胡桃が作ったことにかわりないが、いつもと違かった。

 

「ごめんなさい。頭痛くて作れなかった…」

「頭痛いって、大丈夫か?無理しなくても」

「大丈夫。無理はしないから、ね?柊くん」

「ならいいんだけど、何かあったら言って」

 

俺はそう言って目玉焼きを食べた。胡桃の惚れ薬効果は昨日の夜切れたが、頭が痛いのか頭を押さえ、顔がほんのり赤くなっている。

 

「胡桃、やっぱいいよ。空いてる時に食うから、今は看病がしたい」

「いいよ…柊くんは食べてて――

 

俺は鋭い声で、少し大きく言った。

 

「ダメだ。今は胡桃のことが優先だ」

 

胡桃は頭を押さえたままだったが、苦しそうに笑った。笑うことも辛いんだろう。胡桃だって俺がいない間は何もできずにいるんだ。

 

「まずベットに行こう。ゆっくり寝てて」

「ねぇ…柊くんの昔はさ、モテてた?」

 

急にどうしたんだろう。俺の昔のことなんて。

 

「全く。小6くらいまではただのヤンチャな少年、中学からは陰キャだったから」

「そうなんだ…私は中学の頃すごいモテててね、ラブレターを何枚ももらってた。」

 

胡桃は笑っていってたが、俺には分かっている。胡桃が内心では嫌だったこと。

 

「けど、貰ったラブレターは持ち帰って捨ててたの。」

 

分かってはいたけど、俺はわざとのように言った。

 

「どうして捨ててたんだ」

「好きな人がいたの。」

 

それが誰なのかまでは分からないが、多分…

 

深知(みち)くんって言ってね、その人はすごい暗くて、周りから避けられてたんだけど…」

 

やっぱり。深知とは俺が使っていた偽名だ。みんなに名前がバレたくなかったから。

 

「私が少し遅れて帰ったときに深知くんの長い髪の下が見えたの。その人の顔が格好よくて…」

 

あの、まさかだけど本人の目の前で言ってるとは思ってないよね?というかあの時後ろに感じた気配って胡桃か。

 

「それから好きになったんだけど、話しかけづらくて…片想いみたいになっちゃって…」

「へぇ、今は両思いなのに」

 

ちょっと気づかせるために言った。気づくかな。

 

「なに言ってるの。あれから会ってないよ」

「今いるじゃん。胡桃から半径1m以内に」

 

胡桃は首を左右にふって周りを見た。周りには俺しかいないぞー。

 

「…なに冗談言ってるの?頭痛くても冗談は分かるよ」

「……じゃあこれで思い出すか」

 

俺は上げていた前髪を前に垂らした。目の下辺りまで髪がかかる。あの時とほとんど同じ長さだ。

 

「深知くん…」

 

やっぱりその名前が最初に思い浮かぶんだ。

 

「その深知って奴、俺だよ」

「え、だって、柊くんでしょ?」

「そうなんだけど、本名知られたくないから偽名使ってた」

 

偽名使ってたのは俺だけだと思う。なぎだって偽名じゃないし。

 

「なぁんだ、あの時からだったかぁ」

「気付かなかったのか。」

 

胡桃は俺を強く抱いた。深知くんと知っても好きの気持ちは変わらないらしい。

 

「なんか頭痛も忘れちゃった」

「よかったじゃないか。」

 

俺は胡桃の頭を撫でた。胡桃は俺の頭にスリスリさせた。胡桃は大して大きなことはできない。ただ、俺にとってはとても大きな存在だ。いるかいないかだけで大きく変わってくる。

 

 そしてやってきた当日。現実世界では4月23日の午前5時半。こっちでは4月23日の午前7時。ついに俺とかりなは琴葉の家に行くときだ。

 

「胡桃、また現実世界で会おうな」

 

俺は胡桃と約束したんだ。

 

【昨日】

 

 俺は胡桃に呼ばれて、ベットの上に行った。

 

「胡桃、どうしたんだ」

「あのね、次の集合場所は現実世界の柊くんの実家にしよう?」

 

集合場所を実家にしようか。

 

「魔法搭クリアで帰れるから、それと同時に私は帰る。柊くんが帰ってきたら思いっきり抱きつく。帰ってこなかったら死ぬ」

 

過酷すぎる気もしたが、俺が勝てばいい話だ。

 

「いいよ」

「じゃあ、おやすみ」

「あぁ、おやすみ…」

 

よかったのだろうか。勝てるかも分からないのに…いや、勝ってくるんだ。俺は胡桃に言われてそう意気込んだ。

 

【現在】

 

 俺は玄関のドアに手を掛けた。もう出発の時間だ。

 

「行ってきます」

 

俺はドアノブをひねる。もう、行かなくちゃいけないんだ。すると、胡桃が俺の腹に巻き付いた。

 

「絶対、現実世界でハグして、キスしようね」

「…あぁ、待ってて…」

 

俺は外に出た。俺はなぜか雨も降っていないのに目から下に温かい水が流れていた。

 

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