高校生からの物語 完結   作:月島柊

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第41話 凪沙の怪我

 胡桃ちゃんは避けた。何するの?私は不安だったけど、下に柊くんが飛び降りてきた。

 

「なぎ、今助けるからな」

 

柊くんは私の上にある梯子を持ち上げようとした。ちょっと浮いた隙に、私は足に力を入れた。しかし、そこまで時間がなく、梯子はまた戻った。

 

「さすがに2人じゃ難しいか」

「だよね。じゃあかりなちゃんと絢梨ちゃん呼んできて。私は絢香ちゃん呼んでくるから」

 

柊くんは上に、胡桃ちゃんは家の中に入っていった。なんか申し訳ない。

 

「お待たせ!」

 

柊くんは上から絢梨ちゃんを抱えて降りてきた。胡桃ちゃんは絢香ちゃんを連れて出てきた。

 

「みんなで持とう!そうじゃないと持ち上がらない!」

 

柊くんは私の梯子を持ち上げる指示を出した。なんか、私が怖がらなければ。私はふと声が漏れた。

 

「ごめん、もう、諦めても──」

「諦めない」

 

柊くんはこわばった声で言った。

 

「俺は、ひとり人を殺してる。その時、俺は今まで以上に怖かった。人を殺した感覚、人を殺した感触。だから、俺は自分が人の死に関わらないように、目の前で死なせないようにした。だから、今はなぎを守る番だ」

 

柊くんはみんなと力を合わせて梯子を持ち上げた。軽々持ち上がり、私は梯子の下から出れた。

 

「痛っ」

「なぎ、どこが痛いんだ」

「お腹と、肩…とか…」

 

話すとちょっとお腹が痛む。力を抜くと楽だった。

 

【月島柊視点】

 

俺はなぎの背中を持って、胡桃がなぎの足を持つかたちでなぎを家の中に入れた。

 

「柊くん…」

「無理に話さなくていい。歯磨いてやるから」

 

俺は脱衣所の手前にある洗面所でなぎの歯ブラシを持ち、なぎの歯を磨いた。

 

「あう…うぅ…」

「…久しぶりだな、人の歯磨くの」

「あが…いいああ!」(いいから!)

 

何言ってるの?俺はなぎの歯を磨き続けた。

 

「いうんえいあえう!」(自分で磨ける!)

 

もう磨き終わっちゃったし、うがいは自分でさせるか。

 

「うがいは自分でやって」

「うう…」

 

なぎはうがいが終わると、俺のところに来て言った。

 

「…緊張した…」

「そうですかい。ほら、寝に行くぞ」

 

なぎを持ち上げて、2階のなぎの部屋に連れていった。なぎは手を伸ばしてベットに眠った。

 

「じゃあ、ゆっくり休めよ」

「うん…」

 

なぎは残念そうに言った。何が残念なのか、俺には分かっていた。風呂で、なぎが添い寝したいって言ってたことを俺は知っていた。

 

「胡桃、お願いがある」

「ん?なぁに?」

 

俺は今の状況を全て話した。胡桃は「そういうことならオッケー。絢梨ちゃんと一緒に寝よっかな」と言ってくれた。俺は歯磨きを済ませ、あーやに明日の報告をして、明日の部活休暇届もだした。俺はすぐに2階のなぎの部屋に行った。

ドアのところで3回ノックした。中から「入っていいよー」となぎのかわいらしい声がした。俺は部屋の中に入る。

 

「ああ、柊くん?この足音は」

 

なぎは上を向いて寝ていた。横を向くと肩を圧迫してしまうから痛いんだろう。

 

「そうだよ。隣、失礼するよ」

 

俺は隣に仰向けで寝た。なぎと同じ状況だ。

 

「添い寝、したかったんだろ」

「知ってたんだ」

 

なぎは言った。そして、次に順を追うように言った。

 

「理由はね、柊くんに話したいことがあったの」

「話したいことって、なんだ」

 

俺はなぎに聞いた。なぎはちょっと笑って言った。

 

「焦らないでよ。私ね、柊くんとどうにかして結婚したいって思ってたんだけど、現実世界じゃあさすがに非現実的じゃん」

 

まずこのところまででもかなり違和感がある。結婚したかった?なんで。そう思っていても、話は進んでいく。

 

「だから、仮想世界だったら結婚できるかなって思って」

「いやいや、そんなこと言うけどさ」

 

そう、仮想世界では織音が結婚しようと告白してきている。二重結婚は成立するのか、そんなこと考えたこともなかった。でも、これを言うとショック受けるだろうなぁ。

 

「どうしたの」

「いや、なんでもない。ただ、心の準備がね」

「分かった。仮想世界に行って考えてみたら」

「そうするよ」

 

俺は仮想世界に入った。あの事件から数日が経ったが、そこまで変わった気はしなかった。

 

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