高校生からの物語 完結   作:月島柊

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今回から戦闘回になります。今のところ、今回の25話、次回の26話、長編の27話、そして28話の4話構成です。
今回の登場人物
月島柊
月島かりな
織音琴葉
ミナト
ゆかり
柚木
以上6名


第25話 前日

 俺は琴葉の家に向かった。かりなは泣いていた俺の涙を拭いてくれて、かりなの家までは立場がすっかり逆転していた。俺は琴葉の家に着くと、早速挨拶に行った。

 

「琴葉、久しぶり」

「久しぶり!待ってたよ」

 

琴葉は相変わらず俺を笑顔で迎えてくれた。優しくて、琴葉に俺は「親切」な心を持っていた。

 

「ゆかりは」

「今レイピアの練習行ってる。ミナトも一緒だから心配ないって」

 

ミナトが一緒だったら確かに心配は要らないな。俺は琴葉を持ち上げた。

 

「わっ、ビックリしたぁ…どうしたの」

「なんか持ち上げたくなった」

 

琴葉は俺に持ち上げられても抵抗なしに、むしろ喜んでいた。

 

「これが最後にならないように…」

 

琴葉はそう言って俺を落ち着いた目で見た。

 

「……」

 

俺は黙り込んだ。そうか、俺が魔法搭で死んだら、これが最後になるんだ。魔法搭489階層より上は魔法が一切使えない。そうなると、蘇生もできないんだ。

 

「あ、言っちゃ悪かった?」

「…いや、大丈夫…」

 

俺が行って大丈夫なんだろうか。今回は俺が何かすることもないが、俺が行ったら、誰かが帰れなくなるんじゃないのか。

 

「…ちょっと1人にさせて…」

 

俺は自分の使っていた個室に向かった。誰も使っていないらしく、あの時のまま時間が止まっているようだった。

あ、そうだ…俺が銃を使わない理由。人を殺したからだ。俺はあの言葉を思い出した。

“ただの人殺し”

人を殺してから、一部の人物からはそう呼ばれた。

“歩く殺人鬼”

着ていた服が黒いからか

“悪魔の黒”

とも呼ばれた。ただ、たった1人からは真逆のことを言われた。

“俺たちの光”

理由を聞くと、前から栄光の光のように優しかったからだそうだ。

しかし、この言葉もこれによって無くなった。

“闇になった男”

光と言ってくれた人も、いつの間にか“闇”を言ったグループに入っていた。

そうだ、俺はそうだった。周りから信用されずに生きてきた。今回だって──

 

「柊、今回はよろしくな。ゆかり、直接は話せないからって言って、俺に言ったんだけど、ゆかりは柊を一番信用してるって」

「俺を…?」

 

とても意外だった。俺を信用するなんて。

 

「当たり前だろ。今回の主役は柊だ。俺じゃない」

 

主役は俺か。俺が主役。俺がみんなの中心なんだ。中心だったら人を殺さなくていいんだ。いいじゃないか。

 

「柊、ゆかりが向こうで待ってるから、行ってやれよ」

「分かった。ありがとう」

 

俺はミナトが出ていってから少しだけ部屋にいた。俺はなんて小さな事で悩んでたんだ。今回やり直せばいいんだ。

 

「行くか!」

 

俺は自分に言い聞かせて、勢いよくドアを開けた。

 

 ゆかりは床にちょこんと正座で待っていた。誰かを待っていると言うより、なんか悪いことをしたかのようだ。

 

「…私、前衛をお願いしたいです…」

 

前衛?一番忙しいところだし、1番HPも減りやすい。

 

「どうしてだ」

「守りたくて」

「HPは減りやすいぞ」

「死んでも、いいので…」

 

俺はゆかりを見つめた。俺には能力として、相手の心を読みとれる。死んでもいいは本当らしい。俺はゆかりに言った。

 

「ごめん、前衛はいっぱいなんだ。後衛は空いてるぞ」

 

こうして安全なところに誘導する作戦だ。本当は前衛なんてミナトしかいない。

 

「そうですか…じゃあ後衛で…」

「そうしてくれ」

 

俺はそう言って先に外へ出た。魔法搭に向かうのだ。

 

 魔法搭はいつも通り人が大勢いた。俺はそんな中、489階層へ上り、ある“コマンド”を言った。

 

「システムコマンド、magucal limit altitude rescission」

 

俺がこのコマンドを言ったのにはかなり重大な理由があった。まぁ、当日に分かるからまだ言わなくていいか。俺は試しに魔法を使ったあと、琴葉の家に戻った。

 

「柊さん!」

 

俺を呼んだのは柚木だった。俺は家に帰る途中だったが、一回柚木に寄った。

 

「どうした」

「私、攻略の前に男性に慣れたくて」

 

そうか。男性が苦手何だもんな、柚木とゆかりは。

 

「なるほど。それで、なにしたいんだ」

「一緒に帰ったりとか?」

 

敬語もやめて、結構なれたいって言う気持ちが伝わってくるな。

 

「じゃあ帰ろう。」

 

俺は飛行せずに一緒に家まで帰った。途中でも柚木はたくさん話してくれた。

 

「柊さんは現実世界でも髪灰色の黒寄りなの?」

「そうだね。染めてないんだけど、生まれつき」

 

染めたこともあるけどな、黒に。

 

「そうなんだ。結構かっこいいね」

「ありがとう」

 

俺は柚木と一緒に手を繋いで帰っていた。そんなことには気付いてなかったけど。

 

 家に着いたときにはもう夜だった。俺はかりなにさっきのコマンドを教えたあと、ミナトにも教えた。

 




胡桃が登場しない回でしたね。しばらく出てきませんが。

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