高校生からの物語 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
月島柊
立川絢梨
ミナト
以上3名


第46話 優しさ

 俺は家に帰ったあと、ゆっくり休もうと思っていた。今日は1人で帰ってきたため、誰か外で待っている。

 

「おかえり」

 

絢梨だった。なんであんなにひきこもっている絢梨がここに。

 

「どうした、外に出て」

「…一緒にねy…勝負しよ」

 

何を言いかけたのか分からないけど、勝負か。

 

「いいよ。仮想世界だよな」

「うん。絶対勝つ」

 

俺は仮想世界に転移した。サンドスペニアの真ん中で行う。

 

「スタート」

 

2人同時に突っ込んだ。強い力で弾き返されるが、お互い様だった。俺は地面を蹴って絢梨に向かった。絢梨が来たから無理だと思い、俺は止まった。絢梨の剣が当たると、俺は後ろに飛ばされた。絢梨の剣には残像が残る特徴があった。残像にも機能があり、その剣によって変わる。火の剣だったら火が残る。

 

「うっ…」

 

俺はすぐに立とうとするが、絢梨がもうすぐ目の前にやってきていた。

 

「私の勝ち」

「どうだろうな」

 

俺は絢梨から離れた。股の下を通り抜けたのだ。

 

「私が勝つ」

 

絢梨は俺より速く突っ込んでくる。まずい、このままだと…

 

「やぁっ!」

 

絢梨の剣で俺のHPは減っていった。

 

「俺の負けか。強かったよ、絢梨は──」

 

俺は絢梨にキスされた。茶色の髪がふわりと柔らかくなびいた。

 

「キスしてるとこ悪いんだけど、茶色の髪の人、戦わないか」

 

ミナトだった。絢梨は最初、結構余裕そうだったが、急に弱気になって俺に抱きついた。

 

「無理。強そう。怖い」

「大丈夫だよ。何かあったら助けるから」

「…じゃあやろう」

 

ミナトは微動だにせず、絢梨はいきなり突っ込んでいく。ミナトはギリギリで回避してジャンプ。絢梨が下に転ぶ。

 

「痛い…」

 

ミナトが上から剣を下ろそうとする。絢梨は力を入れて剣を剣でガードした。

 

「なかなかやるなっ!」

 

ミナトが力強く剣を下ろす。絢梨の剣は折れてしまい、剣が中に進む。俺は魔法でいかないようにする。

 

「シールド」

 

ミナトの剣をガードし、絢梨に当たらないようにした。

 

「ミナト、やりすぎ。剣を破壊するシステムとか使うなよ」

 

武器破壊システムコマンド。使用する人は少ない。

 

「ごめんよ、本気になっちゃった」

 

絢梨は黙って俺にぶつかる。絢梨は俺の腹に頭を当てて何か言っている。

 

「私、弱かった」

「え?」

 

絢梨が弱音を吐くなんて珍しかった。

 

「私、弱かった。これじゃ、柊くん守れない」

 

守るために強くなったんじゃないだろう。

 

「本当の目的はなんだった」

「…強くなって、絢香とかに見せたかった」

 

でも、強くなくなったと。

 

「これが私の実力。もう、剣を使うのやめる」

「え、嘘だろ?」

「本気。やめる」

 

絢梨は現実世界に帰っていってしまった。剣を作ってもらえなくなるのは辛い。

 

「…やめる、か」

 

俺はその言葉がどれだけ重要か思い知らされた。俺は絢梨に頼ってばかりだった。そんなこと、分かっていた。でも、俺はやめなかった。あの時気付いていたらどうだっただろう。俺が剣を作らせたから絢梨は強いと思い込んでいたんだ。

 

「ごめんよ、絢梨」

 

俺は空に魔法を放った。

 

【立川絢梨視点】

 

 私は自分が弱いのを知って、帰ろうとした。サンドスペニア北部の帰還装置から帰ろうとしたそのときに、私は思った。逃げたら弱い。弱者に成り下がる。

 

「戻らないと」

 

私は来た道を引き返した。その途中、空に上っていく何かが見えた。

 

「なにあれ…柊くんの魔法?」

 

位置的にあっていると思う。どうして空に魔法なんか。色は…赤?火の魔法。体に当たると現実世界に影響を与えるけど、空に?

 

「落ちてきてる!」

 

柊くん、もしかして自殺しようとしてる!?

 

「ばかっ!」

 

私は全速力で走った。お願い、間に合って…

 

【月島柊視点】

 

 俺は絢梨のことを信じて真上に有害使用警戒魔法、通称NBMを使用した。NBMは魔法使いのみが使用を許可される魔法。現実世界に影響を及ぼす魔法。

 

「来るよな、絢梨」

 

俺はそのまま放っておいた。すると、水色の水剣が頭上を通り抜け、水の残像が残った。と言うことは絢梨か。

 

「柊くん、危ない」

「そう来るとは思ったよ。絢梨は優しいな」

 

俺は絢梨を抱き上げた。

 

「わっ」

「ほら、飛ぶぞ」

 

俺は飛んだ。絢梨は普段いない高さに驚いている。

 

「普段いつもこの高さなの?」

「ほとんどね。さて、絢梨。楽しいとこ行こうか」

 

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