今回の登場人物
月島柊
月島かりな
織音琴葉
ミナト
ゆかり
柚木
以上6名
俺は琴葉の家に向かった。かりなは泣いていた俺の涙を拭いてくれて、かりなの家までは立場がすっかり逆転していた。俺は琴葉の家に着くと、早速挨拶に行った。
「琴葉、久しぶり」
「久しぶり!待ってたよ」
琴葉は相変わらず俺を笑顔で迎えてくれた。優しくて、琴葉に俺は「親切」な心を持っていた。
「ゆかりは」
「今レイピアの練習行ってる。ミナトも一緒だから心配ないって」
ミナトが一緒だったら確かに心配は要らないな。俺は琴葉を持ち上げた。
「わっ、ビックリしたぁ…どうしたの」
「なんか持ち上げたくなった」
琴葉は俺に持ち上げられても抵抗なしに、むしろ喜んでいた。
「これが最後にならないように…」
琴葉はそう言って俺を落ち着いた目で見た。
「……」
俺は黙り込んだ。そうか、俺が魔法搭で死んだら、これが最後になるんだ。魔法搭489階層より上は魔法が一切使えない。そうなると、蘇生もできないんだ。
「あ、言っちゃ悪かった?」
「…いや、大丈夫…」
俺が行って大丈夫なんだろうか。今回は俺が何かすることもないが、俺が行ったら、誰かが帰れなくなるんじゃないのか。
「…ちょっと1人にさせて…」
俺は自分の使っていた個室に向かった。誰も使っていないらしく、あの時のまま時間が止まっているようだった。
あ、そうだ…俺が銃を使わない理由。人を殺したからだ。俺はあの言葉を思い出した。
“ただの人殺し”
人を殺してから、一部の人物からはそう呼ばれた。
“歩く殺人鬼”
着ていた服が黒いからか
“悪魔の黒”
とも呼ばれた。ただ、たった1人からは真逆のことを言われた。
“俺たちの光”
理由を聞くと、前から栄光の光のように優しかったからだそうだ。
しかし、この言葉もこれによって無くなった。
“闇になった男”
光と言ってくれた人も、いつの間にか“闇”を言ったグループに入っていた。
そうだ、俺はそうだった。周りから信用されずに生きてきた。今回だって──
「柊、今回はよろしくな。ゆかり、直接は話せないからって言って、俺に言ったんだけど、ゆかりは柊を一番信用してるって」
「俺を…?」
とても意外だった。俺を信用するなんて。
「当たり前だろ。今回の主役は柊だ。俺じゃない」
主役は俺か。俺が主役。俺がみんなの中心なんだ。中心だったら人を殺さなくていいんだ。いいじゃないか。
「柊、ゆかりが向こうで待ってるから、行ってやれよ」
「分かった。ありがとう」
俺はミナトが出ていってから少しだけ部屋にいた。俺はなんて小さな事で悩んでたんだ。今回やり直せばいいんだ。
「行くか!」
俺は自分に言い聞かせて、勢いよくドアを開けた。
ゆかりは床にちょこんと正座で待っていた。誰かを待っていると言うより、なんか悪いことをしたかのようだ。
「…私、前衛をお願いしたいです…」
前衛?一番忙しいところだし、1番HPも減りやすい。
「どうしてだ」
「守りたくて」
「HPは減りやすいぞ」
「死んでも、いいので…」
俺はゆかりを見つめた。俺には能力として、相手の心を読みとれる。死んでもいいは本当らしい。俺はゆかりに言った。
「ごめん、前衛はいっぱいなんだ。後衛は空いてるぞ」
こうして安全なところに誘導する作戦だ。本当は前衛なんてミナトしかいない。
「そうですか…じゃあ後衛で…」
「そうしてくれ」
俺はそう言って先に外へ出た。魔法搭に向かうのだ。
魔法搭はいつも通り人が大勢いた。俺はそんな中、489階層へ上り、ある“コマンド”を言った。
「システムコマンド、magucal limit altitude rescission」
俺がこのコマンドを言ったのにはかなり重大な理由があった。まぁ、当日に分かるからまだ言わなくていいか。俺は試しに魔法を使ったあと、琴葉の家に戻った。
「柊さん!」
俺を呼んだのは柚木だった。俺は家に帰る途中だったが、一回柚木に寄った。
「どうした」
「私、攻略の前に男性に慣れたくて」
そうか。男性が苦手何だもんな、柚木とゆかりは。
「なるほど。それで、なにしたいんだ」
「一緒に帰ったりとか?」
敬語もやめて、結構なれたいって言う気持ちが伝わってくるな。
「じゃあ帰ろう。」
俺は飛行せずに一緒に家まで帰った。途中でも柚木はたくさん話してくれた。
「柊さんは現実世界でも髪灰色の黒寄りなの?」
「そうだね。染めてないんだけど、生まれつき」
染めたこともあるけどな、黒に。
「そうなんだ。結構かっこいいね」
「ありがとう」
俺は柚木と一緒に手を繋いで帰っていた。そんなことには気付いてなかったけど。
家に着いたときにはもう夜だった。俺はかりなにさっきのコマンドを教えたあと、ミナトにも教えた。
胡桃が登場しない回でしたね。しばらく出てきませんが。
第何話で二章終わりにした方がいい?
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